元エ◻︎ガキは貞操逆転世界でも謝りたい 作:筆激遅ポンコツ人間
ヘイト高いの含めてもつガキが好きなんだ。
「フーッ!フッー!フーッ!」
息を荒げ、ただひたすらに腰を振る。
理由はわからないけど僕は綺麗な人を見つけたら何故か腰を振ってしまうのだ。
それ故に僕はいろんな人に腰を振った。
「こ、子供?どうしたの……?」
優しそうなお姉さんに。
「……腰……。何故……振る……?」
無口そうなお姉さんに。
「お、おばさん夫がいるんだけど……。しょうがないなぁ……♡」
若くて綺麗な奥さんに。
「キャーッ!ちょっと何してんのよ!このクソガキ!」
そんな事を繰り返していた時だった。
だいたい中学生に上がる直前くらいの時期になってから、僕は頻繁に怒られるようになった。
そんなことでへこたれるような僕じゃないので勿論、腰を振り続けた。
腰を振って怒られて。
腰を振って怒られて。
腰を振って怒られて。
腰を振って怒られた。
次やったら牢屋行きだとすら言われてしまった。
牢屋の中でエッチなことを禁じられた僕の姿を想像して、震えながらも我慢することを誓った。
それから僕は腰を打ち付けたいと思う度に歯を食いしばって我慢した。
我慢して。
我慢して。
我慢して。
我慢して。
爆発した。
僕の目に映るその人はまるで作り物のように整った顔に豊満な胸、そして歩くたびに目で追ってしまう程の大きさの臀部を持っていた。
「フーッ!フーッ!僕の!アレ僕のッ!」
僕は息を荒げて顔をぐちゃぐちゃにしながらも声を出した。
たまらず僕は腰を打ち付けたいがために交差点を走った。
目の前の信号が赤だと気づくことすらなく。
***
はい!すいませんでした!本当の本当にすいませんでした!
いや!なんなんだよ前世の僕は!「アレ僕のッ!」てなんだよ!人を物みたいに扱うなよ!人を人とも思わぬ所業じゃんか!外道がすぎるだろ!バーカ!!
しかも何だあの死に方は!迷惑すぎる!性欲が爆発して赤信号で飛び出して!そんな理由で弁償もせずに死に逃げとか極悪すぎる!運転手さん本当にすいませんでした!!
ふぅ……ふぅ……。少し、少し落ち着こう。
お恥ずかしながら、前世では外道だった僕が何故こうも謝罪の気持ちが湧き上がって他人を尊重できるようになったのか。
それは転生したからだ、と僕は考える。
性別こそ前世と変わらないものの、肉体が違えば脳が違い、勿論だが他の器官も前世と変わっている。
簡単に言ってしまえば転生したことによって性欲が少し減少して頭が冴えるようになった。
それだけだ。
それだけだが、それが僕には大切なんだ。何せそれだけで、こんなにも人間性を獲得することができたんだから。
もし今、あの頃の自分に戻りたい?と聞かれたら僕は死んでも嫌だと答えるだろう。
そりゃあ頭に性欲しか詰まっていなかった前世と違い、今世だと悩み事が沢山できた。
でもそれが今は生きている感じがしていて、僕はとても楽しいんだ。
決して軽い悩み事ではないので”楽しむ”というのは些か不謹慎ではあるんだけど。
で、その肝心である僕の悩み事の内容なのだが”謝りたい相手が多すぎる”というのが内容だ。
因みに今一番謝りたい相手は親だ。
前世での親は性欲モンスターであった僕の面倒を見てくれたにも関わらず、僕は親孝行もせずに中学生という若さで命の終わりを迎えてしまった。
そして今世での親は、僕という知らない子供をすくすくと育てなければならないのだ。
生存競争に勝つために托卵という行動を取る鳥類がいたし今の僕はそれと同じようなことをしているわけだ。ただし向こう側は種の存続のための話であって、前世で罪を重ねに重ねまくった僕が他人の幸福をぶち壊してまで未練がましく生にしがみついて良い理由にはならないと思う。
だからと言って本来生まれるべき子に身体を開け渡す方法もわからないし、自殺するというのも贖罪になり得ないと思う。
つまり今の僕はなにもできないわけだ。そのため今すぐにでも心から誠意を込めて謝罪がしたい。
しかし、それをやりたくない自分がいる。
「どうせ信じてもらえない」だの「謝罪したところで本物の息子は帰って来ない」だのと建前を並べて、本当は今まで愛してくれた相手に気味悪がられて捨てられるのが僕は嫌なだけなのに。
でもいつまでも甘えているわけにはいかない。
そうだ、まずはイメージトレーニングから始めてみよう。
前世で関わりのある大人……。確か前世で僕に腰を打ち付けられた子持ちの人妻がいたはず。
そう、確か満更でもなさそうに僕の腰へこへこを受け……入れた……。
うん、この人でのイメージトレーニングはやめよう。それに関わりの浅い人たちでイメージトレーニングというのが土台無理な話だった。
関わりの深い大人なんてのは前世での親しかいないのだが、一生懸命に育ててくれた実の親に「僕はあなた達の息子じゃないんです」なんて想像するのは失礼ではないか?
……イメージトレーニング作戦は早速失敗に終わってしまったかもしれない。
まぁ仮に僕が転生者だということを永遠と親に打ち明けられなかったとしてもだ。せめて今世では親孝行を全力でしよう。
うん、そうしよう。
「こー君、ご飯の時間ですよ〜」
僕が情けなく問題を後回しにしていると母親が僕を呼んだ。
今世での母は若い。なんと19歳で僕を産んだそうだ。
そんな母に少し前までは申し訳なく思いながらも感謝して母乳を頂かせてもらったものだ。
だが僕も、もう1歳になる。離乳食で済ます事ができる年齢なのだ。
「こー君、お母さんまだお乳出るんだけど、ホントに離乳食で良いの?ホントにおっぱい、いらない?」
「ん!!!」
僕は舌っ足らずな幼い声で話すのが恥ずかしいので、短くも大きな声で必要ないと意思表示をする。
母乳を沢山飲む子供は母親が大好きな子に育つと言う噂を真に受けて、いっぱい飲んでもらいたい母の気持ちは理解するけど流石にね?前世での僕ならば、むしろ自分から吸いにいったのだろうけど。
流石に今の僕は吸おうと思えない。罪悪感で本当に死ぬから。
少しだけ悩ましそうにしながらも母は僕が頑張ってスプーンを掴むのを微笑ましそうに見ていた。
この笑顔は好きなんだけどなぁ……。
「この子が将来大きくなったら……うふっ♡」
ほら出たよ。僕が思うのも非常に申し訳ないのだが母はときどき生理的嫌悪を抱かせる笑みを僕に向けるのだ。
前世の僕はこれとは比べ物にならないほどに気持ち悪い表情をしていたのかもと思うと軽く鬱になってしまいそうだ。
はたして僕が大きくなったら母はいったいどうするつもりなんだろうか。と考えながら離乳食を口に運んだ。
***
僕は4歳になり、活発に動けるようになった。
母は僕が「アレ欲しいな」と言葉を漏らすと基本的にいつの間にかに、それを買って来る性質があるようなので気軽に欲しがったり我儘を言わないようにした。
しかし4歳にまでなって一度も外に出たことがない事実に危機感を覚え、そんなこんなで僕は珍しく我儘を言ってみようと思って一緒にお出掛けがしたいと母にお願いした。
「うぐっ……。外は危ないから、ごめんね?」
申し訳なさそうに断られてしまった。不思議に思いながらも訳を母に聞いてみた。
曰く男は希少なんだと。
曰く女はケダモノなんだと。
曰く僕のような男の子が外に出るとすぐさま女に囲われて攫われてしまうんだと。
曰く僕は母親と結婚しなくてはならないんなだと。
……うん、なんで?
僕は母親のスマホを借りて事実なのかを調べ、僕が母親と結婚しなくてはならないこと以外は偽りのない事実だということがわかった。このことから考えるに前世の僕であったら死ぬほど歓喜するであろう貞操逆転世界というやつに来てしまったらしい。
いや言うほど逆転でもないか。別に前世での世界は幼い女の子に向かって血眼で囲い込むほど男達の性欲はとち狂ったなかったしね。……前世の僕は大人の女性に向かって血眼で襲いかかっていたけど。
んで、そのため逆転と言うには些かおかしいかと思ったりもしたわけだが。
まぁ兎にも角にも僕は貞操逆転した上に女性の性欲を盛りに盛った世界に来てしまったみたいだ。
因みにそれを知ってしまってから僕は母親からの視線がより怖くなった。
近親!ダメ絶対!