キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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翼のドライブシュートを止めただけでなく、素早いカウンターで武蔵ゴールに迫る江ノ島中学、序盤から目の離せない展開に、先に主導権を握るのは!?


第63話 真っ向勝負

関東大会準々決勝、武蔵中学対江ノ島中学の戦いは、立ち上がりから一進一退の息詰まる攻防が続いていた。武蔵は序盤、翼の必殺・ドライブシュートを解禁したものの、江ノ島の大型GK赤城によって見事に防がれてしまう。

武蔵ベンチで、兵藤監督が腕を組んで眉をひそめた。

兵藤監督

「やはり、向こうはドライブシュート対策を完璧に頭に入れていたようだな。……しかし威力を抑えていたとはいえ、あそこまで綺麗に叩き落とすとは。あいつ(赤城)、一体どんな鍛え方をしているんだ」

一方、自信に満ちた笑みを浮かべるのは江ノ島ベンチの瀧本監督だった。

「ふふっ……純はああ見えて、体のキレと敏捷性が抜群なんだよ。100メートルを走らせたら必ず学年トップ10に入るし、ハンドボール投げは学年ダントツの1位さ。……うちはサッカーの戦術に慣れていなくとも、他のスポーツをやらせたら学年上位に入るような運動神経の塊がゴロゴロいる。高度な組織戦術などに頼らずとも、あいつらはその素の身体能力でそれを凌駕してみせるのさ」

ピッチ上では、武蔵GK相川のゴールキックからリスタートされた。

空中戦の競り合いは武蔵のFW火野竜馬が力で勝利する。しかし、セカンドボールへの反応速度と出足の鋭さで江ノ島中が上回った。こぼれ球を拾った江ノ島は、すぐさま中央の主将・江口大翔へボールを預ける。

すかさず翼たちが取り囲むようにチェックへ入るが、江口は一切慌てない。

江口大翔

「へっ……俺にそんだけ人数をかけてくれりゃあ、他がガラ空きだぜ!」

江口はプレッシャーをいなし、逆サイドの広いスペースへ鋭いロングパッセージを通す。その先へ走り込んでいたのは、1年生FWの加藤雅人だ。

加藤雅人

「ナイス、大翔さん!」

加藤が得意の高速ドリブルで縦へ仕掛ける。だが、その進路を迅速にカバーに入ったのは武蔵の14番、ナトゥレーザだった。

ナトゥレーザ

「君、脚はかなり速いね。……じゃあ、テクニックの方はどうだい?」

加藤雅人

「上等だ、この野郎!!」

加藤は懸命に細かなステップを踏んで仕掛けるが、ナトゥレーザの懐の深いディフェンスを崩せない。さらに武蔵のMF向井も挟み込みに加わり、ボールを奪われかけたその瞬間——横から疾風のように走り込んできたのは、相棒の山村颯だった。

山村颯

「マー坊、横だ! よこせ!」

加藤からの短いダイレクトパスを受けた山村は、ワントラップで前を向くと、躊躇なく武蔵のゴール前へ絶妙なクロスを供給する。

そこへ後方から走り込んできたのは、江ノ島のエース・藤原彰。

背後から送られてくるロングボール。前立ちは武蔵のCB真田信次。藤原はランニングのスピードを一切緩めず、ボールの軌道に合わせ込むと——背走しながらの体制から、ノートラップでダイレクトボレーを叩き込んだ!

ドカァン!!

虚をつかれた武蔵ディフェンス陣。GK相川も完全に一歩も反応できず、ボールは鋭い軌道を描いて右サイドネットへ突き刺さった。

前半7分——1 - 0。江ノ島中学が鮮やかな連携から先制点を奪い取る!

山村&加藤

「さすが彰さん!!」

歓喜に沸く江ノ島ベンチとスタンド。対照的に、一瞬の隙を突かれて失点した武蔵イレブンには落胆の色が走る。

真田信次

「くそっ……やられたぜ!」

広瀬

「背走しながらのノートラップボレーなんて……翼キャプテンや火野さん、ナトゥレーザくらいしかできないような超高等テクニックだぞ……!」

相川

「すみません……俺がもっとしっかり準備しておけば……」

下を向く1年GKの相川に対し、3年の井川が落ち着かせようと声をかける。

井川

「いや、大和(相川)のせいじゃない。あの10番(藤原)が凄すぎるんだ。あっちにも、翼クラスのセンスを持ったバケモノがいるってことだ」

そこへ、背番号10のキャプテン大空翼が手を叩きながら歩み寄ってきた。

大空翼

「そうだね。どうやら向こうのキーパーもドライブシュート対策をしっかりしてきたみたいだ。それに、監督の言う通りプレスもなかなか効かない。……ここからは、マンマークの真っ向勝負だ!」

火野竜馬

「フッ、わかりやすくていいじゃないか。要は相手より多く点を取って、負けなければいいだけだろ」

大空翼

「やられたらやり返すぞ、みんな!」

一同

「おう!!」

武蔵の集中力が一段ギアを上げた。

試合再開。武蔵は兵藤の授けたロジック通り、ワンタッチ・ツータッチの高速パスワークで江ノ島1年ツートップの猛烈なプレッシングを鮮やかにいなしていく。ボールは左サイドで張っていたナトゥレーザへ。

ナトゥレーザがドリブルを開始。軽やかなステップで江ノ島の選手を次々と抜き去っていく。そこへ、バック走で驚異的な粘りを見せた加藤が食らいつく。

加藤雅人

「させねえぞ……ッ!」

しかし、ナトゥレーザのブラジル仕込みの変幻自在なテクニックが加藤を翻弄し、一瞬で置き去りにする。すかさずフォローに入った山村がボールを奪いに飛び込んでくるが、ナトゥレーザはその動きすらあらかじめ予見していた。

ナトゥレーザ

「君たち……2人で1人だろ?」

ナトゥレーザは山村の足が届く直前、フワリと中央のペナルティエリア前へ浮かしたパスを送る。そこへ走り込んできたのは、大空翼!

目の前に立ちはだかるのは江ノ島DFの石川。後ろからエース藤原の指示が飛ぶ。

藤原彰

「亘、打ってくるぞ!!」

翼は迷わず足を振り抜き、ノートラップで力強いボレーシュートを放つ。ボールは江ノ島ゴール左隅へ一直線に飛んでいく。

江ノ島の大型GK赤城は、すでに完璧なレスポンスでシュートコースへ跳んでおり、ボールを叩き落とす体勢を整えていた。

——だが、その直前。

ボールは赤城の手前で不自然に失速し、急激にブレーキがかかって地上へポトンと落ちた。

翼がかけた回転はトップスピンではなく、強烈なバックスピン——!

赤城純

「何……!? パスだと……!?」

翼の狙いはシュートではなく、ゴール前へのラストパスだったのだ。赤城の手前で失速してバウンドしたボールの元へ、弾丸のように飛び込んできたのは火野竜馬!

火野竜馬

「でやあああッ!!」

空中へ完璧に体勢を崩された赤城には、もはや反応する術がない。火野の豪快なダイレクトシュートが、無人のゴールネットを激しく揺らした!

ゴォォォール!!

前半10分——1 - 1。

江ノ島の先制からわずか3分後、武蔵中学が速攻で試合を振り出しに戻してみせた!

今度は武蔵イレブンが歓喜の輪を作る。

まんまと裏をかかれて悔しさに顔を歪ませる赤城、そして歯噛みする1年コンビの山村と加藤。

その横で、汗を拭いながら引き上げていく江ノ島のエース藤原彰だけが、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。

(大空翼……本物だ)

互いの手の内を晒し、凄まじい技術と回答を突きつけ合う両校。

試合はまだ、前半の10分を過ぎたばかりだった。

 




相手が強ければ強いほど燃える男、翼たちの本領発揮でした。同点となった両チーム、先に勝ち越すのはどっち?

※本日の投稿は、これで終了です。明日も3話投稿の予定です。お付き合いいただけるとうれしいです。
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