キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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武蔵VS東邦は、武蔵の川村(1年)の鮮やかなフリーキックが決まり武蔵が先制!反撃を試みる東邦だが、エース日向の左右の筋肉バランスのいびつさをつつかれ、反撃の糸口をつかめない。逆に武蔵のエースストライカー火野が追加点を奪う!追いつめられた東邦は!?


第50話 反撃

前半17分、武蔵中学のエースストライカー・火野竜馬の圧倒的な個人技によって追加点が奪われ、スコアは2—0。

火野を揉みくちゃにして沸き立つ武蔵イレブン。しかし、大空翼の「気を引き締め直すぞ!」という一言で、武蔵ナインはすぐさま冷徹な戦闘モードへと表情を戻した。

一方、激震が走っていたのは王者・東邦学園だ。

東邦四天王(日向、松山、岬、若島津)が入学して以来、公式戦で2点のビハインドを背負うなど初めての事態であり、ナインの顔には明らかに動揺と陰りが広がっていた。

その暗雲を切り裂くように、主将の松山光が力強い声を張り上げた。

「日向! これで分かっただろ! 敵は俺たちのことを徹底的に研究し、弱点を正確につついてきている。いつまで敵の思い通りにつきあうつもりだ!」

「……くそっ。悔しいが、お前の言う通りだぜ。あいつらは……最高の挑戦者だ」

日向小次郎が屈辱に唇を噛み締めながらも、ついに現実を認めて頷いた。松山は全員を見渡す。

「みんな、2点のビハインドが何だ! 俺たちの弱点をついてくるのが何だ! 俺たちは王者・東邦だぞ! これまで幾度となく挑戦者たちの壁となり、叩き潰してきたはずだ! まずは前半のうちに絶対1点を返すぞ! ディフェンス陣はこれ以上絶対に守り切れ! チャンスは俺たち中盤が作る! 仕上げはFWだ!」

「もう1点もやらん!」若島津が拳を握りしめる。

「日向さん! 岬さんと一緒に絶対にチャンスを作ります!」沢田タケシも目を輝かせた。

「行くぞ、みんな!」

「「「おうっ!!!!」」」

死角の消えた東邦ナインの鋭い気迫に、武蔵の主将・大空翼は心の中で静かに感嘆していた。

(……さすがだよ、松山君。チームをあっという間に戦う集団へ立て直してきたな)

東邦ボールで試合が再開される。

今度の東邦は焦ることなく、じっくりと中盤でパスを回しながら武蔵の隙を探る「チェンジオブペース」を選択した。その攻撃のテンポを変えるスイッチを入れたのは、右サイドへ回った新田瞬だ。

新田はボールを受けると、これまでのような直線的なドリブルではなく、武蔵の陣形を斜めに切り裂くような角度で切り込んでいく。

スタンドから見守る南葛SCの城山監督が、思わず身を乗り出した。

(そうだ、新田! それだ!……新田はサッカーセンスで言えば翼に劣るかもしれない。だが、あいつには天性のスピードと、自分の現状を素直に受け入れて即座に改善できる『柔軟さ』がある!)

斜めに切り込まれると、武蔵が徹底していた「左側からの追い込み」の効果が薄れ、東邦の他の選手がカバーに入りやすくなるのだ。

武蔵ベンチの兵藤剛監督が、感心したように顎を撫でた。

「ほう……この短時間で自分の現状を受け入れ、今できる最善のプレイを仕掛けてきたか」

「監督、敵なのに嬉しそうですね」隣の浅田ユリがクスリと笑う。

「向上心のある素晴らしい選手は、敵味方関係なく見ていて気持ちがいいものさ。……まあ、そう言っていられるのも、うちのチームにまだまだ『余裕』があるからだがね」

新田の斜めへの切り込みに対し、武蔵の1年DF真田正己が慌ててチェックに入る。その瞬間、新田は驚異的なスピードコントロールで急ストップ! 相手の逆をついて一気に縦の直線へとドリブルを切り替えた!

「なっ……!?」

体勢を崩した真田正己を置き去りにし、新田は武蔵ゴール深くへ侵入。ゴール前へ鋭いクロスを供給する!

そこへ飛び込んできたのは、エース・日向小次郎!

真田正己が釣り出されたことで武蔵のゴール前にスペースが生まれ、日向は得意の「右側」でボールを完璧に収めた。しかし——そこへ前線から驚異的な運動量でバックアップに戻っていた火野竜馬が立ちはだかった!

日向の視界に、立ちはだかる火野の背番号9が映る。

(右側なら……右足勝負なら絶対に負けねえっ!!)

日向は全身の体重を乗せ、得意の右足で強烈なパワー突破を試みた!

「ぬおおおおおっ!!」

ドカァッ!!

日向と火野、両雄のエースストライカーが右足の力勝負で真っ向から激突!

しかし——圧倒的な体幹と脚力で打ち勝ったのは、火野だった。日向の右足からの衝撃がそのまま全身へ跳ね返り、日向はパワーで完全に押し切られて豪快に芝生の上へと吹き飛ばされた。

「フッ……これで完全に勝負がついたな」

右足の真っ向勝負すら制した火野は、奪い取ったボールをすかさず前線のナトゥレーザへ通す。

「ナイスパス! それっ、翼!」

ナトゥレーザと翼による、武蔵の高速カウンターが発動しかけたその時——

「行くぞ、岬!」

「おうっ!」

松山と岬太郎が、まるでこの展開を前もって予想していたかのように連動して動き出していた!

岬が猛スピードでナトゥレーザに食らいつき、翼へのパスコースを完全に限定させる。そしてその一瞬の隙を狙い、松山が鋭い出足でインターセプト!

そのまま怒涛の推進力でドリブルを開始し、武蔵の中盤・本間と川村を鮮やかになぎ倒して置き去りにした!

(……味方の失敗を予想するような弱気な動きはしたくなかった。……だが、俺たちはここで負けるわけにはいかないんだ!!)

松山はペナルティエリア外、やや遠目の位置から右足を力強く振り抜いた!

ドグォッ!!

放たれたボールは地を這うような低い弾道を描き、猛スピードで武蔵ゴール右下へと突き進む!

武蔵の1年GK相川が必死の反応で横飛びし、懸命に手を伸ばすも——指先をかすめることすらできない!

突き刺さる……!!

グサッ!!

ネットを激しく揺らしたボールに、西が丘スタジアムが揺れた!

前半25分——東邦学園、キャプテン松山光の魂のミドルシュートで1点を返す!!【武蔵 2 — 1 東邦】

「「「やったあああああああっ!!!!」」」

息を吹き返した東邦ベンチとスタンドが大歓声に包まれる。松山は咆哮し、拳を高く突き上げた。

その後、攻勢を強める東邦と、翼&ナトゥレーザを中心に落ち着いてゲームをコントロールする武蔵の間で、目まぐるしい息の詰まる攻防が繰り広げられたが、互いに譲らずスコアは動かず——

ピッ、ピーーッ!!

前半終了を告げる主審の笛が響き渡った。

東京都大会決勝戦。武蔵中学が1点リード【2—1】のまま、決戦の舞台はいよいよ怒濤の後半戦へと向かっていく!

 




武蔵が2点をリードし、東邦が1点を返して後半戦へ!
ストライカー対決で火野に完敗した日向の様子は!?

※今日の投稿は終わりです。明日も投稿しますので、お付き合いいただけるとうれしいです。
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