キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

77 / 115
関東大会準決勝 武蔵中学VS東総学院の試合が始まった。東総学院のカマラを中心に攻める戦法を利用し、わざとカマラにボールを集めるように誘導し、カマラへのボールをインターセプトし、逆襲に転じ、翼のノートラップボレーが決まり見事先制点を挙げるのであった!


第74話 追加点

関東大会準決勝・第一試合、武蔵中学対東総学院。

試合は立ち上がり早々、東総の「カマラへの縦ポン作戦」を完全に読み切った武蔵が、誘導からのカウンターで大空翼のノートラップボレーを叩き込み、鮮やかに先制点を奪ってみせた。

出ばなをくじかれた形の東総ベンチ前で、FWの村田が汗を拭いながらチームの司令塔である“千葉の頭脳”里見へ声をかける。

「向こうはカマラに放り込んでくる作戦を完全に読み切っているな。……隼人、読まれていても構わんから、変わらず縦に放り込め」

「馬鹿言え! そんなことしたらさっきの二の舞だぞ!」

反論する里見に、村田は不敵な眼差しを向けた。

「そうならないように守ってくれ。カマラを60分抑え続けるなんて、武蔵といえど絶対に無理だ。必ず抑えきれなくなる時間帯が出る。……それを確実にするためにも、俺にもパスを出してカマラにつく枚数を減らさせるんだ」

そこへ、巨体を揺らしたカマラが人懐っこい笑顔で寄ってくる。

「サトミさーん。パスをくださーい」

里見はひとつ大きなため息をつくと、力強く頷いた。

「……わかった。猛、お前の作戦に乗ろう」

主審の笛で試合が再開される。

東総は再びボールを里見まで戻した。すかさず武蔵のトップ・火野竜馬が猛然とプレッシャーをかける。

「さっきは面食らったが、向こうの意図がわかればかわすのは簡単だ!」

里見は冷静に火野の突進をステップでかわすと、味方との素早いワンツーで武蔵の連動プレスを無効化。一瞬の隙を逃さず、前線へ鋭いロングフィードを打ち上げた!

ボールに反応したのはカマラだ。長いリーチを生かして見事にトラップしてみせるが、すかさず背後から井川岳人がピタリと寄せて身体をぶつける。

バシィッ!

ボールは強烈な接触の末、タッチラインを割った。

「ナイス、岳人!」

武蔵ディフェンス陣から威勢のいい声が飛ぶ。

東総のスローインからリスタート。今度はカマラではなく、足元へ走り込んできた村田へ展開される。村田はボールを受けるや否や、スピードに乗ったドリブルで縦へと突破を図った。だが、その瞬間——!

ガンッ!

センターバックの真田信次が完璧なタイミングで身体を入れ、激しいタックルを見舞う!

「甘え!」

ボールは再びラインを割る。東総は間髪入れず二度目のスローイン。今度は本命、ゴール前のカマラを狙ってハイボールを投げ入れた。

だが、ここもCBの井川岳人が驚異的な跳躍力で競り勝つ!

「……!?」

カマラの目にかすかな驚きの色が走った。

競り勝ったこぼれ球を、ボランチの向井が鋭く拾う。向井は即座に前線の本間へ展開!

「翼君!」

本間が大声で叫ぶ。その声に反応し、里見が咄嗟に指示を出した。

「翼をマークだ! 翼に持たせるな!」

翼自身もボールを呼び込もうと東総のディフェンスを引き連れて斜めに走る。東総のDF陣が一斉に翼のマークへと集中した。

——だが、本間の叫びは計算された「声のフェイク」だった!

本命の出し所は、中央のスペースへ絶妙なタイミングで顔を出したナトゥレーザ!

ナトゥレーザも本間の意図を完璧に汲み取り、ダイレクトで滑らかなトラップから一気に中央を切り裂くドリブルを開始する。

「しまった……! 騙された!」

里見が歯噛みした。

スタンドで観戦していた東邦学園の松山光が、思わず目を見張る。

「本間のやつ、翼をおとりに使うとはな……」

隣の岬太郎が優しく、しかし確信に満ちた表情で頷いた。

「翼君の実力はもちろん驚異的だけど、翼君だけを抑えたら勝てるほど、今の武蔵は甘くないよ」

「それだけ、武蔵の周りの選手たちも実力をつけているということか……」

ライバルたちの感嘆をよそに、ナトゥレーザは東総陣内へ怒涛の勢いで突き進む。焦りを見せる里見が必死に叫んだ。

「そいつを止めろ! 自分でも打ってくるぞ!」

バイタルエリアでナトゥレーザへのチェックに東総の守備陣がギュッと凝縮した瞬間——ナトゥレーザは左足のアウトサイドで、誰もいなくなった左サイドの広大なスペースへとボールを流した。

そこへ猛烈なスプリントで駆け上がってきたのは、左SBの井川正己!

正己はフリーでボールを受けると、ピッチを深くえぐるように絶妙なグラウンダーのクロスをゴール前へ供給する!

ニアサイドへ弾丸のようなスピードで飛び込んできたのは、火野竜馬!

翼へのマークに人員を割かれ、枚数が足りなくなった東総ディフェンス陣は、火野の圧倒的なダイナミズムを止める術を持たなかった。

ドバァッ!!

火野が倒れ込みながら右足を一閃! 強烈なシュートが東総ネットを揺らした!

前半11分:武蔵 2 — 0 東総!

「よっしゃあーっ!!」

吠える火野のもとへ、翼やナトゥレーザ、そして駆け上がった正己たちが一斉に駆け寄り、ハイタッチを交わす。

「大空翼を抑えれば勝てる」という甘い幻想を完全に粉砕する、武蔵中学の圧倒的な組織力と層の厚さを見せつけた追加点。

2点のリードを奪われた千葉の雄・東総学院は、ここからいかにして息を吹き返すのか——!?

 




翼を抑えたら機能不全に陥ることはなくなった武蔵中学、東総反撃なるか!?

次は18時頃投稿予定です!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。