つまりそういう事です。
ヨヨは時々戦士様が鎧殻も付けずにふらふらとどこかに行かれることがあるのを見たことがあります。きょろきょろとあっちこっちを見ながら、なんだか周りを気にしているようで、悪い事をしているような顔をされてるんです。
ネマ様、とか言ってる人は種子だとかなんとか言いながら時折戦士様をいじめています。任務を無視しての殺戮は楽しかった?なんて。それを言われたときにすごくイヤそうな顔をされてました。この人はなんてことをいうんだろう、なんてヨヨは思ってしまった物です。
そうして、その明確な嫌味を聞いた後、決まって戦士様はふらふらとどこかへ行かれるのです。周りを気にしているのは明白でした。
ヨヨはいけない子です。秘密と見たら知りたくなってしまう悪い子なんです。つまり、戦士様が何をされてるんだろう?と気になって仕方なくなるんですから。
そうして、白珠を取り出したところを見ていたんです。珍しいものを持っているな、と思いました。栄養が多すぎて、食べると死んじゃうこともあるから取引に使う事が多いので、ヨヨは食べようと思ったこともありません。おなかが減ってもちょっとあれだけは手を出しちゃいけない類のものです。
なにしろ、女王がニンフを作るときに使う物なんですから。大昔、人間たちが熊の肝臓を絶対に食べない、と本に書いてあったのをヨヨは思い出しました。
「だれも、見ていない……」
そう呟きながら、それをがぶ、とかじりついて、一心不乱に戦士様は食べていました。なにか悪徳を働くように左右を見ながら。むしゃむしゃと。チョウが羽ばたいているのが見えたのです。だいぶ太ったチョウだった気がします。
「あ、あ……」
そうして、戦士様はふらふらと倒れるんです。助けなきゃ、と思ったんですが、戦士様は頑丈だから、大丈夫なのは知っていました。だから、本当に危なそうなときは、と思いながらじっと見ていたんです。だって、とっても幸せそうな顔をしてたんです。
「ああ、私、至る……あっ、キク……きた……」
寝息を立てていました。食べ過ぎて多幸感で一杯になりながら戦士様は意識を失っていました。白珠ドカ食いして至るニンフは初めて見ました。ストレス解消にしては命を懸けすぎだと思います。
ギリー・ベルさんにそれを話したら「ほっておいてやれ。死にそうにならないうちは。真似をするなら私は止めるからな」と生暖かい目をされてました。少ししてから、昔の知り合いがこっそり削って食べて『至って』たらしいとぽつぽつと話されてた時は顔面が複雑骨折したみたいな顔をされていました。
そうして、戦士様が時々ヨヨの商ってる白珠をおいしそうなものを見る目で買って行かれる理由が、ヨヨにもわかりました。
『至り』を求めているとわかって売った時は正直ヨヨも顔面神経痛みたいな顔をしていたと思います。ヨヨは見なかったことにしました。