ヒーロー名が決まり、次に決めるのは職場体験先だ。
…正直言うと、見たくない。と言うより全部見れるか怪しい。何か明らかに指名リストが分厚いし重い。
それに、ヒーローと言うものは大抵、得意分野を決めている。敵との戦闘に重きを置く者、災害時の救助活動に重きを置く者、学びたい分野毎に分けていけばキリが無い。…これを後2日で決めろと?日に2000は見ないと間に合わないが?
「…もうルーレットで決めようかな。」
「アンタそれヒーロー全員から怒られるでしょ。」
「それはそうだけど…」
昼休み、食堂。上から掴んだ指名数百枚程を見ながら話す。
「ちょっと一緒に見ようか?」
「有難い。じゃあここから半分を…はい。」
「あんがと…うわ、オールマイト以外のビルボードトップ10全部から指名来てる…」
「…そうなんだよ…」
実に有難い事に、トップクラスのヒーロー達は自分の事を高く買ってくれているらしい。
…が、全部という事は…
「…エンデヴァーからも来てる。」
「…本っ当にそうなんだよ…」
…自分の気持ちを無視して言うと、エンデヴァーの所に行くのが1番学べる事が多い。長年2位を維持し続けた実力は本物だし、個性も似ているから個性面でも学べる。学べば確実に自分の糧となるだろう。
…体育祭であんな事をしなかったらな…!
「…体育祭であんな事をしなかったらな…!」
「まぁ流石に相手もプロだし、そんな私情挟まないでしょ。」
「…過去の因縁にケリを付けるとか言われないだろうか…!」
「…大丈夫でしょ…多分…」
…エンデヴァー以外にするか。
「不知火…ちょっと良いか?」
「…どうしたんだい轟君、こんな放課後に?」
…なんだか嫌な予感がするな。
「…お前、クソ親父に指名されてるな…?」
「…クソ親父と言われると頷くのが凄く不味い気がするしそもそも誰か分からないが…一応、まぁ…」
…なんだか凄く嫌な予感がするなぁ。
「…不知火、アイツがお前に話があるから呼べってよ。」
…なんだか猛烈に嫌な言葉が聞こえたなぁ…!
「……ちなみに…轟君…話の内容って…聞いてたり…するだろうか…?」
「いや、何も聞いていない。だが別に無理に行かなくても良いだろ。決めるのはお前だ、アイツの都合に振り回される必要は無い。」
「…轟君は優しいな。…だが、まぁ…行く…べき…なんだろうなぁ…」
「…?なんかあったのか。」
「…いや、まぁ…ちょっとこっちに来てくれるかな?」
そのまま轟君を階段の踊り場に連れて行く。流石にあんな話を教室でする訳には行かないだろう。
「…体育祭で君と戦った時に、エンデヴァーと試合前に話したと言っただろう?」
「…言ってたな。」
「その時に…まぁ…実を言うと…エンデヴァーと口喧嘩をしてね…」
「…はぁ。
…は?」
いやまぁそれは誰だって自分の親がクラスメイトと口喧嘩したなんて聞いたら驚くだろう。自分だって驚く。
「…アイツはなんて言ったんだ?」
「…君の為の踏台になってくれといった感じの事を…」
「……そうか…アイツが…そんな事を…」
…不味い、凄い轟君の顔が怖い。このまま刺しに行くんじゃないだろうか。
「…と、轟君?落ち着いて…」
「…いや、落ち着いている。で、お前は何て言ったんだ?」
「…一度、君と腹を割って話し合うべきだ…と…」
嘘は言っていない。ただ殆ど隠しただけだ。
「…ハッ、アイツ…自分の息子と同い年の奴に諭されてんのか。」
…初めて見たな、彼の自然な笑顔。
「だから、まぁ…行って謝る必要があるかなって「無ぇだろ。」凄いあっさり切り捨てたね轟君?」
「さっきの話聞いてあると思う方が珍しいだろ。」
「その勢いでエンデヴァーと話し合うと良いと思うよ。多分少し関係良くなると思うから。」
「…そうか…お前がそう言うんならそうなんだろうな…じゃあ不知火、1つ頼みがある。」
「なんだい轟君。」
「…万が一上手く話せなくなった時の為に、付いて来てくれるか。」
「…友達の頼みならしょうがない。自分も行くとさせてもらうよ。じゃあ書類を出しに行こうか。」
これで職場体験先も決定した。
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