※FGO終章(第7章~エンディングを除く)のネタバレを含みます。
2025年末、8年に及ぶ地球白紙化事件、および10年に及ぶカルデアの旅は幕を閉じた。
満を辞して12月に開幕の終章。
この年はソロモンさんとの決戦および加入という大きなイベントが発生しながら、それで入手した大量の魔芒石で物資補給を行い、下旬に来たる最終決戦に備えて準備に取り掛かっていた。
この時点での弊カルデアでの冠位サーヴァントは以下の通りとなっている。
・剣→アーサー・ペンドラゴン
・槍→エルキドゥ
・弓→ギルガメッシュ
・騎→オジマンディアス
・術→アルトリア・キャスター
・殺→"山の翁"
・狂→モルガン
・EX1→マシュ・キリエライト
・EX2→U-オルガマリー/オルガマリー・アニムスフィア
なお、ランサーについては優柔不断なばかりコロコロと変わることがあったため、本当に申し訳ないと思っている。
まるで刀身を研ぐように、グランドスコアを解放するなど強化を進めていた。
そして、最終決戦。いざ鎌倉へと言わんばかりの勢いで南極エリアに突入したところ、黒幕――カルデアスの本拠地である南極基地が丸ごとなくなっており、作戦が頓挫しかける不測の事態が発生。
地球白紙化、地球とカルデアス地球の表面を丸ごと入れ替える。だが、それは南極基地も同様。カルデア前所長にしてカルデアスの生みの親であるマリスビリー・アニムスフィアはここまで用意周到だった。
しかし、ソロモンの一言で、未だに消滅せずシミと言わんばかりに残り続けている最初の特異点・冬木にレイシフトを行い、それを中間点としてカルデアス内に突入するという代替案を実行。
先回りしていた最後の異性の使徒――言峰綺礼が根回ししていたことで、マスター成り立ての頃よりも段違いで攻略難易度が上がっていた。綺礼によって変質されたシャドウサーヴァント達を、カルデアのサーヴァント達と協力して次々と撃破していく。
なお、アサシンに関しては百貌さんがどういうわけか滝相当に汗を流し続けていたことは見なかったことにする。
そして、大聖杯のもとにたどり着き、最後の使徒との最終決戦。
最後の使徒だからか、なかなかのしぶとさに頭を抱える。ジリジリと削っていくため、加入したてのソロモンに手助けをしてもらう。
なんとか撃破したものの、どうやら今まで使徒としてあり続けていたのは、自身の在り方に対する求道によるものだった。彼は答えを得ることなく消滅したが、この後キャスターのクー・フーリンの憐れむような発言をしたが、それが答えの一つとは何たる皮肉なことか。
***
こうして消滅する特異点冬木を起点として、カルデアス地球内に侵入。
だが、入れ替わったと思ったはずが、どういうわけか真っ白のまま。
唯一ありのままを保っているエリア51――北米基地に上陸し、その中に入る。
これからというものはもう、あまりの胸糞悪さに頭を抱えるしかない。特にオルガマリー・アニムスフィア前所長があの時カルデアス内でどんな過酷な目にあっていたか。奏章IVを経て人間性が大きく向上したマシュが初めて見せた、あの激憤の表情は今でも忘れられない。既にマリスビリーは故人なので、もう非難を本人にぶつけることすらできない。
だが同行したシオンの発言で現在のカルデアスには隙があることが判明し、逆転の一手を模索することになった。
***
カルデアスの目的は、宇宙を地球のみにすることだった。
地球人がこれ以上、外部からの危機に晒すことなく。
地球人がこれ以上、宇宙に目を向けることなく。
だが、それは地球人の発展を大きく阻害する行為だった。それでもカルデアスは「皆さんバカになりましょう」と開き直るばかり。
それでも納得できず、カルデアスに立ち向かおうとするもここで衝撃の事実が明かされる。
カルデアがいるこの世界もまた、切除すべき異聞帯の一種であると。
マリスビリーが冬木の聖杯戦争に介入してから大きく変質し、あれから特異点の出現が多発。言われてみれば、おかしなことがあり指摘されていたことを思い出す。
切除することはカルデアという存在がまるごとなかったことになる。僕達がカルデアに入ってから今まで得た経験が全てなかったことになる。
この事実に膝をつきたくなるほど打ちひしがれそうになるが、ここでもマシュの発言で自ら終わらすことを決める。もっとも、マシュを泣かせた時点で絶許なのだが。
既にカルデアスの僕達はカルデアスのテリトリーにいたため、氾人類史のサーヴァントを召喚できずにいた。しかし機転を利かせて、カルデアス側のサーヴァント――シャーロック・ホームズの召喚。さらにソロモンの宝具発動により、制限が解除。
そして、自分たちが住む国の発生および消失が地球の維持のための踏み台であったことから、異聞帯の人々が反発。自ら旅路を終わらすカルデアに同調し、自ら異聞帯を終わらせに来た。
こうして最終決戦が幕を開けた。ラスボスの前に、7本の空想樹を切除することになる。
だがマスター達にとっては垂涎必須な採集決戦。
2016年当時、自分はグランドオーダーすら始めていなかったのだが、様子を見返してみれば想定外のスピードで刈り尽くされ、マスター同士の共闘というよりスーパーのバーゲンセールでの取り合いという例えに等しいと言ったところ。向こう有限な上に素材がうまく、こちらはスタミナある限り無限に参加できる。前述の「採集決戦」や「殺したかったけど死んでほしくなかった」など人の心をどこかに置いていったような、人類悪とは何か考え直したくなるような言葉が生まれていったらしい。
この間にレイド戦は何度か行われ盛大なものとなっていたが、こういう採集決戦は2度目。
そんな中、BBさんやサクラファイブ達の調査により、8本目の空想樹が発見される。
新たな敵に恐慌状態に誰もがなる――と思いきや、ここではそうはならない。むしろ「おかわりが来た!」と嬉々とした表情で誰もが迎えている。
そして誰かが一言。
「悲鳴を上げたから仲間来てくれたんじゃないか!?」
……もう何も言うまい。
これはオルガマリー所長がああなった故の怒りとしての意趣返しの言葉なのだろうとこちらは解釈することにしよう。
何はともあれ、このM・スペクトラム。この空想樹から入手できる素材があまりにも美味すぎたらしく、途中参加でありながら開始からいる3本を残してあっという間にいなくなってしまった。しかも登場から退場までの実施時間が8本の中で最も短く、何なら1日も経っていない。
そんなトンチキな状況だったが、それでもカルデア最後の戦いなので、その間に挟まれたサーヴァント達の会話には、まだ終章が終わっていないにも拘らず喪失感が襲いかかる。特にBBさんからの言葉が胸に沁みる。
「これまでの旅は楽しかったですか?」
カルデアスとは同じ作られたAIであるにも関わらず、なんと雲泥の差であることか。
片や表向きしか旅路を評価せず、片やAIとして生まれながらも人間の愚かさや素晴らしさを知って余すことなく評価している。これには胸を打たれずにいようか。
祭りは終わり、あとは黒幕との最終決戦。ここは敢えて詳細は書かない。
ただ、一言でまとめると、感無量。
この言葉に尽きる。
***
「あ〜〜〜〜〜」
そんな自分、藤丸立香。人類最後のマスター。最後の戦いを終え、一般人に戻ってからは実家の自室にてベッドに寝転がり茫然としていた。
親には普段通り接し、大学生活を過ごし、魔術からは程遠い状況に立っていた。
戦いの後の余韻。
しっとりと心にくるテーマ曲。
なんかすごい位の授与。
戦いを終えた後の彼の心にのしかかるものは達成感、虚無感。
長年に及ぶ、自分の世界を取り戻す旅を終わらしてから、一体どうすればよいかわからずにいた。
それから数日後――沖縄の海辺に立っていた。
年末年始。新たな年を迎えるために旅行で降り立った沖縄。
観光地を巡り、名物料理を食べ、群青の海を眺め、もはや一つの家に等しい宿部屋で寛ぎながら年末を過ごして虚無感を和らげながら、新年を迎えた。
宿部屋のリビングにて、来客が現れた。
「問おう、汝が私のマスターか」
元旦を迎え、前に立つ気品ある鎧姿の女性。
自身への試練を課すために、カルデアの者――ソロモンが召喚した最強の英霊。
ブリテンの騎士王――アルトリア・ペンドラゴンと瓜二つの存在にして、騎士王の概念が集結した存在。
その名を――ロード・ログレスと呼ぶ。
「藤丸立香です。そして、あけましておめでとうございます」
「あけまして…。なるほど、マスターの国における新年のご挨拶ですか。ならこちらも。あけましておめでとうございます、マスター」
握手を持って迎え入れ、彼女と新年の挨拶を交わした。
「試練ぶりですね。あの時は立て込んでいましたので言葉を交わせませんでしたが、貴方の奮闘はお見事でした」
「もしかして、覚えていらっしゃるんですか?」
「ええ。かの召喚術の太祖からの呼びかけならは応じずにはいられませんでしたので。ただ、私を人類史における最強の聖剣使いと呼んでくれたのですが、どうも『サイキョー』のところが気がかりで…」
「ああ…」と遠い目をした。
「ああ、立ち話も難なのでどうぞ座ってください。ログレスさん」
「ではお言葉に甘えて」
椅子を引いて、ログレスに促した。
魔術師の世界ではマスターとサーヴァントの関係は主と使い魔といったもの。願望を成就することに渇望するあまり、サーヴァントの意思を無視して道具同然に扱う魔術師もいれば、対等に接する者もいたりする。
ただ、元々一般人の自分はサーヴァントを道具として見ることはできなかった。むしろ英霊の多くは歴史に名を残す偉人や神霊だったりするので、彼らを人生の先輩と見て自分は下手に徹し振る舞っていた。
そんな自分をサーヴァントの中には怪訝に思うこともあれば、畏怖するあまり外面しか見ていないのかと蔑む者もいた。普段は目上には敬語で話すことを徹底しつつも、自分だって譲れないことがあるからその時ははっきりと発言し、先達の力をお借りするていで使役したことから信頼を得てきた。ゲームセットで終わらせることができたのはこの功績だろう。
自分は紅茶を淹れ、ログレスの前に差し出した。アールグレイの香りで心を落ち着かせる。
軽く雑談を交わしてから、ログレスは意を込めて立香に話しかけた。
「立香。貴方の旅は如何でしたか?」
「…」
「すみません。何度か聞かれているみたいですが、私からも貴方の口から聞きたいと思いまして」
ログレスからの質問に意表を突かれた。カルデアで経験したことが脳裏に浮かび始め、紅茶の水面を覗きながら話し出した。
「もちろん、楽しかったです。まぁ辛いことも山々で、投げ出したくなることもありましたけど、あの旅で得られたことは沢山ありました。サーヴァントの皆さんのこととか、特異点、異聞帯の方々の生き方とか」
思ったことをありのままに話した。
長年の旅で受けた感情。喜び、悲しみ、怒り、楽しみ。あらゆる面から感想を述べていたが、ログレスは見守るような笑顔で聞いてくれていた。
「ですが、いくつか気がかりなことが」
「気がかりなこととは…?」ログレスは首を傾げた。
「果たして、本当に終わったんでしょうか。常々思っちゃうんです」
それでも、まだ腑に落ちないことがある。
一つは、マリス・カルデアスの破壊。本来は停止のはずだったが、結局はマシュの宝具で跡形もなく消し去っちゃったので…。何か知らない不都合が顕になる可能性があるかもしれない。なんなら破壊できたかどうかすら怪しい。
もう一つは、フォーリナーの精算について。空想樹との勢力戦でBBが援軍を用意してくれたんですが、そのうちフォーリナーが出禁を食らっていた。ゴッホやお栄、アビゲイルはクラスを変えたり、ボイジャーやククルカン、XXなどが来てくれたあたり、ひょっとしたら邪神関連で何かあるかもしれない。カルデアスが宇宙をめちゃくちゃにしてくれたから報復行動に出そうで怖い。
「現に、僕にはカルデアに来てからの記憶がまだ残っているんです。マリス・カルデアスを倒したからにはカルデアに来て経験したことは全てなくなるはずなのに、まるで昨日のことのようにはっきりと覚えてる」
「なるほど…」
そうしてログレスに、椅子ごと正面に顔を向けて頭を深く下げた。
「だから、今後何が起こるかわかりませんが、その時は僕に力を貸してくれないでしょうか?」
「勿論」
ログレスは息を吐くように返答した。
「貴方は本来、人理保障に縁がないはずの、成り行きでマスターに選ばれただけの者でした。ですが、最後までやり遂げた。立香、貴方はこれからも続けるのでしょう?」
「もちろんです。まだまだ生きていきたいので」
今後起こりうる出来事に対するため、騎士王の可能性が集まった存在たる彼女と共に一から備え直す、そう決心した矢先。
「ですが、貴方に助力する存在は私だけではないようです」
「……それは一体…」
立香が言いかけた途端、来客を知らせるチャイムが鳴った。
既に夜が更け、ルームサービスを利用していないはず。
ログレスが動かないことは、訪問したのは襲撃者ではないということ。「はい」と気兼ねなく返事し、扉を開ける。
そこには藤色の髪型の、可愛らしい後輩だった。
「先輩!」
「マシュ…!」
マシュは泣きそうになりながらも、精一杯の笑顔を見せて迎えてくれた。
でも、自分を「先輩」と呼んだことは。
「マシュ…、君も記憶が…」
「夜分遅くに申し訳ありません! ですが…、どうしても先輩に会いたくて…」
「僕がここに泊まってるってよくわかったね…!」
「こちらからサーヴァントの反応が検知されましたので、所長といっしょに駆けつけてきました!」
「所長…?」
マシュの言葉に戸惑う。所長…、ということはゴルドルフ所長も――
「なんて間抜けな顔してるの、藤丸」
マシュに遅れて到着したもう1人の声は女性だった。厳しくもあり、温かな声。
「所長!?」
「ちょっと…! もう遅いんだから大きな声出すんじゃないわよ…!」
「あっ、すいません…!」
オルガマリー・アニムスフィア。
最終決戦の後に姿を消し、生存説が危ぶまれたはずだが。
話を聞くために2人を部屋に通し、既にログレスがいるリビングに座した。
「所長、あそこからどうやって…?」
「それはその…。そういえばなんで私生きてるのかしら!? 全然わかんないんだけど!?」
気品を保って答えるかと思ったらテンパり始めたので、気が抜けて転けそうになるも踏ん張った。
いつもと変わらないような世界で目覚めたらしく、何気なくルーティンをこなしながらも、記憶があったためにマシュと合流してこちらに来たと言うとのことだが。
「でも、所長は本物の所長です!」とマシュは胸を張って断言する。
泊まる部屋については既に別のホテルを取っていたとのことで、ここでマシュや所長と別れることになった。なお、ログレスは僕の警護のために残ることに。部屋料金が人数依存じゃなかったことからなんとかなるだろう。
「まぁ、他にも色々と話したいことはあるけど、今はもう寝なさい。」
「先輩、ではまた明日!」
わかっている。なにか良からぬことが起こっていることは。
それでも、今まで旅路を共にしてきた仲間達と再び出会えたことは、とても嬉しいのは確かだ。
翌日、僕が泊まった方の宿のほうでマシュと所長と共に朝食を取った後、今後の方針を決めるため沖縄の海辺に直行。
なぜ海辺でなのかと疑問に思った矢先、そこで僕が契約したサーヴァントが全員集合し、戦隊モノの場面を彷彿とさせる怒涛の光景を目の当たりにするのだが、それはまた別の話。