キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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代表決定戦第2試合 明和東中学VS京浜中学は明和東が故意か偶然かわからないが京浜中学のエースプレイヤーが負傷退場し、明和東がペースを握り続け、代表決定戦に勝利した。明和東中学には吉良耕三の影もちらつき、不穏な空気を漂わせるのであった!?


第73話 誘導

関東大会3日目、駒沢陸上競技場。

順位決定戦の2試合が終わり、昨日の準決勝進出校(武蔵、東邦、東総、城星)に続き、敗者復活を果たした2校(江ノ島、明和東)を加えた全国大会出場校・全6校の顔ぶれがすべて出揃った。

ここからは、関東の頂点を懸けた「覇者」を決める戦い。

準決勝・第一試合、武蔵中学対東総学院のキックオフが目前に迫っていた。

メインスタンドの観客席には、試合直前に会場に姿を現した東邦学園のイレブンが陣取っていた。

「第一、第二試合の勝者は江ノ島と明和東か……これで俺たちも含めて、関東からの全国出場6校が確定したな」

松山光が腕を組みながらピッチへ視線を送る。隣に立つ岬太郎が頷いた。

「そして、武蔵と東総の勝者が明日、僕たちと試合をするわけだね」

「そりゃ武蔵でしょ!」

語気を強めたのは新田瞬だ。

「あいつらに勝ってもらわないと、都大会の借りを返せないじゃないですか!」

「新田の言う通りだ」

松山が静かに、しかし力強く言いきる。

「俺たちの相手は武蔵でないといけないんだ。……だが、すでに全国を決めているとはいえ、カマラを擁する東総も油断できないチームであることは間違いないぞ」

ライバルたちの熱い視線が注がれる中、主審のホイッスルが駒沢の空に響き渡った。

「ピッピーッ!」

武蔵中学 vs 東総学院、キックオフ!

東総ボールでスタートした試合。FWの村田が中盤にボールを託すと、自身は一気に武蔵ゴール前へと駆け上がっていく。

しかし、武蔵イレブンは動じない。前線から連動した素早いプレスをかけ、東総の中盤からあっさりとボールを強奪してみせた。

ボールを収めた大空翼は、ピッチ全体を一瞬で俯瞰する。

(東総の中盤の支配力は弱い……! ならば——)

翼は電光石火のドリブルで東総陣内へ侵入。だが、ここから力任せの強行突破ではなく、緻密なパスでの切り崩しを選択した。ナトゥレーザへの素早い横パス。

そこへ、東総の“千葉の頭脳”と呼ばれるMF里見が必死の反応で割り込み、パスをインターセプトした。

「もらった!」

里見がカットしたその瞬間——トップの火野竜馬が猛然と里見へプレスをかけ、さらにナトゥレーザと翼が完璧なトライアングルで里見を囲い込んだ。

「くっ……!?」

里見は追い詰められ、プレッシャーに耐えかねて前線へ逃げのロングフィードを放つ。

ボールは前線で長いリーチを誇るモンスターFW・カマラを目がけて飛んでいく。カマラが巨体を躍らせてボールを収めようとした、まさにその瞬間——!

バシィッ!!

背後から完璧なタイミングで飛び込んだ武蔵のDF・井川岳人が、寸分の狂いもない強烈なタックルでボールを奪い取った。

「な……何!? まさか……誘導されたのか!?」

里見は目を見開いて戦慄した。

武蔵は東総の中盤でボールを回し、わざと里見にカットさせて前線へのロングボールを「蹴らせた」のだ。カマラへの供給ルートを限定し、待ち構えていた井川が狙い澄まして潰す——東総自慢の縦への推進力が、完璧に封じ込められた瞬間だった。

武蔵の緻密な仕掛けに東総陣営に大きな動揺が走る。武蔵はその隙を見逃さない。

ボールを拾った井川がすぐさま本間へ託し、本間から中盤の川村大介へ。スムーズなダイレクトパスの連続で東総の守備陣が完全に後手に回る。

川村から前線へ、絶妙な浮き球のパスが送られた。

背走しながらボールの軌道に入った翼。ボールがピッチに落ちる手前、身体を鋭く捻ると、ノーバウンドのまま右足を振り抜いた!

ドゴォン!!

「なっ……ノートラップボレー!?」

稲妻のような軌道を描いたシュートに、東総のゴールキーパーは反応することすらできず、ただ見送ることしかできなかった。

前半3分:武蔵先制! 1 — 0!

「よしっ!!」「ナイスシューッ!!」

ベンチの兵藤監督や浅田ユリ、控え選手たちが一斉に歓声をあげ、武蔵の応援スタンドは大爆発する。

そして、その歓喜に沸くスタンドの一角——全国行きを決めて観戦していた江ノ島中学の席で、信じられない黄色い声が響き渡った。

「キャーッ! 翼ぁーっ!!」

目をハートにして叫ぶマネージャーの江口翔子に、江口をはじめとする江ノ島イレブンは開いた口が塞がらない。あ然とする兄の江口が尋ねる。

「し、翔子……お前まさか……」

翔子はふんと胸を張り、開き直ったように言い放った。

「ああ、そうだよ! 大空翼に惚れたんだよ! いいだろ兄貴、翼は兄貴を倒した男なんだからさ!」

「それはそうだが……」

頭を抱える江口の横で、エースの藤原がふっと優しく微笑んだ。

(あの翔子をここまで骨抜きにするとは……翼さん、やはり天才だ……)

ピッチ外で妙な尊敬を集めているとは知る由もなく、ピッチ上の翼は圧倒的な存在感を放ち、試合の流れを完全に武蔵へと手繰り寄せていた。

出ばなをくじかれ、自慢の戦術を完破された東総学院。

この後、彼らはどう反撃に出るのか——!?




翼の悪気ない優しさがまた1人熱烈なファンを生んでしまいました。この後の試合展開も含めて楽しみです。

※本日も3話投稿の予定です。お付き合いいただけるとうれしいです。
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