『神のチートで勇往邁進!〜20年後の同窓会に現れた独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す〜』   作:夜幻

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第80話「20年後――同窓会への招待状」

二十年。

 

長い年月だった。

 

高校生だった少年少女が、社会へ出て。

 

夢を追い。

 

恋をして。

 

笑って。

 

泣いて。

 

時には挫折し。

 

それでも前を向いて。

 

気がつけば――。

 

あの日、校門の前で交わした約束から、二十年の歳月が流れていた。

 

春。

 

東京。

 

桜が満開になった街を、一人の男が歩いていた。

 

黒い眼帯。

 

金色のウルフヘア。

 

長身で、引き締まった身体。

 

落ち着いた物腰。

 

かつて少年だった面影を残しながらも、その姿には二十年分の風格が漂っている。

 

如月悠飛。

 

世界有数の資産家。

 

投資家。

 

企業家。

 

そして――。

 

世間からは、いつしか「独眼竜」と呼ばれるようになった男。

 

「……」

 

悠飛は、足を止めた。

 

目の前に桜の木がある。

 

風が吹く。

 

花びらが舞った。

 

その一枚が、悠飛の左肩に落ちる。

 

「桜か……」

 

二十年前。

 

卒業式の日にも、同じような桜を見た。

 

まだ蕾だった。

 

だから。

 

四葉が言った。

 

――二十年後も、みんなで会いましょう!

 

あの日の約束。

 

悠飛は、今でも覚えている。

 

「……二十年」

 

長かったような。

 

短かったような。

 

そんな不思議な感覚だった。

 

ポケットの中で、スマートフォンが震える。

 

悠飛は取り出した。

 

一件のメール。

 

差出人。

 

『同窓会実行委員会』

 

件名。

 

『卒業二十周年記念同窓会のお知らせ』

 

「……」

 

悠飛は。

 

しばらく画面を見つめていた。

 

そして。

 

小さく笑う。

 

「来たか」

 

 

同じ頃。

 

中野一花は、撮影スタジオにいた。

 

「カット!」

 

監督の声。

 

「お疲れ様でした!」

 

スタッフたちが動き始める。

 

一花は、椅子に座って水を飲む。

 

「ふぅ……」

 

二十年前。

 

女優になりたい。

 

そう言っていた少女は。

 

今では、誰もが知る人気女優になっていた。

 

舞台。

 

映画。

 

ドラマ。

 

CM。

 

多忙な日々。

 

それでも。

 

一花は、時々昔のことを思い出す。

 

「……」

 

スタッフから渡されたスマートフォン。

 

画面を見る。

 

通知。

 

『卒業二十周年記念同窓会のお知らせ』

 

一花は。

 

一瞬。

 

目を丸くした。

 

「……来たんだ」

 

そして。

 

その顔に。

 

高校時代と同じ笑顔が浮かんだ。

 

「二十年かぁ……」

 

懐かしい。

 

一花は。

 

スマートフォンを握る。

 

「みんな、どうしてるかな」

 

もちろん。

 

ある程度は知っている。

 

グループチャットで。

 

時々連絡を取っているから。

 

でも。

 

全員で集まるのは。

 

久しぶりだ。

 

そして。

 

一花には。

 

もう一つ。

 

気になることがあった。

 

「悠飛くん……」

 

二十年前。

 

言えなかった想い。

 

今も。

 

完全に消えたわけではない。

 

むしろ。

 

年を重ねるほど。

 

大切なものになっていた。

 

「……」

 

一花は。

 

招待状を見つめる。

 

「今度こそ」

 

小さく呟いた。

 

 

中野二乃。

 

彼女は。

 

自分の店の厨房にいた。

 

「二乃さん!」

 

「何?」

 

「新しいメニューの試作、できました!」

 

「見せて」

 

二乃は。

 

皿を受け取る。

 

香り。

 

盛り付け。

 

味。

 

一つ一つ確認する。

 

「……悪くない」

 

「本当ですか?」

 

「でも、もう少しソースを――」

 

そこまで言ったところで。

 

スマートフォンが鳴った。

 

「ちょっと待って」

 

画面を見る。

 

『同窓会実行委員会』

 

「……」

 

二乃の手が止まる。

 

「二十年……」

 

高校卒業の日。

 

校門前。

 

七人で。

 

そして。

 

悠飛と。

 

約束した。

 

「二十年後も、みんな一緒」

 

「……」

 

二乃は。

 

ふっと笑った。

 

「本当にやるなんてね」

 

「二乃さん?」

 

「何でもない」

 

二乃は。

 

スマートフォンを置く。

 

けれど。

 

すぐにまた手に取った。

 

「……」

 

参加。

 

そのボタンを押す。

 

「当然でしょ」

 

そして。

 

小さく付け加える。

 

「悠飛も来るんでしょうね?」

 

 

三玖は。

 

大学の研究室にいた。

 

大量の史料。

 

本。

 

資料。

 

机の上は。

 

いつものように散らかっている。

 

「三玖先生」

 

若い研究員が声をかける。

 

「これ、確認をお願いします」

 

「うん」

 

三玖は。

 

資料を受け取る。

 

そのとき。

 

スマートフォンが震えた。

 

画面。

 

同窓会。

 

「……」

 

三玖は。

 

少しだけ目を細める。

 

二十年前。

 

卒業式。

 

そして。

 

あの日の写真。

 

三玖は。

 

今でも大切にしている。

 

「……みんなに会える」

 

その中には。

 

もちろん。

 

悠飛もいる。

 

三玖は。

 

小さく笑った。

 

「楽しみ」

 

それだけ。

 

でも。

 

胸の奥では。

 

少しだけ。

 

鼓動が速くなっていた。

 

 

四葉は。

 

スポーツ施設のグラウンドにいた。

 

「先生!」

 

「どうしました?」

 

「大会で勝ちました!」

 

「本当!?」

 

子供たちが。

 

嬉しそうに駆け寄ってくる。

 

「やったね!」

 

四葉も。

 

両手を上げて喜ぶ。

 

「先生のおかげです!」

 

「みんなが頑張ったからですよ!」

 

笑い声。

 

二十年前と変わらない。

 

明るい。

 

元気。

 

前向き。

 

それが。

 

四葉という女性だった。

 

仕事を終え。

 

事務所に戻る。

 

そこで。

 

スマートフォンを開く。

 

「……」

 

通知。

 

『卒業二十周年記念同窓会』

 

四葉は。

 

目を丸くする。

 

「……」

 

そして。

 

次の瞬間。

 

「きたああああああっ!」

 

事務所に。

 

大声が響いた。

 

「先生!?」

 

「すみません!」

 

四葉は。

 

スマートフォンを抱える。

 

「二十年ですよ!」

 

誰に言うでもなく。

 

笑う。

 

「本当に二十年後です!」

 

 

五月は。

 

学校の職員室にいた。

 

今では。

 

教師として働いている。

 

「先生」

 

「はい」

 

「こちらの書類ですが」

 

「確認します」

 

真面目な表情。

 

高校時代と変わらない。

 

しかし。

 

教師としての経験を積んだ五月には。

 

今では。

 

大きな落ち着きがあった。

 

生徒たちからも。

 

信頼されている。

 

放課後。

 

職員室に残っていると。

 

スマートフォンが震えた。

 

「……?」

 

通知。

 

五月は。

 

画面を見る。

 

「……」

 

二十周年。

 

「もう、そんなに経つのですね」

 

母・零奈のこと。

 

高校時代。

 

無堂とのこと。

 

悠飛に守られた日のこと。

 

いろいろな思い出が。

 

胸の中を駆け抜ける。

 

「……」

 

そして。

 

あの日。

 

右眼を失った悠飛。

 

五月は。

 

今でも。

 

そのことを忘れていない。

 

「悠飛さん……」

 

無事に。

 

元気で。

 

今も。

 

自分たちのことを気にかけてくれている。

 

「……」

 

五月は。

 

参加の返信をする。

 

『出席いたします』

 

送信。

 

「楽しみですね」

 

 

六華は。

 

自宅のリビングで。

 

一冊のアルバムを開いていた。

 

古い写真。

 

高校時代。

 

七人。

 

そして。

 

悠飛。

 

「……」

 

卒業式。

 

文化祭。

 

修学旅行。

 

日の出祭。

 

様々な写真。

 

ページをめくるたび。

 

記憶が蘇る。

 

そして。

 

一枚。

 

六華が指を止めた。

 

卒業式の日。

 

校門前。

 

八人で撮った写真。

 

「……」

 

六華は。

 

微笑んだ。

 

「約束の日が来たね」

 

その瞬間。

 

スマートフォンが鳴る。

 

招待状。

 

「……」

 

六華は。

 

迷わず。

 

参加を選択した。

 

「今度こそ」

 

小さく呟く。

 

「悠飛に会って」

 

「ちゃんと話そう」

 

二十年前。

 

言えなかったこと。

 

今度は。

 

もう。

 

逃げない。

 

 

莉々華は。

 

仕事机に向かっていた。

 

企画書。

 

原稿。

 

メール。

 

忙しい。

 

そんな中。

 

一通のメールが届く。

 

『卒業二十周年記念同窓会』

 

「……」

 

莉々華は。

 

眼鏡を直しながら。

 

内容を読む。

 

日時。

 

場所。

 

参加者。

 

そして。

 

備考欄。

 

『当時の卒業生・関係者を対象とした記念同窓会』

 

「……」

 

莉々華は。

 

笑った。

 

「二十年」

 

あっという間だった。

 

でも。

 

振り返れば。

 

いろいろあった。

 

七人。

 

それぞれの夢。

 

それぞれの人生。

 

そして。

 

悠飛。

 

「……」

 

莉々華は。

 

スマートフォンを取り出す。

 

グループチャット。

 

『招待状来た?』

 

すぐに。

 

返信が来る。

 

一花。

 

『来たよ』

 

二乃。

 

『当然来る』

 

三玖。

 

『来る』

 

四葉。

 

『来ました!』

 

五月。

 

『はい』

 

六華。

 

『参加する』

 

莉々華。

 

『私も』

 

そして。

 

悠飛。

 

『俺も行く』

 

その瞬間。

 

チャットが。

 

一気に騒がしくなった。

 

四葉。

 

『やったー!』

 

二乃。

 

『当たり前でしょ』

 

一花。

 

『ふふ』

 

三玖。

 

『楽しみ』

 

五月。

 

『皆さんに会えるのが楽しみです』

 

六華。

 

『うん』

 

莉々華は。

 

画面を見ながら。

 

微笑んだ。

 

「……」

 

本当に。

 

変わらない。

 

二十年経っても。

 

この七人と一人は。

 

繋がっている。

 

 

その夜。

 

悠飛は。

 

自宅の書斎にいた。

 

机の上には。

 

招待状。

 

そして。

 

一枚の写真。

 

卒業式の日。

 

「……」

 

悠飛は。

 

写真を手に取る。

 

一花。

 

二乃。

 

三玖。

 

四葉。

 

五月。

 

六華。

 

莉々華。

 

そして。

 

自分。

 

全員。

 

笑っている。

 

「二十年前か」

 

あの日。

 

四葉が。

 

「二十年後も、みんな一緒!」

 

と言った。

 

自分は。

 

「約束する」

 

と答えた。

 

「……」

 

悠飛は。

 

写真の裏を確認する。

 

四葉の文字。

 

『二十年後も、みんな一緒!』

 

その下。

 

八人の名前。

 

「……」

 

悠飛は。

 

目を閉じる。

 

右眼。

 

そこには。

 

もう光はない。

 

けれど。

 

左眼には。

 

あの日の景色が。

 

はっきりと残っている。

 

日の出祭。

 

ナイフ。

 

血。

 

五月。

 

そして。

 

自分の決断。

 

あの出来事を境に。

 

人生は。

 

大きく変わった。

 

それでも。

 

後悔はない。

 

「……」

 

悠飛は。

 

写真を引き出しに戻す。

 

そして。

 

招待状を手に取った。

 

「二十年後」

 

「約束の日だ」

 

 

数日後。

 

同窓会の準備が。

 

少しずつ進んでいた。

 

会場は。

 

かつて通っていた高校の近く。

 

卒業生たちが。

 

思い出を語り合える場所。

 

会場には。

 

当時の写真。

 

卒業アルバム。

 

文化祭の資料。

 

そして。

 

卒業式の日に撮影された。

 

あの写真も。

 

展示される予定だった。

 

幹事の一人が。

 

写真を確認する。

 

「これ、懐かしいな」

 

「七人と……」

 

「如月君か」

 

「そうそう」

 

「今じゃ世界的な企業家だろ?」

 

「すごいよな」

 

「独眼竜って呼ばれてるんだっけ?」

 

「右眼を失った事故があったからな」

 

「それでも、すごい人生だよ」

 

写真の中。

 

高校生の悠飛は。

 

まだ。

 

何も知らない。

 

これから。

 

どれほど大きな人生が待っているのか。

 

どれほど多くの人と出会うのか。

 

そして。

 

二十年後。

 

再び。

 

仲間たちと集まることになることも。

 

 

同窓会前日。

 

一花は。

 

ホテルの部屋で。

 

ドレスを選んでいた。

 

「これかな」

 

鏡の前。

 

大人になった自分を見る。

 

「……」

 

高校時代。

 

まだ少女だった。

 

今は。

 

一人の女性。

 

「悠飛くん」

 

名前を呼ぶ。

 

「どんな顔するかな」

 

少しだけ。

 

悪戯っぽく笑う。

 

 

二乃は。

 

厨房で。

 

明日のための料理を仕込んでいた。

 

「……」

 

一品。

 

もう一品。

 

「これなら大丈夫」

 

昔の仲間たちに。

 

自分の料理を食べてもらう。

 

それだけで。

 

少し嬉しい。

 

「悠飛にも」

 

特別な一品を。

 

 

三玖は。

 

服を選びながら。

 

鏡を見る。

 

「……」

 

普段とは違う服。

 

少しだけ。

 

大人っぽいもの。

 

「これでいい」

 

そして。

 

机の上の写真を見る。

 

「明日」

 

 

四葉は。

 

ベッドの上に服を並べていた。

 

「こっち?」

 

「それとも……」

 

悩む。

 

「うーん……」

 

結局。

 

何度も着替える。

 

そして。

 

「これ!」

 

鏡を見る。

 

「……」

 

顔が赤くなる。

 

「悠飛さん」

 

二十年ぶり。

 

ちゃんと。

 

自分を見てくれるだろうか。

 

 

五月は。

 

本を閉じた。

 

「明日ですね」

 

高校時代。

 

卒業式。

 

そして。

 

二十年。

 

「……」

 

五月は。

 

静かに微笑んだ。

 

 

六華は。

 

鏡の前で。

 

髪を整えていた。

 

「……」

 

大人になった。

 

高校時代とは。

 

違う。

 

でも。

 

悠飛への想いは。

 

変わっていない。

 

「明日」

 

「今度こそ」

 

 

莉々華は。

 

鞄の中を確認する。

 

財布。

 

スマートフォン。

 

招待状。

 

そして。

 

小さな写真。

 

高校卒業式の日の写真。

 

「……」

 

持っていこう。

 

そう思った。

 

 

そして。

 

同じ夜。

 

悠飛も。

 

準備をしていた。

 

黒いスーツ。

 

白いシャツ。

 

シンプルなネクタイ。

 

右眼には。

 

いつもの眼帯。

 

「……」

 

鏡を見る。

 

四十代になった自分。

 

「変わったな」

 

だが。

 

目元に浮かぶ笑みは。

 

少年時代と。

 

何も変わらない。

 

「みんな」

 

悠飛は。

 

静かに呟いた。

 

「明日、会おう」

 

 

そして。

 

同窓会当日。

 

会場。

 

入口。

 

最初に到着したのは。

 

一花だった。

 

「……」

 

続いて。

 

二乃。

 

「早いじゃない」

 

「二乃こそ」

 

三玖。

 

「久しぶり」

 

「三玖!」

 

四葉。

 

「みんなー!」

 

「うるさい」

 

二乃が笑う。

 

五月。

 

「皆さん、お久しぶりです」

 

六華。

 

「久しぶり」

 

莉々華。

 

「全員揃ったね」

 

「……」

 

けれど。

 

一人。

 

まだ来ていない。

 

四葉が。

 

時計を見る。

 

「悠飛さん……」

 

そのとき。

 

会場の扉が開いた。

 

全員が。

 

振り返る。

 

「……」

 

長身の男が。

 

入ってくる。

 

金髪。

 

ウルフヘア。

 

黒い眼帯。

 

落ち着いた雰囲気。

 

そして。

 

左眼には。

 

昔と変わらない優しい光。

 

「待たせたな」

 

一花が。

 

息を呑む。

 

二乃も。

 

三玖も。

 

四葉も。

 

五月も。

 

六華も。

 

莉々華も。

 

一瞬。

 

言葉を失った。

 

二十年。

 

それだけの時間が流れても。

 

この瞬間だけは。

 

あの日に戻ったようだった。

 

「……悠飛」

 

六華が。

 

小さく呟く。

 

悠飛は。

 

微笑んだ。

 

「久しぶり」

 

「……」

 

四葉の目に。

 

涙が浮かぶ。

 

けれど。

 

今度は。

 

泣かなかった。

 

「お久しぶりです!」

 

明るく。

 

笑う。

 

一花も。

 

二乃も。

 

三玖も。

 

五月も。

 

六華も。

 

莉々華も。

 

それぞれに笑った。

 

 

会場の壁には。

 

一枚の写真が飾られていた。

 

二十年前。

 

卒業式の日。

 

八人で撮った写真。

 

高校生の七人と。

 

少年だった悠飛。

 

その写真の下には。

 

こう書かれていた。

 

『二十年後も、みんな一緒!』

 

悠飛は。

 

その文字を見つめる。

 

「……」

 

そして。

 

隣に立った四葉を見る。

 

「約束」

 

「はい!」

 

四葉が笑う。

 

「守れましたね!」

 

「ああ」

 

一花が。

 

二人の間に入る。

 

「じゃあ、次は?」

 

「次?」

 

四葉が首を傾げる。

 

「十年後」

 

一花が言った。

 

「今度は十年後に、また集まろう」

 

二乃が笑う。

 

「いいわね」

 

三玖。

 

「賛成」

 

五月。

 

「私も」

 

六華。

 

「もちろん」

 

莉々華。

 

「楽しみ」

 

悠飛は。

 

少し笑って。

 

「分かった」

 

四葉が。

 

手を伸ばす。

 

「じゃあ、また約束!」

 

一花。

 

二乃。

 

三玖。

 

四葉。

 

五月。

 

六華。

 

莉々華。

 

そして。

 

悠飛。

 

八人の手が。

 

再び重なる。

 

二十年前と。

 

同じように。

 

「十年後も――」

 

「みんなで会おう」

 

声が重なる。

 

 

その瞬間。

 

窓の外で。

 

桜の花びらが舞った。

 

二十年前。

 

卒業式の日。

 

まだ蕾だった桜。

 

二十年後。

 

今度は。

 

満開の花を咲かせていた。

 

七人の少女たちは。

 

もう。

 

少女ではない。

 

それぞれの夢を叶え。

 

それぞれの人生を歩んだ。

 

そして。

 

一人の少年も。

 

世界に名を知られる男になった。

 

それでも。

 

彼らの関係は。

 

何も変わらなかった。

 

いや。

 

変わったからこそ。

 

今も続いている。

 

幼馴染。

 

親友。

 

家族のような存在。

 

そして。

 

胸に秘めた恋。

 

二十年の歳月は。

 

それぞれの想いを。

 

より深く。

 

より強くしていた。

 

「乾杯!」

 

グラスが。

 

軽くぶつかる。

 

「卒業二十周年!」

 

「そして――」

 

四葉が。

 

笑顔で叫ぶ。

 

「これからも、ずっと仲間です!」

 

「おー!」

 

笑い声が。

 

会場いっぱいに響く。

 

その中心で。

 

悠飛は。

 

静かに笑っていた。

 

二十年前の約束。

 

それは。

 

果たされた。

 

だが。

 

彼らはまだ知らない。

 

この再会が。

 

ただの同窓会ではないことを。

 

二十年の歳月によって。

 

それぞれの胸に眠っていた想いが。

 

再び動き始めることを。

 

そして。

 

「独眼竜」と呼ばれる男の人生が。

 

ここから。

 

もう一度。

 

大きく動き出すことを。

 

春の夜。

 

桜が舞う。

 

二十年ぶりに再会した八人は。

 

笑っていた。

 

まるで。

 

高校生だったあの日のように。

 

ただ一つ違うのは。

 

もう誰も。

 

子供ではないということ。

 

それぞれの人生を背負った。

 

大人になった八人だった。

 

そして。

 

二十年前に交わした約束の先で。

 

新しい物語が。

 

静かに幕を開けようとしていた。

 

 

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