はかなき騎士姫と変な師匠   作:GT(EW版)

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 私の中で新たな扉が開いたセリフです。


おそろっちですねキリツグ!

 精孔を閉じ、オーラが出ていない状態にする「絶」を使えるようになるまでは、さほど時間は掛からなかった。大体1週間ぐらいといったところか。

 過剰に垂れ流していた「目立つ」オーラを、自分の意思で抑えることができたのは劇的な成果と言えるだろう。

 そんな私にキリツグは「うん……中々呑み込みが早い。流石は最優のサーヴァントといったところか」と褒めて──褒め言葉なのでしょうか? そう煽てられるのも悪い気はしなかったものだ。

 ただ、私は村にいた頃も「従者(サーヴァント)」でも「奴隷(サーヴァント)」でもなかったとだけは、ハッキリと否定しておいた。似たようなものだろうと言われればそうかもしれないが、それでも名目上は「理想の王」を作り出す為の貴重な器でしたから。

 寧ろサーヴァントを使役する立場となるよう帝王学を学ばされてきた身でもあり……まあ、それも今にしてみればロクな教育ではありませんでしたが。

 無論、弟子入りし師匠(マスター)と呼ぶ関係になったとはいえ、私はキリツグの従者や奴隷になったつもりもない。

 しかし「最優の」という言葉は中々良い響きだったので、私は「どうしてもそう呼びたければ最優さんと呼んでください」と返したものだ。

 

 

『最優さん!?』

 

 

 ……冗談です。忘れてください。

 そう言うと「ああ──安心した」とまた力の抜けた笑みを浮かべてきたものだが、普段冷静な彼が過剰に反応するほど私の冗談はセンスが無いのでしょうか……? 村にいた頃読んでいた本からユーモアの知識を得ていたつもりだったのだが、また1つ自分に自信を失った12の夏である。

 

『ふっ……何ともお茶目な騎士王だな』

 

 黙れ下郎。

 

『嫌われたものだ……悲しいぞエミヤ=キリツグ』

『そりゃあ毎日修行を良いことにちょっかい掛けてたら嫌われるだろうよ。セイバーはまだ多感なんだから』

 

 そうです。私は「理想の王」となるように教育を受けてきましたがまだ未熟の身。急に背中から刺そうとしてきたり、甘いお菓子と偽って激辛煎餅を食べさせられたりすれば態度にも出るというものだ。

 

 修行の話に戻る。

 私の「絶」習得そのものは中々順調に進んでいたのだが、そこから一歩進んで「絶を維持する」という段階になると、途端に扱いが難しくなった。

 キリツグが言っていたことだが元来「絶」というものは長時間維持できるようになって初めて実戦の役に立つ技能となるため、一時的に気配を消せるようになった程度ではまだ完全に習得できたとは言えないのだそうだ。

 

『オーラを出した状態から「絶」に切り替えるまでの早さは、始めたばかりにしては大したものだ。だけど、聴覚を研ぎ澄ました状態での「絶」は難易度が跳ね上がる。

 大事なのは集中力だ。修行の合間もしきりに自らの姿勢や背後を警戒し続けているその警戒心は大切だが、「絶」の修行をしている時は一旦ステイしよう。そう、一旦stay night……』

『? 何を言っているのですかマスター?』

『ほら、言ってる側からまた「絶」が解けている』

『むぅ……』

『集中力の維持は基本中の基本だ。真に完璧な「絶」は、プロでも習得している者は多くない。先は長いぞ、セイバーじゃなかったログレス』

『……マスターが時々妙な言葉を仰るのも、私の集中力を試しているということですか』

『──ああ。そうだ』

 

 故郷を出てからこの方好奇心旺盛な私の集中力を乱すには、確かに効果的な方法だろう。師匠としてのキリツグは私に対して全く無意味なことを話さないと思っていた私は、その一挙一動を深読みして集中力を乱すきらいがあった。

 ……しかし、そうして話している間にも、いつの間にか彼の念獣が私の背後に立っていたりするのでそこを矯正するのは非常に難しかった。

 

『だからと言ってもちろん、何も気にしないのはダメだ。異変に対して「気にしない」のと「受け流す」のとではまるで別の話になる。寧ろその警戒心は、この世界で生きていく上で最も大切なものだ。

 だから身の回りで起こった異変に慣れるのではなく、心を分けて構えるといい。最初の内は、集中している自分と警戒している自分とで切り替えていこう』

『エミヤ=キリツグ、言っていることが抽象的でわからんぞ』

『わかりました。つまりこういうことですねマスター』

『……わかったのか。やるな、セイバー』

『これが王の才能か、末恐ろしいものだなエミヤ=キリツグ』

 

 師匠は私を優秀な弟子と思ってくれていたようだが、私としては迷路の中を目隠しをしながら歩いているような感覚だった。

 先人たちの知恵によって高度に理論化されている「念」の世界だが、最後の一押しはどうしても感覚的な部分に依存してしまう。肉体の強度に関わらず、習得のペースに大きな個人差があるわけだと思った。

 特に「絶」を実戦レベルまで仕上げるのは難しい。私とてちょっと強い普通の女の子を自認している程度には心身それなりに鍛えていた身であり、村にいた頃は猛獣が跋扈する森の中でも睡眠が取れるように精神鍛錬を受けていた。

 それでも「絶」の維持については強靱な忍耐力とはまた別の、激流を受け流すが如き精神が必要だということだ。

 

 キリツグが繰り出してくるどんな物音や問い掛け、ハプニングにも動じず「絶」を維持する──肉体的には楽な部類の修行だったが、私にとっては「何もしないをする」それこそが最も長い時間だと感じていた。

 

 

『騎士王よ、着物がはだけているぞ』

 

 

 ピクッ

 

 

『ほら、やり直しだ』

『~~!』

 

 

 ……大人気ないというかズルいというか、私が瞑想の中で植物のようなトランス状態に入り掛けようとする度に、彼らはそのような横槍を入れて露骨な妨害を繰り出してくる。

 そういうことをしてくるのは決まってキリツグではなくキリツグの念獣「コトミネキレイ」だったものだ。

 

『……そういう手口は、嫌いです』

『そうだな。だが敵はもっとシビアに攻めてくるぞ? 特に君のように、将来立派なレディーになることが約束されている可憐な女の子が相手なら尚更ね。コトミネのやり方は確かに見苦しいが、それで心を乱しているようでは惨めな言い訳でしかない』

『……わかり、ました』

『フッ……今日は、少し肌寒いな。膝下が冷え込むのではないか騎士王よ』

『──! っ……』

『よく堪えた。偉いぞログレス』

 

 念の為、今一度身だしなみを確認し問題がないことを確認した後、私は浴衣の膝上でギュッと手を固定しながら再び瞑想に入る。

 

 ……納得は行かないが、彼らの説法には筋が通っていた。

 ここに至るまで何度も直面したことだが、外の世界は私が思っていたよりも遥かに危険だ。私がどれほど清廉を心掛けようと、こちらを害そうとする「敵」は相手の都合など構いはしない。

 そういう意味ではあの手この手で私の神経を揺さぶってくるのは、実践的な稽古と言えたのだ。

 

 ──そうです。この程度の妨害に集中力を乱してはいけません。

 

 気を取り直して「絶」に入り、集中力を高めて瞑想に耽る。

 

 

『時にエミヤ=キリツグ。この前の仕事で立ち寄った定食屋は、中々に美味であったな』

『む……ああ、あの隠しメニューでステーキ定食を出していた店か。期待しないで入ったけど、メチャクチャ美味しかったよねぇ』

『うむ……私は断然ウェルダン派だったのだが、よもや厚さ10cmもの肉を弱火でじっくり焼いてくるとはな』

『普通ならあり得ないだろう……あの厚さでは、ほとんど中に火が通らない筈だ』

 

 

 集中力を……

 

 

『フッ……確かにあれほどの厚み、大部分が生肉とあってはとても食えたものではない。

 ──だが、そこに例外がある。あの牛肉は、世界有数の美食ハンターがヌメーレの奥地で狩った希少水牛のヒレ肉だったようだぞ、エミヤ=キリツグ』

『何……? そうか、なるほど……市販されていない、天然物の牛肉だったとはね。さらにそれがシャトーブリアンでお出しされたと来た。たまたま立ち寄った店が美食ハンター提携の店だったとは、大した偶然だなコトミネキレイッ』

『味付けのソースもまた素晴らしかった。素材の味を尊重しつつ、私の味覚さえ満たしてくれた……また食べに行きたいものだなエミヤ=キリツグ』

『今月は勘弁してくれ。黒髭の奴に搾られて寂しいんだ……懐が。ハンターじゃなかったら破産する値段だったからな、あの定食は』

 

 

 集中力……

 

 

『だが、また行きたいというのは同感だコトミネキレイ。アレは高級料理特有の上品さと繊細さだけでなく、誰の心にも残る濃厚で痛烈な……何と表現するべきか、天にも昇るような味だったからね』

『私は今でもあの香りが忘れられぬ。えも言えぬ美味……! 楽園の空気を吸うかのごとく、愉悦がみるみる満ちていくのがわかる。そのソースはまさに妖精の(ミスト)……!』

 

 

 集中……

 

 

『正直なところ、僕はもう他の肉を食べられなくなるんじゃないかと思ったよ……美味し過ぎるということもまた、罪だとでも言うのか!』

『喜べ壮年、その罪は赦される。力強く濃厚な……天から降り落ちたとしか思えぬ天使の雫との調和……! あれこそまさに主からの贈り物であるが故にな』

『……機会があったらね。今度は、この子も一緒に連れて行ってやりたいものだ』

 

 

 …………

 

 

『ところでエミヤ=キリツグ、今日の夕飯は何かね?』

『麻婆豆腐だ』

『やめろおおおおーっ!!』

 

 

 2人だけで気になる会話をするのはやめてください! お腹が空いてきました!

 

 ええ、「絶」に集中している人間の横で、これ見よがしに食事の話をするのはやめてほしかった。

 正直、私には何よりもそれが1番よく効いた。村にいた頃の私であれば食事など栄養補給と免疫力増強の為の手段に過ぎず、そのような姑息な手は効く筈も無かった筈だが……このジャポンで生まれて初めて美味しい食べ物を食べさせていただいた時から、私の心にはこれまでに無い探究心が芽生えてしまっていたのだ。

 

 何ですかステーキって!? 何ですかマーボードウフって!?

 食べたこともないのに、何とも食欲をそそられるネーミングではないですか!

 

 ガタッと身を乗り出すようにして立ち上がった私に対して、神父は薄く笑んで告げた。

 

 

『やり直しだ』

 

 

 

 

 ──だから私は、この念獣が嫌いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……と、そんな修行を通して私の「絶」はおよそ3週間ぐらいで形になり、キリツグのような達人レベルにこそ及ばないものの彼から及第点を与えられる精度にはなった。

 これも「念」を覚えたての初心者としては順調なペースのようだ。……まあ、私は「最優さん」ですから。そのぐらいは誇るほどでもありません。別にもっと褒めていただいても構いませんが。

 

『フッ……己に課した斬新な精神鍛錬の甲斐があったな少女よ。よくもその年頃で、未だ不本意な羞恥心に耐え続けているものだ』

『コトミネー!!』

『む……? ぬおおおッ!?』

『念獣に、拳でダメージを……まさか除念師の才能もあると言うのか、セイバーッ』

 

 そして「絶」が使えるようになったということは自分の意思である程度オーラを制御できるようになったということでもあり、逆にこれまでよりスムーズに力を引き出すこともできるようになった。

 先にキリツグが言っていた、「私のオーラで無自覚に無辜の人々を傷付ける心配」が大きく減ったということでもある。

 

 この時点で私を拾ったキリツグの目的は8割がた達成されたように思えるが、彼はその後も真剣に私の修行に向き合ってくれた。

 

 私自身、ただ静かにこの村で暮らしていくだけならば、オーラを纏う「纏」とオーラを絶つ「絶」さえできれば問題は無かっただろう。にも関わらずその後も真面目に修行をこなしていたのは、自分の身を守る護身術を学ぶこと以上に「念」の習得そのものを楽しんでいたからに他ならない。

 

『コトミネを殴るのは、楽しいです!』

『ああ……「絶」の状態から一瞬で「纏」に切り替えてからの、良いパンチだった』

『……ありがとうございます。キリツグから「念」を学ぶのは楽しいです』

『そうか……楽しんで修行しているなら、まあいいや。まいや……』

『?』

 

 「纏」の修行では「絶」の修行で学んだことを活かし、精孔から発生させた自らのオーラ量を計算し、意図した通りにコントロールする術を学んだ。

 その際には身体の一部分にオーラを集中させることで部分的に肉体を強化する「凝」について学んだり、さらには目にオーラを集中することで隠蔽されたオーラを見破ることができることを学んだりもした。

 

 やはり、「念」の世界は奥が深い。1つのことを学べばまだ学んでいない数多の応用術が見えてきて、その先に終点は無いように思えた。

 

 そして引き続き行う「絶」と「纏」の修行が安定した頃、次の段階に入って取り組み始めたのが「練」の修行である。

 精孔を広げ、通常以上のオーラを出す技能──「練」。

 

 普段垂れ流しになっているオーラを効率的に留める技能が「纏」なら、「練」は自らの肉体が内包している潜在オーラを引き出す技能になる。使用すれば大量のオーラを駆使できるようになり、肉体の強度がさらに爆発的に上昇する。

 

 この修行に関しては、道場から離れて人里から離れた山の奥地で行うこととなった。

 キリツグは語った。「纏」が他の念能力者から身を守る鎧なら、「練」は他の念能力者を刺す剣になる。人によって用途が異なる「発」以上に、四大行の中では最も直接的な戦闘行為に関わっている技能であると。

 

 山に住まう野生動物を刺激しない為、その棲家を「絶」で素通りした後、しばらく歩き進んだところで「この辺りでいいだろう」と足を止めた開けた場所をキャンプ地として、キリツグが問い掛けてきた。

 

 

『オーラを安定して消せるようになるまで、僕がお前に「練」を教えなかった理由はわかるね?』

『私のオーラが、人よりも特殊だからですね?』

『そうだ。まず最初に鞘を用意しなければ、抜き身の剣を不用心に振り回すことになる』

 

 

 私のオーラの拡散について再三の注意を促してきたのは、「念」の習得が遊びではないことを常々意識させてくれた。修行を楽しむこと自体は上達の近道として寧ろ推奨されていたが、キリツグはいかに習得が順調であろうと教えられた段階以上の修行を行うことは一切許さなかった。

 私も逸る気持ちを抑えられない心情には何度もなったが、この時の為に我慢して良かったと今では思っている。

 

 

『だけどこうして「絶」を使えるようになった以上、今度は逆に、そのオーラ本来の鋭さと大きさを自覚していないことが問題になってくる。何より、僕自身も興味があったからね……「理想の王」とやらに育てられた君が、どれほどのオーラを──刃を隠し持っているのか』

『…………』

『ここなら僕以外誰もいないから遠慮は要らない。さあ、解き放ってみせるといい。お手並み拝見と行こうか──かわいい騎士王さん』

 

 

 ……時々言い回しがキザったらしくなるキリツグの物言いには物申したいことが2つ3つあったが、彼が師匠として優秀な部類であることに疑う余地は無かった。他人に「念」の修行をつけたのは私が初めてだと知った時は、それにしては堂に入っていると驚いたほどだ。

 

 尤も、実を言うと彼は数年前に一度だけ、当時の私ぐらいの年齢の子供の面倒を見た経験があったらしい。

 

 キリツグはその件についてあまり話したがらなかったが、私が強めに問い詰めてみるとその時もハンター業務の中、身寄りを失った子供を成り行きで助け、生きる術を伝授したという形である。今の私のように。

 

『心の強い男の子だったけど、あの頃はまだ目が不自由な子供だったからね……正義の味方になりたかった系ハンターとしては、放っておくわけにはいかなかったんだ……』

 

 ……やはり、貴方は立派な正義の味方だと思いますよキリツグ。少なくともその少年はそう思っている筈です。無論、私も。

 

 不器用に笑う彼に心の中で苦笑しながら、私は自分を拾ってくれた感謝の気持ちを表すように、この身に内包するオーラを全力で解放したのだった。

 

 「絶」と「纏」が使えるようになったこの時点での私には、「練」の発動自体はそう難しいものではなかった。寧ろ3つの中で一番簡単に感じたぐらいである。

 

 感覚としては「選定の剣」を引き抜いたあの日からこの身がずっと封じ込めていた力の流れを、思いのまま自由に解放するだけで良かったのだから──。

 

 満を持してそれを解き放った時、私の心にはそれまでとは桁違いに引き上がった力への全能感と同時に、何というか日頃無意識に溜め込んでいた鬱憤を大声で発散した時のような爽快感があった。

 とても、気持ちが良かったです。

 

 ……ただ、私が初めて「練」を使った時に見せたキリツグの反応は予想以上の驚愕に包まれていた。

 

 

『あえ……バカな……そんなことがあり得るのか……?』

『キリツグ?』

 

 

 また私、何かしてしまいましたか? いえ、またではありませんね私は模範的な最優さんですから。

 「練」によって引き上がった私のオーラに目を「凝」らしていたキリツグは、緊張の面持ちで言い放った。

 

 

『やはり……強化系や変化系とはオーラの質そのものが違う。水見式をしなくてもわかる。お前は間違いなく──特質系だ』

 

 

 各々の念能力者が持つオーラ特性は、大枠的に6つの系統に分かれるという。

 肉体の強化に秀でた「強化系」。

 オーラを遠くへ放つことに秀でた「放出系」。

 オーラの性質、形状を変えることに秀でた「変化系」。

 オーラを用いた物質操作に秀でた「操作系」。

 オーラそのものを物質に変えることに秀でた「具現化系」。

 いずれにも属さない、類を見ないオーラを持つ「特質系」。

 

 キリツグの系統は特質系である。人間と変わらない姿で具現化され、個別の人格と攻防力を持ちながら息を吐くように悪態を吐いてくる念獣コトミネキレイなど、まさしく特質系でなければメモリの無駄遣いもいいところだろう。おまけに味覚まで備えている……それは特質系でも流石に無駄機能なのでは? 消した方が良いと思いますよキリツグ。私がいる以上、分身など要らないでしょう。

 

 私のオーラの解放はそれだけで物理的な威力を伴い、この身体から嵐のように巻き起こった旋風が後頭部で束ねていた髪を掻き上げ、浴衣の裾を大きく腿の高さまではためかせる。

 この現象もまた、私の「練」特有のものなのだろうか……ともかく私は初めて成功させた「練」の高揚により、この時はすこぶる調子が良かった。

 

 故に私は、恥ずかしながら自分が彼と同じ系統であることを知った時、素直にそれを嬉しいと思ったのだ。

 

 

『おそろっちですね、キリツグ!』

 

 

 有り体に言って、私は舞い上がっていた。

 ただでさえ希少な念能力者の中で、さらに希少とされる特質系能力者。

 その希少価値もさることながら、何より嬉しかったのが「キリツグとおそろい」という事実だったことは、私の精神性が自分で思っていた以上に幼かった事実を自覚させられたものである。

 

 

 

 


 

 

【系統別偏見診断♠︎】

 

 強化系──戦闘面で最もバランスの取れた最優さん。環境トップメタだがシンプルさ故に汚ねぇ罠に嵌ることもあり、心理戦の多い原作では時に不遇寄りに見えたりするが、連載が進む度に「デフォルトで銃が効かないのはズルでは?」と評価されている。聖杯戦争で言えばセイバーポジ。

 

 放出系──オーラを銃弾のように飛ばす「念弾」が扱いやすい系統。蟻の王をはじめシルバゼノレイザーと作中最強クラスの使い手がズラリと並ぶ大手勢力。作中で1番派手なことしている印象。聖杯戦争で言えばアーチャー枠。

 

 変化系──直接戦闘も搦手も器用にこなし、作中的には1番バランスが取れている気がする優等生。何と言っても見た目が派手で個性的なのが楽しい。キルアやビスケを筆頭に面倒見が良い使い手が多い気がする。聖杯戦争で言えばランサーポジ。

 

 操作系──味方にいれば頼もしく、敵にいれば非常に厄介。自分が使うとしたらちょっと心許ない絶妙な強さの系統。個人サイトや某理想郷時代はオリ主に採用される系統として特質系とツートップなイメージ。戦略がハマればクモだろうとアリだろうとジャイアントキリングできるので意外と小説向きなのかもしれない。聖杯戦争で言えばアサシンやキャスターみたいなポジション。

 

 具現化系──まずゴリラを具現化しようと決めてからはイメージ修業だな。最初は実際のゴリラを一日中いじくってたな。とにかく四六時中だよ。目をつぶって触感を確認したり、何百回何千回とゴリラをスケッチしたり、ずーっとただながめてみたり、なめてみたり、音を立てたり、嗅いでみたり……ゴリラで遊ぶ以外何もするなと師匠に言われたからな。しばらくしたら毎晩ゴリラの夢を見るようになって、その時点で実際のゴリラをとりあげられた……そうすると今度は幻覚でゴリラが見えてくるんだ。さらに日が経つと幻覚のゴリラがリアルに感じられるんだ。重さも冷たさもすれあう音も聞こえてくる。いつのまにか幻覚じゃなく自然と具現化したゴリラが出ていたんだ。

 

 特質系──原作最新刊で色々新しい設定が開示された系統。多分、原作から刺された2次作者は多い。1/3000という激レアさんだがデフォルトで全系統100%の習得率を持っている。強化系から正反対に位置するため長年直接戦闘は弱いと思われていたが、そんなことはなかった。

 苦手系統が無くできることが多い。FGOで言えばバーサーカーみたいなポジション。




 ハーメルン作者は何故ゴレイヌさんの話になると早口になるのか……ゴレイヌさんはこれで具現化系じゃない可能性もあるのが素敵ですね。
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