『神のチートで勇往邁進!〜20年後の同窓会に現れた独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す〜』 作:夜幻
『神のチートで勇往邁進! 20年後の同窓会に現れたダンディな独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す』。
長いようで短かった物語も、いよいよ最後のページを迎えます。
物語の始まりは、一人の少年でした。
神の力によって新たな人生を与えられた少年――如月悠飛。
彼は、普通の高校生として青春を過ごしながら、やがて多くの人々と出会い、友情を育み、そして大切な人たちを守るために戦いました。
中野一花。
中野二乃。
中野三玖。
中野四葉。
中野五月。
そして、六華と莉々華。
悠飛と彼女たちの間には、最初から特別な運命が用意されていたわけではありません。
何気ない出会い。
何気ない会話。
一緒に過ごした時間。
時には笑い。
時には喧嘩し。
時には涙を流し。
それでも最後には、また隣に戻ってくる。
そんな青春の日々の積み重ねが、少しずつ彼らの絆を強くしていきました。
林間学校。
キャンプファイヤー。
家出。
修学旅行。
卒業。
そして、日の出祭。
その一つ一つの出来事が、彼らにとって忘れられない思い出となりました。
特に日の出祭で起きた出来事は、悠飛の人生を大きく変えることになります。
大切な人を守るために失った右眼。
その傷は、悠飛の人生から決して消えることはありません。
しかし。
その傷は、彼にとって単なる悲劇ではありませんでした。
守りたいと思える人がいた。
命を懸けても守りたいと思えるほど、大切な人たちと出会えた。
それこそが、悠飛にとって何よりも大きな意味を持っていたのです。
やがて高校を卒業し。
彼らは、それぞれの道へ進みました。
一花は芸能界へ。
二乃は料理の道へ。
三玖は歴史の世界へ。
四葉はスポーツと子供たちの未来へ。
五月は教師として、母から受け継いだ夢へ。
六華も自分自身の未来を切り開き。
莉々華もまた、自分の人生を歩んでいく。
そして悠飛は。
世界を舞台に戦う男となりました。
資産。
地位。
名誉。
成功。
かつての少年からは想像もできないほどのものを手に入れた彼は、世界大富豪ランキング第二位にまで上り詰めます。
そして。
いつしか人々から「独眼竜」と呼ばれるようになりました。
けれど。
どれほど立場が変わっても。
どれほど年月が流れても。
悠飛の心の中にあるものは、変わりませんでした。
大切な人を守りたい。
仲間を大切にしたい。
そして。
一度しかない人生を、悔いなく生きたい。
その想いだけは、高校時代から変わらなかったのです。
そして二十年後。
かつての約束が果たされます。
高校を卒業したあの日。
彼らは未来のどこかで、もう一度集まることを約束しました。
その約束から二十年。
大人になった彼らは、再び同じ場所に集まります。
顔も。
声も。
立場も。
人生も。
あの頃とは違います。
それでも。
笑った瞬間。
名前を呼んだ瞬間。
互いを見つめた瞬間。
二十年前の青春が、まるで昨日のことのように蘇ります。
そして。
そこで終わるはずだった物語に。
もう一つの物語が始まります。
かつての恋。
一度は胸の奥へしまった想い。
それぞれの人生を歩む中で薄れていたはずの感情。
それが。
二十年という時間を越えて。
もう一度、灯り始める。
三度目の恋。
それは、高校時代の恋のやり直しではありません。
二十年という人生を歩んできたからこそ生まれる、新しい恋です。
高校生だった頃には分からなかったこと。
大人になった今だから分かること。
失って初めて気づいたこと。
離れて初めて分かった大切さ。
そして。
もう一度会えたからこそ伝えられる想い。
それらすべてを抱えて。
彼らは新しい未来へ歩き始めます。
このエピローグでは。
そんな彼らの「その後」を描きます。
大きな事件が起きるわけではありません。
世界を揺るがす戦いがあるわけでもありません。
ただ。
八人が再び集まり。
笑い。
昔を思い出し。
これからの未来を語る。
そんな静かな時間です。
けれど。
その静けさの中にこそ。
この物語で描いてきたものの答えがあります。
人生とは。
大きな出来事だけで作られるものではありません。
何気ない一日。
誰かと交わした言葉。
一緒に食べた食事。
笑い合った時間。
喧嘩した思い出。
泣いた夜。
誰かを守ろうとした瞬間。
そして。
「また会おう」と交わした約束。
そんな小さな出来事の積み重ねが、人の人生を作っていきます。
悠飛と七人の女性たちにとっても。
この二十年は、決して平坦な道ではありませんでした。
それぞれに苦労があり。
それぞれに涙があり。
それぞれに、誰にも言えない悩みがありました。
それでも。
彼らは前を向き続けました。
だからこそ。
二十年後の再会は。
ただの同窓会ではありません。
「あの頃の自分」と。
「今の自分」を繋ぐ場所なのです。
そして。
もう一度。
大切な人たちと未来を歩き始めるための場所でもあります。
この物語に登場した彼らの人生は。
ここで完全に終わるわけではありません。
むしろ。
これからも続いていきます。
誰が誰と結ばれるのか。
どんな未来を選ぶのか。
それは。
彼ら自身が決めていくことです。
恋愛だけではありません。
友情も。
家族も。
仕事も。
夢も。
これから先。
まだまだ多くの出来事が待っています。
けれど。
一つだけ確かなことがあります。
彼らはもう。
一人ではありません。
二十年前。
高校生だった彼らが築いた絆は。
二十年という時間を越えても消えませんでした。
むしろ。
長い時間を経たからこそ。
その絆の大切さを知ることができました。
だから。
この物語の最後に描きたいのは。
「終わり」ではありません。
人生は続いていく。
恋も続いていく。
友情も続いていく。
そして。
約束も続いていく。
そんな未来です。
読者の皆様にも。
これまで悠飛たちと一緒に歩いていただきました。
笑ったり。
驚いたり。
時には切なくなったり。
そして。
彼らの未来を想像してくださったことと思います。
ここまで物語を見届けてくださったことに。
心から感謝します。
高校生だった悠飛たちの青春は。
もう終わります。
しかし。
彼らの人生は。
まだまだ続いていきます。
桜が咲く春の日。
二十年ぶりに再会した八人が。
再び未来へ歩き出す。
その背中を。
最後まで見届けてください。
これは。
一人の少年が。
一人の大人になるまでの物語。
そして。
七人の少女たちが。
自分自身の人生と恋を見つけるまでの物語。
何度離れても。
何度迷っても。
何度でも。
大切な人のもとへ戻ってくる。
そんな彼らの物語の。
最後の一ページです。
それでは。
エピローグ。
「それぞれの未来、そして永遠の約束」
最後の物語を。
どうぞ。
二十年という歳月は、長い。
高校生だった少年少女が、大人になるには十分すぎるほどの時間だ。
夢を叶えた者もいる。
夢を諦めた者もいる。
新しい夢を見つけた者もいる。
そして――。
かつて「恋」という言葉さえ、まだ上手く理解できなかった少年少女は。
二十年の時を越えて。
もう一度、同じ人を想うようになった。
春。
桜が舞う東京の街。
その一角にある小さな公園に、八人の男女が集まっていた。
「……こうして見ると」
一花が、桜を見上げながら言った。
「本当に二十年経ったんだね」
「そうですね」
五月が頷く。
「高校を卒業したのが、つい昨日のようにも感じます」
「私は昨日より、二十年前のほうが遠く感じるけど」
二乃が笑う。
「歳を取った証拠ね」
「二乃、それ自分で言う?」
「うるさいわね、一花」
「ふふっ」
三玖が小さく笑った。
「でも……分かる」
「三玖まで?」
「だって」
三玖は悠飛を見る。
「悠飛を見てると、高校時代を思い出すから」
「俺?」
「うん」
悠飛は。
少しだけ困ったように笑った。
「俺は昔とそんなに変わってないと思うけどな」
「それはないです!」
四葉が即答した。
「髪も違いますし、雰囲気も全然違います!」
「そうか?」
「はい!」
四葉は悠飛の周りを一周するように眺める。
「昔よりずっとダンディです!」
「……褒めてる?」
「もちろんです!」
「なら、ありがとう」
悠飛が笑う。
その笑顔を見て。
六華も、莉々華も微笑んだ。
昔と同じだった。
見た目も。
立場も。
人生も。
何もかも変わった。
それでも。
八人で笑っていると。
あの日の空気が戻ってくる。
高校生だった頃。
何気ない日常を過ごした教室。
一緒に勉強した放課後。
林間学校。
キャンプファイヤー。
家出。
修学旅行。
文化祭。
卒業式。
そして――。
日の出祭。
悠飛が右眼の光を失った、あの日。
「……」
悠飛の右眼にある黒い眼帯。
それを見た五月が、静かに口を開いた。
「悠飛さん」
「ん?」
「……ありがとうございました」
「またそれか」
悠飛が苦笑する。
「もう二十年前だぞ」
「それでもです」
五月は真っ直ぐ悠飛を見る。
「私が夢を諦めずにいられたのも」
「今こうして教師として生きていられるのも」
「全部、あの日の悠飛さんが背中を押してくれたからです」
「五月」
「だから」
五月は微笑む。
「私は、この人生を後悔していません」
悠飛も。
静かに頷いた。
「俺もだ」
右眼を失った。
けれど。
その代わりに。
かけがえのないものを得た。
それは。
金では買えない。
地位でも手に入らない。
仲間。
家族。
そして。
愛する人たち。
それだけで。
十分だった。
◇
「ところで」
莉々華が言った。
「今日、集まった理由を忘れてない?」
「理由?」
悠飛が首を傾げる。
「そう」
莉々華はスマートフォンを取り出した。
画面に映っているのは。
二十年前の写真。
卒業式の日に撮った一枚。
七人の少女と、一人の少年。
「これ」
「……懐かしいな」
悠飛が写真を見る。
「二十年前の私たち」
一花が隣から覗き込む。
「若いね」
「当然でしょ」
二乃が呆れる。
「高校生なんだから」
「でも」
四葉が嬉しそうに言う。
「みんな笑ってます!」
「そうだな」
悠飛は頷く。
その写真には。
八人の笑顔があった。
不安も。
悩みも。
将来への迷いも。
全部抱えながら。
それでも笑っていた。
「二十年後」
悠飛が呟く。
「みんなで集まろう」
卒業式の日。
そう約束した。
そして。
その約束は。
守られた。
◇
「じゃあ」
莉々華がスマートフォンを構える。
「今の私たちも撮ろう」
「賛成!」
四葉が手を挙げる。
「また八人で!」
一花。
二乃。
三玖。
四葉。
五月。
六華。
莉々華。
そして。
悠飛。
七人が悠飛の周りに集まる。
「もっと詰めて!」
四葉が言う。
「近いって」
二乃が言いながらも笑っている。
「悠飛、逃げないで」
一花が腕を引く。
「逃げてない」
三玖が悠飛の反対側に立つ。
「じゃあ、撮る」
五月が微笑む。
六華と莉々華も並ぶ。
「いくよ」
莉々華がカメラを向ける。
「三、二、一――」
カシャッ。
シャッター音。
一枚の写真が残った。
高校時代の写真。
そして。
二十年後の写真。
二枚を並べると。
不思議なほど似ていた。
場所は違う。
服装も違う。
顔つきも違う。
それでも。
八人は。
同じように笑っていた。
◇
夕方。
公園を出る。
「じゃあ、またね」
「また会いましょう」
「次はいつ?」
「来月でいいんじゃない?」
「早すぎない?」
「いいじゃない」
七人が笑う。
悠飛も。
その輪の中で笑っている。
やがて。
一人。
また一人。
帰っていく。
最後に残ったのは。
悠飛と六華だった。
「……」
六華は。
しばらく黙っていた。
「どうした?」
悠飛が尋ねる。
「悠飛」
「ん?」
「私」
六華は。
昔から胸の奥にしまっていた言葉を。
今度こそ口にした。
「あなたが好き」
悠飛は。
黙った。
六華は続ける。
「二十年前から」
「ずっと」
「……」
「一度も、本当に忘れたことなんてなかった」
悠飛は。
右眼の眼帯に触れる。
そして。
優しく笑った。
「ありがとう」
「……」
「俺も」
六華が目を見開く。
「みんなのことを大切に思ってる」
「……うん」
「だから」
悠飛は苦笑する。
「今すぐ一人だけ選べと言われても、できない」
六華は。
少しだけ寂しそうに笑う。
「それでいいよ」
「六華?」
「だって」
六華は空を見上げる。
「私たちの恋は」
「まだ、終わってないから」
悠飛は。
その言葉を聞いて。
静かに笑った。
「そうだな」
「じゃあ、また」
「ああ」
六華は。
悠飛に背を向ける。
数歩歩いたところで。
振り返る。
「悠飛」
「ん?」
「十年後も」
「二十年後も」
「また会おうね」
悠飛は。
迷わず答えた。
「約束する」
六華は。
笑った。
◇
その夜。
悠飛は自宅の書斎にいた。
世界大富豪ランキング第二位。
巨大企業グループのトップ。
世界中から届く書類。
経営判断。
投資案件。
会議予定。
机の上には。
山のような仕事が積まれている。
しかし。
悠飛の視線は。
そこにはなかった。
机の上に飾られた二枚の写真。
高校時代。
そして。
今日。
「……」
悠飛は。
二枚を見比べる。
「二十年か」
長かった。
本当に。
長かった。
それでも。
振り返れば。
あっという間だった。
高校生だった自分。
右眼を失った自分。
世界を目指した自分。
成功した自分。
そして。
今日。
仲間たちと笑った自分。
「……悪くない人生だ」
悠飛は。
そう呟いた。
◇
スマートフォンが鳴る。
グループチャットだった。
四葉。
『今日はありがとうございました!』
一花。
『楽しかったね』
二乃。
『次は私の店で』
三玖。
『楽しみ』
五月。
『また皆さんとお会いできるのを楽しみにしています』
六華。
『今日は嬉しかった』
莉々華。
『次の予定、決めようよ』
悠飛。
『じゃあ来月』
四葉。
『賛成です!』
二乃。
『相変わらず早いわね』
一花。
『ふふ』
三玖。
『でも、いいと思う』
五月。
『私も賛成です』
六華。
『決まり』
莉々華。
『決まりね』
悠飛は。
スマートフォンを置く。
「……」
窓の外。
桜が舞っている。
二十年前。
この季節。
卒業した。
あの日。
自分たちは。
それぞれの未来へ向かった。
そして。
二十年後。
また。
同じ場所に戻ってきた。
けれど。
これは過去に戻ったわけではない。
過去を懐かしむだけでもない。
これから先の人生を。
もう一度。
一緒に歩いていくためだ。
◇
一花は。
自宅で卒業写真を眺めていた。
「……悠飛くん」
昔。
言えなかった言葉。
今度は。
伝える。
二乃も。
店を閉めた後。
一人で写真を見る。
「絶対、負けないんだから」
三玖は。
本を閉じる。
「……悠飛」
四葉は。
ベッドの上で笑う。
「また会えました」
五月は。
机の上に写真を置く。
「これからも頑張ります」
六華は。
窓の外を眺める。
「約束だからね」
莉々華は。
今日撮った写真をアルバムに保存する。
「これで二枚目」
それぞれの場所で。
それぞれの人生を生きる。
それでも。
心の中には。
同じ人がいる。
如月悠飛。
二十年前。
一度目の恋。
その後。
長い人生の中で育った二度目の恋。
そして。
二十年ぶりの再会で灯った。
三度目の恋。
◇
翌朝。
悠飛は。
庭に出た。
一本の桜の木。
二十年前。
卒業式の日にも見た桜。
花びらが。
一枚。
悠飛の左肩に落ちる。
悠飛は。
それを手に取る。
「……」
ふと。
高校時代の記憶が蘇る。
『悠飛!』
『悠飛さん!』
『悠飛くん!』
七人の少女たちの声。
笑顔。
涙。
喧嘩。
思い出。
そして。
最後に。
卒業式の日。
『また、会おうね』
悠飛は。
静かに笑った。
「会えたよ」
誰もいない庭で。
そう呟く。
「ちゃんと、会えた」
そして。
もう一度。
桜を見上げる。
「これからも」
「よろしくな」
風が吹く。
桜の花びらが舞う。
まるで。
誰かが返事をしてくれたようだった。
◇
人は。
いつか大人になる。
少年少女だった頃の夢は。
形を変える。
友達だった人が。
家族になることもある。
家族だった人が。
遠く離れることもある。
恋が。
終わることもある。
新しい恋が。
始まることもある。
けれど。
どれだけ時間が流れても。
心の奥に残るものがある。
忘れられない笑顔。
忘れられない声。
忘れられない約束。
そして。
忘れられない人。
悠飛にとって。
それが。
七人だった。
一花。
二乃。
三玖。
四葉。
五月。
六華。
莉々華。
七人にとって。
それが。
悠飛だった。
だから。
二十年経っても。
物語は。
終わらなかった。
◇
春の街。
桜並木。
八人の写真が。
風に揺れている。
高校時代の写真。
二十年後の写真。
そこに写る八人は。
いつも笑っていた。
そして。
これからも。
きっと笑う。
また集まって。
また喧嘩して。
また笑って。
また恋をする。
何歳になっても。
何度でも。
新しい思い出を作っていく。
人生に。
本当の意味での「終わり」が来るまで。
◇
――かつて。
神の力によって。
新しい人生を与えられた少年がいた。
その少年は。
勇往邁進し。
自分の力で未来を切り開いた。
仲間を守り。
大切な人を守り。
時には。
自分自身を犠牲にして。
それでも。
前を向いた。
そして。
二十年後。
世界大富豪ランキング第二位。
独眼竜・如月悠飛。
彼は。
世界中から羨まれるほどの成功を手にした。
だが。
最後に彼が選んだのは。
金でも。
名誉でも。
権力でもなかった。
大切な人たちと。
笑って過ごす未来。
それこそが。
彼にとっての。
本当の成功だった。
◇
桜の花びらが。
一枚。
また一枚。
空へ舞い上がる。
悠飛は。
歩き出す。
その先には。
七人が待っている。
「遅いですよ、悠飛さん!」
四葉の声。
「待たせないでよね」
二乃の声。
「早く行こう」
三玖の声。
「悠飛くん、こっち」
一花の声。
「悠飛さん!」
五月の声。
「待ってた」
六華の声。
「行こう、悠飛」
莉々華の声。
悠飛は。
笑う。
「今行く」
一歩。
また一歩。
七人のもとへ歩いていく。
二十年前の青春は。
もう終わった。
けれど。
人生そのものは。
まだ終わらない。
恋も。
友情も。
家族も。
夢も。
これから先。
まだまだ続いていく。
そして。
いつかまた。
十年後。
二十年後。
あるいは。
もっと遠い未来。
八人が再び集まった時。
きっと誰かが言うのだろう。
「懐かしいね」
すると。
別の誰かが笑う。
「でも、今のほうが楽しい」
その言葉を聞いて。
八人は。
また笑う。
それでいい。
それこそが。
彼らの物語なのだから。
◇
春。
満開の桜。
青い空。
暖かな風。
七人の女性と。
一人の男。
それぞれの未来へ向かって。
歩いていく。
その背中に。
過去の青春が重なる。
そして。
その先には。
新しい未来が待っている。
――二十年前。
出会った。
――二十年前。
恋をした。
――二十年間。
それぞれの人生を歩いた。
――そして今。
再び出会った。
三度目の恋の火は。
まだ小さな炎かもしれない。
けれど。
その火は。
誰にも消せない。
なぜなら。
その炎を灯したのは。
二十年という時間そのものだから。
悠飛は。
七人の仲間たちと並んで歩く。
桜の花びらが。
その上に舞い落ちる。
そして。
彼らの未来へ。
静かに。
春の風が吹いた。
――『神のチートで勇往邁進! 20年後の同窓会に現れたダンディな独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す』
最終章・完。
ここまで『神のチートで勇往邁進! 20年後の同窓会に現れたダンディな独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
ついに、この物語も最後のページを迎えました。
最初は、神の力によって新たな人生を与えられた主人公・如月悠飛が、五つ子たちや六華、莉々華と出会い、青春を過ごしていく物語でした。
そして。
物語が進むにつれて、悠飛と彼女たちの絆は少しずつ深くなっていきました。
笑ったり。
喧嘩したり。
一緒に悩んだり。
時には、誰かのために傷ついたり。
高校生という限られた時間の中で、彼らはたくさんの思い出を作りました。
その中でも、物語の大きな転換点となったのが「日の出祭」でした。
五月と無堂。
そして、無堂の仲間たち。
五月の夢を守るために立ちはだかった悠飛。
そして、右眼を失うという大きな代償。
あの日を境に、悠飛の人生は大きく変わりました。
しかし。
悠飛自身は、そのことを後悔していません。
なぜなら。
あの時、守りたいと思える人がいたからです。
そして。
その人たちと出会えたことこそが、悠飛にとって何より大切な宝物だったからです。
やがて高校を卒業し。
悠飛たちは、それぞれの道へ進みました。
一花は芸能界。
二乃は料理。
三玖は歴史。
四葉はスポーツ。
五月は教師。
六華と莉々華も、それぞれの夢へ。
そして悠飛は。
世界を舞台に成功を収め。
世界大富豪ランキング第二位という、とてつもない地位へ到達しました。
高校時代の少年から考えれば、まさに別人です。
しかし。
どれほど成功しても。
どれほど有名になっても。
悠飛の根本にあるものは変わりません。
仲間を大切にすること。
弱い者を守ること。
そして。
大切な人の笑顔を守ること。
それだけは。
高校時代からずっと変わらない悠飛の魅力だったと思います。
そして。
二十年後。
物語は再び動き出しました。
同窓会での再会。
昔と変わらない笑顔。
昔とは違う大人の表情。
そして。
一度胸の奥へしまった恋心が。
もう一度、動き始めます。
それが。
この作品のタイトルにもなっている。
「三度(みたび)恋の火を灯す」
という言葉につながっています。
高校時代の恋。
それぞれの人生を歩んだ二十年間。
そして。
二十年ぶりに再会した後の恋。
同じ相手を想っているとしても。
二十年前と今では。
その意味はまったく違います。
高校生だった頃には。
相手のことを思うだけで精一杯だった。
自分の気持ちを伝えられなかった。
誰かを傷つけたくなくて、身を引いた。
そんな経験をしたからこそ。
大人になった今。
もう一度、相手と向き合うことができる。
それが。
三度目の恋なのだと思います。
そして。
この物語では、あえて一人のヒロインに答えを出さず。
八人がこれからも未来へ歩いていく形で締めくくりました。
一花も。
二乃も。
三玖も。
四葉も。
五月も。
六華も。
莉々華も。
それぞれが悠飛を大切に思っています。
そして悠飛も。
七人を大切に思っています。
だからこそ。
最後に必要なのは。
「誰が選ばれたか」ではなく。
「これから誰と、どんな未来を作っていくのか」。
そう考えました。
もちろん。
いつか悠飛が誰か一人を選ぶ日が来るのかもしれません。
あるいは。
別の形の幸せを選ぶのかもしれません。
その答えは。
この物語の中では描きません。
読者の皆様それぞれが。
「この先、悠飛は誰と結ばれるのだろう?」
と想像していただければ嬉しいです。
そして。
この物語のもう一つのテーマは。
「時間」でした。
高校生から大人へ。
二十年という長い時間を越えて。
人は変わります。
外見も。
考え方も。
立場も。
夢も。
けれど。
変わらないものもあります。
大切な人を思う気持ち。
忘れられない思い出。
昔交わした約束。
それらは。
二十年経っても。
心のどこかに残っています。
だからこそ。
悠飛たちは再び集まることができました。
「また会おう」
その約束を。
本当に果たすことができたのです。
そして。
その約束は。
ここで終わりません。
十年後。
二十年後。
さらにその先。
彼らが生きている限り。
また会うことができます。
笑うことができます。
新しい思い出を作ることができます。
新しい恋をすることだってできます。
人生に。
遅すぎるということはない。
何歳になっても。
新しい一歩を踏み出せる。
そんな想いも。
このエピローグに込めました。
最後に。
悠飛。
一花。
二乃。
三玖。
四葉。
五月。
六華。
莉々華。
そして。
この物語をここまで読んでくださった皆様。
本当にありがとうございました。
彼らの高校時代を一緒に過ごしてくださったこと。
日の出祭を一緒に見届けてくださったこと。
悠飛が右眼を失う瞬間を見届けてくださったこと。
卒業を見届けてくださったこと。
そして。
二十年後の再会まで付き合ってくださったこと。
そのすべてに。
心から感謝します。
彼らの青春は。
これで終わります。
けれど。
彼らの人生は。
これからも続いていきます。
桜が咲けば。
また春が来る。
春が来れば。
新しい出会いがある。
そして。
新しい恋も始まる。
悠飛と七人の未来が。
どんな形になるのか。
それは。
彼らだけが知っています。
でも。
きっと。
彼らなら大丈夫でしょう。
どんな困難があっても。
どんな未来が待っていても。
笑いながら。
時には喧嘩しながら。
互いを支え合いながら。
前へ進んでいくはずです。
それこそが。
彼ららしい人生なのだと思います。
そして。
最後に一言。
二十年前の約束を守った八人へ。
「また会えて、本当によかった」
そして。
これからも。
ずっと。
笑っていてください。
桜舞う春の日。
八人が未来へ歩き出したように。
読者の皆様も。
それぞれの未来へ。
勇往邁進していってください。
ここまで本当にありがとうございました。
『神のチートで勇往邁進! 20年後の同窓会に現れたダンディな独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す』
――これにて。
**最終章・完。**
そして。
悠飛たちの物語を見届けてくださった皆様へ。
心からの感謝を。
ありがとうございました。