キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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関東大会2回戦を前に圧倒的な強さを見せた江ノ島中学の対策を練る武蔵中学サッカー部。果たしてその対策は吉と出るのか凶と出るのか!?


第62話 探り合い

関東中学校サッカー大会2日目。

西が丘サッカー場には、昨日を遥かに凌ぐ熱気と緊張感が満ちていた。

今日行われる準々決勝の4試合は、勝てばその時点で無条件に全国大会(全中)への出場権を獲得できる運命の大一番。スタンドを埋め尽くした保護者や校友たちの応援にも、自ずと熱がこもる。

第1試合、武蔵中学校vs江ノ島中学校。

ウォーミングアップを終えた武蔵中ベンチでは、兵藤監督とロベルト本郷を中心に昨夜のミーティング内容の最終確認が行われていた。

一方、江ノ島中のベンチでは、主将の江口大翔が声を張り上げた。

江口大翔

「全員、集合!」

ベンチ前に集まった選手たちを前に、顧問の瀧本が静かだが熱の籠もった声で語りかける。

瀧本

「マークする相手は、昨日話した通りだ。一瞬たりとも自分のマークを怠るなよ」

江口大翔

「大丈夫だな、みんな」

山村颯

「楽勝でしょ。なあ、マー坊」

加藤雅人

「おう、俺たちに敵うやつなんかいねえよ」

軽口を叩き合う1年ツートップに対し、守護神の赤城が鋭い眼光を向けた。

赤城純

「お前たち、相手を侮るなといつも言っているだろうが」

瀧本

「純、まあいいじゃないか。颯と雅人の、相手が誰だろうと物怖じしないところは2人の良い部分だ。それをカバーするのが先輩の務めだろう? お前だって、1年の頃は失点のたびに号泣して龍也にフォローしてもらっていたじゃないか」

瀧本の思いがけない暴露に、ピンと張り詰めていた江ノ島ベンチの空気が一瞬で和らいだ。山村がニヤリと口元を緩める。

山村颯

「へー、赤城さんにそんな過去があったんすか」

赤城純

「せ、先生! 昔の話じゃないですか……!」

顔を真っ赤にする赤城を見て、江口が感慨深そうに笑う。

江口大翔

「そうだったな……。でも俺だって、江ノ中で先生に出会ってなきゃ、今頃毎日喧嘩に明け暮れてたかもしれん。お前たちとこうしてサッカーするのが、楽しくてたまんないんだよ」

石川亘

「何言ってるんすか、大翔さん。まだまだこのメンバーでサッカーを続けますよ」

藤原彰

「今日勝って、全国行きを決めましょう」

瀧本

「そうだぞ。去年の龍也たちのチームも強かったが、今年のチームはそれ以上だと思っている。悔いを残さないよう、精一杯楽しんでこい!」

そこへ、1年生マネージャーであり江口の妹でもある翔子が腕を組んで割り込んできた。

江口翔子

「そうだぜ! うちの兄貴より気合入った奴なんか、東京の代表にいるわけないんだからさ! ビシッと決めてこい!」

江口大翔

「ったく、翔子……お前の言葉遣い、もう少し女の子らしくできねえのかよ。……よし! 翔子の言う通り、ビシッとこの試合決めるぞ!」

一同

「おう!!」

主審の長笛が西が丘の空に響き渡り、武蔵中ボールでキックオフ。

試合開始直後から、武蔵は兵藤監督の指示通り、ボールを保持しすぎない展開を選択する。ワンタッチ、ツータッチの素早いパスワークでテンポよくボールを動かし、江ノ島の激しいマンマークに標的を絞らせない。

ボランチの本間がスムーズに右サイドの開いたスペースへ抜け出し、得意のドリブルで推進力を生み出す。すかさず江ノ島のディフェンスが寄せてきた瞬間、本間は淀みない動作で中央の大空翼へバックパス。

ボールを受けた翼は、一切の躊躇なく右足を振り抜いた。

ドカッ!

ドライブシュート——。

美しい軌道を描いて舞い上がったボールは、急激なトップスピンを帯びて江ノ島ゴールの枠内へ吸い込まれるように急降下を開始する。

だが、江ノ島の大型GK赤城純は動じなかった。

シュートが放たれた瞬間にゴールラインギリギリまで深く下がると、落ちてくるボールの軌道とタイミングを完全に予測。トップスピンがかかって手元で急変する直前、185cmの長躯を伸ばして上空で待ち構えた。

バシィッ!!

高所からボールを力強く叩き落とす、バレーボールのスパイクのようなブロック。

相川

「あれは……バレーのスパイクだ!」

武蔵のベンチで1年生GKの相川が息を呑む。

落下したボールを自ら抑え込んだ赤城は、西が丘のスタジアムに響き渡る声で吠えた。

赤城純

「どんなシュートだろうと、俺が止める!!」

すぐさま赤城が投げ渡したボールから、江ノ島が電光石火のカウンターを繰り出す。短いパスを素早くつなぎ、ボランチの位置に上がっていたキャプテン江口へ。

江口は前線へダイナミックなロングフィードを供給。ターゲットは1年ツートップの山村と加藤だ。

左サイドでボールを受けた山村が、突っ込んできた武蔵の左SB真田正己を軽やかなステップで簡単にかわし、ノーマークの中央スペースへ鋭い横パスを出す。

山村颯

「行け、マー坊!」

いつの間にか走り込んでいた加藤が、ダイレクトで足を振る。ゴールへ吸い込まれかけたシュートだったが、間一髪のところでCB井川が身を投げ出してブロックし、難を逃れた。

開始早々、緻密なパスワークから脅威のミドルを放った武蔵と、たった1本の縦パスから一気にゴールへ迫った江ノ島。

お互いに手の内を探り合う立ち上がりは、まさに互角。

ゲームの主導権を最初に握るのは、どちらか——。

 




神奈川代表校ということで、単なるかませ犬の学校ではないように考えました!この後の試合展開をお楽しみにください!
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