落星の継承者  重量変化だけしか使えない主人公が、バカでかい武器を振り回す話   作:青井リンボ

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 バーグが鋸刃剣を肩から下ろした。

 

 その背後では、手下たちがミリーを収めた拘束箱を運び始めている。

 太い金属の取っ手を四人で掴み、崩れた車両の間を抜けようとしていた。

 

 サビは巨剣槍を支えに、片膝をついたまま息を吸う。

 胸の奥が軋んだ。 浅く吸っただけで、折れた骨が内側から肉を刺すように痛む。

 右手首には力が入りにくい。 片脚も痺れたままだった。

 

 立ち上がって、ミリーを追う。

 それだけのことができない。

 

 バーグがゆっくりと近づいてくる。 急ぐ様子はなかった。

 サビがもう、まともに戦えないことを分かっているようだった。

 手下へ向かえば、背後から斬られる。バーグへ向かえば、その間にミリーを運び出される。

 どちらを選んでも間に合わない。

 

「どうした?」

 

 バーグが笑った。

 

「さっきまで随分と威勢が良かったじゃねえか」

 

 サビは答えず、視線だけを動かす。

 拘束箱。 バーグ。

 ひび割れた床。巨剣槍が叩き込まれた跡。

 バーグの鋸刃剣が穿った亀裂。 砕かれた柱の根元。

 

 その下には、いくつもの魔力反応がある。

 ファングアント。

 深さも、正確な数も分からないが、地下で蠢いていることだけは分かる。

 

「しかし、笑えるよな」

 

 バーグの声が続く。

 

「ついこの間まで、まともに魔力も使えねえ奴隷だったガキがよ」

 

 一歩。

 

「でけえ武器を手に入れて」

 

 もう一歩。

 

「鎧まで着込んで、三ツ星になって」

 

 鋸刃剣の先が床を擦った。

 

「少しは自分が何かになった気でいたんだろ?」

 

 サビは巨剣槍の柄を握った。

 

「昔はトカゲモドキもろくに守れねえ」

 

 指に力が入る。

 

「俺に殴られても、地べたから睨んでることしかできなかった」

 

 バーグが拘束箱へ顎を向ける。

 

「今度はあの女か?」

 

 サビの目が僅かに動いた。

 

「守ってやってるつもりだったか?」

 

 バーグが喉を鳴らして笑った。

 

「結果は同じじゃねえか」

 

 拘束箱が、少しずつ遠ざかっていく。

 

「トカゲモドキも持っていかれた」

 

 一歩。

 

「あの女も持っていかれる」

 

 また一歩。

 

「お前はそこで、何もできずに見てるだけだ」

 

 サビは巨剣槍を支えに、ゆっくりと腰を上げた。

 

「何が変わったんだよ、お前」

 

 あの時は、見ていることしかできなかった。

 今だって、勝てるとは思っていない。ミリーを取り戻せる保証もない。

 それでも——まだ、何もできないと決まったわけじゃない。

 

(賭けだが……まだ分からねえだろ……!)

 

 右手首へ激痛が走る。

 それでも立つ。

 バーグが嬉しそうに口元を歪めた。

 

「そうだ。それだよ」

 

 サビは顔を上げた。痛みに歪んだ顔の中で、目だけが真っ直ぐにバーグを捉えていた。

 地べたへ叩きつけられても、なお食らいつこうとする獣のような目だった。

 

「昔からその目だけは変わらねえ」

 

 バーグがにやけ面をより深くしながら、鋸刃剣を構えた。

 

「何もできねえくせに、睨むことだけは一人前だ。そういう奴をズタズタにするのが、……最高なんだ」

 

 サビは答えなかった。

 巨剣槍を軽量化すると、腕へ掛かっていた重みが消えた。

 

「……あ?」

 

 サビは両手で柄を握り、巨剣槍を大きく振り上げた。

 傷んだ身体でも、軽くした武器なら持ち上がる。

 巨大な黒い刃が、頭上を越える。

 

 バーグの眉が動いた。

 視線が各所をめぐる、刃の軌道、サビの足元。

 そして、広範囲に走った床の亀裂。

 バーグの笑みが消えた。

 

「てめえ――!」

 

 踏み込む。

 だが、その時にはもう、巨剣槍は振り下ろされ始めていた。

 

 サビは歯を食いしばる。

 

 軽い刃が加速する。

 残っている力を全部使い、床へ向けて振り抜く。

 

 そして命中する寸前、サビは巨剣槍へ魔力を叩き込んだ。

 刃の周囲に、赤黒い炎のような揺らぎが噴き上がる。

 重量が跳ね上がった。

 

「やめろッ!」

 

 バーグが叫びながら、鋸刃剣を差し込もうとする。

 しかし、超重量となった巨剣槍は、差し込まれた鋸刃剣を弾き返した。

 鋸刃の一部が砕け、金属片が宙を飛ぶ。

 

 そのまま、巨剣槍が床へ激突した。

 轟音。

 地下空間そのものが跳ねた。

 

 巨大な刃が古い床材を粉砕し、衝撃が放射状に走る。

 すでに刻まれていた亀裂が一斉に繋がった。

 サビを中心に床が沈む。

 

 一拍遅れて、広範囲が崩れ始めた。

 

「箱を下ろせ!」

 

 手下の一人が叫んだ。

 拘束箱を運んでいた男たちが足を止める。

 

 だが、遅い。

 足元が斜めに傾いた。

 一人が滑り、拘束箱の端が床へ激しくぶつかる。

 

「支えろ!」

 

「足場が崩れるぞ!」

 

 柱の根元を太い亀裂が走る。

 地下から、何かが押し返すような低い轟音が響いた。

 

 床材が次々と割れ、瓦礫と砂埃が巨大な亀裂へ吸い込まれていく。

 柱の一本が傾き、天井を巻き込みながら倒れる。

 

「クソガキィ!」

 

 バーグが鋸刃剣を床へ突き立て、崩れていない場所へ飛び移ろうとした。

 手下たちは拘束箱を落とさないよう必死に踏ん張っている。

 

 もはや誰もサビを見ていない。

 沈む中サビは、腰の袋へ手を突っ込んだ。

 指先に触れた小瓶を掴む。

 魔物寄せ。

 床がさらに大きく沈んだ瞬間、瓶をバーグへ向けて投げた。

 

「――あ?」

 

 瓶がバーグの足元へ落ちて、乾いた音を立てて砕けた。

 黒い粉が弾ける。

 バーグの脚。 赤い鎧。 周囲の瓦礫。

 濃い匂いが一気に広がり、バーグが自分の足元を見る。

 

「……おい……」

 

 サビは巨剣槍の最大重量化を解除した。

 同時に、自分と武器を軽量化する。

 

「てめえ、まさか!――」

 

 床が完全に抜け、足元が消える。

 サビの身体が、瓦礫と共に地下へ落ちた。

 拘束箱も傾いた床を滑る。

 

「うおッ!」

 

 支えていた男たちごと、大きな穴へ飲み込まれていく。

 バーグが鋸刃剣を近くの柱へ引っかけた。

 

 刃が深く食い込み、一瞬、身体が止まった。

 だが、その柱にも、サビの一撃で走った亀裂が届いていた。

 

「ふざけんなッ!」

 

 柱が折れた。

 バーグの身体も、瓦礫の中へ消える。

 轟音と共に、天井も床も次々と崩れ落ちた。

 

 落下しながら、サビはミリーを入れた拘束箱を探す。

 砂埃の中。

 崩れる床材の隙間に、金属の外殻が一瞬だけ見えた。

 

「ミリー!」

 

 次の瞬間、大きな瓦礫が二人の間を塞いだ。

 サビの視界が砂埃に覆われた。

 肩と背中へ石片がぶつかる。

 

 軽くした身体が何度も弾かれ、落下する向きが定まらない。

 巨剣槍が手から抜けそうになる。

 サビは柄へしがみついた。

 

 下には、ファングアントの蠢く魔力の気配が急速に近づいてくる。

 崩落に反応し、地下にいた群れが一斉に動き始めていた。

 

 やがてサビの身体が、斜めに積もった瓦礫へ叩きつけられる。

 そのまま石の斜面を転がり落ち、硬い地面へ背中から落ちた。

 

 肺から空気が抜ける。

 視界が暗くなりかけた。

 それでも、サビは意識を手放さなかった。

 

「ミリー……」

 

 掠れた声が漏れる。

 周囲では、まだ小さな瓦礫が降り続けている。

 男たちの悲鳴。金属の軋む音。

 ファングアントの鳴き声。

 

「クソがぁぁぁ!」

 

 その向こうから、鋸刃剣が何かを叩き砕く重い音が響いた。

 サビの視界に、数体の掘削種や見た事のない上位種が、魔物寄せにつられて声の方へ向かって行くのが見えた。

 

 サビは瓦礫の上へ手をつき、身体を起こそうとした。

 肩へ力を入れた瞬間、胸の奥を鋭い痛みが貫く。

 

「ぐ……ッ」

 

 肘が崩れ、再び地面へ伏せた。

 崩落前にバーグから受けた傷に、落下の衝撃まで重なっている。

 

 息を吸うだけで肋骨が軋んだ。

 片脚は痺れ、右手首もまともに曲がらない。

 このままでは、ミリーの場所を探すことすらできない。

 

 サビは震える手を腰へ伸ばした。

 装備の隙間に取りつけていた小袋は、半分ほど千切れている。

 中を探り、硬い瓶へ指をかけた。

 

 回復薬。

 ステラの店で買ったものだった。

 瓶には細かな亀裂が入っていたが、中身はまだ漏れていない。

 

(そういや、ステラの婆さんの店、全然行ってねえな)

 

 不意に、薄暗い店内と、細く開いた老婆の目が浮かんだ。

 傷だらけのサビを見て、労わる様に薬を塗っていた。

 

 サビは兜のバイザーを上げ、栓を歯で引き抜いた。

 薬液を一気に口へ流し込む。

 強い苦味と、喉を焼くような熱が広がった。

 一口で止めず、そのまま瓶を傾け続ける。

 

 本来なら傷の程度に合わせ、少しずつ飲むものだった。

 だが、今は効き目を待っている余裕がない。

 空になった瓶を投げ捨て、さらに予備を取り出す。

 

 二本目の栓も噛み切った。

 胃の中へ薬液が落ちた直後、全身が内側から熱を持ち始める。

 傷口の周囲が脈打つ。

 胸の痛みが消えたわけではない。

 折れた骨が戻ったわけでも、裂けた肉が完全に塞がったわけでもない。

 

 それでも、呼吸をするたびに意識を奪っていた痛みが、少しずつ遠のいていく。

 痺れていた脚にも熱が戻った。

 右手を握る。

 痛みは残っているが、指は動く。

 

「……動ける」

 

 サビは巨剣槍を杖代わりにして立ち上がった。

 視界が一度、大きく揺れる。

 

 回復薬をまとめて飲んだせいか、心臓が速く脈打っていた。

 全身が熱い。

 傷が治ったというより、身体が無理やり動かされている感覚だった。

 薬が切れれば、反動が来る。それまでにミリーを見つけなければならない。

 

 サビは周囲を見回した。

 崩落した床材と柱が、地下空間へ斜めに積み重なっている。

 

 ところどころに、手下たちの呻き声が聞こえた。

 少し離れた場所では、ファングアントの甲殻が瓦礫を擦っている。

 

 さらに奥から、鋸刃剣の轟音が続いていた。

 バーグは生きている。

 魔物寄せへ集まった群れと戦っているらしい。

 

 サビはその音とは別の方向へ意識を向けた。

 

「ミリー」

 

 返事はない。瓦礫の間を探る。

 地下の魔力反応は、崩落前よりさらに乱れていた。

 

 ファングアント。

 負傷した人間。

 壊れた魔導具から漏れる魔力。

 それらが狭い地下空間で重なり、ミリーの位置を判別できない。

 

 サビは巨剣槍を担ぎ、瓦礫の山へ足を踏み入れる。

 

 薬で鈍った痛みの奥から、身体の各所が悲鳴を上げていた。

 それでも、足は動いた。

 サビは拘束箱を探し、崩れた地下区画を進み始めた。

 

 瓦礫の向こうから、男の呻き声が聞こえる。

 折れた床材の隙間を抜けると、バーグの手下が一人、片脚を瓦礫に挟まれていた。

 

 その近くに、別の男が倒れている。

 肩から血を流しながらも、まだ意識はあった。

 サビの姿に気づくと、男は傍らに落ちていた鉤槍へ手を伸ばした。

 

「止まれ……!」

 

 サビは答えず、巨剣槍を軽量化した。

 男が鉤槍を構えるより早く、刃を振り抜く。

 

 巨剣槍が男の身体を捉え、そのまま壁へ叩きつけた。

 鈍い音が響く。

 男は壁際へ崩れ落ち、そのまま動かなくなった。

 

「くそ……!」

 

 脚を挟まれた男が、腰の短剣を抜く。

 サビは足元へ巨剣槍を差し込み、瓦礫ごと横へ押し流した。

 男の身体が床を滑り、崩れた穴の縁まで運ばれる。

 

「待――」

 

 刃を返す。

 巨剣槍に弾き飛ばされ、男はそのまま穴の中へ落ちていった。

 下から、短い悲鳴と甲殻の擦れる音が響く。

 

 サビは振り返らなかった。

 倒すことが目的ではない。

 ミリーまでの道を空ければ、それでいい。

 

 瓦礫を越えた先で、拘束箱の一部が見えた。

 大きな床材が斜めに倒れ、その隙間へ挟まるようにして止まっている。

 

 金属製の外殻には亀裂が走り、蓋が外れていた。

 フレームも大きく歪んでいる。

 

「ミリー!」

 

 サビは瓦礫を踏み越え、箱へ駆け寄った。

 内部の拘束帯が何本か千切れている。

 

 手足を固定していた金具も、片側が外れていた。

 魔力阻害装置は砕け、魔石から弱い光が漏れている。

 

 その中で、ミリーは目を閉じたまま横たわっていた。

 額から血が流れ、白銀の髪へ赤い筋を作っている。

 

「おい」

 

 返事はない。

 サビは箱の縁へ膝をつき、ミリーの胸元を見る。

 僅かに上下している。息はある。

 

 サビは短く息を吐いた。

 

(生きてるな……)

 

 賭けだった。

 あのまま連れていかれ、自分は殺されるなら、床を崩落させようと思った。

 なんとか、ミリーは息があり、ここまでは賭けに勝っている。

 

 背後で瓦礫を踏む音がした。

 振り返る。

 別の手下が、片腕を押さえながら近づいてくる。

 

 顔は血と埃に汚れ、もう片方の手には短槍が握られていた。

 

「そいつを置け……」

 

 男が槍を突き出す。

 サビは立ち上がらない。

 低い姿勢のまま巨剣槍を片手で振り、接触の瞬間だけ軽量化を解いた。

 

 重さを取り戻した刃が、槍の穂先を横へ弾く。

 そのまま柄を手の中で滑らせた。

 反対側の石突が男の胸へ届く直前、再び重さを戻す。

 

「ウゴッ……!」

 

 男の身体が浮いた。

 背後の瓦礫へ落ち、崩れた床材の間へ消える。

 もう立ち上がる者はいなかった。

 

(頭がさえてるな……)

 

 痛みが遠のいたことで、魔力を切り替える瞬間へ意識を集中できていた。

 回復薬で傷が治ったわけではない。

 

 それでも、身体が動く間だけは、以前よりも巨剣槍の重さを細かく扱える。

 サビは巨剣槍を床へ置き、拘束箱へ向き直った。

 歪んだ金具へ指をかける。

 

 力を込めた。

 右手首に痛みが走る。

 回復薬で鈍っていた傷が、奥で軋んだ。

 

「ぐ……ッ」

 

 それでも手を離さない。

 外れかけた拘束具を引き剥がす。

 

 胸と腰の帯を切り、ミリーの身体を箱から引き出した。

 頭が床へ落ちないよう、首の後ろへ腕を回す。

 

 身体は力を失っていた。

 サビはミリーを抱き起こし、背中へ回した。

 両腕を自分の肩へかける。

 

 腰を落とし、脚へ力を入れた。

 全身の傷が一斉に痛んだ。

 それでも、立ち上がる。

 

 背中の重みが、一歩ごとに肩へ食い込んだ。

 

(……俺は、本当にアオを探してたのか)

 

 そんな考えが、不意に浮かんだ。

 探していないわけがない。

 アオをもう一度、この手で抱きしめたい。

 その気持ちは、今も変わっていない。

 

 だが、それが本当に叶うとは、心のどこかで思っていなかった。

 やらなければならないから、やる。

 死にたいわけではない。

 それでも、駄目なら駄目で仕方がない。

 これまでの自分は、ずっとそうだった気がする。

 

(……いつからだ)

 

 ミリーの体温が、背中を通して伝わってくる。

 浅い呼吸。

 肩へ回された腕。

 この重さが消えれば、もう二度と感じられない。

 

 脳裏に、ぽつぽつと浮かぶものがあった。

 

 まだ最後まで読んでいないコミック。

 レオルの部屋には、続きが何冊も積まれている。

 

 あの爺さんの露店にも、まだ知らない話が並んでいた。

 自分が知らないだけで、物語はいくらでもあるらしい。

 

 鉄環と過ごした時間も、大して長くはない。

 それでも、飾りのない声で助かったと言われた。

 酒場で肩を組まれ、囲まれるのは居心地が悪かった。

 だが、悪い気はしなかった。

 

 聖堂で見た2つの星。

 双星祭の夜、金と銀の光が空を埋めた。

 どれが自分の星灯かも分からないまま、隣にはミリーがいた。

 

(……ああ、そうか……)

 

 気づけば、サビの口元がわずかに持ち上がっていた。

 笑うつもりなどなかった。

 ただ、喉の奥から乾いた息が1つ漏れた。

 それは苦しげな息にも、笑い声にも聞こえた。

 

(ここで……終わりたくねえなあ……)

 

 サビは、その言葉を初めて自分の中ではっきりと認めた。

 これまでも、生き残ろうとはしてきた。

 だが、生き残った先まで欲しいと思ったことはなかった。

 

 アオを見つける前に死んでも仕方がないとは、もう思えない。

 背中の重みが消えないように。

 まだ知らない話を、いつか最後まで読めるように。

 

 サビは巨剣槍だけを軽量化し、逆手で引きづる様に運んだ。

 ミリーの重さは、そのまま背負う。

 

 背後では、ファングアントの甲殻が砕ける音が響いている。

 鋸刃剣の轟音。

 バーグの怒声。

 それらが地下通路を震わせた。

 

「クソガキィィィッ!」

 

 サビは振り返らない。

 追いつかれる前に、少しでも距離を取る。

 それだけを考え、ミリーを背負ったまま地下通路の奥へ進んだ。

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