キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜 作:ロンゲスト・ロード
関東大会準決勝、武蔵中学対東総学院の一戦。
武蔵が組織的な連動から鮮やかに2点を先制したものの、東総の強力ツートップ・村田とカマラの超高速コンビプレイが炸裂。前半18分、まるで黒豹のようなしなやかさと振り足の速さを見せたカマラの一撃により、東総が1点を返していた。
1点を返し、一気に活気づく東総ベンチ。控え選手たちからも熱い声援が飛び交う。
『いいぞ、カマラ!』
『まだ前半の時間は残ってるぞ!』
『この勢いのまま、前半のうちに同点に追いつけ!』
しかし、ベンチ前で腕を組む立花監督の葛藤は深かった。
(猛とカマラが意地で1点を返してくれた……。ここは一気呵成に前倒しで慎吾を投入すべきか……いや、慎吾の体力を考えたら、やはり当初の予定通り後半勝負に賭けるべきか……)
静寂ののち、立花監督が下した決断は後者であった。
「慎吾、猛たちが1点を返して1点差にしてくれた。このまま1点差で前半を終えられれば、後半からの逆転は十分に可能だ。……だから、お前の出番は予定通り後半からいく」
「……分かりました」
星野は短く答え、真剣な眼差しでピッチへ視線を戻した。
この場での立花監督の決断が、のちに試合の行方を大きく左右することになるとは、この時の立花本人もまだ知る由がなかった。
武蔵ボールで試合が再開される。
キックオフのボールは火野、翼と渡り、中央のナトゥレーザへ。だが、その目の前に立ちはだかる大きな黒い影——覚醒したカマラだ!
「ここからは通しませーん」
不敵な笑みを浮かべるカマラに対し、ナトゥレーザは楽しそうに目を細めた。
「君、本気出してきたね。……だったら、俺も本気を出そうかな!」
言うや否や、ナトゥレーザは身体を沈めると、爆発的な一歩目でカマラの横を一瞬にして抜き去った!
「なっ……!?」
あまりの初速の速さに、カマラは驚愕で目を見張る。
すぐさま東総の主将・村田が前線から下がってカバーに入り、ナトゥレーザへチェックをかける。しかし、ギアを上げたナトゥレーザの勢いは止まらない。
「行くぞ、翼!」
「OK!」
ナトゥレーザから翼へ鋭いパスが通り、翼もダイレクトで完璧なリターンを返す。
東総が誇るツートップのコンビプレイを上回る、超高速の「翼&ナトゥレーザ」のワンツー!
あっという間に東総のバイタルエリアへ侵入したナトゥレーザに対し、後手に回った東総ディフェンスはたまらず後ろからユニフォームを引っ張った。
ガラガラッと派手に倒れ込むナトゥレーザ。
ピピっ!と主審の笛が鳴り響き、ユニフォームを掴んだ東総の選手にイエローカードが提示された。
ペナルティエリア手前、ゴール正面の絶好の位置で得たフリーキック。
ボールの傍らには、翼、ナトゥレーザ、そして左足のスペシャリスト・川村大介の3人が立つ。
3人全員が直接ゴールを狙える高精度なキックを持っているため、壁を作る東総ゴールキーパーとベンチの立花監督は的を絞ることができない。
ナトゥレーザがふっと微笑み、二人に声をかけた。
「翼、大介、ここは俺が蹴るぞ!」
翼も爽やかに頷く。
「わかったよ、ナトゥレーザに任せるよ!」
ピッ——!
主審の合図とともに、ナトゥレーザが短い助走から右足を振り抜いた。
放たれたボールは、壁となった巨漢カマラが大きくジャンプしたその「足元」をすり抜ける、完璧な地を這うグラウンダーのシュート!
あまりにも高いカマラの壁が逆に完全な死角となり、東総のゴールキーパーは反応すらできずに一歩も動けない。ボールは虚しくも東総ゴールの右下へと吸い込まれていった!
前半26分:武蔵 3 — 1 東総!
ナトゥレーザの技ありフリーキックが決まり、武蔵が再びリードを2点に広げる!
東総の立花監督は、ベンチで険しい表情を深めた。
(1点を返して、完全に流れはうちに引き寄せたと思ったが……武蔵のナトゥレーザが、個の力でその流れを力ずくで奪い返したか……!)
残された前半の時間、東総もカマラを中心に必死の反撃を試みようとする。だが、一度浮き足立った攻撃は精度を欠き、武蔵のCB・井川岳人が意地を見せてカマラを完璧に封じ込める。東総は攻め手を見出すことができない。
前半終了間際、前線でボールをキープしたカマラが意地の右足シュートを放つも、ボールはわずかに枠を捉えきれずゴール上へ外れた。
ピーッ! ピッ! ピーッ!!
ここで前半終了のホイッスル。
前半を終えて「武蔵 3 — 1 東総」。武蔵中学が2点のリードを保ったまま、運命の後半戦へと折り返す!
今日も3話投稿です。次の投稿は12時頃です!