キヴォトスにウォーハンマー40kの世界の武器がやってきた! 作:eriza7170
翌朝。
シャーレ。
いつもの朝。
窓から。
柔らかな光が差し込んでいる。
机。
書類。
コーヒー。
そして。
先生。
「…………」
机の前で。
先生は。
一枚の書類を見ていた。
書類には。
昨日。
地下基地で確認されたものが。
並んでいる。
車両基地。
兵站施設。
航空基地。
武器庫。
先生。
「…………」
ページをめくる。
Leman Russ。
Chimera。
Basilisk。
Baneblade。
Malcador。
さらに。
Lightning。
Valkyrie。
Thunderbolt。
Thunderhawk。
先生。
「…………」
もう一枚。
めくる。
そして。
一番下。
ORBITAL SUPPORT
STATUS:STANDBY
先生。
「…………」
書類を。
机に置く。
先生。
「……」
「昨日のことは」
「忘れよう」
その時。
バンッ!!
ドアが開いた。
ネル。
「先生!」
先生。
「…………」
ネル。
「地下行こうぜ!」
先生。
「…………」
ネル。
「先生?」
先生。
「今日は行かない」
ネル。
「なんで!?」
先生。
「昨日」
「航空基地まで見つかったから」
ネル。
「じゃあ今日は宇宙船?」
先生。
「そういうところだよ」
ネル。
「だってさ!」
「まだいっぱいあるんだろ?」
先生。
「……」
ネル。
「昨日の画面」
「まだ何か表示されてたじゃん」
先生。
「見たの?」
ネル。
「見た!」
先生。
「……」
「何だった?」
ネル。
「えーっと」
「なんか英語」
先生。
「……」
ネル。
「オービタルなんとか」
先生。
「…………」
先生。
「聞かなかったことにしよう」
ネル。
「なんで!?」
そこへ。
ヒナ。
「先生」
先生。
「ヒナ」
ヒナは。
ネルの後ろから。
静かに入ってくる。
ヒナ。
「昨日の地下施設について」
先生。
「うん」
ヒナ。
「報告書が来ています」
先生。
「…………」
「やっぱり?」
ヒナ。
「はい」
先生。
「何て書いてあった?」
ヒナ。
「現状」
「シャーレ地下に存在する施設の全容は」
「把握できていません」
先生。
「うん」
ヒナ。
「帝国軍の兵器」
「車両」
「航空機」
「その他軍事設備」
「それらが大量に保管されています」
先生。
「うん」
ヒナ。
「そして」
ヒナは。
一枚。
別の書類を出す。
ヒナ。
「昨日まで」
「存在を確認できなかった」
「新しい区画が」
「一つ」
先生。
「…………」
ネル。
「行こうぜ!」
先生。
「行かない」
ネル。
「なんで!?」
ヒナ。
「……」
「先生」
先生。
「うん?」
ヒナ。
「この区画」
「昨日の基地システム起動後に」
「新しく表示されたそうです」
先生。
「…………」
先生。
「……」
「本当に?」
ヒナ。
「はい」
先生。
「……」
「じゃあ」
「ちょっとだけ見に行こうか」
ネル。
「よっしゃ!」
シャーレ地下
エレベーター。
下降。
ゴウン……
ゴウン……
表示。
B1
B2
B3
そして。
B4
先生。
「……」
ヒナ。
「ここから先は」
「昨日まで」
「通常の施設図にはありませんでした」
先生。
「つまり」
ヒナ。
「はい」
「新しい区画です」
ネル。
「早く開けようぜ」
先生。
「待って」
ネル。
「何?」
先生。
「昨日も」
「同じこと言ってたよね」
ネル。
「言った」
先生。
「それで」
「Banebladeが出てきた」
ネル。
「……」
先生。
「だから」
「ちょっと慎重になろう」
ネル。
「分かった」
ネル。
一歩。
下がる。
そして。
チン。
エレベーターが止まる。
扉。
開く。
そこは。
暗かった。
先生。
「……」
ヒナ。
「照明を」
カチッ。
照明。
点灯。
一つ。
二つ。
三つ。
そして。
奥まで。
一気に。
明るくなる。
先生。
「…………」
ネル。
「…………」
ヒナ。
「…………」
三人。
何も。
言わなかった。
そこに。
あったのは。
帝国軍の兵器とは。
明らかに。
違うものだった。
壁。
鉄。
配線。
ボルト。
歯車。
巨大な金属板。
そして。
緑。
先生。
「…………」
壁の一部。
緑。
床。
緑。
巨大なコンテナ。
緑。
ネル。
「……」
「緑だな」
先生。
「うん」
ヒナ。
「緑ですね」
先生。
「……」
「帝国軍」
「こんな色使ってたっけ?」
ヒナ。
「いいえ」
ネル。
「じゃあ誰?」
その時。
ガタン。
奥。
何かが。
倒れる。
三人。
「…………」
ネル。
すぐに。
構える。
先生。
「ネル」
ネル。
「分かってる」
ヒナも。
警戒する。
数秒。
何も。
起こらない。
先生。
「……」
「設備が倒れただけかな」
ヒナ。
「可能性はあります」
ネル。
「見に行こうぜ」
先生。
「……」
「うん」
三人。
ゆっくり。
奥へ進む。
そこには。
巨大な木箱。
いや。
弾薬箱。
先生。
「……」
ヒナ。
「何か書いてあります」
先生。
近づく。
文字。
SHOOTAS
先生。
「……」
ネル。
「何それ?」
先生。
「分からない」
ヒナ。
「先生」
先生。
「うん?」
ヒナ。
「その横」
別の箱。
SLUGGA AMMO
先生。
「…………」
そして。
さらに奥。
巨大なラック。
そこに。
一本。
銃。
置かれていた。
先生。
「…………」
ネル。
「…………」
ヒナ。
「…………」
先生。
「……」
「銃?」
ネル。
近づく。
ネル。
「でかいな」
先生。
「……」
「かなり」
ネル。
「でも」
「帝国軍の銃とは違う」
確かに。
ボルトガン。
ラスガン。
ヘビーボルター。
それまでに見た。
人類帝国の銃器とは。
まったく違う。
金属板を。
無理やり。
組み合わせたような形。
溶接。
ボルト。
むき出しの配線。
巨大な弾倉。
そして。
異常なまでに。
太い。
先生。
「……」
「これ」
「本当に銃?」
ネル。
「銃だろ」
ヒナ。
「恐らく」
先生。
「恐らく?」
ヒナ。
「構造上は」
「銃器だと思われます」
ネル。
「じゃあ」
ネル。
手を伸ばす。
先生。
「待って」
ネル。
「何?」
先生。
「勝手に触らない」
ネル。
「でも」
「武器だろ?」
先生。
「だからだよ」
ネル。
「…………」
ネル。
「分かった」
珍しく。
素直だった。
先生。
「……」
「えらい」
その時。
後ろから。
カツン。
足音。
三人。
振り返る。
そこには。
ウタハ。
ユウカ。
そして。
ミカ。
三人が。
立っていた。
ウタハ。
「先生」
先生。
「ウタハ」
ウタハ。
「何か見つけましたか?」
先生。
「……」
「うん」
先生。
指差す。
巨大な銃。
ウタハ。
「…………」
ウタハ。
眼鏡を。
直す。
そして。
近づく。
ウタハ。
「これは」
銃を。
じっと見る。
ウタハ。
「……」
「帝国軍の規格ではありません」
先生。
「やっぱり?」
ウタハ。
「はい」
ユウカ。
「じゃあ」
「何なんですか?」
ウタハ。
「分かりません」
ミカ。
「じゃあ」
「調べればいいんだね!」
先生。
「……」
「ミカ」
ミカ。
「はい!」
先生。
「勝手に触らないでね」
ミカ。
「はーい」
ネル。
「なあ」
「これ」
「もしかして」
ネル。
銃を見る。
「オルクじゃない?」
全員。
「…………」
先生。
「……」
「オルク?」
ネル。
「うん」
「40kの」
ヒナ。
「……」
「確かに」
ウタハ。
再び。
銃を見る。
ウタハ。
「……」
「形状」
「材質」
「構造」
しばらく。
観察する。
ウタハ。
「可能性は」
「高いと思います」
ユウカ。
「オルクって」
「確か」
先生。
「緑色の」
「でっかい」
「乱暴な」
「宇宙人?」
ネル。
「それ!」
ミカ。
「オルク!」
「見たことある!」
先生。
「……」
「じゃあ」
「これ」
先生。
銃を見る。
「オルクの銃?」
ウタハ。
「恐らく」
沈黙。
全員。
銃を見る。
先生。
「…………」
先生。
「なんで?」
ユウカ。
「はい?」
先生。
「なんでシャーレの地下に」
「オルクの武器があるの?」
誰も。
答えられなかった。
帝国軍。
その兵器基地。
それだけでも。
十分に。
理解不能だった。
なのに。
そこへ。
オルク。
別勢力の兵器まで。
存在している。
先生。
「…………」
ヒナ。
「……」
「もしかすると」
先生。
「うん?」
ヒナ。
「この地下施設」
一度。
奥を見る。
「帝国軍だけの施設では」
「ないのかもしれません」
先生。
「…………」
その言葉。
誰も。
否定できなかった。
そして
ウタハ。
「先生」
先生。
「何?」
ウタハ。
「この銃」
持ち上げる。
ガシャッ。
全員。
「…………」
ウタハ。
「かなり重いです」
ネル。
「貸して!」
先生。
「ネル」
ネル。
「分かってるって!」
ネル。
銃を受け取る。
ズシン。
ネル。
「…………」
ネル。
「重っ」
ミカ。
「ネルでも重いんだ」
ネル。
「うるせえ!」
先生。
「……」
「それ」
「名前は分かる?」
ウタハ。
銃に刻まれた文字を。
確認する。
しばらく。
ウタハ。
「……」
「どうやら」
先生。
「うん」
ウタハ。
「Shoota」
ネル。
「シュ……」
ミカ。
「シューター?」
ウタハ。
「はい」
先生。
「……」
「Shoota」
ネル。
「名前」
「普通だな」
先生。
「銃そのものは」
「全然普通じゃないけどね」
ヒナ。
「……」
ヒナ。
銃を見る。
「オルクの」
「基本的な銃器ですね」
先生。
「つまり?」
ヒナ。
「オルクにとっては」
「おそらく」
一拍。
「日常的に使う武器です」
先生。
「…………」
先生。
「これが?」
ヒナ。
「はい」
先生。
「……」
「帝国軍の兵器も大概だったけど」
先生。
銃を見る。
「こっちは」
「別方向に怖いな」
ネル。
「先生!」
先生。
「何?」
ネル。
「撃ってみようぜ!」
先生。
「…………」
ユウカ。
「ダメです!」
ネル。
「なんで!?」
ユウカ。
「まだ安全確認が終わってません!」
ネル。
「でも撃てるかもしれない!」
ユウカ。
「だからダメなんです!」
ミカ。
「じゃあ安全確認してから」
ユウカ。
「ミカさんも乗らないでください!」
先生。
「……」
先生。
ため息。
「まず」
「この武器庫に」
「何があるのか」
奥を見る。
巨大な箱。
巨大な武器。
大量の弾薬。
そして。
さらに。
奥。
暗闇。
先生。
「……」
「全部確認しよう」
ネル。
「おう!」
ウタハ。
「分かりました」
ヒナ。
「了解しました」
ミカ。
「楽しそう!」
ユウカ。
「……」
「どうしてみんなそんなに楽しそうなんですか」
先生。
「……」
先生。
小さく。
笑う。
「まあ」
「人類帝国の兵器を見た後なら」
「これくらいは」
少し。
間。
「……まだ普通かもしれない」
全員。
「…………」
ネル。
「先生」
先生。
「何?」
ネル。
「それ」
「たぶん違うと思う」
先生。
「……」
その瞬間。
武器庫の奥。
ガチャッ。
何かが。
動いた。
全員。
「…………」
さらに。
ガチャッ。
ガチャッ。
金属音。
先生。
「……」
ウタハ。
「先生」
先生。
「うん」
ウタハ。
「この区画」
奥を。
見つめる。
「まだ」
「電源が入っていません」
先生。
「…………」
ガコン。
突然。
壁の奥。
一つのランプが。
点灯する。
緑色。
そして。
古い機械音声。
《ORK ARMORY》
全員。
「…………」
《SYSTEM: STANDBY》
先生。
「…………」
ネル。
「…………」
ミカ。
「…………」
ヒナ。
「…………」
ユウカ。
「…………」
先生。
「……」
「今日は」
一拍。
「ここまでにしよう」
ネル。
「えー!?」
先生。
「帰る!」
ミカ。
「えー!」
先生。
「帰る!」
ネル。
「まだ一個しか見てないぞ!」
先生。
「その一個が十分怖いんだよ!」
そして。
先生たちが。
武器庫を出ていく。
誰も。
気づいていなかった。
暗闇の奥。
さらに。
巨大な箱。
そこに。
白い文字で。
BIG SHOOTA
と書かれていることを。
その隣には。
ROKKIT LAUNCHA
さらに。
奥。
KUSTOM MEGA-BLASTA
そして。
そのさらに奥。
巨大な。
CHOPPA
が。
静かに。
並んでいた。
誰も。
まだ。
知らない。
シャーレ地下に。
帝国軍の兵器基地だけではなく。
オルクの武器庫まで存在していたことを。
そして。
その武器庫には。
一体。
どれほどの。
「普通ではない武器」が。
眠っているのか。
それを知るのは。
もう少し。
先の話だった。
――第二十六話・終。