『神のチートで勇往邁進!〜20年後の同窓会に現れた独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す〜』   作:夜幻

44 / 90
第43話「家族旅行」

期末試験が終わってから、数日。

 

旭高校では、ようやく二学期の慌ただしさが落ち着きを見せ始めていた。

 

冬休みを目前に控えたある日の放課後。

 

悠飛はいつものように、風太郎と並んで校門を出ていた。

 

「なあ、悠飛」

 

「ん?」

 

「冬休みの予定は決まってるか?」

 

「まだだな。家族とどこかへ行くかもしれないけど」

 

「そうか」

 

風太郎は少し考える。

 

「うちも、らいはがどこか行きたいって言ってたな」

 

「らいはなら喜びそうだ」

 

「……問題は親父だ」

 

「上杉さん?」

 

「ああ。仕事が忙しいからな」

 

二人がそんな話をしていると。

 

「悠飛くーん!」

 

聞き慣れた声が響いた。

 

振り返る。

 

そこには一花、二乃、三玖、四葉、五月。

 

そして六華がいた。

 

「みんな」

 

四葉が元気よく駆け寄ってくる。

 

「悠飛さん、冬休みの予定は決まりましたか?」

 

「まだ」

 

「そうなんですか?」

 

「四葉は?」

 

「私もまだです!」

 

「それなら――」

 

悠飛が言いかけた、その時だった。

 

「悠飛」

 

六華が手を挙げる。

 

「実は、ちょっと話があるの」

 

「話?」

 

「うん」

 

六華は一花たちを見る。

 

「みんなも関係あるから」

 

「私たち?」

 

二乃が首を傾げる。

 

すると五月が一枚の封筒を取り出した。

 

「これです」

 

「何それ?」

 

一花が受け取る。

 

「旅館の案内?」

 

「はい」

 

五月が頷いた。

 

「父……いえ、マルオさんが、冬休みに家族旅行へ行こうと」

 

「家族旅行?」

 

四葉の目が輝いた。

 

「温泉ですか!?」

 

「はい」

 

「温泉!」

 

四葉が両手を上げる。

 

「行きたいです!」

 

「四葉、まだ誰も行くとは言ってないわよ」

 

二乃が呆れる。

 

「でも温泉ですよ!?」

 

「それは……」

 

二乃も案内を見る。

 

「悪くないわね」

 

三玖も覗き込む。

 

「旅館……」

 

一花が笑う。

 

「みんなで行くの?」

 

五月が頷く。

 

「はい。私たち五人と、六華さんも誘われています」

 

「私も?」

 

六華が少し驚く。

 

「ええ」

 

五月が答える。

 

「マルオさんが『六華君も家族同然だ』と」

 

「……」

 

六華の表情が柔らかくなる。

 

「そっか」

 

そして。

 

一花が悠飛を見る。

 

「悠飛くんも来ない?」

 

「俺?」

 

「うん」

 

「俺までいいのか?」

 

「もちろんです!」

 

四葉が即答した。

 

「悠飛さんがいない旅行なんて、寂しいです!」

 

「四葉……」

 

一花も笑う。

 

「私も賛成」

 

二乃は腕を組む。

 

「まあ、いつも勉強ばかりだったし。たまには息抜きも必要でしょ」

 

三玖も頷く。

 

「悠飛がいるなら」

 

「私も賛成です」

 

五月も言った。

 

六華は少し恥ずかしそうに。

 

「……私も」

 

「そういうことなら」

 

悠飛は笑った。

 

「参加させてもらうよ」

 

「やったぁ!」

 

四葉が飛び跳ねた。

 

 

その日の夜。

 

如月家。

 

リビングでは、悠飛が家族に旅行の話をしていた。

 

「温泉旅行?」

 

明美が嬉しそうに聞き返す。

 

「ああ。中野家と一緒に」

 

明馬も新聞から顔を上げる。

 

「中野家か」

 

「うん」

 

「それなら行ってこい」

 

「いいの?」

 

「もちろんだ」

 

明馬は笑った。

 

「友人との思い出は、金では買えないからな」

 

「父さん……」

 

「ただし」

 

明馬が続ける。

 

「遊びすぎて勉強を忘れるなよ」

 

「分かってる」

 

「それに」

 

明美が口を挟む。

 

「莉々華も連れて行ってあげなさい」

 

「え?」

 

悠飛が妹を見る。

 

「私もですか?」

 

莉々華は目を輝かせていた。

 

「もちろん行きたいです!」

 

「……」

 

悠飛は苦笑する。

 

「じゃあ、一緒に行くか」

 

「はい!」

 

莉々華が満面の笑みを浮かべる。

 

「お兄ちゃんと旅行です!」

 

 

旅行当日。

 

朝。

 

駅前には、大勢の人が集まっていた。

 

中野家。

 

一花。

 

二乃。

 

三玖。

 

四葉。

 

五月。

 

六華。

 

そして。

 

悠飛。

 

莉々華。

 

さらに風太郎とらいは。

 

「……」

 

風太郎が人数を数える。

 

「多いな」

 

「家族旅行だからね」

 

悠飛が笑う。

 

「お兄ちゃん!」

 

らいはが悠飛のところへやってくる。

 

「久しぶり!」

 

「久しぶり、らいは」

 

「今日はいっぱい遊ぼうね!」

 

「ああ」

 

らいはは四葉たちを見る。

 

「五つ子のお姉ちゃんたちも元気?」

 

「元気だよ!」

 

四葉が答える。

 

「らいはちゃんも一緒に楽しもう!」

 

「うん!」

 

そこへ。

 

「皆さん、お待たせしました」

 

マルオが現れる。

 

「マルオさん」

 

悠飛が頭を下げる。

 

「悠飛君」

 

マルオも頷く。

 

「今回は娘たちのために来てくれてありがとう」

 

「こちらこそ、誘っていただいてありがとうございます」

 

「君がいると娘たちも安心する」

 

「……」

 

悠飛は少し照れた。

 

「それならよかったです」

 

そして。

 

マルオの隣には勇也もいた。

 

「おう、悠飛!」

 

「上杉さん」

 

「今日はよろしくな!」

 

「はい」

 

勇也は悠飛の肩を叩く。

 

「風太郎も、今日は勉強禁止だぞ!」

 

「分かってる」

 

「本当かぁ?」

 

「……」

 

風太郎は黙った。

 

「怪しいな」

 

勇也が笑う。

 

「お兄ちゃんは放っておくと参考書を開くからね」

 

らいはが言う。

 

「らいは……」

 

「本当のことだよ」

 

「……」

 

全員が笑った。

 

 

電車。

 

長い旅路の始まり。

 

座席は自然と分かれた。

 

五つ子と六華。

 

悠飛と莉々華。

 

風太郎とらいは。

 

そして大人たちは少し離れた席。

 

「お兄ちゃん」

 

莉々華が窓の外を見る。

 

「雪、降るかな?」

 

「山のほうなら降るかもな」

 

「楽しみです」

 

その向かいでは。

 

四葉が窓に顔を近づけている。

 

「雪!」

 

「まだ降ってないよ」

 

一花が笑う。

 

「でも雪山が見えます!」

 

「本当」

 

六華も窓を見る。

 

悠飛はその様子を眺めながら笑っていた。

 

「楽しそうだな」

 

「悠飛さんも楽しんでください!」

 

四葉が振り返る。

 

「もちろん」

 

 

数時間後。

 

一行は温泉旅館に到着した。

 

古くから続く、趣のある旅館。

 

門をくぐると、雪化粧をした庭園が広がっている。

 

「わぁ……」

 

一花が感嘆の声を漏らす。

 

「綺麗」

 

「すごいです!」

 

四葉は走り出しそうになる。

 

「四葉」

 

五月が止める。

 

「旅館の中では走ってはいけません」

 

「はーい」

 

二乃が笑う。

 

「子供みたい」

 

「二乃も少し嬉しそう」

 

三玖が言う。

 

「……そんなことないわよ」

 

「顔に出てる」

 

「三玖、うるさい」

 

六華は庭を眺める。

 

「綺麗だね」

 

悠飛が隣に立つ。

 

「ああ」

 

「こういう場所、久しぶり」

 

「俺も」

 

六華は悠飛を見上げる。

 

「……一緒に来られてよかった」

 

「俺もだよ」

 

六華の頬が少し赤くなる。

 

その様子を。

 

一花が遠くから見ていた。

 

「……」

 

そして。

 

四葉も。

 

「……」

 

二人とも何も言わなかった。

 

 

部屋割りが決まる。

 

女性陣は大部屋。

 

男性陣は別室。

 

悠飛は荷物を置きながら。

 

「結構広いな」

 

風太郎が畳に座る。

 

「温泉旅館なんて久しぶりだ」

 

「らいはは?」

 

「女子部屋」

 

「そうか」

 

「……」

 

風太郎は窓を見る。

 

「こういうのも悪くないな」

 

「だろ?」

 

「たまにはな」

 

二人は少し笑った。

 

 

その頃。

 

女性陣の部屋。

 

「温泉!」

 

四葉が叫ぶ。

 

「四葉」

 

五月が注意する。

 

「まだ入ってません」

 

「でも楽しみです!」

 

一花は荷物を整理している。

 

二乃は鏡を見る。

 

三玖は旅館の案内を読む。

 

六華は窓際に座っている。

 

「六華」

 

一花が声をかける。

 

「何?」

 

「楽しい?」

 

「うん」

 

「悠飛くんと一緒だから?」

 

「……」

 

六華が固まる。

 

「一花」

 

「ふふっ」

 

「からかわないで」

 

「ごめんごめん」

 

四葉が横から入る。

 

「でも私も楽しみです!」

 

「四葉は単純ね」

 

二乃が笑う。

 

「温泉と旅行があるだけで嬉しいんだから」

 

「それだけじゃありません!」

 

四葉は言う。

 

「悠飛さんと一緒だからです!」

 

「……」

 

一花と六華が四葉を見る。

 

四葉は自分の発言に気づいた。

 

「……あ」

 

「ふふっ」

 

一花が笑う。

 

「四葉、正直だね」

 

「うぅ……」

 

顔を真っ赤にする四葉。

 

 

夕方。

 

温泉。

 

男子風呂。

 

「……」

 

悠飛が湯船に浸かる。

 

「温かいな」

 

「疲れが取れる」

 

風太郎も肩まで浸かる。

 

「試験の疲れもな」

 

「そうだな」

 

そこへ勇也が入ってくる。

 

「おう、お前ら!」

 

「上杉さん」

 

「どうだ、風太郎。少しは勉強以外のことも楽しんでるか?」

 

「楽しんでる」

 

「本当か?」

 

「本当だ」

 

勇也が笑う。

 

「悠飛、お前からも言ってやってくれ」

 

「何を?」

 

「風太郎に青春しろって」

 

「余計なお世話だ」

 

「ははは!」

 

勇也は豪快に笑った。

 

「青春なんてな、後から取り戻せないぞ」

 

悠飛はその言葉を聞いて。

 

少しだけ考えた。

 

「……確かに」

 

高校生活。

 

今しかない時間。

 

友達。

 

家族。

 

そして。

 

恋。

 

悠飛の頭に、一花、四葉、六華の顔が浮かぶ。

 

「……」

 

「どうした?」

 

風太郎が聞く。

 

「いや」

 

悠飛は笑った。

 

「何でもない」

 

 

一方、女子風呂。

 

「はぁ……」

 

一花が湯船に浸かる。

 

「気持ちいい」

 

二乃も。

 

「たまにはこういうのもいいわね」

 

三玖。

 

「温泉、好き」

 

四葉。

 

「最高です!」

 

五月。

 

「温泉旅行は素晴らしいですね」

 

六華。

 

「……」

 

六華は湯気の向こうを見る。

 

「どうしたの?」

 

一花が聞く。

 

「ううん」

 

六華は笑った。

 

「ちょっと考え事」

 

「悠飛?」

 

「……」

 

「やっぱり」

 

一花が笑う。

 

「もう」

 

六華は恥ずかしそうにする。

 

「一花だって同じでしょう」

 

「……」

 

今度は一花が黙る。

 

二乃が呆れる。

 

「何よ、この二人」

 

三玖が静かに言う。

 

「恋愛相談?」

 

「三玖!」

 

「冗談」

 

四葉が笑う。

 

「みんな、悠飛さんが好きなんですね!」

 

「四葉!」

 

「え?」

 

四葉は首を傾げる。

 

「違うんですか?」

 

一花と六華。

 

二人とも答えられない。

 

五月が困ったように笑う。

 

「四葉は本当に素直ですね」

 

 

夕食。

 

大広間には、豪華な料理が並んでいた。

 

「いただきます!」

 

五月が嬉しそうに手を合わせる。

 

「すごい料理ですね」

 

マルオが言う。

 

「今日は好きなものを食べなさい」

 

「はい!」

 

四葉も料理を見る。

 

「全部美味しそうです!」

 

「食べ過ぎるなよ」

 

風太郎が言う。

 

「風太郎くんもです!」

 

「俺は食べ過ぎない」

 

「本当ですか?」

 

「……」

 

一花が笑う。

 

「風太郎くん、四葉に完全に負けてるよ」

 

「うるさい」

 

勇也が笑う。

 

「いいなぁ。こういうの」

 

明馬も頷く。

 

「家族が揃うというのはいいものだ」

 

明美が微笑む。

 

「本当に」

 

莉々華は悠飛の隣に座っていた。

 

「お兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「お料理、取ってください」

 

「はいはい」

 

「ありがとうございます」

 

「自分で取れるだろ」

 

「お兄ちゃんに取ってもらいたいんです」

 

「……」

 

四葉が笑う。

 

「莉々華ちゃんは相変わらずお兄ちゃん大好きですね!」

 

「はい!」

 

莉々華は即答した。

 

「お兄ちゃんは私の自慢ですから!」

 

一花が微笑む。

 

「仲良し兄妹だね」

 

「はい!」

 

 

夕食後。

 

旅館の庭。

 

雪が降り始めていた。

 

「雪……」

 

六華が手を伸ばす。

 

白い雪が手のひらに落ちる。

 

「綺麗」

 

悠飛が隣に立つ。

 

「寒くない?」

 

「大丈夫」

 

「風邪引くなよ」

 

「悠飛こそ」

 

「俺は大丈夫」

 

六華は少し笑った。

 

「昔からそう」

 

「何が?」

 

「悠飛は自分より人の心配をする」

 

「……そうかな」

 

「そうだよ」

 

六華は雪を見る。

 

「変わらないね」

 

「六華も」

 

「私?」

 

「昔から、よく人のこと見てる」

 

「……」

 

六華の胸が高鳴る。

 

「悠飛」

 

「ん?」

 

「もし」

 

「うん」

 

「これからも、ずっと一緒にいられたら」

 

悠飛は笑う。

 

「もちろん」

 

「……」

 

「友達だろ?」

 

その言葉に。

 

六華は少しだけ目を伏せた。

 

「……うん」

 

「どうした?」

 

「何でもない」

 

六華は笑った。

 

けれど。

 

心の中では。

 

――いつか。

 

――友達以上になりたい。

 

そう思っていた。

 

 

少し離れた場所。

 

一花と四葉がその光景を見ていた。

 

「……」

 

一花は何も言わない。

 

四葉も。

 

二人はしばらく六華と悠飛を見る。

 

「一花」

 

四葉が小さく言う。

 

「何?」

 

「私たち」

 

「うん」

 

「頑張らないといけませんね」

 

一花は少し驚く。

 

そして。

 

微笑んだ。

 

「そうだね」

 

「でも」

 

四葉は笑う。

 

「六華も大切な仲間です」

 

「うん」

 

「だから、喧嘩はしたくありません」

 

「私も」

 

一花は空を見上げる。

 

「……それでも、負けたくないけどね」

 

「はい!」

 

二人は笑った。

 

 

翌朝。

 

朝食を終えた一行は、旅館を出る準備をしていた。

 

「楽しかったです!」

 

四葉が言う。

 

「また来たい」

 

三玖も。

 

「次は春がいい」

 

一花。

 

「桜とか綺麗そう」

 

二乃。

 

「その前に受験とか進路で忙しくなるわよ」

 

五月が少し寂しそうに言う。

 

「そうですね」

 

高校二年生の冬。

 

あと数ヶ月もすれば。

 

三年生。

 

そして。

 

卒業が近づいてくる。

 

「……」

 

悠飛はその言葉を聞いて。

 

少しだけ遠くを見る。

 

風太郎も同じだった。

 

「時間が経つのは早いな」

 

「うん」

 

悠飛は頷く。

 

「だからこそ」

 

「?」

 

「今を大切にしないとな」

 

風太郎は悠飛を見る。

 

「……そうだな」

 

 

帰りの電車。

 

行きとは違い。

 

みんな少し疲れて眠っている。

 

四葉は座席で眠り。

 

五月も本を閉じて目を閉じている。

 

三玖は窓にもたれている。

 

二乃も静かに目を閉じる。

 

一花は寝たふりをしながら、悠飛のほうを見ていた。

 

六華も。

 

莉々華は悠飛の肩にもたれて眠っている。

 

「……」

 

悠飛は妹を起こさないように、そっと姿勢を変える。

 

その様子を見た一花が微笑んだ。

 

「優しいね」

 

「ん?」

 

「莉々華ちゃんに」

 

「妹だからな」

 

「……」

 

一花は小さく笑う。

 

「そういうところ、好きだな」

 

「え?」

 

「……」

 

一花は一瞬固まった。

 

「……今のは忘れて」

 

「?」

 

悠飛は首を傾げる。

 

一花は窓の外を見る。

 

「本当に鈍感だなぁ」

 

小さな声。

 

その言葉は。

 

悠飛には届かなかった。

 

 

そして。

 

数時間後。

 

駅に到着。

 

「また学校で!」

 

四葉が元気に手を振る。

 

「うん」

 

一花も。

 

「じゃあね」

 

六華も。

 

「また明日」

 

悠飛は三人に手を振る。

 

「またな」

 

五つ子と六華が帰っていく。

 

悠飛はその背中を見つめる。

 

風太郎が隣に立つ。

 

「楽しかったな」

 

「ああ」

 

「……」

 

風太郎は悠飛を見る。

 

「お前」

 

「ん?」

 

「そろそろ自分の気持ちも考えたほうがいいんじゃないか」

 

「自分の気持ち?」

 

「何でもない」

 

「……?」

 

風太郎は歩き出す。

 

「帰るぞ」

 

「おい、待てよ」

 

悠飛も追いかける。

 

二人の後ろから。

 

「お兄ちゃん!」

 

莉々華の声。

 

「早く帰りましょう!」

 

「ああ!」

 

悠飛は振り返る。

 

笑顔で。

 

 

家族旅行。

 

それは。

 

ただ温泉に入り。

 

美味しい料理を食べ。

 

楽しく遊んだだけの旅行ではなかった。

 

家族として。

 

友人として。

 

そして。

 

一人の大切な人として。

 

互いの距離を少しだけ縮めた時間だった。

 

一花は。

 

悠飛への想いを、より強くした。

 

四葉は。

 

悠飛と過ごす未来を夢見るようになった。

 

六華は。

 

自分の気持ちを、少しずつ認め始めた。

 

そして悠飛は。

 

まだ知らない。

 

自分の何気ない優しさが。

 

三人の少女の心を。

 

どれほど大きく揺らしているのかを。

 

冬の雪は。

 

静かに降り続いていた。

 

そして。

 

高校二年生の冬休みは。

 

ゆっくりと終わりへ向かっていた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。