【完結】明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
「なんか吸い殻多くないか?」
「確かに、そうッスね」
ベランダの物干し竿に洗濯物を干していると、駐車場に増えてきた吸い殻や煙草の灰らしきものに悪戦苦闘する大家の輝くスキンヘッドが見える。
何かあったのか?
「うんまいにゃー」
「あ、先輩。おはようございます」
「おはよう、佐藤」
「おはようにゃー」
スパスパとタバコを吸った佐藤はカップ酒の中に吸い殻を差し込み、地面に捨てた。ベランダから。なにしてんの?とオレは困惑してしまう。
「ちょ、なにやってるんスか!?」
「ゴミ捨てにゃ」
「それ不法投棄ッスよ!?」
「それより飯にゃ。朝御飯は何にゃ?」
「え、今日は秀夫さんが大家さんと釣ってきた鯛のムニエルですけど」
「ムニエル!」
ひょいっと手すりを掴んで、こっちに飛び込んできた佐藤に驚く益子を受け止め、ドタバタと冷蔵庫を開け、勝手にビールを開けるヤニカスを見る。
「益子、尊敬する相手変えないか?」
「あ、あれでも優しいッス。ま、まあ、焼き肉を奢らされた恨みはあるけど。タバコを一箱返してくれましたから!!」
それは、良いことなのか?と疑問に思いながらも益子が笑顔なら問題ないかとオレも笑う。
「早くするにゃー」
「お前は何様なんだ、佐藤」
「ニャーはニャーにゃ」
「そうか。よく分からんヤツだな」
「彼ピは失礼にゃ」
「彼ピゆうなて」
そう言いながらテーブルを用意し、益子と一緒に料理を運んでいると、すでに三缶目に突入しているヤニカスに視線を向ける。
「なあ、ビールって美味しいのか?」
「「美味しい」」
益子も答えるのか。
「じゃあ、オレの酒デビューはビールだな」
「その時はオススメを買ってくるッス!」
「おう。ありがとうなあ、益子」
益子がくれるなら泥水でも喜ぶぜ。
「……イチャイチャするより、飯くれにゃあ」
「んんんッ……す、すんません」
「謝らなくていいぞ。益子」
まずは働けよ、佐藤。
そんなことを考えながら、オレは三人分に切り分けられ、作られた鯛のムニエルと白米の入ったお椀やお皿をテーブルに並べていく。
「うまそうにゃ」
「益子の飯は美味いんだよ」
「て、照れるッスよ」
照れ顔も可愛いね。益子。(事実確認)
やっぱり、オレの嫁さんが一番かわいいぜ。
「あ、ビールこぼしたにゃ」
「それ、オレのパンツだからな!?」
なにタオルみたいにしてんだよ。そう言いながらパンツを取り返し、ビール臭くなったパンツを持って、洗面台に向かい、瑞を溜めて洗剤を少し加える。
あとで手揉み洗いだな。
「にゃ?」
「それは、オレのムニエルだ!」
今回のお話で『明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが?』は最終回です。
読んでくれて、ありがとうございました。
全23話、楽しく書けました。