キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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取材拒否をされた腹いせに南葛中学サッカー部主将石崎を使ってネガティブキャンペーンを展開した中央テレビの土井に対して兵藤は、他社の独占取材を敢行し、全国大会を前にイメージ回復を図る。一方土井たちは、片桐、兵藤グループのスポンサー枠の撤退連絡に激怒した編成局長福田の一喝により武蔵中学が合宿を行っている場所から撤退するのであった。


第5章 全国大会編
第102話 組み合わせ決定


中央テレビによる悪質な過剰取材と偏向報道の嵐は、兵藤と片桐の毅然とした対応、そしてJBSの真実の密着報道によって完全に沈静化していた。

外界の騒音から解放された富士の保養所には、穏やかで研ぎ澄まされた時が流れていた。

そしてこの日――全国中学校サッカー大会の組み合わせ抽選会が開催され、運命のトーナメント表が決まる日を迎えていた。

夕刻、抽選会を終えた武蔵中学監督・兵藤と、江ノ島中学監督・瀧本が合宿所へ戻ってきた。

ロビーに集まった両校の選手たちの前で、兵藤が1枚のトーナメント表をテーブルの上に広げる。

「よし、組み合わせが正式に決まったぞ」

選手たちが一斉に表へ群がる。その瞬間、旧武蔵FC出身のメンバーたちの目が鋭く光った。

「俺たちの初戦の相手は……『ふらの』か!」本間が声を張る。

ふらの――3年前の全国小学生大会決勝。三杉淳を失った絶望と悲しみの中、惨敗を喫したあの因縁の相手。

真田が拳を強く握りしめ、兵藤を見上げた。

「監督、やってくれたぜ! ようやくあの時の借りを返すチャンスが来たぜ!」

一ノ瀬もトーナメント表を指でなぞりながら冷静に分析する。

「ふらのを越えたら、次は明和東か……かつての明和の激しいスタイルを引き継いでいる。相手の策略には警戒が必要だな。そして準決勝は、おそらく東総か比良戸の勝者……」

井川が不敵に口元を緩めた。

「あのカマラを抑えられる奴がいるのか、見ものだな」

「そして……決勝は……」翼が呟く。

その言葉を遮るように、江ノ島主将の江口大翔がニヤリと笑って胸を叩いた。

「東邦と言いたいところだろうが翼、相手は俺たち江ノ島だ! なぜなら東邦は準決勝で俺たちに負けるからな!」

真田が吹き出す。「ハハッ! お前たちなら本当にやりかねないから困るぜ!」

「江ノ島との決勝か……おもしろいじゃないか! なあ、翼君!」本間が笑いかけると、翼も屈託のない笑顔を浮かべた。

「そうだね! 江ノ島のみんなが東邦を倒して、その江ノ島に俺たちが勝てば、実質『東邦超え』だ!」

「おいおい! 勝手に勝ったことにされちゃ困るぜ翼!」大翔が苦笑いしながら拳を突き出す。「お前に悪気がないのは分かってんが、勝負となれば話は別だ!」

「あはは、そうだね! でも、決勝のピッチで江ノ島のみんなともう一度戦いたいよ!」

兵藤がパンッと手を叩き、雰囲気を引き締めた。

「よし! 組み合わせも決まったことだ、練習だ! 着替えたら即グラウンドに集合!」

「はいッ!」「おうッ!!」

声高らかに応じた選手たちは、それぞれの決意を胸にグラウンドへと駆け出していった。

一方――東京・東邦学園。

静岡へ向かう前の最終調整に入っていた東邦グラウンドに、抽選会へ立ち会っていた山本コーチから1枚のFAXが届いていた。

練習を一時中断し、主将の松山光を中心に選手たちがFAX用紙を囲む。

「俺たちの初戦は東一中か。次は花輪と南葛の勝者……」松山が静かに言葉を紡ぐ。

「……南葛……石崎君……」岬太郎が懐かしむように呟いた。

守護神の若島津健が腕を組みながら先を見据える。「その後は、おそらく江ノ島だな」

「そして最後は……武蔵だ!」日向小次郎がギラリと目を光らせた。

岬が松山に視線の針を向ける。

「武蔵の初戦の相手は『ふらの』だよ。松山のかつてのチームメイトたちが、先に武蔵を倒したりしないかな?」

松山は少し考え、ゆっくりと首を横に振った。

「それは俺も考えた。だが……今の武蔵の緻密な完成度を考えれば武蔵だろう。あいつら(小田たち)も意地と ねばり強さを見せてくれるとは思うがな」

「そうだね。でも武蔵もそこを突破したら、次は明和東だ」岬が続ける。

日向がフッと鼻で笑った。

「松山の言葉を借りるなら、沢木たちも牙を剥くだろうが……最後は武蔵だろうよ」

松山はトーナメント表を見つめ、不敵な笑みを浮かべた。

「そう考えると、この組み合わせは俺たちにとっても翼たちにとっても、因縁のある相手ばかりで一筋縄ではいかない学校ばかりだな。……だが、だからこそ倒し甲斐がある! これらを全て叩き潰してこそ、俺たちの『全国三連覇』は達成されるんだ!」

「松山の言う通りだ」

重厚な声とともに、北詰監督と大沢コーチが歩み寄ってきた。

「そして静岡へ乗り込む前の『最後の調整相手』として、最高のチームに相手をしてもらう」

松山が頼もしい眉を上げた。「……『仮想・武蔵』というわけですか?」

「フッ、まあそんなところだ」

北詰が合図を送ると、グラウンドの入口から威風堂々とした体躯の選手たちが立ち入ってきた。先のインターハイを制した、東邦学園高等部サッカー部の面々である。

「北詰さん、大沢さん、今日はよろしく頼むよ」

高等部を率いる堂園監督が爽やかに挨拶を交わす。(大沢コーチは関東大会での優勝実績を受け、全国大会終了まで中学部の指導を続投することが正式決定していた。)

「こちらこそ、お忙しい中お越しいただき感謝します。胸を借りさせていただきます」北詰が頭を下げる。

堂園監督は頼もしそうに中学生たちを見渡した。

「なに、この子たちは春には高等部に上がってくる。今からその顔と牙を確かめておくのも悪くないさ」

岬が苦笑いしながら松山の隣に並ぶ。「松山……『仮想・武蔵』にしては、とんでもない強敵だね」

高等部1年で、江ノ島中学OBでもある山中龍也がボールを軽くリフティングしながら日向や松山に不敵な笑みを向けた。

「おい松山、日向! 俺たちはインターハイを制したチームだ。そして冬の選手権でも全国制覇を狙っている。相手が後輩だろうと手加減はしねえぞ!」

日向がギラついた野性を剥き出しにして前に出る。

「厳しい先輩方だぜ! だが俺たちも全国三連覇がかかってんだ。負けるわけにはいきませんよ!」

松山も前に出で、チーム全員を振り返った。

「日向の言う通りだ! 相手が高校生だろうが先輩だろうが遠慮するな! 全力でぶつかるぞ!」

「おうッ!!」

東邦中学部の猛者たちの咆哮がグラウンドに響き渡る。

堂園監督はその鋭い気迫に目を見張った。

「ほう……インターハイ王者にも一切物怖じしないか。おもしろいじゃないか!」

こうして、絶対王者・東邦学園もまた、最強の相手との壮行試合を経て決戦の地・静岡へと乗り込む準備を整えていた。

各地方予選を勝ち抜いた全国の強豪、知識と執念を滾らせた猛者たちが、いよいよ決戦の地・静岡へと集結しようとしていた――!

 




全国大会の組み合わせが決まりました。武蔵、東邦、どちらの山にも強敵が組み込まれました!両校の3度目の対決はあるのか!?それとも!?

明日も3話投稿です。もしよろしければお気に入りしていただければうれしいです。明日もよろしくお願いします。
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