第二十六話もよろしくお願いします。
「コスチュームは持ったか?本来なら公共の場では着用厳禁の身だ、落としたりするなよ。くれぐれも職場体験先で失礼の無いように。よし、じゃあ行け。」
職場体験出発直前。駅に集められて最終注意を受ける。
「…やっぱり怖くなってきたなぁ…」
「…アンタ大丈夫?なんか顔色悪い気がするけど。」
いくら覚悟を決めたとは言え怖いものは怖い。だって絶対気まずいだろう。絶対他人が踏み込んで良い範囲を超えている気がする。本音を言うと今すぐミルコかホークス辺りに職場体験先を変えたい。
…が、それは出来ない。だから恐怖を飲み込んで進むしか無い訳だ。
「…いや、大丈夫だよ耳郎さん。そっちも頑張って。」
「ん。そっちこそ、駄目そうなら電話なり何なりして。相談に乗る位ならするから。」
「ありがとう耳郎さん、じゃあまた1週間後に。」
…ここから1週間か…
…やっぱりちょっと嫌だな…
「…どっちがノックしようか?」
「…お前が行ってくれるか?」
「…分かった、緊張して話せなくなったら助けて欲しいかな。」
「こっちも頼んだ。」
…流石、エンデヴァー。事務所が大きい。そして人も多い。入口に受付が居るのは予想してたが、まさか各階に居るとは思わなかった。しかもエンデヴァーが待っているという部屋まで案内してくれる人まで別とは。あの人数全てを雇っているのか。流石にNo.2と言った所だろうか。
…不味い、緊張で心臓の音がうるさい。ちゃんと喋れるだろうか?
「…入れ。」
部屋に入ると、No.2がそこに居た。
「良く来たな、焦凍。そして不知火君。歓迎しよう、エンデヴァー事務所にようこそ。」
立ち上がりこちらに近付いてくる。
「まずは、一応両方共本名と所属、そしてヒーロー名を言ってもらおうか。」
「…雄英高校1年A組、不知火 炎星。ヒーロー名は『イグニス』です。1週間よろしくお願いします。」
「…雄英高校1年A組、轟 焦凍。ヒーロー名は…『ショート』だ。」
「…成程。ではイグニス。貴様は何を求めてここに来た?単純にビルボードチャートの順位で決めたか?」
「いえ。今回自分がここに来た理由は、1つは貴方と個性が比較的似通っており、個性の制御面やデメリットの克服等を学ぶ為。2つ目はNo.2ヒーローとしての、他者を纏める力やヒーローとしての在り方等を学ぶ為にここに来ました。」
「分かった。ならばショートの方は?」
「…不知火と同じだ。人としてはアレだが、No.2ヒーローとしては学べる事は多いと思ってな。」
「轟君?」
「なんだ不知火。」
なんでそんないきなり喧嘩腰なんだ君は。ちょっと前は少し会話出来そうな感じだったじゃないか。これ以上自分の胃を壊さないでくれるかな?
「…良い跳ねっ返りだな焦凍。ならば初日は訓練だ。俺がNo.2として直々に貴様等の実力を見てやろう!俺に一撃を入れてみろ!」
「…はい!!」
「…あぁ。」
…どうする気だ轟君。凄い無茶振りをされたぞ。
「制限時間及びルールは無しとする。貴様等が倒れたらそこで終わりだ。何か聞きたい事はあるか?」
「…特には無いです。」
「俺も無ぇ。」
受付員に案内された更衣室でコスチューム着替え、連れられた先のトレーニングルームで最終説明。
…一発入れれば良いとは言うが、あのエンデヴァーに対してその一発はとても遠いだろう。さて、どうするか。
「…轟君。最初に自分が突っ込むから、後ろから援護してくれないかな?」
「どうするつもりだ?」
「…1つ、試したい事が有るんだ。」
「分かった。ならそうするか。」
話が速くて助かる。
「作戦会議は終わったか?最初はそっちから来い。」
「…それはどうも。」
良かった。これでよーいドンなんでなっていたら敗北が確定していた。
右腕を前に突き出す。掌に熱を。そして左腕を引く。エンデヴァーなら全力でやっても耐えれるだろう。
「ほぉ…いきなりか?」
そう言って構えるエンデヴァー。
…あれ打ち消そうとしてないか?
だがそれなら別に良い。
「蒼弓!!」
放つ。
加速。
「見抜けないと思ったか?」
「いいえ!!」
1発目は失敗。後ろに回り込む所まで読まれたか。
だが2発目。
「もう一発!」
左で蒼弓。そのまま顎を…!
「…もう一度言おう。
見抜けないと思ったか?」
「…浅かったか!」
そのまま顎を打ち抜かれる。
…行けたと思ったんだけどな。
…すまない轟君。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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