キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

17 / 28
三杉淳の壮絶な死からメンタルを壊した翼がブラジルへ渡航してから2年の歳月が流れた。そして再び時計の針が動き始める。
キャプテン翼 中学生編始動!

※時代背景は原作に近い80年代中頃から終盤に設定しています。現代ほど規制が強くかかっていない描写もありますのでご容赦ください。


2章 中学生編
第16話 帰国


全国小学生サッカー大会でふらの小が激闘の末に優勝を果たしてから、2年の歳月が流れていた。

中学生に進学した黄金世代の中学サッカー界は、今や圧倒的な強さを誇る私立東邦学園中等部による「1強状態」にあった。

1年時、特待生として入学した松山光、日向小次郎。推薦枠の岬太郎。そして一般受験から超難関を突破して正GKの座を射止めた若島津健。後に「東邦四天王」と呼ばれる彼らは、1年生ながら要所要所で圧巻のプレーを見せ(中1のため出場時間は厳格に管理)、東邦学園中等部に初の全国優勝をもたらした。

2年時、完全にレギュラーとして定着した四天王に加え、前年度の全小の覇者・南葛SCのキャプテンであった新田瞬が加入。スーパーサブとして爆発的な活躍を見せ、東邦は怒涛の2連覇を達成していた。

大手スポーツ誌の「東邦王国・無敵の2連覇」という特集記事を前に、日本サッカー協会の片桐宗正は深く思案にふけっていた。

「やはり予想通り東邦の1強状態となったか……。今年度の全小を制した明和FCキャプテンの沢田タケシも、来年度の東邦入りは間違いない。」

片桐はため息をつき、手元の資料に目をやる。

「競争力のない独占などやがて衰退していくのみ。ただでさえサッカー後進国である日本が、このまま世界に打って出るなど夢のまた夢だ……。」

「やはり世界でもまれた者たちの存在が必要か……。」

片桐は静かに一枚の資料を見つめた。

東邦学園グラウンド。

全中を終え、3年生が引退したピッチでは、新チームのキャプテンとなった松山の激しい檄が飛んでいた。

「ダッシュのラストまで気を抜くな! 3連覇への戦いはもう始まってるぞ!」

その気迫あふれる練習風景を、ネット越しに見つめるスポーツ記者と、東邦学園広報部の松本。かつて日向のスカウト問題でやらかし、広報部へ異動となっていた彼女は満足げに微笑んでいた。

「どうでしたか、今月号の特集記事?」

記者の問いに、松本は胸を張る。

「上出来だわ。それに『東邦四天王』という響きもね。これでライトな層にもサッカーの良さが響けば言うことなしだわ。もちろん我が東邦学園に入学希望が殺到してくれるのも大歓迎よ。」

記者はグラウンドへ視線を戻しながら頷く。

「新キャプテンの松山君に、司令塔の岬君、守護神の若島津君。そしてエースストライカーの日向君に、スピードスターの新田君……そこに明和FCから沢田君が入るとなれば、こりゃ3連覇は間違いなしだな……。」

大人たちの予想や皮算用を尻目に、グラウンドでは熱のこもった練習が続いていた。

成田空港・到着ロビー。

サンパウロからの便で降り立ったのは、異質なオーラを放つ4人組だった。

元ブラジル代表のロベルト本郷。高校生風の男・カリオ。そして、ボールを足元で転がしながら歩く小学生の少年・ナトゥレーザ。

そして――彼らを引っ張るように先頭を歩く、一人の少年。

「ここが日本……翼の国かぁ。」

ナトゥレーザが目を輝かせる。

「翼、何だか楽しくなりそうだね。」

「沈んだ太陽はまた登る。」

カリオがフッと笑って呟いた。

ロベルトが静かに少年の肩を叩く。

「見せてみろ、翼、お前の力を。」

大空翼は足を止め、深く息を吸い込んだ。

2年前より伸びた身長と大人びた風貌。

その瞳には力強さが戻り、成長した姿で帰ってきた!

「ロベルト、俺はもう逃げない。日本一になることで三杉君の死を乗り越えてみせるよ。」

覚悟を胸に、大空翼がブラジルから帰国!

熱く激しい中学生編の幕が、いま切って落とされた。




2年の歳月を経て翼が帰国しました。原作では全中2連覇を果たし王者南葛の絶対的なエースとして日本サッカー界に君臨していましたが、ここでの世界線では“王者東邦”の“挑戦者”として挑むことになる翼。今後どう展開していくのでしょうか!

※東邦学園に新田が加入している件ですが、2年前の東邦学園のスカウト戦略の迷走を受けてその年の全小優勝のMVPの選手には必ず声をかけるという方針が徹底され、新田の反骨心を大沢スカウト部長がついて口説き落としたという設定にしました。これにより東邦学園の“絶対王者”に拍車がかかっています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。