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「(なのは、ジュエルシードが見える?)」
「(見える……すぐ近くだよ!)」
念話でなのはとユーノの会話が聞こえてくる。すぐ近く……ちょうど良い。
「よし、この辺りでいいか」
俺はジュエルシードがあるであろう光の柱から少しだけ離れた建物の屋上に着地して武器を構える。
「(なのははその場所から封印魔法をジュエルシードに向けて頼む。俺は少し離れた位置で待機してる。フェイトたちが動いたら迎撃する)」
前回のアルフと戦った後にフェイトの封印魔法は見たことがある。地面にデバイスを突き刺してそこから雷撃が目標に走っていくような動きをしていた。となると、フェイトがジュエルシードを封印するためには目標近くの地面に降り立っているはずなんだけど……。
「見えねぇな……」
ジュエルシード周辺の道路にはなのはの姿のみでフェイトどころかアルフの姿も見つけられない。
「ジュエルシード、封印!」
「―――なっ!?」
俺が捜索範囲を広げるかと検討した瞬間、なのはがジュエルシードに向かって封印魔法を放った。そしてなのはの真反対からもう一つの封印魔法が放たれた。なのはの桃色の魔力光とは違う、雷を想起させる黄色の魔力光。フェイトの物だ。うっそだろ、フェイトの奴砲撃魔術もイケるのか!
「まずッ」
出遅れた! ジュエルシードはもう封印状態だ、ならあとは誰が先に手にするか! ユーノがなのはに回収を急かしてる―――ってあれは!?
ユーノを上から急襲しようとしているアルフが目に入る。ユーノもなのはも気が付いてない。フェイトの居場所が不明なのが心配だが見過ごせないか……!
「させるかッ!」
すぐにオーバードブースト+二段クイックブーストで飛翔してユーノを殴り飛ばそうとしていたアルフの前に立ちふさがり、その拳をオーメル突撃ライフルで受け流す。
「よォ、アルフ!」
「九朗! ちっ、アンタもいたのかい!」
拳を受け止められたアルフは一度距離をとり、離れた位置に着地した。
「前回みたいにいなかったら楽だったのに!」
「おいおい、そんな連れないこと言うなよアルフ」
仲間外れは良くないな~、俺も入れてくれないと。
「フェイトも俺がいた方が嬉しいだろ?」
「私はただジュエルシードを回収するだけだから。……嬉しいとか嬉しくないとかは、関係ない」
何となく気配を感じた方に声をかけながら視線を向ければ少し離れた位置の電柱の上にフェイトが立っていた。……すずかの家の時も電柱の上にいたけど電柱好きなのか? それともフェイトは雷っぽい魔法たくさん使うし電気に近い場所の方が何かいいことあるのか? というか、フェイトに水ぶっかけたらどうなるんだろう……。
――ん? なのはが急に歩き出しフェイトに近づいていく。武器、というかデバイスも構えてないし危なくないか? 一体どうした?
「こないだは自己紹介できなかったけど……。私、なのは。高町なのは。私立聖祥大付属小学校3年生」
じ、自己紹介? いや、まぁ俺を通して互いの名前は知ってるだろうけど二人がちゃんと自己紹介したことなんかなかったな。というか俺もフェイトに自己紹介してもらったことないわ。アルフが呼んでるの聞いてそのまま呼ばせてもらってるだけだし。
≪サイズフォーム≫
「ッ!」
「っと!」
「容赦しないよ!」
返事はなし、フェイトはバルディッシュから光の鎌を出現させ、切りかかってくる。それと同時にアルフも助走をつけて一気に加速、こちらに突撃してくる。
「スキュラ!」
切りかかってくるフェイトに向かってスキュラを発射する。4つの魔力球が肩のパーツから射出され、自動でフェイトに向かい進路を邪魔する。そしてアルフの拳には蹴りで対抗して押し返す。
「チィッ!」
「くっ!」
魔力球に進路を邪魔されたのと、蹴りで押し返されたので、それぞれの理由でフェイトとアルフの二人の動きが硬直する。そんな二人に射撃を開始してさらに近づかせないようにする。
「なのは! 今の内に距離を取れ! お前の
「うん!」
「わかった!」
≪フライヤーフィン≫
なのはの靴から小さな翼が出たかと思うと空に飛び出した。おお! すずかの家で一瞬見せたジャンプ強化じゃなくて、しっかり自由飛行してる。いつの間に飛行も覚えたんだ。
「なら、俺も!」
なのはの援護の為俺も空に飛びあがる。そうして戦場は街の上空へと移る。
「成程、確かに強い! それでも……遅い!」
「ブリッツアクションで追いつけないなんて……アルフの言ってた通り、早い!」
へぇー、あの移動方法ブリッツアクションって言うんだ。あれも早いけどクイックブーストほど早くもないし、連発も効かないみたいだ。俺とフェイトは互いに急加速、急旋回を仕掛け空中での近接射撃戦を繰り広げていた。アルフの言っていた通りフェイトは強い。なのは、フェイト、ユーノ、アルフといった数人しか魔導師を知らないから正確な比較ではないんだろうけど、仮に性能にS、A、B、C、D、Eの評価を付けるなら、きっとフェイトはすべての分野でA評価の万能型、つまりローゼンフレームだ。細かく言うなら少し防御低めで機動力に振ってる気がするから……オーギルじゃなくてランセルの方だな。
「くー君!」
「おう!」
≪ディバインシューター≫
なのはの声が聞こえ一度フェイトから距離を取る。フェイトはそれを隙とみて接近してくるが、そんなフェイトを狙って砲撃が飛んでくる。
「ッ!?」
「フェイト!」
しかしフェイトを狙った砲撃魔法はアルフの防御によって防がれる。
「なのは! 離脱!」
「うん!」
俺の言葉になのはは構えを解いて動き始める。そして俺はフェイトとアルフになのはを追跡させないように二人に接近戦を再び仕掛ける。俺が二人の注意を引いている間になのはは加速して前線を離れ再び隙を伺う。
なのはの評価は以前にもした通り、ガチタンの一言だろう。ただこうやって戦っている間に気が付いたのだが、加速が乗り切ったなのはの飛行速度はフェイトに勝っている気がする。しかし加速性能は低いし、俺やフェイトのような細かな機動はできない。なんだろうな……タンク脚部のライデンにアルギュロスコアのっけて、武装も高火力のキャノン詰みまくって、重くなった機体を高出力ブースターで無理やり素早くしている、みたいな印象……。それを可能にしているなのはの
「アルフ、ありがと」
「へへっ、これくらいどってことないよ」
アルフは……難しいな……。フェイトほどじゃないが機動力があって体力もある。ただ万能なフェイトのサポートが主な役割だからか攻撃魔法はそんなに持っていないみたいで基本的に狼状態の引っ掻きや噛み付き、人型での殴る蹴るがアルフの攻撃方法だ。体力はあるけど防御魔法もユーノやフェイト、なのはほどじゃないし……。両手ブレードにチャフやECM装置を装備したアルゼブラ四脚ってところか? イメージカラー的にも似合いそう。……シャミアと違って状況戦はできそうにないけど。
「チッ!」
「危ない!」
「すまないユーノ!」
上下左右、360度、全方位に自由に飛び回れる今の戦いは俺が今まで得意としていた地上旋回戦とは勝手が違う。気を付けてはいるんだがまだどこかゲームと同じように考えて動いてしまう。こればかりはフェイトやアルフの方が経験がある分有利だ。そんな状況でなのはにデカい一撃を撃ってもらうためとはいえ、二対一なんてしていれば多少隙も出来てしまう訳だ。そしてその隙を見逃すほどフェイト達は甘い敵じゃない。そうして仕掛けられた攻撃をなのはの肩に乗っているやーのが防御魔法で防いでくれる。……あの距離から他者にプロテクションかけられるのかよ……。
なのはの魔法の師匠をしているだけあってユーノも防御力に秀でた魔導師だ。ただガチタンっていうほど火力はないし……あれ? 火力に秀でているわけでもなく、ガチタンほど防御力が高いわけでもない……NSS、ワンダフルボディ? いや、結界や治療といった後方仕事が得意ということを考えればメルツェル、オープニングか? う、うーん……。
ユーノ『歓迎しよう(魔法の世界へ)盛大にな!』
……まぁ、ありじゃないか?
「フェイトちゃん!」
「――ッ」
あ、俺がなんか考えている間になんか進展があったっぽい。
「話し合うだけじゃ、言葉だけじゃなにも変わらないって言ってたけど! だけど! 話さないと、言葉にしないと伝わらないこともきっとあるよ!」
よくわからないが、きっと俺がいなかった間にフェイトとなのはの間でそういう会話があったんだろうな。にしてもあの表情……初めてアリサやすずかと出会ったときのことを思い出すな! ああなったなのはは頑固だし、しょうがない!
「……なのは! 援護するからそのまま言いたいこと、やりたいこと、全部ぶちまけろ!」
俺はフェイト達と距離を取ってなのはの近くを飛行する。
「くー君……うん! ぶつかり合ったり、競い合うことになるのは仕方がないことなのかもしれないけど……なにも分からないままぶつかり合うのは私、嫌だ!」
なのはの叫びが結界内に響きフェイトの動きが止まる。
「なにを一体!」
「アルフか! 邪魔すんじゃねぇ!」
しかしアルフは止まらずこちらに向かってくる。その拳をプライマルアーマーで受け止めて弾き、蹴りで距離を取らさせる。フェイトは止まってるし……アルフをどうにかするか!
「私がジュエルシードを集めるのは、それがユーノ君の探し物だから。ジュエルシードを見つけたのはユーノ君で、ユーノ君はそれを元通りに集めなおさないといけないから。私はそのお手伝いで集めているの。お手伝いするようになったのは偶然だけど今は自分の意志で集めてる。自分の住む街やまわりの人たちが危険なことに巻き込まれるのが嫌だから。これが……私の理由!」
ほんっと立派だよなぁ、なのは。アルフの拳と俺の足で鎬を削りながらそう思う。なのはの言葉にフェイトの心も動いたのか少し目を伏せた後フェイトは口を開こうとする。
「……私、私は……」
「フェイト! 答えなくていい!」
「どわっ!?」
こいつッ、いきなり大声出しやがって! 驚いた拍子にずるりと足と拳の軸がずれ、離脱される。
「ジュエルシードを持って帰るんだろう! 優しくしてくれる人のトコでぬくぬく甘ったれて暮らしているようなガキんちょになんか何も教えなくていい!」
「なに?」
アルフの続く言葉に思わず反応する。明確なわけではないけど今の言い方だとまるで……フェイトは厳しくて当たり散らかす人のところにいる、みたいに捉えられないか?
―――ズクンッ――
「今のは!」
浮き上がった疑問を確かめる間もなくすっかり忘れていたジュエルシードが大きく鼓動するのが伝わる。やっべ、マジで忘れてた。あれ放置してたら不味いよな。というか今の感じが多分その不味いやつだよな……。
「ユーノ!?」
「多分暴走寸前なんだ! なのは、封印して収納を!」
「わかった!」
≪フラッシュムーブ≫
「フェイト!」
「やらせない!」
≪ブリッツアクション≫
なのはとフェイトの二人が放置されていたジュエルシードに向かって急加速していく。出だしはフェイトの方が有利だったがジュエルシードまで距離があることもあってなのはの加速が乗ってきた! ジュエルシードまでの距離はあとわずか! 二人はほとんど横一列! どっちだ、どっちが勝つ!
―――ギィッン!―――
二人は同時にジュエルシードに到達して二つのデバイスがジュエルシードに振り降ろされる。
「きゃああああああ!」
「……ッッ!」
「フェイトっ!?」
「なのは……っ!?」
「ヅアアア!? 09-FLICKER!?」
一瞬の沈黙の後ジュエルシードは眩い閃光と爆風をあたりにまき散らしたのだった。
・フェイトにぶっかけたい九朗くん。
・無印を見返しながら執筆してるんですけどなのはちゃんの成長速度早くない?
・フェイトってA`sのシグナム戦以降近接キャラっぽくなってますけど多分本来は万能型だと思うんですよね。今はランセルだけど次第にライールになっていくんだ……。
・ガチタンなのは、アルゼブラアルフ、まさかのNSSユーノ。
・そしてちょっとフェイトの事情に気づきかける九朗。
・九朗くんはフルアリーヤ、つまりフラッシュからの復帰も早い。わかりますね?