キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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火野と自分のストライカーとしての能力を客観的に見つめることで自分が現状では火野には勝てないことを認めた日向、ただし全国三連覇は譲らない!覚醒した猛虎が武蔵中学に対して牙を剥く!


第90話 ゴールという結果

武蔵中学対東邦学園の一戦は、前半15分に火野竜馬の圧倒的な「ドラゴンシュート」が決まり、武蔵が先制に成功していた。

単に1点を奪われただけではない。東邦のエース・日向小次郎にとっては、ストライカーとしての決定的な優劣を見せつけられた一撃でもあった。

一時は深い無力感に苛まれた日向だったが、松山光の言葉を受け入れ、周りの仲間やベンチ、そしてスタンドの「全国三連覇」の文字を視界に収めることで己の現状を潔く受け入れた。チームを勝利に導くため、自分にできる役割を愚直に全うするべく、猛虎は再び立ち上がったのだ。

東邦ボールでのリスタート。

日向から反町、そして中盤の岬太郎へとボールが渡る。

岬が滑らかなドリブルで持ち上がる。しかし、その前には武蔵の司令塔・大空翼が立ち塞がった。翼もまた、この局面が試合の大きな分岐点になることを察知し、自ら岬へ1on1を挑みにかかる。

観客が息を呑む。実戦では実現しそうで実現しなかった、かつての黄金コンビによる真剣勝負の1対1。

岬は鋭いステップでかわそうとするが、翼は完璧な間合いでそれを許さない。互いの意地と技術がぶつかり合う、完全なる互角の攻防。

その時、岬へすかさずサポートが入る。

「岬!」

岬を呼ぶ力強い声。翼をはじめ、ピッチ上の誰もが「最終ラインの松山が上がり込んできた」と思った。

だが、違った。最終ラインには変わらず松山が控えている。

岬のサポートに走ってきたのは、他ならぬ日向であった。

日向が岬からボールを引き取るように斜め前へと動く。翼がその動きを阻止せんと視線を日向へ向けた——まさにその一瞬の隙を、岬は見逃さなかった。

鮮やかなタッチで、翼を抜き去る!

スタンドで見守るロベルト本郷が、思わず感嘆の声を漏らした。

「……うまい……!」

翼をかわした岬の前に、次はナトゥレーザが立ち立ちはだかる。

しかし、岬と並走していた日向が前に出ると、自らの身体で岬の姿をナトゥレーザの死角へと隠した。

日向の背影に隠れた一瞬の間、岬はボールをふわりと空中へ浮かせる。自身もそのまま日向の影から抜け出すように駆け抜け、ナトゥレーザの脇を通り抜けた。そして落下してくるボールを寸分の狂いもなくトラップ。

武蔵が誇る翼とナトゥレーザの2人が、完璧に破られた!

勢いに乗る2人は止まらない。前線へ襲いかかり、武蔵の中盤・本間と川村をも見事なワンツーパスで切り裂いていく。

ボールはなおも岬。今度は岬が前、日向が後ろという縦の陣形で武蔵陣内深くまで侵入する。

武蔵のセンターバック、井川と真田が必死の覚悟で立ち塞がった。

岬は迷わず、後方に位置する日向へバックヒールパス!

真田が叫ぶ。

「日向が打ってくるぞ!」

キーパー相川も重心を低くし、タイガーショットへの警戒を最大級高める。

しかし、日向はシュートを打たない。ボールを左サイドのスペースへ鋭く流した!

そこへ猛烈なスピードで飛び込んできたのは、スピードスター・新田瞬。

日向と岬が中央に武蔵ディフェンスの意識を完全に引きつけたことで、左サイドが完全にガラ空きとなっていたのだ。

絶好の形でボールを受けた新田が叫ぶ!

「くらえぇぇっ!」

放たれたのは、切れ味鋭い新隼シュート!

低空を高速で切り裂く軌道。武蔵の守護神・相川は驚異的な反応でこれに飛びつき、間一髪の手応えではじき返してみせた!

しかし——はじき出されたボールの先へ、一瞬早く滑り込んでくる黒い影があった。

日向小次郎!

相川のセーブに誰よりも早く反応していた日向は、滑り込みながら体勢を完全に崩しつつも、執念で足を伸ばし、こぼれ球をゴールへ押し込んだ!

ドスンとボールが武蔵ゴールのネットを揺らす!

1−1!

前半19分、日向の意地と執念がもたらしたゴールにより、東邦学園が同点に追いついた!

「よっしゃぁぁぁっ!!」

歓喜に沸き返る東邦ベンチやスタンドとは対照的に、武蔵ベンチの兵藤監督は苦々しい表情で腕を組んでいた。

「日向がなりふり構わず、ただ“ゴール”という結果だけにこだわり始めた……」

絶対の存在である翼とナトゥレーザが突破され、同点に追いつかれたことで、武蔵イレブンの間に一瞬の動揺が走る。

だが、その空気を一変させたのは主将の翼だった。

「ごめん、やられたよ!でも次はさせないから!今度は俺たちの番だ!」

翼の明るく力強い声に、ナトゥレーザが不敵に笑う。

「まかせろ、翼」

火野もギラリと目を光らせる。

「フン、まだ同点だ!」

本間も拳を握り締め、周囲を鼓舞した。

「よし、向こうがその気なら、俺たち武蔵のサッカーを見せてやろうぜ!」

試合は再び振り出しへ。互いのプライドと戦術がぶつかり合う完全な互角の展開!

前半も半ばを過ぎようとする中、歓喜の勝ち越しゴールを先に奪うのは武蔵か、それとも東邦か!?

 




ただひたすらゴールだけにこだわるようになった日向、翼たち武蔵中学は反撃できるのか!?

※次回は週末に投稿します。お付き合いいただけるとうれしいです。
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