『神のチートで勇往邁進!〜20年後の同窓会に現れた独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す〜』   作:夜幻

84 / 90
ここまで、この物語を読んでくださった皆様へ。

『神のチートで勇往邁進! 20年後の同窓会に現れたダンディな独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す』。

長いようで短かった物語も、いよいよ最後のページを迎えます。

物語の始まりは、一人の少年でした。

神の力によって新たな人生を与えられた少年――如月悠飛。

彼は、普通の高校生として青春を過ごしながら、やがて多くの人々と出会い、友情を育み、そして大切な人たちを守るために戦いました。

中野一花。

中野二乃。

中野三玖。

中野四葉。

中野五月。

そして、六華と莉々華。

悠飛と彼女たちの間には、最初から特別な運命が用意されていたわけではありません。

何気ない出会い。

何気ない会話。

一緒に過ごした時間。

時には笑い。

時には喧嘩し。

時には涙を流し。

それでも最後には、また隣に戻ってくる。

そんな青春の日々の積み重ねが、少しずつ彼らの絆を強くしていきました。

林間学校。

キャンプファイヤー。

家出。

修学旅行。

卒業。

そして、日の出祭。

その一つ一つの出来事が、彼らにとって忘れられない思い出となりました。

特に日の出祭で起きた出来事は、悠飛の人生を大きく変えることになります。

大切な人を守るために失った右眼。

その傷は、悠飛の人生から決して消えることはありません。

しかし。

その傷は、彼にとって単なる悲劇ではありませんでした。

守りたいと思える人がいた。

命を懸けても守りたいと思えるほど、大切な人たちと出会えた。

それこそが、悠飛にとって何よりも大きな意味を持っていたのです。

やがて高校を卒業し。

彼らは、それぞれの道へ進みました。

一花は芸能界へ。

二乃は料理の道へ。

三玖は歴史の世界へ。

四葉はスポーツと子供たちの未来へ。

五月は教師として、母から受け継いだ夢へ。

六華も自分自身の未来を切り開き。

莉々華もまた、自分の人生を歩んでいく。

そして悠飛は。

世界を舞台に戦う男となりました。

資産。

地位。

名誉。

成功。

かつての少年からは想像もできないほどのものを手に入れた彼は、世界大富豪ランキング第二位にまで上り詰めます。

そして。

いつしか人々から「独眼竜」と呼ばれるようになりました。

けれど。

どれほど立場が変わっても。

どれほど年月が流れても。

悠飛の心の中にあるものは、変わりませんでした。

大切な人を守りたい。

仲間を大切にしたい。

そして。

一度しかない人生を、悔いなく生きたい。

その想いだけは、高校時代から変わらなかったのです。

そして二十年後。

かつての約束が果たされます。

高校を卒業したあの日。

彼らは未来のどこかで、もう一度集まることを約束しました。

その約束から二十年。

大人になった彼らは、再び同じ場所に集まります。

顔も。

声も。

立場も。

人生も。

あの頃とは違います。

それでも。

笑った瞬間。

名前を呼んだ瞬間。

互いを見つめた瞬間。

二十年前の青春が、まるで昨日のことのように蘇ります。

そして。

そこで終わるはずだった物語に。

もう一つの物語が始まります。

かつての恋。

一度は胸の奥へしまった想い。

それぞれの人生を歩む中で薄れていたはずの感情。

それが。

二十年という時間を越えて。

もう一度、灯り始める。

三度目の恋。

それは、高校時代の恋のやり直しではありません。

二十年という人生を歩んできたからこそ生まれる、新しい恋です。

高校生だった頃には分からなかったこと。

大人になった今だから分かること。

失って初めて気づいたこと。

離れて初めて分かった大切さ。

そして。

もう一度会えたからこそ伝えられる想い。

それらすべてを抱えて。

彼らは新しい未来へ歩き始めます。

このエピローグでは。

そんな彼らの「その後」を描きます。

大きな事件が起きるわけではありません。

世界を揺るがす戦いがあるわけでもありません。

ただ。

八人が再び集まり。

笑い。

昔を思い出し。

これからの未来を語る。

そんな静かな時間です。

けれど。

その静けさの中にこそ。

この物語で描いてきたものの答えがあります。

人生とは。

大きな出来事だけで作られるものではありません。

何気ない一日。

誰かと交わした言葉。

一緒に食べた食事。

笑い合った時間。

喧嘩した思い出。

泣いた夜。

誰かを守ろうとした瞬間。

そして。

「また会おう」と交わした約束。

そんな小さな出来事の積み重ねが、人の人生を作っていきます。

悠飛と七人の女性たちにとっても。

この二十年は、決して平坦な道ではありませんでした。

それぞれに苦労があり。

それぞれに涙があり。

それぞれに、誰にも言えない悩みがありました。

それでも。

彼らは前を向き続けました。

だからこそ。

二十年後の再会は。

ただの同窓会ではありません。

「あの頃の自分」と。

「今の自分」を繋ぐ場所なのです。

そして。

もう一度。

大切な人たちと未来を歩き始めるための場所でもあります。

この物語に登場した彼らの人生は。

ここで完全に終わるわけではありません。

むしろ。

これからも続いていきます。

誰が誰と結ばれるのか。

どんな未来を選ぶのか。

それは。

彼ら自身が決めていくことです。

恋愛だけではありません。

友情も。

家族も。

仕事も。

夢も。

これから先。

まだまだ多くの出来事が待っています。

けれど。

一つだけ確かなことがあります。

彼らはもう。

一人ではありません。

二十年前。

高校生だった彼らが築いた絆は。

二十年という時間を越えても消えませんでした。

むしろ。

長い時間を経たからこそ。

その絆の大切さを知ることができました。

だから。

この物語の最後に描きたいのは。

「終わり」ではありません。

人生は続いていく。

恋も続いていく。

友情も続いていく。

そして。

約束も続いていく。

そんな未来です。

読者の皆様にも。

これまで悠飛たちと一緒に歩いていただきました。

笑ったり。

驚いたり。

時には切なくなったり。

そして。

彼らの未来を想像してくださったことと思います。

ここまで物語を見届けてくださったことに。

心から感謝します。

高校生だった悠飛たちの青春は。

もう終わります。

しかし。

彼らの人生は。

まだまだ続いていきます。

桜が咲く春の日。

二十年ぶりに再会した八人が。

再び未来へ歩き出す。

その背中を。

最後まで見届けてください。

これは。

一人の少年が。

一人の大人になるまでの物語。

そして。

七人の少女たちが。

自分自身の人生と恋を見つけるまでの物語。

何度離れても。

何度迷っても。

何度でも。

大切な人のもとへ戻ってくる。

そんな彼らの物語の。

最後の一ページです。

それでは。

エピローグ。

「それぞれの未来、そして永遠の約束」

最後の物語を。

どうぞ。



エピローグ 「それぞれの未来、そして永遠の約束」

二十年という歳月は、長い。

 

高校生だった少年少女が、大人になるには十分すぎるほどの時間だ。

 

夢を叶えた者もいる。

 

夢を諦めた者もいる。

 

新しい夢を見つけた者もいる。

 

そして――。

 

かつて「恋」という言葉さえ、まだ上手く理解できなかった少年少女は。

 

二十年の時を越えて。

 

もう一度、同じ人を想うようになった。

 

春。

 

桜が舞う東京の街。

 

その一角にある小さな公園に、八人の男女が集まっていた。

 

「……こうして見ると」

 

一花が、桜を見上げながら言った。

 

「本当に二十年経ったんだね」

 

「そうですね」

 

五月が頷く。

 

「高校を卒業したのが、つい昨日のようにも感じます」

 

「私は昨日より、二十年前のほうが遠く感じるけど」

 

二乃が笑う。

 

「歳を取った証拠ね」

 

「二乃、それ自分で言う?」

 

「うるさいわね、一花」

 

「ふふっ」

 

三玖が小さく笑った。

 

「でも……分かる」

 

「三玖まで?」

 

「だって」

 

三玖は悠飛を見る。

 

「悠飛を見てると、高校時代を思い出すから」

 

「俺?」

 

「うん」

 

悠飛は。

 

少しだけ困ったように笑った。

 

「俺は昔とそんなに変わってないと思うけどな」

 

「それはないです!」

 

四葉が即答した。

 

「髪も違いますし、雰囲気も全然違います!」

 

「そうか?」

 

「はい!」

 

四葉は悠飛の周りを一周するように眺める。

 

「昔よりずっとダンディです!」

 

「……褒めてる?」

 

「もちろんです!」

 

「なら、ありがとう」

 

悠飛が笑う。

 

その笑顔を見て。

 

六華も、莉々華も微笑んだ。

 

昔と同じだった。

 

見た目も。

 

立場も。

 

人生も。

 

何もかも変わった。

 

それでも。

 

八人で笑っていると。

 

あの日の空気が戻ってくる。

 

高校生だった頃。

 

何気ない日常を過ごした教室。

 

一緒に勉強した放課後。

 

林間学校。

 

キャンプファイヤー。

 

家出。

 

修学旅行。

 

文化祭。

 

卒業式。

 

そして――。

 

日の出祭。

 

悠飛が右眼の光を失った、あの日。

 

「……」

 

悠飛の右眼にある黒い眼帯。

 

それを見た五月が、静かに口を開いた。

 

「悠飛さん」

 

「ん?」

 

「……ありがとうございました」

 

「またそれか」

 

悠飛が苦笑する。

 

「もう二十年前だぞ」

 

「それでもです」

 

五月は真っ直ぐ悠飛を見る。

 

「私が夢を諦めずにいられたのも」

 

「今こうして教師として生きていられるのも」

 

「全部、あの日の悠飛さんが背中を押してくれたからです」

 

「五月」

 

「だから」

 

五月は微笑む。

 

「私は、この人生を後悔していません」

 

悠飛も。

 

静かに頷いた。

 

「俺もだ」

 

右眼を失った。

 

けれど。

 

その代わりに。

 

かけがえのないものを得た。

 

それは。

 

金では買えない。

 

地位でも手に入らない。

 

仲間。

 

家族。

 

そして。

 

愛する人たち。

 

それだけで。

 

十分だった。

 

 

「ところで」

 

莉々華が言った。

 

「今日、集まった理由を忘れてない?」

 

「理由?」

 

悠飛が首を傾げる。

 

「そう」

 

莉々華はスマートフォンを取り出した。

 

画面に映っているのは。

 

二十年前の写真。

 

卒業式の日に撮った一枚。

 

七人の少女と、一人の少年。

 

「これ」

 

「……懐かしいな」

 

悠飛が写真を見る。

 

「二十年前の私たち」

 

一花が隣から覗き込む。

 

「若いね」

 

「当然でしょ」

 

二乃が呆れる。

 

「高校生なんだから」

 

「でも」

 

四葉が嬉しそうに言う。

 

「みんな笑ってます!」

 

「そうだな」

 

悠飛は頷く。

 

その写真には。

 

八人の笑顔があった。

 

不安も。

 

悩みも。

 

将来への迷いも。

 

全部抱えながら。

 

それでも笑っていた。

 

「二十年後」

 

悠飛が呟く。

 

「みんなで集まろう」

 

卒業式の日。

 

そう約束した。

 

そして。

 

その約束は。

 

守られた。

 

 

「じゃあ」

 

莉々華がスマートフォンを構える。

 

「今の私たちも撮ろう」

 

「賛成!」

 

四葉が手を挙げる。

 

「また八人で!」

 

一花。

 

二乃。

 

三玖。

 

四葉。

 

五月。

 

六華。

 

莉々華。

 

そして。

 

悠飛。

 

七人が悠飛の周りに集まる。

 

「もっと詰めて!」

 

四葉が言う。

 

「近いって」

 

二乃が言いながらも笑っている。

 

「悠飛、逃げないで」

 

一花が腕を引く。

 

「逃げてない」

 

三玖が悠飛の反対側に立つ。

 

「じゃあ、撮る」

 

五月が微笑む。

 

六華と莉々華も並ぶ。

 

「いくよ」

 

莉々華がカメラを向ける。

 

「三、二、一――」

 

カシャッ。

 

シャッター音。

 

一枚の写真が残った。

 

高校時代の写真。

 

そして。

 

二十年後の写真。

 

二枚を並べると。

 

不思議なほど似ていた。

 

場所は違う。

 

服装も違う。

 

顔つきも違う。

 

それでも。

 

八人は。

 

同じように笑っていた。

 

 

夕方。

 

公園を出る。

 

「じゃあ、またね」

 

「また会いましょう」

 

「次はいつ?」

 

「来月でいいんじゃない?」

 

「早すぎない?」

 

「いいじゃない」

 

七人が笑う。

 

悠飛も。

 

その輪の中で笑っている。

 

やがて。

 

一人。

 

また一人。

 

帰っていく。

 

最後に残ったのは。

 

悠飛と六華だった。

 

「……」

 

六華は。

 

しばらく黙っていた。

 

「どうした?」

 

悠飛が尋ねる。

 

「悠飛」

 

「ん?」

 

「私」

 

六華は。

 

昔から胸の奥にしまっていた言葉を。

 

今度こそ口にした。

 

「あなたが好き」

 

悠飛は。

 

黙った。

 

六華は続ける。

 

「二十年前から」

 

「ずっと」

 

「……」

 

「一度も、本当に忘れたことなんてなかった」

 

悠飛は。

 

右眼の眼帯に触れる。

 

そして。

 

優しく笑った。

 

「ありがとう」

 

「……」

 

「俺も」

 

六華が目を見開く。

 

「みんなのことを大切に思ってる」

 

「……うん」

 

「だから」

 

悠飛は苦笑する。

 

「今すぐ一人だけ選べと言われても、できない」

 

六華は。

 

少しだけ寂しそうに笑う。

 

「それでいいよ」

 

「六華?」

 

「だって」

 

六華は空を見上げる。

 

「私たちの恋は」

 

「まだ、終わってないから」

 

悠飛は。

 

その言葉を聞いて。

 

静かに笑った。

 

「そうだな」

 

「じゃあ、また」

 

「ああ」

 

六華は。

 

悠飛に背を向ける。

 

数歩歩いたところで。

 

振り返る。

 

「悠飛」

 

「ん?」

 

「十年後も」

 

「二十年後も」

 

「また会おうね」

 

悠飛は。

 

迷わず答えた。

 

「約束する」

 

六華は。

 

笑った。

 

 

その夜。

 

悠飛は自宅の書斎にいた。

 

世界大富豪ランキング第二位。

 

巨大企業グループのトップ。

 

世界中から届く書類。

 

経営判断。

 

投資案件。

 

会議予定。

 

机の上には。

 

山のような仕事が積まれている。

 

しかし。

 

悠飛の視線は。

 

そこにはなかった。

 

机の上に飾られた二枚の写真。

 

高校時代。

 

そして。

 

今日。

 

「……」

 

悠飛は。

 

二枚を見比べる。

 

「二十年か」

 

長かった。

 

本当に。

 

長かった。

 

それでも。

 

振り返れば。

 

あっという間だった。

 

高校生だった自分。

 

右眼を失った自分。

 

世界を目指した自分。

 

成功した自分。

 

そして。

 

今日。

 

仲間たちと笑った自分。

 

「……悪くない人生だ」

 

悠飛は。

 

そう呟いた。

 

 

スマートフォンが鳴る。

 

グループチャットだった。

 

四葉。

 

『今日はありがとうございました!』

 

一花。

 

『楽しかったね』

 

二乃。

 

『次は私の店で』

 

三玖。

 

『楽しみ』

 

五月。

 

『また皆さんとお会いできるのを楽しみにしています』

 

六華。

 

『今日は嬉しかった』

 

莉々華。

 

『次の予定、決めようよ』

 

悠飛。

 

『じゃあ来月』

 

四葉。

 

『賛成です!』

 

二乃。

 

『相変わらず早いわね』

 

一花。

 

『ふふ』

 

三玖。

 

『でも、いいと思う』

 

五月。

 

『私も賛成です』

 

六華。

 

『決まり』

 

莉々華。

 

『決まりね』

 

悠飛は。

 

スマートフォンを置く。

 

「……」

 

窓の外。

 

桜が舞っている。

 

二十年前。

 

この季節。

 

卒業した。

 

あの日。

 

自分たちは。

 

それぞれの未来へ向かった。

 

そして。

 

二十年後。

 

また。

 

同じ場所に戻ってきた。

 

けれど。

 

これは過去に戻ったわけではない。

 

過去を懐かしむだけでもない。

 

これから先の人生を。

 

もう一度。

 

一緒に歩いていくためだ。

 

 

一花は。

 

自宅で卒業写真を眺めていた。

 

「……悠飛くん」

 

昔。

 

言えなかった言葉。

 

今度は。

 

伝える。

 

二乃も。

 

店を閉めた後。

 

一人で写真を見る。

 

「絶対、負けないんだから」

 

三玖は。

 

本を閉じる。

 

「……悠飛」

 

四葉は。

 

ベッドの上で笑う。

 

「また会えました」

 

五月は。

 

机の上に写真を置く。

 

「これからも頑張ります」

 

六華は。

 

窓の外を眺める。

 

「約束だからね」

 

莉々華は。

 

今日撮った写真をアルバムに保存する。

 

「これで二枚目」

 

それぞれの場所で。

 

それぞれの人生を生きる。

 

それでも。

 

心の中には。

 

同じ人がいる。

 

如月悠飛。

 

二十年前。

 

一度目の恋。

 

その後。

 

長い人生の中で育った二度目の恋。

 

そして。

 

二十年ぶりの再会で灯った。

 

三度目の恋。

 

 

翌朝。

 

悠飛は。

 

庭に出た。

 

一本の桜の木。

 

二十年前。

 

卒業式の日にも見た桜。

 

花びらが。

 

一枚。

 

悠飛の左肩に落ちる。

 

悠飛は。

 

それを手に取る。

 

「……」

 

ふと。

 

高校時代の記憶が蘇る。

 

『悠飛!』

 

『悠飛さん!』

 

『悠飛くん!』

 

七人の少女たちの声。

 

笑顔。

 

涙。

 

喧嘩。

 

思い出。

 

そして。

 

最後に。

 

卒業式の日。

 

『また、会おうね』

 

悠飛は。

 

静かに笑った。

 

「会えたよ」

 

誰もいない庭で。

 

そう呟く。

 

「ちゃんと、会えた」

 

そして。

 

もう一度。

 

桜を見上げる。

 

「これからも」

 

「よろしくな」

 

風が吹く。

 

桜の花びらが舞う。

 

まるで。

 

誰かが返事をしてくれたようだった。

 

 

人は。

 

いつか大人になる。

 

少年少女だった頃の夢は。

 

形を変える。

 

友達だった人が。

 

家族になることもある。

 

家族だった人が。

 

遠く離れることもある。

 

恋が。

 

終わることもある。

 

新しい恋が。

 

始まることもある。

 

けれど。

 

どれだけ時間が流れても。

 

心の奥に残るものがある。

 

忘れられない笑顔。

 

忘れられない声。

 

忘れられない約束。

 

そして。

 

忘れられない人。

 

悠飛にとって。

 

それが。

 

七人だった。

 

一花。

 

二乃。

 

三玖。

 

四葉。

 

五月。

 

六華。

 

莉々華。

 

七人にとって。

 

それが。

 

悠飛だった。

 

だから。

 

二十年経っても。

 

物語は。

 

終わらなかった。

 

 

春の街。

 

桜並木。

 

八人の写真が。

 

風に揺れている。

 

高校時代の写真。

 

二十年後の写真。

 

そこに写る八人は。

 

いつも笑っていた。

 

そして。

 

これからも。

 

きっと笑う。

 

また集まって。

 

また喧嘩して。

 

また笑って。

 

また恋をする。

 

何歳になっても。

 

何度でも。

 

新しい思い出を作っていく。

 

人生に。

 

本当の意味での「終わり」が来るまで。

 

 

――かつて。

 

神の力によって。

 

新しい人生を与えられた少年がいた。

 

その少年は。

 

勇往邁進し。

 

自分の力で未来を切り開いた。

 

仲間を守り。

 

大切な人を守り。

 

時には。

 

自分自身を犠牲にして。

 

それでも。

 

前を向いた。

 

そして。

 

二十年後。

 

世界大富豪ランキング第二位。

 

独眼竜・如月悠飛。

 

彼は。

 

世界中から羨まれるほどの成功を手にした。

 

だが。

 

最後に彼が選んだのは。

 

金でも。

 

名誉でも。

 

権力でもなかった。

 

大切な人たちと。

 

笑って過ごす未来。

 

それこそが。

 

彼にとっての。

 

本当の成功だった。

 

 

桜の花びらが。

 

一枚。

 

また一枚。

 

空へ舞い上がる。

 

悠飛は。

 

歩き出す。

 

その先には。

 

七人が待っている。

 

「遅いですよ、悠飛さん!」

 

四葉の声。

 

「待たせないでよね」

 

二乃の声。

 

「早く行こう」

 

三玖の声。

 

「悠飛くん、こっち」

 

一花の声。

 

「悠飛さん!」

 

五月の声。

 

「待ってた」

 

六華の声。

 

「行こう、悠飛」

 

莉々華の声。

 

悠飛は。

 

笑う。

 

「今行く」

 

一歩。

 

また一歩。

 

七人のもとへ歩いていく。

 

二十年前の青春は。

 

もう終わった。

 

けれど。

 

人生そのものは。

 

まだ終わらない。

 

恋も。

 

友情も。

 

家族も。

 

夢も。

 

これから先。

 

まだまだ続いていく。

 

そして。

 

いつかまた。

 

十年後。

 

二十年後。

 

あるいは。

 

もっと遠い未来。

 

八人が再び集まった時。

 

きっと誰かが言うのだろう。

 

「懐かしいね」

 

すると。

 

別の誰かが笑う。

 

「でも、今のほうが楽しい」

 

その言葉を聞いて。

 

八人は。

 

また笑う。

 

それでいい。

 

それこそが。

 

彼らの物語なのだから。

 

 

春。

 

満開の桜。

 

青い空。

 

暖かな風。

 

七人の女性と。

 

一人の男。

 

それぞれの未来へ向かって。

 

歩いていく。

 

その背中に。

 

過去の青春が重なる。

 

そして。

 

その先には。

 

新しい未来が待っている。

 

――二十年前。

 

出会った。

 

――二十年前。

 

恋をした。

 

――二十年間。

 

それぞれの人生を歩いた。

 

――そして今。

 

再び出会った。

 

三度目の恋の火は。

 

まだ小さな炎かもしれない。

 

けれど。

 

その火は。

 

誰にも消せない。

 

なぜなら。

 

その炎を灯したのは。

 

二十年という時間そのものだから。

 

悠飛は。

 

七人の仲間たちと並んで歩く。

 

桜の花びらが。

 

その上に舞い落ちる。

 

そして。

 

彼らの未来へ。

 

静かに。

 

春の風が吹いた。

 

――『神のチートで勇往邁進! 20年後の同窓会に現れたダンディな独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す』

 

最終章・完。

 

 




ここまで『神のチートで勇往邁進! 20年後の同窓会に現れたダンディな独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す』を読んでくださり、本当にありがとうございました。

ついに、この物語も最後のページを迎えました。

最初は、神の力によって新たな人生を与えられた主人公・如月悠飛が、五つ子たちや六華、莉々華と出会い、青春を過ごしていく物語でした。

そして。

物語が進むにつれて、悠飛と彼女たちの絆は少しずつ深くなっていきました。

笑ったり。

喧嘩したり。

一緒に悩んだり。

時には、誰かのために傷ついたり。

高校生という限られた時間の中で、彼らはたくさんの思い出を作りました。

その中でも、物語の大きな転換点となったのが「日の出祭」でした。

五月と無堂。

そして、無堂の仲間たち。

五月の夢を守るために立ちはだかった悠飛。

そして、右眼を失うという大きな代償。

あの日を境に、悠飛の人生は大きく変わりました。

しかし。

悠飛自身は、そのことを後悔していません。

なぜなら。

あの時、守りたいと思える人がいたからです。

そして。

その人たちと出会えたことこそが、悠飛にとって何より大切な宝物だったからです。

やがて高校を卒業し。

悠飛たちは、それぞれの道へ進みました。

一花は芸能界。

二乃は料理。

三玖は歴史。

四葉はスポーツ。

五月は教師。

六華と莉々華も、それぞれの夢へ。

そして悠飛は。

世界を舞台に成功を収め。

世界大富豪ランキング第二位という、とてつもない地位へ到達しました。

高校時代の少年から考えれば、まさに別人です。

しかし。

どれほど成功しても。

どれほど有名になっても。

悠飛の根本にあるものは変わりません。

仲間を大切にすること。

弱い者を守ること。

そして。

大切な人の笑顔を守ること。

それだけは。

高校時代からずっと変わらない悠飛の魅力だったと思います。

そして。

二十年後。

物語は再び動き出しました。

同窓会での再会。

昔と変わらない笑顔。

昔とは違う大人の表情。

そして。

一度胸の奥へしまった恋心が。

もう一度、動き始めます。

それが。

この作品のタイトルにもなっている。

「三度(みたび)恋の火を灯す」

という言葉につながっています。

高校時代の恋。

それぞれの人生を歩んだ二十年間。

そして。

二十年ぶりに再会した後の恋。

同じ相手を想っているとしても。

二十年前と今では。

その意味はまったく違います。

高校生だった頃には。

相手のことを思うだけで精一杯だった。

自分の気持ちを伝えられなかった。

誰かを傷つけたくなくて、身を引いた。

そんな経験をしたからこそ。

大人になった今。

もう一度、相手と向き合うことができる。

それが。

三度目の恋なのだと思います。

そして。

この物語では、あえて一人のヒロインに答えを出さず。

八人がこれからも未来へ歩いていく形で締めくくりました。

一花も。

二乃も。

三玖も。

四葉も。

五月も。

六華も。

莉々華も。

それぞれが悠飛を大切に思っています。

そして悠飛も。

七人を大切に思っています。

だからこそ。

最後に必要なのは。

「誰が選ばれたか」ではなく。

「これから誰と、どんな未来を作っていくのか」。

そう考えました。

もちろん。

いつか悠飛が誰か一人を選ぶ日が来るのかもしれません。

あるいは。

別の形の幸せを選ぶのかもしれません。

その答えは。

この物語の中では描きません。

読者の皆様それぞれが。

「この先、悠飛は誰と結ばれるのだろう?」

と想像していただければ嬉しいです。

そして。

この物語のもう一つのテーマは。

「時間」でした。

高校生から大人へ。

二十年という長い時間を越えて。

人は変わります。

外見も。

考え方も。

立場も。

夢も。

けれど。

変わらないものもあります。

大切な人を思う気持ち。

忘れられない思い出。

昔交わした約束。

それらは。

二十年経っても。

心のどこかに残っています。

だからこそ。

悠飛たちは再び集まることができました。

「また会おう」

その約束を。

本当に果たすことができたのです。

そして。

その約束は。

ここで終わりません。

十年後。

二十年後。

さらにその先。

彼らが生きている限り。

また会うことができます。

笑うことができます。

新しい思い出を作ることができます。

新しい恋をすることだってできます。

人生に。

遅すぎるということはない。

何歳になっても。

新しい一歩を踏み出せる。

そんな想いも。

このエピローグに込めました。

最後に。

悠飛。

一花。

二乃。

三玖。

四葉。

五月。

六華。

莉々華。

そして。

この物語をここまで読んでくださった皆様。

本当にありがとうございました。

彼らの高校時代を一緒に過ごしてくださったこと。

日の出祭を一緒に見届けてくださったこと。

悠飛が右眼を失う瞬間を見届けてくださったこと。

卒業を見届けてくださったこと。

そして。

二十年後の再会まで付き合ってくださったこと。

そのすべてに。

心から感謝します。

彼らの青春は。

これで終わります。

けれど。

彼らの人生は。

これからも続いていきます。

桜が咲けば。

また春が来る。

春が来れば。

新しい出会いがある。

そして。

新しい恋も始まる。

悠飛と七人の未来が。

どんな形になるのか。

それは。

彼らだけが知っています。

でも。

きっと。

彼らなら大丈夫でしょう。

どんな困難があっても。

どんな未来が待っていても。

笑いながら。

時には喧嘩しながら。

互いを支え合いながら。

前へ進んでいくはずです。

それこそが。

彼ららしい人生なのだと思います。

そして。

最後に一言。

二十年前の約束を守った八人へ。

「また会えて、本当によかった」

そして。

これからも。

ずっと。

笑っていてください。

桜舞う春の日。

八人が未来へ歩き出したように。

読者の皆様も。

それぞれの未来へ。

勇往邁進していってください。

ここまで本当にありがとうございました。

『神のチートで勇往邁進! 20年後の同窓会に現れたダンディな独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す』

――これにて。

**最終章・完。**

そして。

悠飛たちの物語を見届けてくださった皆様へ。

心からの感謝を。

ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。