宇宙忍者は忍ばない 作:マスタリー26のニンジャ
船長はノーマル版取るよりプライムを取りに行った方が早いまである
赤評価でビビり散らした。不定期だけどよろしくです
へーリオス研究所が壊滅する、幾らか前の平和な時。
研究所の中に一つの噂話が研究員とそこに所属する子どもたちの間に広がっていた。
──夜に揺らめく、巨大な影が泳いでいる
──ホロウの裂け目から、ソレは現れる
──裂け目の向こうには巨大な船が漂っていた
この時のへーリオス研究所では突発で発生するホロウとその制御、対エーテリアス用の装備の研究などが重なり、寝る間も惜しみ、全ての機材が稼働するほどの激務だった。
故に、子どもたちに向けられる「目」は平時より圧倒的に少なくなる。
そして、子どもたちはそれを見逃さない。
その日、アキラとリンはルール破りの夜遊びに出掛けていたのだ。
▽▽▽
裂け目は突然現れた。本当に、少し街を探検しよう!といって出てきた好奇心旺盛なリンを放って置けないアキラは、致し方なしと考えて一緒についてきていた。
普段なら見向きもしない細いビルの間。その道にリンが楽しげに進んだその時、裂け目は貪欲な猛獣の如く口を開いた。
突然の裂け目、それもほぼ初めての自然発生を見たリンはパニックになる。無情にも裂け目は獲物を逃さんと吸い込み、ろくに動けないリンは引き摺り込まれていく。
「リン!!!」
アキラは手持ちのスマホから緊急用のSOSコールを叩き込み、裂け目へと飲まれゆく妹の手を掴み、そして、2人とも裂け目へと喰われた。
その影を、揺らめく亡霊の魂が跡をつけるように追っていった。
▽▽▽
暗く、冷たい。空気も、雰囲気も、何もかもが止まったかのように。
ホロウへと落ちた兄妹は幸いにも裂け目から落ちてすぐに気がついた。廃墟の影、暗雲立ち込める隔離された崩壊世界の一部に体一つで放り出された。
何より、問題なのは2人はホロウに対する耐性が低いことだった。
「…リン、大丈夫?」
「…んぅ…ちょっと、くるしい」
アキラはまだなんとかなる。だが、リンは幼さも相まって既に症状が出始めている。
どこへ逃げる?出口は?そして今は何処にいる?
教えられた知識を手当たり次第に思い出して、何をすべきか考える。だが、それ以上に妹がだんだんと弱っていく事が焦りへとつながり、まとも思考が出来ずにアキラもパニックへと陥りそうになっていく。
遠くからエーテリアスと思われる雄叫びと、縄張り争いらしき戦闘音までし始める。距離はあるが、それでもいずれ巻き込まれてもおかしくない。
「(どうする…どうすれば…!)」
ハッハッ…と過呼吸の症状が無意識に現れる。無力な幼子の前に、ホロウとエーテリアスは嘲笑うようにその幼子を侵食していく。
逃げる、でも何処へ?安全なのは、何処で、出口は、解らない。
それでも、アキラは弱ったリンを抱きしめて廃墟の影から顔を出す。
その瞬間、上から影が音もなく差し込んで2人を覆う。アキラはハッとして上を見上げた。
──ソレは怪魚のような姿に、鋭い爪を持っている。海を漂う深海魚のように、だがその爪が捕食者である事も示していて。
ソレが、下にいた2人に目をつけた。
「っっっ!!」
『グゥゥゥ…うぅぅ…』
ソレは2人の姿を確実に捉えると、その頭上で旋回を始める。何を確かめるために?それとも、狩の楽しみのために?
アキラの頭には、どうやってここを抜け出すかを考えては、どれも無理だと決断を出していた。
いつ襲ってくる?いつ食われる?リンだけでも、逃がす方法は?
必死に考え、選択肢が全てNOを出しても諦めない。
だが、予想に反して、空を舞う怪魚は何もしてこない。それどころか、少し飛ぶ高さを低くし始めた。
少し先に、まるで誘導するように空を泳ぐ怪魚。
信じるか、罠か。
どちらにせよ、リンも、アキラ自身もホロウの中には長くは居れない。ならば、一縷の望みに賭けるしかない。
アキラはリンを抱きしめて、怪魚の跡を追い始めた。
▽▽▽
実験体として【雇われた】オペレーターは一人、特にやることもないが故に暇を持て余していた。学べる事は学んだが、座学だけ詰め込んでも意味はない。
いっそ許可でも貰って外を散歩しようか、そんな事を考え始めていた時。ゆらりと自身の影から滲み出るように、一体のフレームが表に出てきた。
全身が白く、割れた体の一部は紫色の光が滲み、死神を彷彿させるシルエット。その頭部は船頭が被る船帽子を模った形をしており、肩にかけた布のような装飾は何処となく獣の爪を連想させるように先が千切れた形をしている。
Warframe、セヴァゴス。voidの海を漂う船、レールジャックの船長にして古の戦士。迷える魂をvoidより拾い上げ、正しき場所へと導く船守。
セヴァゴスは何かを伝える為に、オペレーターの影より出てきたらしく、ぼんやりと感情がオペレーターへと流れてくる。
『子供』『落ちた』『裂け目』
「…なに?」
『影』『出口』『危ない』『剣』『欲しい』
「剣…エクスカリバーか。だけど今、【俺】の方には3体ともいないぞ?」
『戦士』『漂流者』『呼べ』
途切れ途切れのニュアンスの言葉を解読していけば、セヴァゴス曰く「子供がホロウに落ちた。自分の影が出口に案内しているが敵がいて危ないため、戦力が欲しい」と言ったところだろう。
だが、セヴァゴスがこうして動いている今、オペレーターはWarframeを呼べない。
『漂流者』、もう一つの未来を歩んだ自身を呼べと言うのは、それを理解しての事なのだろう。
若干、しびれを切らせたセヴァゴスはオペレーターを小脇に抱え、窓を思いっきり開いた。
「ちょっとまてセヴァゴ───」
『剣の影』『見てる』
オペレーターの制止を無視して、セヴァゴスは窓から思いっきり飛び出した。ただし丁寧にパルクールは無しでジャンプとスライディング、後は壁蹴りだけで移動している。それに生身が無事でいられるかは別として、ではあるが。
夜の街に、白い影が翔んでいった。
△△△
「■■■■■ーーーーーーー!!!!」
『□□□□、□□□-----!!』
怪魚と四つ腕のエーテリアスが出口であろう裂け目の前で激しく暴れ、咆哮し、空間が震える。
アキラもすでに体力の限界に達しており、リンは少し前から意識を失っていた。道中の小さなエーテリアスは怪魚のヒレらしき部分、恐らく腕と爪の部位が振るわれるたびに消滅していたが、目の前のデカブツはそこら辺の奴とは一線を画強さらしく、苦戦していた。
怪魚は元々戦闘に特化しているわけではないらしく、四つ腕相手に苦戦しつつも何とか耐えている。だが、出口の前に陣取られてしまえばそんなことは言ってられない。アキラとリンと言う時限爆弾を抱えている以上、早く倒さなければならない。
「くそっ…げほっ」
息が苦しい、頭が痛い。それ以上に、体の奥から嫌な重さが圧し掛かる気持ち悪さに思わず咳込む。
そして、怪魚はアキラが咳込んだことを見逃さなかった。ほんの一瞬、怪魚の頭がアキラの方を向く。だが四つ腕はそれすらも隙として、怪魚に猛攻を仕掛けた。
爪で弾く、1本目。体勢が崩れて、2本目は腕で受けた。3本目の腕が怪魚を掴み、4本目が真上から怪魚を叩き潰す。
ゴガンッ、と地面が抉れ、破片が舞う。怪魚の頭は大きくひび割れ、隙間から紫色の靄がまるで血のように流れ出ていく。エーテリアスは地面に叩きのめされた怪魚に更に拳を落としていく。
そのたびに地面はどんどん荒れていき、怪魚からあふれる靄は多くなる。
「■■■!!!!」
最後の一撃。一際大きく繰り出され打撃が怪魚の頭を潰した。
「(そんな…!)」
アキラは目の前で怪魚が消えたのを見て、絶望する。出口はすぐそこにあるのに、エーテリアスによって塞がれた道は果てしない壁によって塞がれた。
気まぐれで出かけて、すぐに戻って、ちょっとは怒られるつもりだった。だけど、死が目の前に迫っている今、そんな考えは甘かったと現実で叩きつけてくる。
邪魔な怪魚を倒したエーテリアスは満足し、そして次なる獲物──弱っている人間に目を向ける。一つ目にも見えるどす黒いコアが、アキラの方向をみる。抵抗する術を持たないアキラはリンの身体を抱きしめ、目を瞑った。
四つ腕のエーテリアスは嘲笑い、甚振るかのようにゆっくりと大きな拳を振り上げる。断頭台のギロチンのように、一番高くまで持ち上げ。
───その拳とアキラの間に、影が差す。
耳が痛くなるほどの衝撃が体を襲う。だが、それはあくまでも「ぶつかった結果」の余波。遅れて、エーテリアスの拳と何かが一瞬のうちにぶつかった重音が響いた。
ギャリギャリと、エーテリアスの装甲と金属らしきものが力比べをしている音がする。四つ腕はどこからともなく入り込んだ邪魔者に、怒りの咆哮をぶつける。
ゆっくりと、痛みに顔を顰めながら目を開いた先にいたのは。
黒い身体に金色の装飾、靡くマフラー。左目の部分だけ砕け、皺だらけの目元が見える顔。そして、その手には虹色に揺らめく剣が一振り。
揺らめく剣の光が増す。それと同時に、アンブラが『吠えた』。
【怒り】【憎しみ】【悲しみ】【後悔】
咆哮から流れ込んできたのは負の感情。だが、それと同時に確かな意思として【必ず守る】と、絶対的な感情がアキラへと流れてくる。
それからは一瞬だった。咆哮によって体勢を崩した四つ腕のエーテリアスの腕を、輝く剣が振られるたびに切り落とされ。
上空からの一撃。コアを深々と剣によって貫かれたエーテリアスは沈黙した。
△△△
とある依頼を受け、イアスと同期したアキラはセヴァゴスに抱きかかえられ、ホロウの中から引っ張り出されていた。
ホロウに入り、依頼の品を見つけたまでは良かった。だが、そこから運悪く建物が崩壊し、ホロウの中の巨大な湖の中へと落ちたのだ。
いつかのように、怪魚が出てきて。大きな黒い影から白い人型が出てきて。
『子供』『弱い』
「それに関しては…何も言えないなぁ…」
『剣の影』『怒り』
「うっ」
【はぁ…治安局から逃げるためにコースを外れた時点で、こっちに連絡を寄こせばよかったものを】
「漂流者さんか。ごめん、ちょっとバッテリーがなくなってきてたから焦ってた」
【だから俺がこうして船長と迎えに来たんだろう。アンブラの一撃は覚悟しておくことだな】
『愚か』
あの時、出口から飛び出して庇ってくれたアンブラが居なければ、セヴァゴスの影である怪魚が居なければ。
目が覚めて、元気になった後。小さなリンとアキラに拳骨を一発ずつ。
何も知らない、何も言わない。それでも、只々不気味だと思っていたあの黒い人は。
「船長、帰りはお願い」
『了承』
船守と共に帰る道でふと、思い出す。帰る場所に誰かが心配して待っているという事を。
【船頭】 フレーム名 セヴァゴス(SEVAGOTH)
ゲームだとviodという空間の中でも特に広い空間をレールジャックという専用の大型船で彷徨いながら、落ちた人々を助け続けた戦士。ストーリーではプレイヤーが謎の信号をキャッチし、主人公のレールジャックの中にいるAIが昔の暗号で語り掛けるところから始まる。
怪魚はセヴァゴスの影。ゲーム的には召喚物として叩きだしたり、戦闘不能の時に一時的に出てきて敵を倒すことで自力復帰できる操作物になる。
普段は外に出れない(出してくれない)ので影の怪魚でお散歩してる。お前それがホロウ空間のホラーの原因だぞ。
【剣の影】 フレーム名 エクスカリバー・アンブラ
ほぼ皆勤賞のおじさま。子供に手を出されたので激おこ。ついでに危険行為で死にかけた兄妹にも激おこ。お父さん出てきた。
オペレーター
セヴァゴスによるジェットコースター(物理)で路地裏に連れてこられた後、なぜか出てきたアンブラによって漂流者に変更された。
漂流者
なんかアンブラに引っ張られた。(なぜかというと、戦闘経験的には生身で戦ってるのは漂流者なので)
アキラ(チビの姿)
研究所になんか怖い奴らがうろつく様になって嫌だった。のだが、今回の件で認識を改めた。
セヴァゴスの怪魚を定期的に呼んでは抱かれてる(性的な意味ではない)
爪が刺さるかと思ったらそうでもなく、いい感じの大きさなのでなんか安心するらしい。イアスで抱きかかえられるのもまんざらではない。