キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜 作:ロンゲスト・ロード
武蔵中学対東総学院の準決勝は、運命の後半戦を迎えていた。
覚醒した東総のモンスターFWカマラが全開のギアで襲いかかるも、武蔵のCB井川岳人が驚異的な集中力と間合いでシュートをブロック。こぼれ球を右SBの広瀬が大きくクリアし、隠れた才能を目覚めさせつつある井川を中心に武蔵が踏みとどまっていた。
ボールはタッチラインを割り、東総のスローインでリスタート。
投げ入れられたボールを受けたのは、後半頭から投入された背番号16・星野慎吾だ。星野は焦らず、一旦ボールを後方の“千葉の頭脳”里見へ戻す。
里見は前線へ長いフィードを打ち上げた。ターゲットはカマラではなく、左サイドへ開いた主将の村田!
だが、そこには武蔵のCB・真田信次がしっかりと立ち塞がっていた。
「甘いんだよ、読めてるぜ!」
力強く寄せた真田に対し、村田はトラップすると見せかけて真田の目の前で華麗なヒールパス!
そのボールを間髪入れずに受け取ったのは、猛烈なスプリントで裏へ抜けてきた星野慎吾だった。
「いつの間に……!?」
さらに星野と村田が交差するようにスプリント(クロスマシーン)を開始。マークが目まぐるしく入れ替わり、武蔵のディフェンス陣に一瞬の迷いとズレが生じる。
ボールを保持した星野は右サイド深くへと流れると、鋭いターンからマイナス気味にセンタリングを上げた。
しかし、そのボールは想像以上にファーサイドへと大きく伸びていく。武蔵のGK相川も「枠を外れた」と判断し、見送ろうとしたその瞬間——!
カーンッ!!
「なっ……!?」
ボールは鋭い回転を帯び、ファーサイドのゴールポストを直撃! その跳ね返りが、ゴール前の決定的なスペースへと転がった!
真田正己が戦慄の声をあげる。
「星野め……最初からポストに当てる跳ね返りを狙っていたのか!?」
そのこぼれ球に、誰よりも早く反応し飛び込んできたのは“千葉のヒーロー”村田!
「もらったぁーっ!!」
村田が身体を投げ出し、決死のスライディングシュート! 慌てて反応した相川の手をすり抜け、ボールは武蔵のネットへ突き刺さった!
後半8分:武蔵 3 — 2 東総!
東総が1点差に詰め寄る! ゴールを決めた村田は即座にボールを拾い上げると、センターサークルへ向かって抱えて走る。
「次は同点ゴールだ!!」
1年生司令塔・星野慎吾の投入によって、東総の攻撃に劇的な化学反応が起き始めていた。
武蔵ボールで試合が再開される。
勢いに乗る東総は、ボールホルダーに対して村田とカマラが前線から猛烈なチェイシングを仕掛ける。ボールは大空翼へと渡った。
すかさず村田とカマラが翼に対して凶悪なダブルチームで圧迫する!
翼は周りの味方へ展開しようとボールを動かすが、二人の中学トップクラスの連動した動きと圧迫感に、なかなかパスコースを見出せない。それでも翼は一瞬の隙を突き、中盤の川村大介へグラウンダーのパスを通そうと右足を振った。
だが——そのパスコースを寸分の狂いもなく読んでいた男がいた。星野慎吾だ!
バシィッ!
「なにっ!?」
完璧なインターセプトでボールを奪い取った星野。追撃しようとする川村に対し、星野は美しいクライフターンを一閃! 川村を鮮やかに置き去りにしてみせる。
「星野……!」
息をのむ川村の視線の先で、東総のツートップ・村田とカマラが猛然とスプリントを開始。二人の後方から星野が中央を駆け上がる。
ペナルティエリア手前で、村田とカマラが左右に交差しながら斜め前進! 二人の動きにつられ、武蔵のCB井川岳人と真田信次が左右へと引っ張り出される。
その瞬間——武蔵のゴール前中央に、まるで「モーセの十戒」のように真っ直ぐな道がぽっかりと開けた!
「行け、慎吾っ!!」
村田の叫びとともに、星野はその開いた中央の道を一気に突進! 完璧な崩しから、ついにGK相川と1対1の局面を作り出した。
飛び出してくる相川の動きと体重移動を冷静に見極めた星野は、右足のつま先でボールを軽く浮かせた。
ふわりと舞い上がったループシュート。
相川は懸命にジャンプして手を伸ばすも、完全にタイミングを外されており、指先は虚しく空を切る。ボールは綺麗な放物線を描いて、武蔵ゴールの真ん中に吸い込まれていった。
後半13分:武蔵 3 — 3 東総!!
ついに東総学院が同点に追いついた!
駒沢メインスタジアムは大歓声とどよめきに包まれる。
またしても村田はダッシュでボールを拾うと、自陣のセンターサークルへボールをセットした。
「さあ……逆転だ!!」
秘密兵器・星野慎吾の異次元のゲームメイキングにより、完全に形勢は振り出しへと戻された。
激闘が続く準決勝第一試合、勝ち越しとなる運命の次の1点を奪うのはどちらか——!?
本日の投稿は、これで終わりです。明日の分の予約投稿をしておきます。3話予約投稿します。お付き合いいただけるとうれしいです。