エデンの来訪者・外伝   作:火取閃光

2 / 2
過ぎ去りし時を求めて②

 カラーストーン採掘場に着いた勇者アッシュ一向は近くに居た採掘員にキーファの特徴をした金髪の青年が来ていないかと尋ねていた。

 

 しかし、問題のキーファはまだ来ていないらしく入り口前で彼の到着を待って居ようかと思っていた矢先の事だった。

 

「ねぇ、アッシュ。もしかしてあの人じゃない?」

 

「あぁ、確かに……。ベロニカが言う様に族長さんが言っていた探し人の特徴にバッチリ合うしからな、相棒(アッシュ)

 

「それに、かなり険しい顔で忙しなく船を漕いでいるから間違い無さそうじゃのう……」

 

 ベロニカが指差す方角を見るとそこにはかなり怖い表情で必死に船を漕ぎこの島へ向かう金髪の青年が居たのだった。

 

 前もってユバール族に貰った特徴から見ても間違いなく彼がキーファであり、船を漕ぎ終えて島に到着した彼にアッシュ一向は話しかけた。

 

「貴方がユバール族のキーファさんですか?」

 

「あぁ、そうだが? すまないがこっちは急いでいるんだ」

 

「ユバールの族長様から聞いているわ」

 

「奥方の病を治す為に緑のカラーストーンを探すのだろう?」

 

「族長ちゃんが1人じゃ心配だからアタシ達に貴方の手助けを頼んだのよ〜」

 

「私達も微力ながらお手伝い致しますわ」

 

「族長が? 全く、少しは俺の事を信じて待って居て欲しいぜ……。だけど、助かる。どうか、俺の妻ライラの病を治す為に協力してくれ」

 

 金髪の青年キーファは照れ臭そうにして笑いながらも瞬時に意識を切り替えてアッシュ達へ頭を下げたのだった。

 

 そして、キーファ達はカラーストーン採掘場へ足を運んだのだが以前来た時よりも何か様子が違っていた。

 

 以前来た時はカラーストーンが爆弾岩系のモンスターに化かされている異変であったが、キーファや採掘員が言うには異常に数が増加していた。

 

 カラーストーンは鉱物の一種なんだから減る事はあっても生き物やモンスターの様に増える事は無い筈なのになんか増えていた。

 

 まるでキーファ達の行く手を阻む為にこの異常を引き起こした何者かが邪魔をしている様な印象を受けたのだった。

 

 アッシュ達は道中キーファの説明を受けて同色のカラーストーンが衝突すると砕ける仕組みを聞きながら、希少価値が高い緑のカラーストーンを探して奥へ進む。

 

 採掘場は元からモンスターの巣窟になっていたがこの異常事態で更に強化されていた。

 

 アッシュ達勇者一向は戦闘は覚悟の上で武器を持たないキーファを護衛するつもりで居たが、その目論見は当のキーファによって崩れたのだった。

 

 数多のモンスターがキーファの邪魔をする様に行く手を阻むが、武器を持たないキーファはモンスターが持つ武装や素材を戦闘中に盗み取りそれを使い倒して行った。

 

 片手剣や両手剣、格闘や斧、槍や鞭、果てにはブーメランなど様々な武器をとても高い水準で器用に使い分けて戦っていた。

 

 しかも、ただ使い分けるだけでは無く闘気を様々な属性に変化させて、盗み取った得物を最大限に活かした技にまで昇華していたのだった。

 

 その戦い振りはこれまで多くの困難に立ち向かって来た勇者一向から見ても思わず感心する程の超一流の技量だった。

 

 騎士であるグレイグやシルビアだけではなく武術の心得を持っているロウやマルティナ達は、彼がまるで踊っている様にも見えて思わず魅了されていたのだ。

 

 ベロニカとセーニャ姉妹は、この依頼を頼む時にユバール族一同が自慢気に言っていた一族が誇る最強の守り手と言う話は比喩では無かった事に驚いていると突如キーファから魔力が立ち込めているのを感じていた。

 

「これで終いだっ! メラゾストーム!!」

 

 キーファから放たれる高速のメラミ4連射が放たれてモンスターが消滅した。

 

 賢者セニカの生まれ変わりであり正しく双賢として覚醒した姉妹から見れば、メラゾストームは自分達にも出来なくは無いと思える良い技だった。

 

 しかし、それを今まで戦士だと思っていたキーファが魔法も高い水準で出来ると知った事で、ベロニカの呪文使いとしての琴線に触れて思わずツッコンだのだった。

 

「貴方、呪文も行けるのっ!? 多彩にも程があるわよ!?」

 

「す、凄いですわっ! ベロニカお姉様!!」

 

「ん? まぁ、アイツ等と別れたこの5年で呪文(こっち)も鍛えて来たからな……。見るからに超一流な君達にそう言って貰えて照れるぜ」

 

「っ!? 貴方、分かるの……?」

 

「あぁ、なんとなくだけどな。その見た目もなんかの事情で小さくなっているのだろ?

 

 俺の師匠は凡ゆる時代や国の賢者や大賢者を総べる賢王と呼ばれたとても凄い方でさ……。

 

 時の砂って道具を使って見た目の年齢を自在に操っていたから、君もそう言う技を持っているかその類の呪いか何かだと思っていたんだ」

 

「見た目の年齢を自在に操るっ……!? そんな事が出来るなんてっ……!?」

 

「それに、昔から一緒に修行した俺の幼馴染は魔法の天才だったからさ……。君達の雰囲気がマリベルに似ていたんだ」

 

「マリベルさん、と言う方が……。あっ、頬に傷が……」

 

「ん? あぁ、どっかで掠ったのかな? ホイミ」

 

 頬に傷が付いて血を流すキーファを癒そうとしていたセーニャだったが、それよりも先にキーファが自身を回復したのだった。

 

 これまで連戦に次ぐ連戦を重ねても息一つ乱れる事なく疲労感を見せない。特別魔法が苦手と言う印象すら無い彼の様子を見て少し離れた場所にいたカミュ達は目を丸くしていたのだった。

 

「おいおい、マジか……!? 武技や攻撃呪文だけじゃ無くて回復も行けるのかよっ……!? まるで相棒(アッシュ)と同じじゃねぇか……」

 

「いやいや……。流石に僕もここまでは……。でも、剣の技量はそれなりの自負はあったけど、彼を見て自分もまだまだ未熟だと思い知らされたよ」

 

「そうね……。でも、本当に不思議ちゃんよね……。まるで彼、何処となく勇者(アッシュ)ちゃんに似ている様な気がしたわ……」

 

「そうかのう……? どちらかと言えば我が孫(アッシュ)よりも先代勇者ローシュ様の方が似ていると思ったわい」

 

「確かに……。そう言われてみると彼の容姿や性格からローシュ様の面影がある気がしますわ……」

 

「それにあの技量だけでは無く、姫様やロウ様の様な尊い方々独自の空気感もあっての事でしょうな……」

 

 アッシュ達はキーファと言う人物と関わりを深める毎にミステリアスな彼の謎が増えて行ったが、それは後回しにして緑のカラーストーン探しをしたのだった。

 

 奥地に辿り着くとやはりと言うべきかこれまでの比にならない程のカラーストーンが増殖していた。

 

 希少価値が高い緑のカラーストーンを探すのには苦労したが、アッシュ達と協力して何とか見つけ出す事に成功した。

 

「これで後は帰る事だけだが……」

 

「まぁ、これだけ邪魔ばかりした奴が素直にユバール族の休息地に返してくれる訳がねぇよな……」

 

 カラーストーン採掘場の入り口付近で何やら大騒ぎがあったらしく、イレブン達が外に出るとそこには巨大な動く石像が暴れていた。

 

 通常サイズの2〜3倍の大きさはある動く石像に採掘場へ来ていた商会の護衛達は腰を抜かして恐怖していた。

 

 彼等はそれなりに名前が通った傭兵団ではあったが、巨大な動く石像を前に本能的に勝てないと悟った。

 

 しかし、彼等にもこれまで戦って来た自負がある。恐怖で腰を抜かしても逃げる事は出来ない。その葛藤の中で情けなくとも睨み付ける事しか出来なかったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:50文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【更新停止中】ドラクエ4のバルザックに転生した(作者:葛轍偲刳)(原作:ドラゴンクエスト)

本文は「AIのべりすと(言語モデル:すぴこさま Ultra)」で生成されています。AI生成物に嫌悪感をお持ちの方はお戻り下さい。▼[ジャンル:ファンタジーゲーム世界転生]▼[舞台:ドラゴンクエスト4]▼[キーワード:原作改変、独自設定、原作キャラ生存、進化の秘法、錬金術師、モンバーバラの姉妹]▼以上の点を許容できるという奇特な御方のみ、どうぞご笑覧ください。…


総合評価:1393/評価:7.6/連載:114話/更新日時:2026年08月19日(水) 07:24 小説情報

(魔界の)神様(に)転生!そして伝説へ…(作者:ぶーく・ぶくぶく)(原作:ダイの大冒険)

※本作は作者が読みたい原作改変を自給自足する趣味作です。感想や考察はありがたく拝見しますが、展開は作者の予定と趣味を優先して進めます。▼ 大魔王バーンに転生した男は、魔界の惨状を見て理解した。▼ この世界には救いが必要だ。▼ ただし、地上を消し飛ばす必要はない。▼ 地上と魔界を繋ぐギアガの大穴。▼ 魔界を潤す水と光。▼ ロモス統治、ハドラー育成、バラン一家保…


総合評価:12106/評価:7.68/完結:30話/更新日時:2026年07月24日(金) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>