キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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関東大会準決勝が行われる前に全国行きを決める代表決定戦が行われ、江ノ島中学が大宮市立第二中学を破り、全国行きを決めるのであった!


第72話 吉良の影

関東大会3日目。

第一試合の代表決定戦は、神奈川1位の江ノ島中学がその圧倒的な強さを見せつけて大宮二中に完勝し、見事に全国大会への切符を掴み取った。

そして最後の全国枠をかけた第二試合、明和東中学(埼玉)対京浜中学(神奈川)の試合が始まろうとしていた。

スタンドで両校のウォーミングアップを見つめる武蔵中学サッカー部の面々。

「明和東は、やはり明和FC出身者が多いな」

一ノ瀬がピッチを見下ろしながら呟くと、翼が隣の川村大介に視線を向けた。

「大介にとっては、先輩たちの試合だな」

しかし、振られた川村の表情はどこか晴れない。

「はい。先輩たちには試合に勝って、全国行きを決めてほしいんですが……」

視線を落とし、言葉を濁す川村に本間が首をかしげる。

「どうした? 何だか歯切れが悪いな」

「何というか……明和FCの吉良監督の荒っぽさを、そのまま引き継いでいるのが……」

川村の言いづらそうな様子に、本間は納得したように頷いた。

「なるほど、反則覚悟のラフプレーが多いということか……」

兵藤監督が腕を組み、厳しい眼差しでピッチを見つめる。

「そうだ。昨日の試合は城星学園が勝利したが、城星の司令塔・古川が明和東のアフターチャージを受けて負傷退場している。勝つための執念といえば聞こえはいいが、相手に怪我をさせてまで勝てばいいというのは間違っている」

「ええーっ!? そしたら古川のやつ、今日の準決勝には出られないってことか!?」

真田信次が驚き声をあげる。フィジカルコーチの浅田ユリが冷静に補足した。

「それは分からないわ。ただ、仮に出場できたとしても、万全の状態でないことは確かね」

DFの井川岳人が眉をひそめる。

「東邦相手に古川抜きじゃ、さすがの城星も厳しいな……」

武蔵中の冷静な分析をよそに、主審のホイッスルが響き、第二試合が開始された。

試合は、武蔵中の分析通り……いや、それ以上に凄惨な展開となった。明和東の牙は立ち上がりから容赦なく京浜中学に襲いかかる。球際での激しいコンタクト、主審の死角を突いた肘打ちやアフタータックル。それが偶然なのか故意なのか判別がつかない絶妙な悪質さで、京浜中学のキープレイヤーたちに厳しいチェックが入る。

そして前半12分、ついに決定的な瞬間が訪れる。明和東の激しいダブルタックルを受け、京浜中学のエースストライカーがピッチに激しく叩きつけられた。激痛に顔を歪め、そのまま立ち上がることができず、無念の負傷退場。

攻撃の要を失った京浜中学は動揺を隠せず、次第に明和東の泥臭くも怒涛の圧力に呑み込まれていく。

前半16分、京浜陣内深くでこぼれ球を拾った明和東の沢木昇が、強烈なミドルシュートを叩き込んで先制!

さらに前半20分には、主将の成田国明がコーナーキックからの混戦を押し込み、追加点を奪う。

前半終了:明和東 2 - 0 京浜

ハーフタイムを迎えると同時に、武蔵中学のメンバーは第三試合の準決勝に備えてウォーミングアップを開始するため、スタンドから控室・グラウンドへと移動を開始した。

後半に入っても、試合の流れが変わることはなかった。エースを欠き、明和東の執拗なラフプレーに恐怖心を植え付けられた京浜中学は、本来の伸びやかなサッカーを展開できない。

後半15分、再び前線のこぼれ球を押し込んだ沢木がこの日2点目となるゴールを決め、3—0とリードを広げる。

終了間際、京浜中学も意地の1点を返して意地を見せたが、反撃もここまで。

ピッ、ピッ、ピッピーッ!

試合終了:明和東 3 - 1 京浜

エースの負傷退場が重く響いた京浜中学を下し、明和東中学が最後の全国大会出場枠を力ずくで強奪してみせた。

駒沢陸上競技場の関係者席から、その凄惨な一戦を重苦しい表情で見つめていた男がいた。日本サッカー協会の片桐宗正である。

片桐がふと、勝利に湧く明和東の応援スタンドの隅に視線を送ると、そこに立つ一人の男の姿に目を疑った。

(吉良耕三……! なぜここに……?)

日焼けした顔に酒の匂いを漂わせそうな、破天荒な名将の姿。

(いや……明和東は明和FC出身者が多い。元明和の監督が教え子の応援に来ていても不自然ではない。しかし……明和東のあの勝つためなら手段を選ばないサッカー……奴が何らかの影響を与えていることはないだろうな?)

片桐の脳裏に、東邦学園へと去ったかつての愛弟子・日向小次郎の顔が浮かぶ。

(沖縄に行かなかった日向への復讐か? だが、この関東大会の組み分けでは、明和東が東邦と当たることはない。……どちらにせよ、吉良耕三の狂気とも言える執念と因縁は、このまま全国大会まで続くということか……)

胸に去来する漠然とした不安を振り払うように、片桐は大きく息を吐き、思考を切り替えた。

グラウンドでは、いよいよ本日の第三試合——武蔵中学対東総学院の準決勝が始まろうとしていた。

 




やはり沖縄からやって来ました吉良耕三!吉良耕三の目的はどこにあるのか!?
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