修学旅行を終えた駒王学園では、いつもの授業が戻ってくるより先に、学園祭へ向けた慌ただしさが校内を覆い始めていた。
教室では授業の合間にも出し物についての相談が飛び交い、廊下には実行委員が運ぶ段ボール箱や模造紙が積まれている。放課後になればさらに騒がしくなり、校舎のあちらこちらから机を動かす音や、装飾を作る生徒たちの声が聞こえてきた。
一誠も例外ではなかった。
修学旅行から帰ってきた直後だというのに、学園祭の準備に加えてレーティングゲームまで控えている。昨日までなら帰宅後にゆっくり身体を休めたかったところだが、サイラオーグ・バアルという名前を聞いてしまった以上、のんびりしている気にはなれなかった。
「一誠、そっちの箱をお願い」
「はい、部長!」
オカルト研究部へ割り当てられた準備を進めるため、リアスから指示された箱を抱え上げる。悪魔となった今の一誠にとって、これくらいの荷物は重さを感じるほどでもないが、周囲には普通の生徒もいるため、あまり不自然な持ち方をするわけにもいかない。
一誠が箱を抱えて歩き出した時、背後にいたリアスがほんの僅かに動きを止めた。
「……部長、か」
小さすぎて、一誠には聞こえなかった。
すぐにリアスはいつもの表情へ戻り、別の準備をしていた朱乃へ声を掛ける。その横ではアーシアと小猫が飾り付けに使う材料を分け、ゼノヴィアは大量の机を運ぼうとして他の生徒に止められていた。
学園祭の準備だけを見れば、いつもと変わらない学生生活だった。
しかし、一誠の頭から昨夜見た資料が消えることはない。
サイラオーグ・バアル。
若手悪魔の中でも屈指の実力者。魔力という、悪魔なら誰もが重視する才能に恵まれなかったにもかかわらず、それを理由に立ち止まるどころか、自らの肉体を鍛え続けることで現在の地位まで登ってきた男。
以前から知っている相手ではある。
だからこそ、強さも分かっていた。
昨日までなら、サイラオーグを相手にするとなれば、とにかく《赤龍帝の籠手》で力を増幅し、相手を上回るだけの出力を叩き込むことを真っ先に考えていたかもしれない。
けれど今は、それだけでは足りないことを嫌というほど身体で覚えている。
京都で英寿と戦った時、力を増幅するたびに自分は確実に強くなっていた。それでも、力を上げれば上げるほど英寿へ近づけたわけではない。狙いを読まれ、動く場所を制限され、勢いを逆に利用された。
最後には一度だけ攻撃を届かせた。
それが出来たのも、ただ力を増やしたからではなかった。
英寿がどう動くかを見て、考えて、それまでとは違う攻め方を選んだからだ。
「一誠?」
リアスの声で思考が途切れた。
立ち止まったまま箱を抱えていたことに気づき、一誠は慌てて顔を上げる。
「す、すみません! ちょっと考え事してました!」
「レーティングゲームのこと?」
見抜かれて、一誠は苦笑した。
「まあ……はい」
リアスは一誠をしばらく見つめたあと、柔らかく表情を緩めた。
「考えることは悪いことじゃないわ。でも、今は学園祭の準備よ。試合のことばかり考えて、目の前の段ボールにつまずかないようにね」
「分かってますよ、部長」
一誠が笑って答える。
その呼び方を聞いたリアスの瞳が、再びほんの僅かに揺れた。
だが一誠は気づかず、そのまま荷物を運んでいった。
◆
英寿が駒王学園へ姿を見せたのは、一般の授業が全て終わった後だった。
昨日のうちにリアスから話を聞いたソーナが、放課後の限られた時間であれば校内へ入ることを認めている。もちろん自由に授業へ顔を出していいという話ではなく、基本的にはリアスたちと行動することが条件だった。
校門を抜けた英寿は、昨日とは違う校内の空気へ少しだけ目を細めた。
至るところに学園祭用の装飾が置かれ、制服姿の生徒たちが慌ただしく行き来している。階段では大きな看板を数人がかりで運んでいる生徒もいれば、中庭では何かの舞台を組み始めている一団もいた。
「随分賑やかだな」
「あ、英寿さん!」
近くで布を運んでいたアーシアが英寿に気づいた。
その声で、一誠たちも振り返る。
「来たのか、英寿」
「ああ。昨日、リアスから放課後なら来てもいいって聞いたからな」
「ちょうどいい!」
一誠が何かを思いついたように手を叩いた。
「人手が足りないんだ。暇なら手伝ってくれよ」
「俺、客じゃなかったのか?」
「見学するなら参加するのが一番だろ?」
昨日、自分が町を案内した時と似たような理屈を返され、英寿は僅かに笑った。
「言うようになったな」
それでも断りはしなかった。
リアスから頼まれた大きな板材を一誠と二人で運び、別の場所へ積み上げる。英寿なら創世の力を使えば一瞬で終わる作業だったが、そんなことをする気配はない。昨日、風船を取るために普通に木へ登った時と同じで、自分の手で出来ることならそのままやる。
一誠たちも、もうそれを不思議がらなかった。
「そこ、もう少し右です」
小猫の指示に従い、英寿が板材の位置をずらす。
「この辺か?」
「はい。そこで大丈夫です」
「了解」
英寿が手を離す。
ゼノヴィアはその横で大量の資材を一人で持とうとしており、一誠から「だから普通の生徒が見てるって!」と止められていた。
「これくらいなら人間でも鍛えれば持てると思うが」
「その基準で判断するのやめよう!?」
「そうなのか?」
「ゼノヴィアさんの場合は、少し普通とは違いますから……」
アーシアが困ったように笑う。
少し離れた場所では、生徒会の仕事をしていたソーナがその様子を確認していた。英寿が本当に超常的な力を使わず、普通の手伝いとして学園祭準備へ混じっているのを見ると、特に注意することもなく手元の書類へ視線を戻した。
しばらくして、一誠が次に何を運ぶべきか確認するためリアスのところへ向かう。
「部長、こっちは終わりました。次どうします?」
「……そう。ありがとう、一誠」
リアスは一瞬だけ何かを言いかけたように見えたが、そのまま次の仕事を指示した。
偶然その近くにいた英寿は、その僅かな間だけを目にした。
昨日までのリアスとは少し違う。
ただ、何が気になっているのかまでは分からない。
英寿は事情も知らないまま口を挟むことはせず、渡された資材を持って一誠の後を追った。
◆
学園祭の準備が一区切りついた頃には、すでに日が傾き始めていた。
一般の生徒がほとんど帰宅したあと、リアスたちはオカルト研究部の部室へ集まった。制服姿のままの一誠たちと違い、英寿だけは普段着でソファに腰を下ろしている。
机の上には、昨日よりも多くの資料が並べられていた。
「今日からは学園祭の準備と並行して、レーティングゲームへ向けた調整も本格的に始めるわ」
リアスが全員を見回す。
部室の空気が自然と切り替わった。
つい先ほどまで装飾や荷物の話をしていた一誠も姿勢を正し、小猫やゼノヴィアもリアスへ意識を向ける。
アザゼルもすでに来ていた。
「いきなり身体を動かす前に、まずはこいつを見ておけ」
そう言って用意した映像を映し出す。
そこに映った男を見た瞬間、一誠の表情が引き締まった。
鍛え上げられた大柄な肉体。
サイラオーグ・バアルだった。
映像の中の彼は、真正面から相手へ踏み込み、振り下ろされた攻撃を最低限の動きでかわすと、そのまま懐へ入り込んで拳を叩き込んでいた。派手な魔法も、大規模な術式もない。
ただ一撃が重い。
受けた相手が大きく吹き飛ばされる。
続く映像でも同じだった。
サイラオーグは一見すると、圧倒的な身体能力で相手を押し潰しているように見える。しかし、ただ力任せに拳を振り回しているわけではない。踏み込みの距離、重心の移し方、攻撃を受ける角度、次の動作へ移るまでの間。
無駄が少なかった。
映像を黙って見ていた英寿が、小さく口を開く。
「強いな、あいつ」
隣にいた一誠が思わず振り返った。
「英寿がそう言うと、なんか余計に怖いんだけど」
「何でだよ」
「だって昨日、俺の攻撃ほとんど捌いてた奴が普通に『強い』って言ってんだぞ?」
英寿は映像から目を離さなかった。
「力が強いだけじゃない。ちゃんと自分の身体の使い方を分かってる」
映像の中で、サイラオーグが相手の攻撃を肩で受け流し、体勢を崩したところへ短い拳を打ち込む。
英寿はそこを見ながら続けた。
「踏み込む時にも無駄がないし、自分の間合いから相手を逃がしてない。あれだけ身体が強いのに、技術までちゃんと積んでる」
一誠は改めて映像へ視線を戻した。
自分が見ていたのは、サイラオーグの圧倒的な力ばかりだった。
英寿は違うところまで見ている。
アザゼルが面白そうに英寿へ目を向けた。
「やっぱり分かるか」
「見ればな」
「一誠、お前が正面から力比べだけしようと思ってるなら、考え直した方がいいぞ」
「……はい」
一誠は素直に頷いた。
昨日英寿を相手に、それが通用しないことを学んだばかりなのだから。
映像が終わると、リアスが今後の練習について説明を始めた。試合までに出来ることは限られている。全く新しい力を身につけようとするより、今持っている力をどう使うか、眷属同士の連携をどう高めるかを優先する必要があった。
英寿はその話へ口を挟まない。
自分は観戦する側だ。
一誠たちの戦いを、自分の戦いに変えるつもりはなかった。
◆
その後、一行は人目を避けられる訓練場所へ移動した。
周囲には結界が張られ、ここなら一般人へ姿を見られる心配もない。
英寿は少し離れたところで壁へ背を預け、一誠たちの訓練を眺めていた。
今日は自分が相手をするつもりはない。
一誠の正面にはゼノヴィアが立っている。
「行くぞ、一誠」
「ああ!」
右腕に《赤龍帝の籠手》が現れる。
『Boost!』
力が一段階上がった。
以前の一誠なら、そのまま真っ直ぐ踏み込んでいたかもしれない。
しかし今日は違った。
ゼノヴィアが剣を構えても、すぐには前へ出ない。左右へ動きながら距離を測り、相手の視線と剣先を確認する。
ゼノヴィアが先に動いた。
鋭い斬撃が一誠へ迫る。
一誠は大きく後ろへ逃げるのではなく、僅かに身体をずらして軌道から外れ、そのまま距離を詰めようとする。
ゼノヴィアもすぐに剣を返した。
その瞬間、一誠は踏み込むのをやめた。
攻撃を誘っていた。
空振りした剣が戻るまでの僅かな時間へ合わせ、今度こそ一誠が前へ出る。
『Boost!』
増幅した力を、踏み込みと同時に使った。
拳がゼノヴィアの防御へぶつかり、その身体を数歩後退させる。
「おおっ!」
一誠自身が一番驚いたような声を上げた。
「そこで喜んで止まるな!」
ゼノヴィアの蹴りが飛んでくる。
「うおっ!」
一誠は慌てて腕で受け、そのまま転がるように距離を取った。
見ていた小猫が淡々と口にする。
「詰めが甘いです」
「分かってるよ!」
「今ので終わったと思っていました」
「ちょっとだけ!」
「それを詰めが甘いと言います」
アーシアが苦笑しながら二人を見ている。
それでも、昨日までとは変わっていた。
リアスもそれを感じたのか、少し離れた英寿へ顔を向ける。
「あなたとの手合わせが効いているみたいね」
英寿は腕を組んだまま一誠を見る。
「俺は別に教えた覚えはないよ」
「でも、一誠はあなたと戦って学んだ」
「だったら、勝手に盗んだんだろ」
英寿の口元に僅かな笑みが浮かぶ。
「それなら悪くない」
リアスも小さく笑った。
再び訓練へ目を向ける。
一誠は先ほどの失敗を引きずらず、今度はゼノヴィアの足元まで見るようになっていた。まだ動きは粗いし、考えすぎて反応が遅れることもある。
それでも、ただ力を増幅して突っ込んでいた時とは違う。
何をするか考えている。
相手を見ようとしている。
何度か攻防を繰り返したあと、リアスが終了を告げた。
一誠は大きく息を吐きながら、その場へ座り込む。
「疲れた……」
ゼノヴィアも剣を下ろした。
「前より戦いにくかったぞ」
「本当か?」
「以前ならもっと真っ直ぐ来たからな」
一誠の顔が一気に明るくなる。
そのまま英寿へ振り返った。
「英寿! 今のどうだった?」
「前より相手を見るようになったな」
「じゃあ強くなった?」
「少なくとも、昨日と同じ戦い方ではなくなってる」
褒められたのかどうか少し判断に困ったらしく、一誠は微妙な顔をした。
英寿はそんな一誠を見て笑った。
「焦るなよ。一日で別人みたいに強くなったら、誰も苦労しないだろ」
「それもそうだけどさ」
「でも、前よりはいい」
最後にそう付け加えられ、一誠はようやく満足そうに笑った。
その様子を見ていたアザゼルは、何か考えるように顎へ手を当てる。
英寿が直接技術を教えているわけではない。
それでも、自分より遥かに戦闘経験の多い相手と実際に戦ったことで、一誠の意識そのものが変わり始めている。
それは新しい能力を手に入れることとは違うが、今の一誠には必要な変化なのかもしれなかった。
◆
訓練を終え、全員が駒王学園へ戻った頃には、空はすっかり暗くなっていた。
部室で簡単な反省を済ませ、そろそろ解散しようとしていた時だった。
扉が静かに叩かれた。
リアスが顔を上げる。
「どうぞ」
扉が開く。
そこに立っていた男を見た瞬間、一誠が椅子から半分立ち上がった。
大柄な身体。
鍛え上げられた肉体は制服や戦闘装束でなくとも隠しきれず、ただ立っているだけで存在感がある。
先ほど映像の中で見たばかりの男だった。
「サイラオーグさん……?」
「久しぶりだな、兵藤一誠」
低く落ち着いた声だった。
サイラオーグ・バアルは部室へ入ると、まずリアスへ視線を向けた。
「突然すまない、リアス。近くまで来る用事があったのでな。試合前に一度、顔を見ておこうと思った」
「あなたらしいわね」
リアスは驚きこそしたものの、警戒する様子はなかった。
二人が元々よく知る間柄であることは、その短いやり取りだけでも英寿には分かった。
「歓迎するわ、サイラオーグ」
「ああ」
サイラオーグはリアスへ頷いたあと、部室にいる眷属たちへ目を向ける。
一誠と視線が合った。
「試合を楽しみにしている」
「俺もです」
一誠は緊張しながらも、目を逸らさなかった。
「今度は本気でぶつかります」
「それでいい」
サイラオーグの口元に力強い笑みが浮かんだ。
「私も手を抜くつもりはない」
短い言葉だったが、一誠の背筋へ緊張が走った。
先ほどまで映像で見ていた相手が、今は目の前にいる。
そのサイラオーグの視線が、やがて部室の奥へ移った。
そこには、ソファへ腰掛けた英寿がいた。
見慣れない男。
制服も着ていなければ、リアスの眷属でもない。
それでいて、この場にいることを誰も不自然だとは思っていない。
サイラオーグは英寿を数秒見たあと、リアスへ尋ねた。
「そちらは?」
「浮世英寿よ。少し事情があって、今は私たちの客人として駒王町に滞在しているの」
説明は必要最低限だった。
英寿も立ち上がる。
「浮世英寿。英寿でいい」
「サイラオーグ・バアルだ」
二人の視線が正面から重なった。
サイラオーグは英寿に敵意を向けているわけではない。ただ、初めて会う相手を確かめるような目だった。
英寿の方も同じだった。
映像で見るのと、実際に向かい合うのとでは印象が違う。
大きい。
単純な身長だけではなく、鍛え抜かれた身体から感じる圧そのものが強かった。一誠が「滅茶苦茶強い」と表現した意味も、直接会えばさらに分かりやすい。
「お前がサイラオーグか」
「ああ。私を知っているのか?」
「さっき映像を見せてもらった」
英寿は特に隠すこともなく答えた。
「強いな、お前」
一瞬、部室が静かになった。
一誠が英寿を見る。
初対面でいきなり本人へ言うとは思っていなかったらしい。
だがサイラオーグは不快そうにはしなかった。
むしろ僅かに目を細める。
「そう言われるのは光栄だが……君は戦士なのか?」
英寿の立ち方を見て、何かを感じ取ったのだろう。
「まあ、そんなところだ」
「そんなところって……」
一誠が思わず突っ込む。
サイラオーグはその反応を見てから英寿へ戻した。
「リアスの眷属ではないようだが、君も試合を見るのか?」
「ああ。誘ってもらったからな」
「そうか」
サイラオーグは静かに頷いた。
「なら、見届けてくれ。私たちも全力で戦う」
英寿の口元に薄い笑みが浮かぶ。
「期待してるよ」
そこに挑発の色はなかった。
サイラオーグも、それ以上英寿の正体を問い詰めようとはしない。今はリアスたちとの試合を前にしているのだから、見知らぬ客人について深く聞く場ではないと判断したのだろう。
しばらくリアスと言葉を交わしたあと、サイラオーグは再び一誠へ向き直った。
「本番で会おう、兵藤一誠」
「はい」
「楽しみにしている」
そう告げて、サイラオーグは部室を後にした。
扉が閉じてから数秒、一誠は緊張を吐き出すように大きく息をついた。
「やっぱり本人を目の前にすると圧あるな……」
「今更か?」
ゼノヴィアが真顔で言う。
「知ってても感じるんだよ!」
小猫も静かに頷いた。
「一誠先輩よりかなり強そうです」
「そこは分かってるから追い打ちしないで!?」
アーシアが慌てて一誠を励ます。
そんなやり取りの中で、英寿はまだ扉の方を見ていた。
リアスが気づく。
「どうしたの?」
「いや」
英寿はようやく視線を戻した。
「映像で見るより面白そうな奴だと思ってな」
一誠が眉を上げる。
「面白そうって……戦ってみたいとか思ってる?」
英寿は少し考えてから笑った。
「今はお前たちの相手だろ」
それ以上は言わなかった。
これから行われるのは、リアス・グレモリー眷属とサイラオーグ・バアル眷属のレーティングゲームだ。英寿が興味を持ったからといって、そこへ割って入る理由にはならない。
まずは観客として見る。
サイラオーグがどれほどの力を持ち、一誠たちがその男へどう挑むのか。それを見た後のことは、その時になってから考えればいい。
リアスもそれ以上追及せず、机の上に残っていた資料を片付け始めた。一誠たちは明日からの訓練について再び話し合い、学園祭の準備と並行して限られた時間をどう使うかを確認していく。
さっきまで目の前にいた対戦相手の存在によって、全員の意識は明らかに変わっていた。
英寿はその輪の少し外側から彼らの会話を聞きながら、もう一度だけサイラオーグが去った扉へ視線を向けた。
この世界の悪魔がどんな戦いをするのか。
その答えを見る日は、そう遠くなさそうだった。