がっつり性描写書いてもアレなんで性行為ありました的に留めています。
全年齢版にもしたいですし。
・・・また、バイトをクビになった。
過去の服役のせいで。
あぁやったよ!クスリやったよ!それで?
だから服役したんじゃないか!罪を償ったんじゃないか!
どうして・・・。どうしてそれで帳消しにならないの・・・?
いやだ・・・。もう嫌だ。また脳みそがグニャグニャする。
手元のクスリを見る。
咳止め薬。これ量が多くいるんだよな。まだ溜まってない。
キノコ。料理アニメで知って早速山で採ってきた。・・・効かないじゃないか嘘つきめ!
とっておきの注射器。本当にとっておき。中々手に入らないから。
注射器の中の液体は美しく、注射器の中を泳いでいる。
美しい。こんな風に生きたかったな、自分も。
だからさ、その力を分けてよ。
ちゅーしゃー
「ヤク。」
「ひっ!」
玄関の方を向いた。大家さんだった。
「いや、これ、クスリじゃないッスよ?風邪薬ッスよ!医者に処方されて・・・。」
「医者は注射器をポンと処方したりしない。」
「そう・・・。スね・・・。」
「何で自分の所に来たんスか。」
「バイトクビになったんだろ。」
「・・・はい。」
「ヤニねこが声かけてやれって言っていた。あいつは不器用だからな。それとお前を傷つけるのを怖がっている。」
「先輩が・・・。」
「バイト先も見る目がねぇなぁ。お前はこの周辺じゃ一番気配りが出来るのになぁ。」
「・・・自分気配り出来ないッスよ。先輩の方が気配り上手ッス。」
「卑下するな。」
「事実ッス。自分、底辺ッスから。」
「それも卑下だ。」
「じゃあどうして自分は、こんなクスリ打とうとしてたんスか!底辺だからでしょうが!
何度も止めようと思っていましたよ!でも止めらんないんすよ!
もう嫌だこんなの!
親に反発して、クスリに手を出しました!ラリってる時だけ人生が楽になれた!
そしたら更に人生どん詰まり!
・・・もう・・・嫌だ・・・。
もう生きていたくなんて無い・・・・。」
・・・大家さんが自分を抱きしめてくれた。
レスラーみたいな体格なのに優しく。
「すまない。本当にお前が二度と帰って来なそうで怖かったから。」
「・・・じゃあ抱いてください。」
「自分を卑下」
「卑下じゃないッス・・・。寂しいから抱いて欲しいッス。・・・自分、そんなに女に見えないッスか?」
「俺にとっては娘みたいなものだから。」
「ははは。大家さん、独身じゃないスか。」
「独身でも子供を育てている人間は沢山いる。
「・・・自分は今、女に見られたいッス。」
「いいのか?」
「はい。」
自分と大家さんは身体を重ねた。
自分も大家さんも不器用で、全然気持ち良くなんて無かった。
事が終わり、ベランダで煙草を吸う。本当の煙草だよ?そういう気分だったんだ。
夜が綺麗で星が綺麗で。自分もそれに近づけたら良いなぁって、空に煙の橋を架けた。
「大家さん。」
「ん?」
「自分は高校の時、自分で自分の事を誇れる様になりたいと思っていたッス。そんな風に変われたらな・・・と。
で、ご覧の有様ッス。悪く変わった。何も誇れやしない。」
「・・・誇れる自分になる途中なんだろ?」
「え・・・?」
・・・空に架けた橋は消えていた。
「蝶は、幼虫の頃もさなぎの頃も醜かった。大人になった僅かな時だけだ。輝いているのは。人がいつ自分を誇れる様になるのかは分からない。俺だって未だにその途中だ。
でも、いつかさなぎから抜け出す時が来る。美しい蝶になって。
・・・それでも、蝶は自分を誇っているのか分からない。
そう。他人からは、その人が誇り高いかは分からないんだよ。
・・・だったら自分だけで誇れば良いじゃないか。根拠が無くても。」
「・・・根拠は欲しいッス。」
「じゃあ自信が無くなったら、俺に聞け。お前が誇れる事を、俺は幾らでも言えるから。」
「ははは。さっきから大家さんロマンチストッスね。似合わねー。」
「一応言うけど、俺若い時はイケメンだったんだぜ?」
「マジッスか!」
「じゃあ証拠見せてやるよ、俺の若い時の写真。」
「見たいッス!」
そうして、自分は、煙草を消して、クスリも無視して、大家さんの所に向かった。
その時、あれほど頼っていたクスリや煙草が軽く見えたから。
大家さんの背中が、頼もしく見えたから。
この人の元でなら、自分は誇れる自分になれるかも知れない。
蝶じゃ無くてもいいから。
ただ、前を向いて、未来を見られるだけで良いから。