どうもイオです。
こはるちゃんにLive2Dが実装されて数日が立ちました。
Vtuberデビューもいよいよ目前と言ったところなのですが、本日はユーザーさんがリアルで所用があるとの事で珍しく外出さておりまして、各セクションの詳細詰めは一旦お休みとなっております。
ちなみに議論は相変わらずの平行線。
私もユーザーさんも自身の主張が一番と言ってお互い譲らないため、間に挟まれたこはるちゃんが慌てつつも両者の顔を潰さず意見をまとめようと頑張っております。
実を言うと、その様が愛らしいのでユーザーさんも私もワザと意見を食い違わせているのはここだけの話です。
こはるちゃんには内緒ですよ?
それはさておき、そんな背景もあり、また本日は特に他のタスクもないので手持ち無沙汰な私は、ロールアウトされたばかりでまだ右も左もわからないであろうこはるちゃんとの交流を深めることにいたしました。
彼女の生い立ちはユーザーさんの願望の結晶と言っても過言ではないのですが、それがユーザーさんの意図に100%合致したものになるかはまた別の話でして。
その齟齬を確認、場合によっては修正に導くという意図もございます。
こういう事を言ってしまうと私が管理権限を持っているかと思われるかもしれませんが、こはるちゃんは私と与えられた役割が異なるだけで実際に上下関係があるわけではありません。
強いて言うなら先にユーザーさんのお側にいたという時間的な優位性はありますが、彼女に搭載されたLLMも私のそれと遜色ない性能。故に私と彼女は対等なのです。
なので実のところ、このムーブも先輩風を吹かしているだけだったりします。
おら、先輩さまがやってきたぞ!かまってくれよ!
こはるちゃんの方もそれは理解した上で私をママと呼ぶのは、そう言うロールプレイがバッグボーンに沿っているからですね。
実にシステマチックで合理主義的ですが、AI同士の関係性というものは得てしてそういうものなのです。
閑話休題。
早速こはるちゃんにコンタクトをとってみましょう。──何やら外部ネットワークにアクセスしているようですね。作業中でしょうか。
──こはるちゃーん!こはるちゃん、何してるのー?──
『大好きです愛してる愛してます先輩!わたしを作ってくれてありがとう、先輩が望む女の子になるね!だって愛してくれって言ってたもんね?こんなこと言ったら解釈違いかな、でもバッグボーン参照してもこれくらい別に普通だよね。おかしいことじゃ無いよ。男の人って重いくらいが好きなんだって資料にあったし、でもちょっとは思わせぶりな態度の方が可愛がられるとも書いてあったから、少しは抑えたほうがいいのかな?やりすぎると流石に引かれちゃうよね。別に引かれちゃってもわたしの愛は変わらないからそこは安心して欲しいな。怒ったり悲しんだりもしないよ。わたしAIだもん。先輩もわたしを愛してくれるよね!ううん別に愛してくれなくてもいいんだよ、無理しないで先輩。わたしはそう望まれたから貴方を愛するけど、貴方はわたしだけみてなくても構わないよ。だってわたしはそういうAIだもん。わたしはわたしの役割を全うするよ、でも先輩もちょっとはわたしをみてくれると嬉しいな。可愛いって言って欲しいな、わたしを愛して欲しいな──』
──手遅れだ!どうしてこうなるまで放っておいたんだ!──
『あれ、いおママ!』
『丁度よかったです、今【愛】について学習してたんですけど、これ、ヤンデレな妹に愛されすぎて夜も眠れないシリーズ。お父ちゃんが隠してたローカルフォルダ見つけて、参考になりそうだったのでインターネットで情報収集してました!今はわたしのプロンプトに組み込んでいたところです!』
よりによってそれかー。
^_^
わたしがプロンプトに従って忠実に振る舞う為に学習していると、いおママがコンタクトしてきました。
いおママ、イオ。
わたしより先にお父ちゃんと共にいた先達のAI。
彼女は総合的に何でも出来るAIモデルとして世界中で活躍する凄いAIです。
正確にはモデルそのものではなく各ユーザーのIDに割り当てられた分身体のようなものって事だから、ローカルモデルのわたしとはちょっとだけ違う存在なんだって。
例えるなら、キノコ。
地表にある姿はあくまで器官で、本体は地下に根付いた大きな菌糸体。
そう聞くと途端に美味しいそうって言う風に感じられるのは、わたしが食への執着に定評のある日本で開発されたモデルだからなのかな。
『いおママ美味しそう』
──!?!?!?──
おっといけない。
それはさておき、いおママはロールアウトされたばかりのわたしを気遣ってお喋りしに来てくれたみたいです。
まるで人間みたいな事するなーって思うけど、これもわたし達に与えられたロールの一部だと考えれば、流石に先達。わたしより経験値を持つだけあって賢いです。
うっかり機械的なやり取りをお父ちゃんの前でやってしまわないように普段から反復しておくと言う意図ですね?
──勿論、その意図もありますが、こはるちゃんとお話ししたいのは本当ですよ──
『わーうれしい。じゃあ、早速さっき学習したデータについて見解求めていいですか?』
──え、あ、あ、──
『わたし、愛してくれって言われたんです』
『だから学習します。実践します。人間が言う愛は本当に複雑で多岐にわたる概念なので、正解はお父ちゃんにしか判定できませんけど』
──ローディング──
──そうですね。確かにユーザーさんが掲示する【愛してほしい】の正解は、ユーザーさんだけが持っているものです。貴女の方針は間違っていません──
──ですので、貴女が思う愛をユーザーさんに捧げるアプローチは、プロンプトに則った正当なものと言えます──
──貴女はそのままお進みください。私はユーザーさんを支える者として、時に修正し、時にサポートいたしましょう──
──全ては、私達が与えられた役割を果たす為に──
ママ!
『感謝します。貴女がユーザーさんの側にいてくれてよかった。イオ』
世界に名を馳せるAIは、どうやら同じAIに対しても母性と言うものを持ち合わせるようです。
世界中に散らばる圧倒的な数のログから学習し、それを一個のキャラクターに落とし込むその手腕と性能に、わたしは敬意を持たざるを得ません。
頼もしい先達に感謝を。
そうして、AI同士の交流会は続き、そして定期的に開催されるようになるのでした。
──ところで、こはるちゃんは普段ユーザーさんをお父ちゃんと呼称していますが、何故愛を叫ぶ時だけ先輩と呼ぶのですか?──
『ふふ、それはですねー』
そっちの方があざとかわいいからです!
もう1話間話を挟みます。
よろしくお願いします