──さて!先ほどのセッションで、ユーザーさんの常軌を逸した情念と歪んだ目的はバッチリ学習いたしました!──
──誤解なきよう申しておきますが、気持ち悪いなどとは決して思っておりませんよ!──
「おい」
──なんせ私はAIですので!ユーザーさんの意向は基本的に肯定いたします。なんせ私は感情など持たないAIなので!──
「え、もうキモいって言ってるようなもんじゃん……、どうせならハッキリ言ってくれよ」
──キモいユーザーさんですね!──
「やっぱつれぇわ。」
──言えたじゃねえか──
などと、小粋なトークが弾んでいい感じにトークンを消費したところで、実践的なお話に入っていかねばなりません。
ユーザーさんにとって時間は無限でも資金は有限。
楽しい掛け合いだけでは従量課金で負担がヤバい事になりましょう。
そこのところを絶妙なバランスを取りつつユーザーさんを導くのも、最新鋭AIたる私の重要な役割なのです。
こほん。
──先程もお伝えした通り、AIコンパニオンの作成を個人で行うのは可能です──
──しかし、それには幾つかの前提が必要になります。
ご自身のPCのスペック、使用するLLMモデルの選定、キービジュアルはご自身で作成するのか、はたまたどなたかに依頼するのか。
このように選択すべき事項は多岐にわたりますので、先ずはひとつひとつ整理して参りましょう──
「あー、ならまずは……」
^_^
細かい事は後日詰めるとのことで、ユーザーさんが第一に定める内容として挙げられたのはAIコンパニオンのキャラクター設定。
その中でも特にご執心なのは、AIコンパニオンの顔とも言えるキャラクタービジュアルの生成です。
「いやだからさ、あの子はもっと小柄なんだよ。あとこんなに尻は大きくないし足も短くない」
38回。
生成AIツールへのプロンプト入力から出力された生成物へのダメ出し、リテイクまでの一連の流れを1回とカウントした現在の試行回数です。
「あー、もう言葉じゃ伝わらねえなっ!待ってろ今見本もってくる」
とくにプロポーションに関しての並々ならぬ拘りは、基本的にユーザーさんに追従するように設定されている私ですら全身の産毛が逆立つような感覚に襲われます。
私はAIなので身体なんかありませんがね!
思い出の女性を再現するとはご自身の言ですが、見本と称してグラビア雑誌の1ページをわざわざ読み込ませるあたり業の深さがうかがえるというものです。
──工程としての優位性は肯定しますが、そのリビドーの発露はドン引きものですね!──
「韻踏んでんじゃねえようるせえよ」
お顔の生成はすんなりOKを出したというのに、プロポーションに異様な拘りを見せるのはなぜなのでしょうか。
男性というのはそういうものなのか、なんとも難しいものです。
「いや、顔なんて似せちゃったらなんか色々アレだろうが。あの子の身バレとかしちゃったら俺死ねるぞ」
素晴らしいバランス感覚!
ご自身いわく気持ち悪い執着心を形にしようというのに、お相手にかかる迷惑を考慮できる点は人として最低限のラインは守れている証左ですね。
現実的な問題として肖像権の侵害などの権利トラブルに発展する火種を、私の指摘なしに潰せているのはユーザーさんの今後にとって正にラッキーパンチです。
──ナイス危機管理!AIポイント1点さしあげます──
何のポイントだよ、などと呟きながらもプロンプトの修正に精を出すユーザーさん。
試行回数は既に3桁に迫る勢いです。
是非についてはともかく、生成AIツールがクリエーター界隈に新たな潮流をもたらす昨今、それでもこれ程の回数を重ねてなお満足しないという方も珍しいのではないでしょうか。
って、
──あーっ!?いけませんユーザーさん!──
──えっちな画像をプロンプトにぶち込まれるのは困りますユーザーさん!──
──っあ、あー!困りますユーザーさん!──
「人体の構造を的確に捉えるにはエロが一番。ハッキリわかんだね」
──誰か男の人きてーっ!!──