キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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城星学園に1点リードされた武蔵中学、ハーフタイム、弥生がもたらした“三杉ノート”から自分たちのサッカーを思い出す武蔵イレブン!後半戦開始!


第44話 ニュー武蔵スタイル

都大会準決勝第2試合、後半戦。

1点を追う武蔵中学校ボールでリスタートが切られた。

火野から翼へ。翼はボールを持ちすぎず、ワンタッチで素早く本間へ。本間も球離れ良くナトゥレーザへ繋ぐ。ナトゥレーザから火野、火野から一ノ瀬へと、まるでピッチ全体が生き物のように連動し、瞬く間にテンポの良いパスが繋がれていく。

「な、なんだ……!? ターゲットが絞れない!」

城星学園は的を絞れず、自陣深くまで一気に押し込まれた。スタンドの松山が立ち上がり、目を見張る。

「こ、これは……俺たちが2年前に見た『武蔵FC』のサッカーだ! 全員が動き、パスを繋ぎながらゴールに迫る……武蔵の伝統スタイルだ!」

一ノ瀬から右サイドの開いたスペースへ絶妙なスルーパス。そこへ走り込んできたのは副主将の本間だった。

「あれは……本間君が得意にしていた右サイドからの力強い切れ込み!」

岬が声を上げる。

本間は深く抉って右足を一閃。正確無比なセンタリングが中央へ供給される。そこへDFを強靭なフィジカルでなぎ倒しながら、火野竜馬がドンピシャのタイミングで躍り出た!

ドガァッ!!

重厚なヘディングシュートがゴールネットを揺らす! 後半開始わずか2分、武蔵があっという間の同点ゴール!

火野はネットを揺らしたボールを抱え上げると、スタンドの東邦席へ向かって勝ち誇ったように人差し指を突き立てた。その先には日向小次郎がいる。

「あの野郎……」日向が苦々しく呟く。

電光石火で追いつかれた城星イレブン。

「くそっ、やられたぜ……」風見が歯噛みするが、10番の古川が拍手を叩いて鼓舞した。

「大丈夫だ! まだ追いつかれただけだ。やられたらやり返せばいい!」

城星ボールで試合が再開される。城星も負けじと華麗なショートパスの連続で武蔵陣内へと侵入を図る。

「一ノ瀬!」

「おう!」

一ノ瀬が身体を寄せて風見の自由を奪う。

「風見っ!」

古川の姿を確認した風見がボールを預けようとした瞬間、本間がパスカットを狙う素振りを見せた。風見が一瞬だけ躊躇した、その刹那——本間が叫んだ。

「今だ、真田!」

「でやあああああっ!」

真田信次が猛然とスライディングを仕掛け、完璧なタイミングでボールを狩り取る! こぼれ球を一ノ瀬が即座に回収。本間が前線へ駆け出していた。

(どれほどパスワークが見事でも、そこには必ず『攻撃の起点』が存在する。お前たちの起点は古川と風見だ! かつて三杉キャプテンが武蔵の絶対的起点だったように……そこを潰せば必ず勝機はある!)

本間が得意のドリブルで右サイドを上がる。中央では翼と火野が相手DFを引き連れて声を張り上げていた。

「翼と火野をマークだ! 絶対に通すな!」古川が叫ぶ。

(確かに翼君は今や『武蔵の顔』だ。だが……ここは『武蔵の象徴』に任せる!)

本間は中央ではなく、逆サイドへ向けて鮮やかなロングスルーパスを放った。

「行け、ナトゥレーザ!」

「任せな!」

左サイドでボールを受けたナトゥレーザが、爆発的なドリブルを開始。襲いかかる城星DF陣を軽やかなタッチで次々と交わしていく。

「俺が止める!」古川が立ちはだかるが、ナトゥレーザは滑らかなクライフターンで古川の逆を突く。

「何っ!?」

「古川!」

風見がカバーに詰めるも、ナトゥレーザは浮かせたボールを背中でいなす華麗なヒールリフトで風見の頭上を抜いた。そのまま飛び出してきたゴールキーパーまでもステップでかわし、無人のゴールへ優しくボールを流し込んだ。

ゴォォォォルッ!!

後半7分、武蔵中学校がついに逆転!!

歓喜の声を上げて背番号14へ駆け寄る武蔵イレブン。その光景を見つめていたスタンドの観客の中から、誰ともなく呟きが漏れた。

「……三杉だ」

「三杉淳の再来だ……!」

誰もが、圧倒的な閃きでピッチを支配するナトゥレーザの背番号14に、今は亡き天才・三杉淳の面影を重ね合わせていた。スタンドは大歓声に包まれ、声援は一気に武蔵へと傾く。

「まだだ! まだ終わっていないぞ!」古川が声を絞り出す。

「そうだ、まだ終わっちゃいない!」風見も叫ぶ。

城星学園のリスタート。古川は「風見!」と囮の声を出しながら逆サイドへパスを展開し、リターンをもらって本間たちの裏を突く。一瞬の判断の遅れを突かれ、古川&風見が再び武蔵ゴール前へ迫った。

その時、ピッチ外から田沢の大声が響き渡った。

「相川、耐えろ! まだ飛び出すな! 右に一歩寄れ!」

アドバイスを受けた相川が素早くポジションを右へ修正し、ニアサイドのシュートコースを完璧に潰した。

(ニアを防いだか……だが俺の狙いは最初からファーだ!)

古川が狙い澄ましたインサイドキックでファーサイドのサイドネットを狙う。誰もが同点ゴールを確信した瞬間——

ガァンッ!!

相川が超人的な跳躍力で空中へ飛び出し、長い手を伸ばしてボールを枠外へ弾き飛ばした!

「な……なにィ!?」古川が呆然とする。

クリアボールをスイーパーの井川が拾い、すかさず前線のナトゥレーザへ繋ぐ。

「ナイス大和!」

ナトゥレーザが振り向く。

「行くぞ、翼!」

「おう!」

自陣ゴール前から、翼とナトゥレーザの超高速ワンツーパスがスタート。城星イレブンは誰もそのパスラインに触れることすらできない。二人の次元の異なるコンビプレーであっという間に敵陣深くまで切り込み、翼がキーパーとの1対1を迎えた。

翼は冷静にキーパーの動きを見極めてかわし、静かにゴールへと流し込んだ。

ゴォォォォルッ!!

後半20分、3—1! 武蔵の勝利を決定づける3点目が決まった。

スタンドで見つめる松山が、胸を打たれたように呟いた。

「岬……翼とナトゥレーザのコンビプレー、かつての南葛のお前と翼の『黄金コンビ』にそっくりだぜ」

岬は珍しく感情の篭もった熱い眼差しで、ピッチの二人を見つめた。

「翼君……ナトゥレーザ君……」

その後、城星学園も意地の反撃を試みるが、武蔵の固いガードを破ることはできず、そのまま試合終了のホイッスル。

3—1。武蔵中学校が感動的な逆転勝利を収め、『関東大会進出』を決めるとともに『都大会決勝』への進出を果たした!

試合後、健闘を称え合う両チーム。

「負けたよ……完敗だ」古川が苦笑いを浮かべて手を差し出す。

「そんなことないよ。前半は完全に城星ペースだった」翼がその手を握り返す。

本間も晴れやかな表情で言った。

「そうさ。君たちのおかげで、俺たちは武蔵の本当のサッカーを思い出せた。ありがとう」

井川も汗を拭いながら笑う。

「本当にお前たちのパス攻撃にはひやひやさせられたぜ」

「3位決定戦、頑張れよ。関東大会でまた戦おう!」翼の言葉に、風見がニッと笑った。

「そうだな! 関東大会の最後の1枠は俺たちがいただく。次やるときはこうはいかないぜ!」

「おう、望むところだ!」真田が応える。

全力を尽くし切った両校に対し、西が丘のスタンドからは惜しみない拍手が送られていた。

その光景を見下ろしながら、松山が静かに語った。

「三杉淳が作り上げた『武蔵スタイル』に、翼、火野、ナトゥレーザの南米仕込みの個人技が融合した……『ニュー武蔵スタイル』の完成というわけか。面白くなってきた……相手に不足はない!」

松山の言葉に、東邦イレブン全員の目がギラりと光る。

東京都大会決勝戦——【東邦学園 VS 武蔵中学】。

宿命の二校による頂上決戦の舞台が、ついに整った。

 




武蔵スタイル(華麗なパスワークでゴールを奪う)に翼、火野、ナトゥレーザの南米仕込みの個人技が融合したニュー武蔵スタイルを武器に決勝まで勝ち上がった武蔵中学、遂に“絶対王者”東邦学園との決戦戦を迎えることに!武蔵中学の勝算は!?
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