キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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翼一派と真田一派との5対5の対決は翼たちが勝利した。しかし本当の意味で真田一派たちの心を溶かしたのは三杉淳が生前チームのために遺していたノートだった。三杉のチームメイトの思いを知り涙する部員たち。ようやくみんなの気持ちが1つになろうとしていた。


第24話 新監督

真田一派との「5 vs 5」の激闘から一週間。

真田以外のメンバーたちも正式に部に残留し、三杉のノートに刻まれた戦術と魂を必死に身体へ叩き込んでいた。グラウンドにはかつてのような活気が完全に戻り、部員たちの表情からも迷いが消え去っていた。

そんな放課後、キャプテンの本間と翼が、顧問の中田に職員室へ呼び出される。

本間「新監督が……来るんですか?」

中田「そうだ。今まで監督不在で騙し騙しやってきたが、これでようやく毎日しっかり練習を見てくれる人が就任する。最近のお前らの目の色を見ていてな、学校側にも掛け合っていたんだ。お前らにとっても朗報だろ?」

本間「毎日見てくれるのは本当にありがたいです!……だけど、どんな方なんですか?」

中田「実は俺も詳しい経歴は知らされていないんだ。ただ、つい最近まで日本ではなく海外にいたらしい。しかも……日本サッカー協会(JFA)からの直接の推薦だそうだ」

「協会からの推薦……?」

顔を見合わせる本間と翼。

中田「とにかく、来月の1日から正式に着任する。準備しておけよ」

職員室を辞し、夕暮れの校舎の廊下を歩く二人。

本間「海外にいた……協会推薦の監督か。おい翼、ひょっとしてロベルトさんじゃないか?」

翼「ううん、それはないと思うな。ロベルトは今、協会のサッカー普及事業で全国の小学校を回っているからさ。確か今日は千葉の学校に行っているはずだよ」

本間「そうか……。まあ誰であれ、毎日グラウンドに立って指導してくれる監督が来てくれるのはデカいよ。やっぱり生徒だけの練習じゃ限界もあるしな」

翼「うん、楽しみだね!」

そして訪れた、翌月1日。

秋晴れのグラウンド。ジャージ姿の武蔵中サッカー部員、そして見学に訪れている小6のナトゥレーザが整列していた。

顧問の中田に伴われて現れたのは、30代前半ほどと思われる男。パリッとしたジャケットを羽織り、スポーツマンらしい引き締まった体躯と鋭い眼光を持つ青年だった。

ピンと緊張感が張り詰める部員たちの前で、中田が口を開く。

中田「全員揃っているな。今日から武蔵中サッカー部を率いていただく新しい監督を紹介する。兵藤剛(ひょうどう つよし)監督だ」

兵藤はポケットに手を突っ込んだまま、腕組みもせず、一人ひとりの顔を舐めるように見回した。

そして、開口一番——鼻で笑うように言い放った。

兵藤「……ふーん。かつての強豪チームの、腑抜けた連中が集まったってわけか」

「「っ……!?」」

一瞬にして部員たちの顔色が変わり、怒りの色が走る。

兵藤「でお前ら、何のためにサッカーやってんの?」

本間「(前へ踏み出し)キャプテン……三杉の意志を継ぐためです!そのために俺たちはもう一度集まりました!」

兵藤「なるほどね。……で? お前ら自身はそれで満足なわけ? 死んだ奴の願いを叶えて、それで自分たちのサッカーはおしまい?」

「「なんだと……!?」」

「三杉キャプテンを侮辱する気かよ!?」

部員たちに激震が走る。命の恩人であり、目標であった三杉の存在を否定されたかのような言葉に、殺気立つグラウンド。しかし兵藤の瞳には一歩も引く気配がない。

その重苦しい静寂を破ったのは、翼だった。

翼「このチームに三杉君の思いを引き継ぐのは、俺たちにとって大事なことです。でも——三杉君のため“だけ”にサッカーをしているわけじゃありません」

兵藤「ほう? じゃあお前は、何のためにやってるんだ?」

翼「俺は、世界一のサッカー選手になりたい! そのためにまずは、この仲間たちと一緒に東邦学園を倒して、日本一になります!」

翼の力強い宣言に、本間も、一ノ瀬も、胸を張って兵藤を見据えた。

本間「俺もです! 日本一になるのはキャプテンの夢だった。でも……俺自身も、この手で日本一になりたいんだ!」

一ノ瀬「俺もだ! そのためにプライドを捨てて部に戻ってきたんだ!」

口々に声を上げる部員たち。その声には、誰かに背中を押されたものではない、彼ら自身の泥臭い執念が宿っていた。

兵藤「はっ……都大会ブロック予選敗退のヘボチームが、東邦学園を倒して日本一とはよく言ったもんだぜ」

再び訪れる緊張。しかし次の瞬間、兵藤の唇が不敵に吊り上がった。

兵藤「……だがな! それぐらいの向上心があるバカが集まってくれなきゃ、わざわざ俺が指揮を執る意味がねえんだよ! いいだろう、お前らをてっぺんの高みまで連れて行ってやる。まずはあの絶対王者・東邦を、その座から引きずり下ろすぞ!」

「「「はい!!!!」」」

グラウンドに響き渡る、地鳴りのような返事。

西東京——かつて“フィールドの貴公子”三杉淳が愛し、戦ったこの場所から、絶対王者・東邦学園の覇権を揺るがす新たなる野心家たちが産声を上げた。




新監督、兵藤の登場。彼の登場がようやくチームとして始動した武蔵に何をもたらすのだろうか!

※兵藤剛(ひょうどう つよし)は完全オリジナルキャラクターです。
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