第三十三話もよろしくお願いします。
あの後、ヒーロー殺しは立ったまま気絶していた。勿論ヒーロー殺し(と死んだ脳無)は連行され、自分達4人とネイティブさんは保須市内の病院に搬送された。
…いやまぁ自分、轟君、緑谷君は怪我をしていないが、一応強力なヴィランとの戦闘後というのもあって無理矢理検査させられたと言うのが正しいか。
「…あぁ、長かったな。」
検査の結果問題無し、後少ししたらここを出なければならない。無かったが…
「…少し眠いな、後3時間寝させて欲しい…」
「駄目だよ!?」
「知っているさ緑谷君、けど何か眠いんだ。むしろなんで起きていられるんだ3人共。」
こっちは普段寝ない時間に寝てしまった所為で何か眠いのだ。後1時間もせずにここを出なければならないのは重々承知だが、それはそれとしてキツいものはキツい。
「…まぁお前はずっと前線張ってたからな、キツいだろ。」
「グッ…本当に済まなかった…!」
「その話は昨日終わっただろうに…その責任感は飯田君の長所だとは思うが、あまり気に病んでも仕方無いだろう。…あぁ、それより今後の事を考えよう。
何を言われると思う?」
「何…って?」
「何って緑谷君、まぁ今回自分達は突っ走ってヒーロー殺しと戦闘した訳だ、流石に何のお咎めも無しとは行かないだろう。今回は偶然全員に大きな怪我は無かったが、万が一そんな事があったらの事を考えるとエンデヴァーや緑谷君の所のヒーロー…何と言ったか、あぁグラントリノ?達にも監督責任云々の話が出てくる。そうなれば最悪ここで自分達の職業体験は打ち切りだ。」
…と言うより多分確定で打ち切りだろう。もう少し学びたかったが…
「成程…えっ終わるの?」
「それだけの事をしでかしたって事だろ。」
「…っっ!!」
「轟君、飯田君が罪悪感で死にそうになっているからもう少し優しく言ってやって欲しい
「おぉ、起きてるなお前等!」
「グラントリノ!」
「マニュアルさん…!」
おっと、とうとう出る時間か。それとも…
「お前等に来客だ、保須警察署署長の面構犬嗣さんだ。」
「はぁ…署長…署長!?」
凄いな、お手本のような犬のお巡りさんだ。あぁ、挨拶でもした方が良いか。
「いや、掛けたままで結構ワン。君達がヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね。」
「まぁ…一応…」
「まずヒーロー殺しだが…火傷骨折、更には貫痛痕。結構な重症で現在治療中だワン。」
…おぉぅ…身に覚えしかないな。
「…超常黎明期…警察は統率と規格を重要視し、“個性”を武に用いない事とした。そしてヒーローはその穴を埋める形で台頭してきた職だワン。個人の武力行使…容易に人を殺められる力。本来なら糾弾されて然るべきこれらが公に認められているのは、先人達がモラルやルールをしっかり遵守してきたからなんだワン。資格未取得者が保護管理者の指示なく“個性”で危害を加えた事、たとえ相手がヒーロー殺しであろうともこれは立派な規則違反だワン。君達4名及びプロヒーロー『エンデヴァー』『マニュアル』『グラントリノ』合計7名には厳正な処分が下されなければならない。」
…そうか、まぁそうだろうと
「…待って下さい。」
…轟君?
「飯田が動いてなきゃネイティブさんは殺されてた。緑谷が来なけりゃ2人共殺されてた。誰もヒーロー殺しの出現に気付いてなかったんですよ!規則守って見殺しにしろってか!?」
「ちょっ、轟君!?」
不味い、轟君こう見えて結構感情的なの忘れて
「結果オーライであれば規則等有耶無耶で良いと?」
「…人を、救けるのがヒーローの仕事だろ…!」
「だから…君は、君達は“卵”だ。全く…良い教育してるワンね…雄英も、エンデヴァーも…」
「…!こん、犬「待て轟君!今回は流石に面構さんが正しい!気持ちは痛い程分かるが…!」不知火…!」
あぁもう力強っ…!
「まぁ…話は最後まで聞け。」
「分かっちゃ駄目だろう…いや、これは大人の都合、分かっても仕方無いワン。
で、以上が警察としての意見。ただ、処分云々はあくまで公表すればの話だワン。」
…?話の流れが変わったな。
「公表すれば君達は世間からは称賛されるが処罰は免れない。一方で汚い話、公表しない場合、火傷痕等からエンデヴァーを今回の立役者として擁立出来るワン。幸い目撃者は極めて少ない。今回の違反はここで握り潰せるワン。だが、君達の英断や功績も、誰にも知られる事が無くなってしまう」
…成程?悪くない話…と言うより限りなく最善に近い。少なくとも自分は乗るつもりだ。
「どっちが良い!?1人の人間としては…未来ある若者達の『偉大なる過ち』に、ケチを付けさせたくないんだワン!?」
「まぁ、どの道監督不行届で俺等は責任取らなきゃだしな。」
「申し訳ございません…」
「ヨシ!他人に迷惑がかかる、わかったら2度とするなよ!」
飯田君の方も解決したっぽいな。
「じゃあ…よろしくお願いします。3人共それで?」
「僕はそれで良いけど…」
「…なら最初から言ってくれとは思いましたが…」
「…そうか。大人のズルで君達が受けていたであろう称賛の声は無くなってしまうが…せめて、共に平和を守る人間として…ありがとう!」
「…3日で終わりか、存外短くなったな。」
エンデヴァー事務所。荷物も纏め、いよいよ帰るだけだ。今は最後の挨拶。
「今回は本当にすみませんでした…」
「気にするな。まさか…たまたま避難誘導をしていた時にヒーロー殺しと出会うとはな?」
「…はは…」
そう、これが今回の事件を誤魔化す為のシナリオ。避難誘導をしていた時に偶発的にヒーロー殺しと遭遇、戦闘寸前の所でエンデヴァーが助けに来たという筋書きだ。
…大丈夫だろうか。緑谷君とか誤魔化すの下手そうだしな…
「…ただ、今回は俺の教育権が1ヶ月剥奪される程度で済んだが、最悪の場合貴様等の命が無かったと思え。」
「…はい。」
「ショートもだ。…お前は本来俺の息子である以上、ヒーロー殺しに狙われても不思議では無かった立場だ。今回命を拾えたのは実力だと思うな。今後も精進しろ。」
「…あぁ。」
「…なら良い。さて、最後になったが、貴様等には今回教えれる事は出来る限り教えたつもりだ。それは今後貴様等が強くなる中で必ず役に立つだろう。その事を努々忘れるな。分かったな。」
「…はい!」
「あぁ。」
…これで終了か。もっと学びたかったんだが、まぁ…規則違反の代償としては安いか。
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