キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜 作:ロンゲスト・ロード
東京都大会決勝戦——【武蔵中学 VS 東邦学園】。
ホイッスルとともに、ついに運命のキックオフを迎えた。
【武蔵中学 スターティングメンバー】
* GK: 12 相川大和(1年)
* DF: 3 真田正己(1年)、4 井川岳人(3年)、5 真田信次(3年)、2 広瀬拓海(2年)
* MF: 6 本間実(3年)、11 川村大介(1年)、14 ナトゥレーザ(1年)、10 大空翼(3年)
* FW: 9 火野竜馬(3年)、7 一ノ瀬明(3年)
前半開始のボールは東邦学園。
日向小次郎から反町一樹、反町からすぐさま司令塔の岬太郎へボールが渡る。岬はワントラップで前線へ浮き球を送り、左サイドの俊足・新田瞬へと展開した。
「ようやくあんたと対決できて嬉しいぜ! 俺の方が上だってことをわからせてやる!」
新田が爆発的な加速力で左サイドからドリブルを開始する。
スタンドから見守るのは、かつて南葛SCで翼と新田を育て上げた城山監督だ。眼差しを鋭くしてピッチを注視する。
しかし、右サイドの守備へ対応に入った翼は焦ることなく新田のスピードに追走。正確なポジショニングで、新田が得意とする「左サイドから中央への右足カットイン」のコースを完璧に消し、強烈なプレッシャーでそのままタッチライン際へと追い詰めていく。
(くそっ……右足で中に切り込めない!?)
得意の形を封じられ、スピードを殺された新田に対し、東邦の主将・松山光が大声で指示を飛ばす。
「新田、無理するな! 一旦下げろ!」
新田は苦し紛れにバックパスを選択。だが、その瞬間を狙っていた武蔵の副主将・本間実が猛然と飛び出し、ボールをインターセプト! そのまま得意の推進力で右サイドを一気に駆け上がった。
「来たぞ! 本間得意のサイドからの高速ドリブルだ!」
観客席が湧き上がる。東邦のDF陣がすかさずチェックに入ろうとするが、本間は寄せられる寸前、中央の翼へ正確な横パスを供給。
ボールを受けた翼がギアを上げてドリブルを開始する。だが、その正面に立ちはだかったのは東邦の精神的支柱・松山だった。
「ここは通さんぞ、翼!」
日本トップクラスの技術と戦術眼を持つ二人による、息をのむ1対1の応酬。
翼が細やかなフェイントで抜きにかかろうとしたその時、松山が突如として足元を滑らせ、体勢を崩した。
(あいたっ……!?)
その隙を見逃さず、一瞬で抜き去ろうと踏み込んだ翼。——しかし、それこそが松山の仕掛けた巧妙な「誘い」だった!
「もらった!」
松山は崩した体勢から驚異的な粘りで見事に軸足を戻し、翼のコースへ身体を滑り込ませてボールを奪い取った。ボールを奪うやいなや、即座に前線へ攻撃のタクトを振るう。
「行くぞ、反撃だ!」
松山の鋭いパスが武蔵の中盤を射抜く。武蔵のプレッシャーがかかる前にボールを受けた岬へ、武蔵の背番号14・ナトゥレーザが猛スピードで肉薄した。
「岬、悪いけど今日は敵だぞ!」
「それは僕も同じだよ、ナトゥレーザ君!」
ブラジル仕込みのしなやかなステップで迫るナトゥレーザに対し、岬も世界基準のキープ力で易々とボールを渡さない。互いに一歩も引かないハイレベルな攻防。そこへ、東邦のルーキー沢田タケシがサポートに駆け寄る。
「岬さん!」
「頼む、タケシ!」
岬から沢田へワンタッチでパスが渡る。沢田の前には、明和FC出身の1年ボランチ・川村大介が立ちはだかった。
「タケシ、お前に仕事はさせないぞ!」
だが、沢田は川村の寄せを嘲笑うかのように、意表を突いたダイレクトのキラーパスを武蔵の最終ラインの裏へと通した。
そこへタイミングよく抜け出したのは、エースの日向小次郎!
「もらったぁぁぁ!!」
日向が右足を一閃、地を這うような豪快なシュートが武蔵ゴールネットを突き破る!
東邦の先制かと思われたその瞬間——
ピーッ!!
副審のフラッグが高々と掲げられ、主審の笛が虚しく響き渡った。
「オフサイド!」
沢田がパスを放つ直前、武蔵の最終ライン(井川・真田信)が見事な連動で一斉に押し上がっていたのだ。
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる川村。対照的に、悔しそうに歯噛みする沢田。
「タケシ……お前の考えそうなことは、全部お見通しだぜ」
試合開始早々から、ピッチ上では両チームの意地と高度な戦術が交錯する激しい水面下の応酬が繰り広げられていた。
静かな火花を散らす両雄。
果たして、先に試合の主導権を握るのは東邦か、それとも武蔵か——!?
試合立ち上がりから激しい攻防を見せる両チーム、先にペースを握るのは!?
※次回は18時頃の更新予定です。お付き合いいただけるとうれしいです。