キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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武蔵中学VS江ノ島中学の全国行きをかけた戦いは、武蔵が1点リードして折り返した。全国行きをかけた運命の後半戦が始まろうとしていた。


第66話 逆点ゴール

全国大会への切符をかけた関東大会準々決勝、武蔵中学対江ノ島中学の後半戦が始まった。3-2と武蔵1点リードで迎えた後半、リスタートは江ノ島ボールから。

キックオフのボールを受けた1年生FW加藤から藤原へ。藤原はダイレクトでアンカーの江口へボールを預けると、自らは一気に前線へと走り出した。

武蔵ベンチで兵藤監督が目を見張る。

兵藤監督

「10番(藤原)はゲームメイクを6番(江口)に完全に任せ、自らフィニッシャーとして点を取りに行ったか……!」

江口大翔

「へっ……俺のやることは変わらん!」

江口の正確なロングフィードが前線へ飛ぶ。縦へスプリントした加藤の足元へピタリと収まった。加藤はすぐさまリターンを相棒の山村へ。山村もワンタッチで加藤へ戻す。1年ツートップの息の合った高速コンビプレイで、武蔵陣内へ果敢に侵入していく。

武蔵ディフェンス陣も声を掛け合い、即座に手堅いブロックを築く。

前方を阻まれ、強引な進路を絶たれた山村と加藤。しかし、その手前にはフリーの江口が位置取っていた。本来なら江口にマークがつくはずの翼だったが、後半から藤原が翼のマンマークについたことで、武蔵のチーム内で一時的にマークの受け渡しに混乱が生じていたのだ。

江口大翔

「颯、戻せ!」

山村は迷わずバックパスを江口へ戻す。

その瞬間、山村と加藤の2人が中央へ勢いよく斜め走り(ダイアゴナルラン)を仕掛けた。そこへ江口からの楔(くさび)のパスが再び入る。

だが、2人は前を向いてシュートを狙うのではない。武蔵のCB井川と真田信次の直前でガッチリと自らの身体を「壁」にして武蔵ディフェンス陣の動線を完全に遮断したのだ!

真田信次

「なっ……こ、こいつら!?」

井川

「クッ……!」

山村&加藤

「彰さん! 道は作りましたよ!!」

藤原彰

「上出来だ!」

2人が作った人間ドックのような狭い隙間から、背番号10・藤原彰が電光石火のスピードでスリ抜けていく。武蔵の強力CB陣を力技ではなく「連携の死角」で完璧に置き去りにし、GK相川との1対1へ持ち込んだ。

藤原は飛び出してくる1年GK相川の重心と動向を極めて冷静に見極め、滑らかなタッチでその飛び出しをフワリとかわすと、無人のゴールへ球を流し込んだ。

ゴォォォール!!

後半6分——3 - 3!

江ノ島中学がまたしても試合を振り出しに戻してみせた!

藤原のあまりにも優雅で圧倒的な妙技に、西が丘のスタンドが騒然となる。

「なんだ今のプレイは!?」

「あの狭い壁の間をすり抜けていきやがった!」

「藤原彰……! 武蔵相手に一歩も引いてないぞ!」

自陣へと戻る際、藤原はすれ違いざまに大空翼へ静かに話しかけた。

藤原彰

「追いつきましたよ」

その言葉を受けた翼の瞳に、ギラリと蒼い炎が宿った。

武蔵ボールで試合が再開される。

しかし、ここから試合は重苦しい膠着状態へと突入する。

前半の反省からマークの受け渡しの混乱を修正した武蔵は、組織的なブロックを再構築。江ノ島の誇る快足ツートップ(山村&加藤)がスピードに乗って侵入してきても、最後の決定的な局面だけは決してやらせない。

対する江ノ島中も、翼に密着マークでついた藤原が超人的なレスポンスで対応し、翼に決定的な仕事をさせない。さらに、もう一人の天才ナトゥレーザに対しても、1年の加藤と山村が執念とも言えるダブルチームで食らいつき、その自由を奪い続けていた。

そして——試合が動いたのは後半18分。

武蔵のパスワークに、ほんの一瞬のミスが生まれる。

江ノ島中の前線からの激しいチェイシングに追われ、武蔵の川村から向井への横パスがわずかに短くなった。その隙を逃さず、中盤の江口が足を出してインターセプト!

江口大翔

「もらったァ!」

千載一遇のチャンスと見るや、前線の山村、加藤、そして藤原の3人が一斉にスプリントを開始する。先ほど山村と加藤が見せた「身体を張った壁」の残像が頭をよぎり、武蔵ディフェンス陣は狙いを絞り切れず、思わず足が止まってラインを下げてしまった。

前線の3人が左右へワイドに広がったことで、中央の江口の前に広大なシュートコースがぽっかりと空く。

その瞬間、江口と藤原の視線が交錯した。言葉のないアイコンタクト。

江口はペナルティエリア外から、思い切り右足を振り抜く。抑えの効いた強烈なミドルシュートが武蔵ゴールを襲う!

武蔵GK相川が体一杯に伸ばして必死に跳び上がるが、ボールは指先をかすめてその頭上を越えていく。

ガンッ!!

激しい金属音が響き、ボールは無情にもクロスバーを強く叩いた。

跳び上がった相川の体勢は完全に崩れている。そして弾き飛ばされたボールが落ちていくその落下地点へ……誰よりも早く走り込んでいたのは、藤原彰だった!

落ちてくるボールの軌道を完璧に読み切っていた藤原は、身体を捻りながら鮮やかなダイレクトボレーを叩き込んだ!

ドガァァァン!!

後半19分——4 - 3!

江ノ島中学、ついにこの試合二度目の勝ち越し! 逆転!!

武蔵ベンチで一ノ瀬が驚愕の声を上げる。

一ノ瀬

「あ、あれは……前半に見せた翼とナトゥレーザのプレイじゃないか……!?」

歓喜の渦に包まれる江ノ島ベンチ。その中で、瀧本監督だけが腕を組み、満足そうに深々と頷いていた。

(あいつら……長時間の退屈な反秘練習は大嫌いだからな。遊んでいる感覚でボールコントロールと足腰を鍛えさせるために、学校近くの海岸でやってきたビーチサッカーの成果が……この土壇場で出たか!)

不揃いな砂の上で培われた跳ね返りへの異常な感性と、土壇場でのアイデア。

武蔵中学対江ノ島中学の激戦は後半に入っても一歩も引かない点の取り合いとなり、藤原彰の圧巻のハットトリックによって、ついに江ノ島中学が試合をひっくり返した!

残された時間は、あと10分強。

全国大会出場へ向け追い詰められた武蔵中学に、果たして再度の反撃を行う力は残されているのか——!?




本日の投稿は、これで終わりです。本来は週末に投稿しますが、明日は予約投稿しますので明日も投稿します。お付き合いいただけるとうれしいです。
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