キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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武蔵中学VS東邦学園の一戦は、武蔵が“絶対王者”東邦から立て続けにゴールを奪う。東邦も反撃を開始、松山のミドルシュートが決まり、前半を2−1で終えるのであった!!


第51話 ハーフタイム

前半25分に東邦の主将・松山光の魂のミドルシュートが決まり、スコアは2—1。武蔵中学の1点リードのままハーフタイムを迎えた西が丘スタジアムのスタンドでは、観客たちが熱い議論を交わしていた。

「武蔵がリードしたまま前半が終わったぞ! 遂にあの東邦の連勝記録もストップするんじゃないか!?」

「馬鹿言え、まだ前半が終わっただけだろ!」

「そうは言うけどよ、東邦のエースの日向は武蔵の火野に全く手も足も出なかったぜ?」

「だけど松山が1点返しただろ! 1点差なら後半でいくらでも逆転可能さ!」

その熱狂するギャラリーの一角に、激戦の千葉県大会を制して関東大会出場を決めた「東総学院」の姿があった。

日本サッカー協会の片桐宗正が、彼らを見つけ目を細める。

(あれは東総のキャプテン『千葉のヒーロー』村田、『千葉の頭脳』の里見、そして『黒豹』カマラ……。東総学院も強力な留学生を擁した補強で千葉を制してきたか)

ワイルドな風貌の村田が、頭の後ろで手を組みながら豪快に笑う。

「あちゃー、東邦がリードされてるじゃねえか。てっきり東邦の横綱相撲になると思ってたんだがな! 万が一東邦が東京2位で関東大会に出てきて、全国がかかった2回戦で当たるのだけは勘弁してほしいぜ!」

守備の要である里見が冷静にピッチを見つめながら口を開いた。

「武蔵も相当なチームだぞ、村田。わざわざ観に来て正解だったな」

ケニアからの留学生・カマラが不敵にニカッと白い歯を見せる。

「どこが出てきても勝つのは東総でーす! だろ、村田さーん!」

「ハハハハ! カマラの言う通りだ! 俺とカマラの『野獣コンビ』に『千葉の頭脳』里見がいる東総が勝ち、東京勢の天下を終わらせてやるぜ!」

一方、東邦学園のロッカールーム。

武蔵にリードを許し重苦しさが漂う室内で、指揮官・北詰誠監督が静かにイレブンを見渡した。

「よし……よく1点返した。まだまだ試合はこれからだ。後半の修正だが……反町、よく走ってくれたな。後半は頭から小池で行くぞ」

選手たちに緊張が走る。北詰はホワイトボードの磁石を動かした。

「中盤の枚数を厚くして、まずはセカンドボールを徹底的に拾う。そこからツートップの新田と日向で仕留めるんだ。敵は依然として左側から圧力をかけてくるだろうが、ツートップになることで生まれたスペースを広く使え」

「「はいっ!」」

北詰は続けて、中盤の核である二人に視線の力で伝える。

「あと、岬に沢田。お前たちもゴールが見えたら迷わずどんどんシュートを打っていけ。……そして、日向」

急に名前を呼ばれ、下を向いていた日向小次郎が顔を上げた。北詰の鋭い眼光が、真っ直ぐに日向の瞳を射抜く。

「この試合、どんな結果になろうとも……俺はお前を信じる。お前がうちの絶対的なエースストライカーだ。……だがな、もしストライカーらしからぬ弱気なプレーや甘さが見られたら……即座に交代だぞ」

信頼と、退路を断つ厳しい愛の言葉。北詰の不退転の言葉に、日向は拳を強く握りしめた。

「……はいっ!!」

主将の松山が立ち上がり、全員の顔を見回して吼えた。

「1点差くらいすぐに追い付いて逆転だ! 勝つのは俺たち東邦だぞ!」

「「「おうっ!!!!」」」

同じ頃、武蔵中学のロッカールームでは、兵藤剛監督が落ち着いた笑みを浮かべて選手たちを労っていた。

「よし、お前たち上出来だ。後半もこのままペースを握りたいところだが……おそらく敵も戦術を変えてくるはずだ」

ボランチの川村が身を乗り出す。「戦術変更、ですか」

「ああ。向こうは、前半セカンドボールが全く拾えていなかったからな。FWを1枚下げて中盤の選手を入れてくるだろう」

副主将の本間実が尋ねた。

「向こうは……不調の日向を下げますか?」

兵藤は首を横に振った。

「そうしたいところだが、日向を下げるということは東邦がこの試合を捨てたことを意味する。そして……新田のように自分の現状を受け入れ、今できることに徹することができるのが東邦というチームの本当の強みだ。だから日向は下げない。いや……下げられないだろう」

一ノ瀬が頷く。「となると……下がるとしたら反町か」

兵藤は腕を組み、今度は翼とナトゥレーザに向き直った。表情が鋭い勝負師のそれに変わる。

「翼、ナトゥレーザ。あのシュートを打っても構わん。……ただし! ナトゥレーザは1回だけ。翼はこの試合、上限『2回』までだ。万が一の延長戦もあるかもしれん。使い所はよく考えるんだぞ。回数を越えて放った場合は、即交代だ」

「えっ!?」と一瞬驚くナトゥレーザに、兵藤は厳しいトーンで続けた。

「この試合だけで燃え尽きて、続く関東大会で敗退して全国大会を逃したら、それこそ何の意味もないからな。目指すは全国制覇だ」

ナトゥレーザがニコリと笑う。「わかったよ、監督!」

翼も深く頷いた。「分かりました。本当の勝負所のみで使います」

エースの火野竜馬が不敵に胸を叩く。

「大丈夫だ翼、あれが使えなくたって俺のシュートがある!」

「そうだ、俺たちも全力でサポートするぞ!」本間が笑う。

「俺たちを頼ってくれよ、キャプテン!」井川も親指を立てた。

頼もしい仲間の言葉に、翼の胸が高鳴る。

「みんな、ありがとう! 残り30分、絶対に集中力を切らすな! 30分後には……俺たちが東京チャンピオンだ!!」

「「「おうっ!!!!」」」

怒号のような歓声とともに、武蔵イレブンが元気よくロッカールームからピッチへと飛び出していった!

東京都大会決勝戦——絶対王者・東邦学園対最高の挑戦者・武蔵中学。

1点差の緊張感の中、運命の後半戦が今、始まろうとしていた!

 




後半戦に向けて激しい心理戦が繰り広げられる両校。後半は日向の爆発はあるのか!?

※本日も2話投稿します。次は18時頃投稿予定です。お付き合いいただけるとうれしいです。
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