キャプテン翼if武蔵の10番〜三杉淳の意志を継ぐ者〜   作:ロンゲスト・ロード

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後半に1点を返した、武蔵。同点に追いつくべく東邦1年生の沢田タケシの体力を削りにかかる。そして武蔵が迎えたチャンスに松山がオフサイドトラップを仕掛けるも体力の限界を迎えていた沢田がこのサインを見逃し、ナトゥレーザのスルーパスから翼が抜けだして3−3の同点に追いついた。試合は終盤へ!?


第95話 雪崩攻撃

関東大会決勝、武蔵中学対東邦学園。両者譲らぬ激闘が続き、スコアは3−3のまま、試合はいよいよ最終盤を迎えようとしていた。

東邦ボールで試合が再開される。ボールは日向から反町、反町から岬へと短く繋がれた。

スピードスターの新田が声を上げる。

「岬さん!」

しかし、岬の選択は後方の小池へのバックパスであった。

東邦イレブンはパスを前に送るどころか、丁寧に後方へと繋いでいく。そして、ボールは最終的に守護神・若島津の足元まで戻った。

その一連の動きに、スタンドの観客たちが訝しげな声を漏らす。

「おい、どうした東邦は!?」

「試合を諦めたのか?それとも延長戦で決着をつけるつもりなのか!?」

だが、東邦イレブンはそうした周囲の動揺を一切気にする素振りを見せず、自陣で淡々とパス回しに終始していた。

東邦ベンチでは、大沢コーチが北詰監督へ話しかける。

「北詰さん、あいつら……“あれ”を使うつもりなのか?」

北詰監督は静かに頷いた。

「そうです。そして今は、得点をあげた後に武蔵が反撃するための時間を無くすよう、タイムマネジメントを行っているところです」

北詰監督はすぐさま背後のベンチへ指示を飛ばした。

「山本コーチ、我々が得点をあげたら即座に沢田に代えて松木を入れるぞ!」

一方、ピッチ上の武蔵イレブンは東邦の不可解なパス回しに困惑しながらも、前線からプレッシャーをかけようと動き出す。

FWの火野が鋭い眼光で叫んだ。

「奴らの意図が延長狙いだろうが何だろうが、ボールを奪って俺たちが得点すれば、それで試合は終わりだ!」

火野が猛然とボールを保持する松山に向かって突っ込んでいく!

その動きを見届けた松山が、心の中で叫んだ。

(ここだ……!)

松山は若島津へバックパスを供給。若島津はボールをキャッチせず、ダイレクトで大きく蹴り出す!ボールは正確に前線の岬へと届いた。

そして、岬から猛然と駆け上がってきた松山へボールが戻される。

ここで松山が全軍に向けて叫んだ!

「みんな、上がれぇぇぇっ!!」

松山の合図一閃、フィールド上の東邦イレブンが一斉に敵陣へと雪崩れ込んでいく!

火野と一ノ瀬が東邦陣内に取り残された結果、前線で圧倒的な数的優位に立った東邦は、息の合った華麗なパスワークを披露し始めた。

この想定外の総攻撃に、武蔵ベンチも動揺を隠せない。

兵藤監督が目を見開く。

(東邦め……こんな隠し玉を最後の最後になるまで残していたとはな……!)

スタンドでは、弥生の胸騒ぎが最悪の形で的中していた。弥生は藁にもすがる思いで膝の上のノートを開く。そこには、三杉淳の手記が記されていた。

『全員で攻撃!ポジションに関係なくゴール前に押し寄せられれば、成す術はない!』

弥生は顔を蒼白にし、絶叫した。

「翼君っ!!」

ピッチ上では、東邦の華麗なパス回しからボールが再び岬へと渡る。

そこへ武蔵のナトゥレーザが立ち塞がろうと間合いを詰めてきた。

「岬、行かせないよ!」

ナトゥレーザが岬へ向かって踏み込もうとしたその瞬間、気力を振り絞って並走していた沢田タケシが、死力を尽くしてナトゥレーザの進行方向へ身体を投げ出した!

ナトゥレーザの動きが完全に止まる!

「岬さんっ!」

「タケシ!」

沢田の見事なアシストを受けた岬は、ナトゥレーザの横を瞬く間に突破!追いすがる川村と本間を華麗なタッチで次々と交わしていく。

そこへ、ディフェンスラインまで下がっていた武蔵の主将・大空翼が立ちはだかった!

「岬君、勝負だ!」

「翼君!悪いけど、これはみんなが運んできてくれたチャンスだ!ここでふいにするわけにはいかないよ!」

翼と岬の距離が急速に縮まる。そのとき、横から猛スピードで走り込んでくる影があった。

東邦のFW新田である!

「うぉぉぉぉぉーっ!!」

咆哮とともに新田が走り込み、岬と交差するようにスイッチ!

そのまま翼から間合いを取り、一気にシュート体勢に入った!

CBの真田が叫ぶ!

「ブロックだ!」

武蔵ディフェンス陣が必死の覚悟でシュートコースを塞ぎに飛ぶ!

しかし——これはフェイク!

新田はシュートを撃たず、右横へ鋭いパスを展開!

そこへ走り込んできたのは、東邦のキャプテン・松山光!

松山は右足を深く引き込み、渾身のイーグルショットを放った!

「これで終わりだぁぁぁっ!!」

地を這うような烈風のグラウンダーシュートが、武蔵ゴールへと一直線に迫る!

誰もが東邦の勝ち越しを確信した瞬間——!

バシィーッ!!

武蔵のゴールキーパー相川が奇跡的なファインセーブで弾き返し、こぼれ球をCBの井川が全力でクリアにかかる!

危機一髪でピンチを凌ぎ、誰もが「延長戦突入か」と思ったその時だった——!

「うぉぉぉぉぉっ!!」

東邦のエースストライカー・日向小次郎が、井川のクリアボール目掛けて頭から猛然と突っ込んできた!

井川がボールを蹴り出した瞬間と日向の飛び込みには十分な距離があり、危険なプレイ(ハイラップ)ではない。

日向の執念のダイビングヘッドがボールを捉え、勢いよく武蔵ゴールへと突き刺さった!

主審が勢いよく右手をセンターサークルへ指さす!

ゴーーール!!

後半29分——4−3!

日向のハットトリックとなる執念の勝ち越しゴールが決まった!

勝ち越した東邦は、残されたわずかな時間を極めて有効に使う。

まずは体力の限界を迎えていた沢田タケシをベンチへ下げ、交代で松木を投入。そしてイレブン全員が自陣へと引き、強固な守備ブロックを形成した。

武蔵も諦めず、最後は翼やナトゥレーザのドライブシュートに望みを託そうと怒涛の反撃を試みる。しかし、自陣の守備に加わった日向を含む東邦の執拗なマークの前に、武蔵の南米トリオ(翼、ナトゥレーザ、火野)は完全にフリーの瞬間を作らせてもらえない!

そして——

ピッ、ピッ、ピーーッ!!

試合終了の長いホイッスルが、夕空に響き渡った。

関東大会決勝、武蔵中学対東邦学園の二度目の決戦は、4−3で東邦学園が勝利。

都大会での敗北の雪辱を見事に果たした東邦学園が、関東の頂点へと立ったのであった。

 




遂に関東大会が決着しました。東邦が都大会の雪辱を果たし関東王者になりました!これで関東王者として全国大会に乗り込みます!

次の投稿は18時です。
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