『神のチートで勇往邁進!〜20年後の同窓会に現れた独眼竜は、三度(みたび)恋の火を灯す〜』   作:夜幻

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番外編⑥「一花・四葉・六華・五月・二乃――20年後の恋」

二十年。

 

 長いようで。

 

 振り返ってみれば、あっという間だった。

 

 高校時代。

 

 同じ教室で笑い合った少女たちは、大人になった。

 

 それぞれが夢を叶え。

 

 それぞれの人生を歩み。

 

 それぞれの場所で、多くの人と出会った。

 

 けれど。

 

 変わらなかったものもある。

 

 如月悠飛。

 

 世界大富豪ランキング第2位。

 

 黒い眼帯を右眼に着けた、その姿から「独眼竜」と呼ばれる男。

 

 そして――。

 

 彼を想い続ける五人の少女たち。

 

 中野一花。

 

 中野四葉。

 

 空龍六華。

 

 中野五月。

 

 中野二乃。

 

 二十年の歳月を経ても。

 

 その想いは、消えていなかった。

 

 むしろ。

 

 大人になったからこそ。

 

 少女の頃には分からなかった感情が。

 

 はっきりとした形を持っていた。

 

 ――恋。

 

 それぞれ違う形をした。

 

 五人の恋。

 

 これは。

 

 そんな彼女たちの二十年後の物語。

 

 

「……本当に来るのかな」

 

 ホテルのラウンジ。

 

 中野一花は。

 

 窓の外を眺めながら呟いた。

 

 二十年前と比べれば。

 

 ずっと大人になった。

 

 女優としての経験を積み。

 

 多くの作品に出演し。

 

 今では世界的な知名度を持つ。

 

 それでも。

 

 今日だけは。

 

 一人の少女に戻っていた。

 

「悠飛くん……」

 

 名前を口にする。

 

 胸が。

 

 少しだけ高鳴る。

 

 高校時代。

 

 何度も言おうと思った。

 

 好き。

 

 あなたが好き。

 

 けれど。

 

 言えなかった。

 

 仕事。

 

 時間。

 

 距離。

 

 そして。

 

 何より。

 

 自分たちの関係。

 

 それらが。

 

 一花を迷わせた。

 

 しかし。

 

 二十年経った今。

 

 一花は決めていた。

 

「今度こそ」

 

 小さく笑う。

 

「逃げない」

 

 

「一花」

 

 声がする。

 

 振り返ると。

 

 四葉が立っていた。

 

「四葉!」

 

「久しぶり!」

 

 二人は抱き合う。

 

「元気だった?」

 

「もちろん!」

 

 四葉は。

 

 高校時代と変わらない笑顔を見せる。

 

 スポーツ関係の仕事を経て。

 

 今では子供たちの指導や福祉活動にも携わっている。

 

 多忙な毎日。

 

 それでも。

 

 悠飛のことだけは。

 

 心の奥から消えなかった。

 

「四葉も?」

 

 一花が聞く。

 

「何が?」

 

「悠飛くん」

 

「……」

 

 四葉の笑顔が。

 

 一瞬だけ止まる。

 

「うん」

 

 小さく頷く。

 

「好きだよ」

 

「やっぱり」

 

 一花は笑った。

 

「私も」

 

「知ってる」

 

「え?」

 

「昔から」

 

「……」

 

 二人は顔を見合わせ。

 

 そして。

 

 笑った。

 

「ライバルだね」

 

「うん!」

 

 

「二人とも」

 

 静かな声。

 

 六華だった。

 

「六華!」

 

「久しぶり」

 

 空龍六華。

 

 中野姉妹の従姉妹。

 

 そして。

 

 悠飛とは幼少期からの付き合い。

 

 五つ子たちと一緒に。

 

 七人で過ごした幼い日々。

 

 あの日から。

 

 六華の想いは変わらない。

 

「悠飛は?」

 

「まだ」

 

 一花が答える。

 

「そう」

 

 六華は笑う。

 

 けれど。

 

 その笑顔には。

 

 少しだけ緊張があった。

 

「今日こそ」

 

「うん?」

 

「ちゃんと伝えたい」

 

「……」

 

 一花と四葉が。

 

 六華を見る。

 

「私も」

 

 一花が言う。

 

「私も!」

 

 四葉も。

 

 三人は。

 

 互いに笑った。

 

 敵。

 

 だけど。

 

 敵だけではない。

 

 幼い頃からの仲間。

 

 だから。

 

 今日だけは。

 

 正々堂々と。

 

 自分の気持ちを伝える。

 

 

「お待たせしました」

 

 五月がやってきた。

 

「五月!」

 

「皆さん、お久しぶりです」

 

 教師として歩んできた五月は。

 

 昔と変わらず。

 

 真面目で。

 

 努力家だった。

 

 そして。

 

 彼女も。

 

 悠飛への想いを抱えている。

 

「五月も……」

 

「はい」

 

 五月は。

 

 少し照れながら頷いた。

 

「私も、悠飛さんが好きです」

 

 四人が。

 

 一瞬黙る。

 

 そして。

 

 一花が笑う。

 

「五人目」

 

「……そうですね」

 

 五月も笑った。

 

 

「待たせたわね」

 

 最後に現れたのは。

 

 二乃。

 

 腕を組み。

 

 堂々とした姿。

 

「二乃!」

 

「久しぶり」

 

「相変わらずね」

 

 一花が笑う。

 

「何よ」

 

「いえ」

 

 六華が。

 

「二乃も?」

 

「当然でしょ」

 

 二乃は即答した。

 

「私はね。

 

 二十年前から何も変わってないの」

 

「……」

 

「悠飛が好き」

 

 真っ直ぐな言葉。

 

 迷いがない。

 

「だから」

 

 二乃は。

 

 四人を見る。

 

「今日は譲らないわよ」

 

 一花が笑う。

 

「望むところ」

 

 四葉も。

 

「私も!」

 

 六華も。

 

「もちろん」

 

 五月も。

 

「私も負けません」

 

 五人が。

 

 笑った。

 

 

 そして。

 

 その時。

 

「――みんな」

 

 声がした。

 

 五人が振り返る。

 

「悠飛!」

 

 如月悠飛。

 

 黒い眼帯。

 

 金髪のウルフヘア。

 

 長身。

 

 鍛えられた身体。

 

 大人の落ち着き。

 

 それでも。

 

 笑った時だけ。

 

 高校時代の少年の面影が残る。

 

「久しぶり」

 

 悠飛は。

 

 五人に笑いかけた。

 

 一花は。

 

 胸が高鳴った。

 

 四葉は。

 

 笑顔になる。

 

 六華は。

 

 目を細める。

 

 五月は。

 

 背筋を伸ばす。

 

 二乃は。

 

 頬を少し赤くする。

 

 二十年。

 

 それだけの時間が流れても。

 

 この男の前では。

 

 みんな。

 

 あの頃の少女に戻ってしまう。

 

 

「今日は楽しもう」

 

 悠飛が言う。

 

「うん」

 

 一花。

 

「もちろん!」

 

 四葉。

 

「はい」

 

 六華。

 

「楽しみです」

 

 五月。

 

「当然よ」

 

 二乃。

 

 五人は。

 

 悠飛の周囲に集まる。

 

 そこへ。

 

「おーい!」

 

 風太郎の声。

 

「風太郎!」

 

 悠飛が振り返る。

 

「お前ら、相変わらずだな」

 

 風太郎が笑う。

 

 三玖も。

 

「みんな、久しぶり」

 

 五人が。

 

「三玖!」

 

 と笑う。

 

 三玖と風太郎。

 

 二人は。

 

 今も穏やかに寄り添っていた。

 

 その姿を見て。

 

 四葉が笑う。

 

「三玖、幸せそう!」

 

「……うん」

 

 三玖は。

 

 少し照れた。

 

 

 同窓会が始まる。

 

 昔話。

 

 高校時代の思い出。

 

 修学旅行。

 

 文化祭。

 

 試験。

 

 笑い話。

 

 どれも。

 

 懐かしい。

 

「覚えてる?」

 

 一花が悠飛に聞く。

 

「何を?」

 

「修学旅行」

 

「ああ」

 

「京都で迷子になったこと」

 

「四葉だろ」

 

「えへへ」

 

「私じゃないよ!」

 

 四葉が抗議する。

 

「お前だ」

 

「違う!」

 

「絶対お前」

 

「もう!」

 

 全員が笑った。

 

 

 時間が経つ。

 

 夜。

 

 五人は。

 

 それぞれ。

 

 悠飛と二人きりになる時間を作っていた。

 

 最初は。

 

 一花。

 

「悠飛くん」

 

「ん?」

 

「少しだけいい?」

 

「ああ」

 

 二人で。

 

 ホテルのテラスへ出る。

 

「夜景、綺麗だね」

 

「そうだな」

 

「二十年前も」

 

 一花は。

 

 夜空を見る。

 

「こんなふうに。

 

 あなたの隣にいたかった」

 

「一花……」

 

「今度は」

 

 一花が。

 

 悠飛を見る。

 

「逃げない」

 

 悠飛は。

 

 静かに聞いている。

 

「私は今でも。

 

 悠飛くんが好き」

 

「……」

 

「二十年経っても」

 

 一花は笑った。

 

「変わらなかった」

 

「ありがとう」

 

 悠飛は。

 

 優しく答えた。

 

 その言葉だけで。

 

 一花は少し救われた。

 

 

 次は。

 

 四葉。

 

「悠飛くん!」

 

「四葉?」

 

「一緒に歩こう!」

 

「いいぞ」

 

 二人で廊下を歩く。

 

「私ね」

 

 四葉が言う。

 

「昔から。

 

 悠飛くんのことが好きだった」

 

「……」

 

「ずっと言えなかったけど」

 

 四葉は笑う。

 

「今日は言える」

 

「四葉……」

 

「大好き!」

 

 満面の笑顔。

 

「今でも!」

 

 悠飛は。

 

 その笑顔を見て。

 

 昔を思い出した。

 

「四葉らしいな」

 

「えへへ」

 

「ありがとう」

 

「うん!」

 

 

 次。

 

 六華。

 

「悠飛」

 

「六華」

 

 二人は。

 

 静かな庭園へ。

 

「覚えてる?」

 

「何を?」

 

「子供の頃の約束」

 

「……ずっと仲良くする」

 

「うん」

 

 六華は。

 

 微笑んだ。

 

「私は。

 

 あの頃からずっと。

 

 悠飛のことが好き」

 

「六華……」

 

「従姉妹たちと一緒に。

 

 ずっと見てきた」

 

「……」

 

「だから。

 

 誰よりもあなたを知っているつもり」

 

 六華は。

 

 まっすぐ悠飛を見る。

 

「今も好き」

 

「ありがとう」

 

「うん」

 

 六華は。

 

 笑った。

 

 

 五月。

 

「悠飛さん」

 

「五月」

 

 二人で。

 

 静かな場所へ。

 

「昔は。

 

 自分の気持ちを言葉にするのが苦手でした」

 

「今は?」

 

「少しだけ。

 

 得意になりました」

 

 五月は。

 

 微笑む。

 

「私は。

 

 悠飛さんを尊敬しています」

 

「ありがとう」

 

「そして」

 

 少しだけ頬を赤くする。

 

「好きです」

 

「……」

 

「二十年経っても。

 

 変わりません」

 

「五月……」

 

「伝えられて。

 

 よかったです」

 

 

 最後。

 

 二乃。

 

「悠飛」

 

「二乃」

 

「二人で話しましょう」

 

「ああ」

 

 二乃は。

 

 腕を組んだまま。

 

「私は。

 

 昔からずっと言ってきた」

 

「何を?」

 

「好きって」

 

「……」

 

「だから今さら隠さない」

 

 二乃は。

 

 真っ直ぐ悠飛を見る。

 

「私は悠飛が好き」

 

「二十年経っても」

 

「ええ」

 

「変わらない?」

 

「変わるわけないでしょ」

 

 二乃は笑う。

 

「私を誰だと思ってるの?」

 

「二乃だろ」

 

「そうよ」

 

 

 五人の想い。

 

 それぞれ。

 

 違う。

 

 一花は。

 

 大人の女性として。

 

 四葉は。

 

 真っ直ぐに。

 

 六華は。

 

 幼い日の約束を胸に。

 

 五月は。

 

 尊敬と愛情を重ね。

 

 二乃は。

 

 誰よりも強く。

 

 それでも。

 

 共通しているものがあった。

 

 ――悠飛が好き。

 

 それだけ。

 

 

 夜。

 

 五人は。

 

 再び一つの部屋に集まった。

 

「どうだった?」

 

 一花が聞く。

 

「言ったよ!」

 

 四葉。

 

「私も」

 

 六華。

 

「私もです」

 

 五月。

 

「私もよ」

 

 二乃。

 

 一花が笑う。

 

「じゃあ、みんな同じね」

 

「うん」

 

「……」

 

 少し沈黙。

 

 そして。

 

 二乃が言った。

 

「誰か一人だけが勝つとは限らないわよ」

 

 四人が二乃を見る。

 

「どういう意味?」

 

「悠飛の人生は。

 

 一人の女が独占するものじゃない」

 

「……」

 

「私たちは。

 

 五人とも悠飛を大切に思ってる」

 

 二乃は。

 

 真剣だった。

 

「だったら。

 

 五人で支えたっていい」

 

 一花が。

 

 少し驚く。

 

「二乃……」

 

「何よ」

 

「大人になったね」

 

「うるさい」

 

 四葉が笑う。

 

「じゃあ、みんなで仲良く!」

 

 五月も。

 

「そうですね」

 

 六華は。

 

 静かに頷いた。

 

「うん」

 

 

 その頃。

 

 別の場所では。

 

「なあ、三玖」

 

「何?」

 

「お前の姉妹たち。

 

 悠飛のことになるとすごいな」

 

「……うん」

 

 三玖は笑った。

 

「でも。

 

 私は風太郎が好き」

 

「……」

 

 風太郎は。

 

 少し照れながら。

 

「俺もだ」

 

 二人は。

 

 静かに手を繋いだ。

 

 それを見た悠飛は。

 

「風太郎」

 

「何だ?」

 

「お前は幸せそうだな」

 

「お前もだろ」

 

「……そうか?」

 

「自覚しろ」

 

「難しいな」

 

「相変わらず鈍感だな」

 

 風太郎が呆れる。

 

 

 そして。

 

 同窓会の終わり。

 

 五人が悠飛の前に並んだ。

 

 一花。

 

「また会おうね」

 

 四葉。

 

「絶対!」

 

 六華。

 

「約束」

 

 五月。

 

「次も楽しみにしています」

 

 二乃。

 

「今度はもっとゆっくり話すわよ」

 

 悠飛は。

 

 五人を見る。

 

「分かった」

 

 そして。

 

 笑った。

 

「俺も。

 

 みんなと会えて嬉しかった」

 

 五人の胸が。

 

 同時に高鳴る。

 

 二十年前と。

 

 何も変わらない。

 

 けれど。

 

 二十年を生きてきたからこそ。

 

 分かる。

 

 恋とは。

 

 ただ誰かを好きになることではない。

 

 相手の人生を尊重し。

 

 幸せを願い。

 

 時には自分の気持ちを抑え。

 

 それでも。

 

 最後まで想い続けること。

 

 五人の恋は。

 

 まだ終わっていない。

 

 むしろ。

 

 ここからが始まりだった。

 

 

 ホテルを出る。

 

 悠飛が車へ向かう。

 

 その背中を。

 

 一花。

 

 二乃。

 

 三玖。

 

 四葉。

 

 五月。

 

 六華。

 

 それぞれが見つめている。

 

 悠飛が振り返る。

 

「じゃあ、またな」

 

「うん!」

 

 四葉。

 

「またね」

 

 一花。

 

「また会いましょう」

 

 五月。

 

「次は負けないから」

 

 二乃。

 

「……うん」

 

 三玖。

 

「約束」

 

 六華。

 

 悠飛は。

 

 小さく笑った。

 

 車が走り出す。

 

 その姿が。

 

 見えなくなるまで。

 

 五人は。

 

 そこに立っていた。

 

 

 二十年。

 

 少女たちは。

 

 大人になった。

 

 夢を叶え。

 

 挫折も経験し。

 

 たくさんの人と出会った。

 

 それでも。

 

 心の一番奥に残っていたもの。

 

 幼い日の記憶。

 

 高校時代の思い出。

 

 そして。

 

 如月悠飛への想い。

 

 それは。

 

 決して消えなかった。

 

 一花は。

 

 大人の恋を選ぶ。

 

 四葉は。

 

 真っ直ぐな恋を貫く。

 

 六華は。

 

 幼い日の約束を胸に進む。

 

 五月は。

 

 尊敬から始まった愛を育てる。

 

 二乃は。

 

 誰よりも強く想い続ける。

 

 五人の恋は。

 

 同じではない。

 

 けれど。

 

 誰も。

 

 誰かを憎んではいない。

 

 なぜなら。

 

 五人は姉妹で。

 

 六華は大切な従姉妹で。

 

 そして。

 

 みんな。

 

 悠飛に幸せになってほしいと思っているから。

 

 だからこそ。

 

 この恋は。

 

 一人だけの勝負ではない。

 

 五人で笑い。

 

 五人で悩み。

 

 五人で支え合いながら。

 

 それぞれの未来へ進んでいく。

 

 ――二十年後。

 

 少女たちは。

 

 もう少女ではない。

 

 それでも。

 

 恋をする心だけは。

 

 あの日のまま。

 

 そして。

 

 彼女たちの恋は。

 

 まだ。

 

 終わらない。

 

 




 高校時代から20年。

 長い年月を経てもなお、悠飛への想いを胸に抱き続けている五人。

 それぞれの恋の形は違います。

 一花は、大人の女性としての余裕と、それでも隠しきれない一途な想い。

 四葉は、昔と変わらない真っ直ぐさと明るさ。

 六華は、悠飛と幼い頃から過ごしてきた時間、そして「ずっと一緒」という約束。

 五月は、尊敬から始まった感情が、20年という歳月を経て愛情へと変わった姿。

 二乃は、昔から変わらない強さと、何年経っても悠飛を諦めない情熱。

 五人とも違う。

 だからこそ、誰の恋も同じにはなりません。

 そして、この五人を描くうえで大切にしたかったのが、「恋敵でありながら家族である」という関係です。

 中野一花、二乃、三玖、四葉、五月。

 そして、その姉妹と血の繋がった従姉妹である空龍六華。

 六人は幼い頃から互いを知り、支え合ってきた家族同然の存在です。

 だからこそ、悠飛を巡る恋が始まっても、単純な「奪い合い」にはしたくありませんでした。

 もちろん、嫉妬もします。

 悔しくなることもあります。

 自分だけを見てほしいと思うこともあります。

 それでも最後には、姉妹や従姉妹として互いを大切にする。

 それが、この物語における彼女たちの関係です。

 そしてもう一つ。

 今回の番外編では、三玖と風太郎の恋を対比として入れています。

 悠飛を巡って五人の女性が恋をしている一方で、三玖は風太郎を選び、風太郎もまた三玖を大切にしている。

 同じ五つ子の中でも、恋の形は一つではありません。

 誰かと競う恋もあれば。

 たった一人を選ぶ恋もある。

 長い時間をかけて育てる恋もあれば。

 幼い頃から続いている想いもある。

 それぞれの恋が存在するからこそ、この物語の「20年後」は意味を持つのだと思います。

 そして。

 忘れてはいけないのが、如月悠飛という主人公です。

 20年後の悠飛は、世界大富豪ランキング第2位。

 右眼を失い、「独眼竜」と呼ばれるほどの存在になりました。

 けれど。

 幼い頃から本質は変わっていません。

 困っている人がいれば助ける。

 仲間が傷つけば守る。

 家族を大切にする。

 そして、自分より他人を優先する。

 だからこそ、悠飛本人だけが、五人から向けられている恋心に気づいていない。

 風太郎からすれば、かなり呆れる状況でしょう。

「お前、いい加減気づけ」

 そんな風太郎の声が聞こえてきそうです。

 しかし。

 悠飛が鈍感だからこそ、彼女たちの恋はまだ終わっていません。

 二十年経っても。

 恋の火は消えていない。

 むしろ。

 大人になったことで、その想いはより強くなっています。

 そして。

 今回のタイトルにもある通り。

 これは「20年後の恋」の物語です。

 高校生だった少女たちが。

 大人になり。

 もう一度、悠飛の前に立つ。

 昔のように笑い。

 昔のように喧嘩し。

 昔のように競い合う。

 けれど。

 今度は子供ではありません。

 自分の人生を歩んできた大人として。

 自分自身の意志で。

 悠飛を好きだと伝える。

 そこが今回の番外編の大きなテーマでした。

 そして。

 六華については、特に「幼い日の約束」を意識しました。

 空龍六華は、中野姉妹の従姉妹。

 五つ子と一緒に育ち。

 悠飛とも幼い頃から交流してきた存在です。

 だからこそ。

 六華にとって悠飛は「突然現れた好きな人」ではありません。

 幼い頃から知っている。

 笑った顔も。

 泣いた顔も。

 悩んでいる姿も。

 強がっている姿も。

 そして。

 右眼を失った後の悠飛も知っている。

 その長い時間そのものが、六華の恋の強さになっています。

 もちろん。

 それは六華だけではありません。

 一花も。

 二乃も。

 三玖も。

 四葉も。

 五月も。

 悠飛と過ごした時間を持っています。

 だからこそ。

 彼女たちの恋は簡単には消えない。

 20年という時間は。

 恋を忘れさせるには十分な長さかもしれません。

 けれど。

 忘れられなかった。

 それだけ悠飛が彼女たちにとって大切だったということです。

 そして。

 この物語では「政府公認の純愛ハーレム関係」という独自設定もあります。

 現実ではなかなか成立しないような関係ですが。

 この作品の世界では。

 それぞれの女性が悠飛を愛し。

 それぞれが互いの存在を認め。

 家族として支え合う。

 そんな未来を描いていきます。

 もちろん。

 全員が最初から納得しているわけではありません。

 嫉妬もする。

 独占したくなる。

 時には喧嘩もする。

 それでも。

 最後には互いの気持ちを尊重する。

 それが。

 この物語における彼女たちの「純愛ハーレム」です。

 そして。

 悠飛の隣には風太郎がいます。

 かつての同級生。

 親友。

 そして今では、世界を動かす悠飛の敏腕の右腕。

 最高顧問。

 悠飛がどれだけ大きな存在になっても。

 風太郎だけは。

 昔と変わらない態度で悠飛に接する。

 間違っていれば止める。

 調子に乗れば叱る。

 危険なら身を挺して支える。

 そんな風太郎がいるからこそ。

 悠飛は安心して世界を背負える。

 そして。

 風太郎の隣には三玖がいる。

 こちらも。

 二十年の歳月を越えて続いている恋。

 悠飛を中心とした恋模様が大きく動く中で。

 三玖と風太郎の関係は。

 静かで穏やかな「もう一つの恋」として存在しています。

 激しく燃える恋だけが恋ではない。

 静かに寄り添う恋もある。

 この二つを対比させることで。

 作品全体の恋愛模様にも幅が出せたのではないかと思います。

 さて。

 番外編⑥では。

 五人の女性がそれぞれ悠飛に想いを伝えました。

 一花。

 四葉。

 六華。

 五月。

 二乃。

 全員が。

 「今でも好き」

 と伝えています。

 しかし。

 悠飛は。

 まだ答えを出していません。

 これは。

 決着を先送りにしたという意味ではありません。

 むしろ。

 20年後という新しい物語を始めるための余白です。

 ここから先。

 悠飛がどう答えるのか。

 五人はどう向き合うのか。

 姉妹と従姉妹という家族の絆はどうなるのか。

 そして。

 莉々華はその状況をどう見るのか。

 極度のブラコンである莉々華が。

 大好きな「お兄ちゃん」に五人の女性が想いを寄せている状況を見て。

 果たして冷静でいられるのか。

 おそらく。

 かなり大変なことになるでしょう。

 ですが。

 それもまた。

 この物語の楽しさの一つです。

 そして。

 最後に。

 この物語を書いていく上で一番大切にしているもの。

 それは。

 「家族」です。

 恋愛だけではありません。

 悠飛と莉々華。

 中野姉妹。

 空龍六華。

 三玖と風太郎。

 そして。

 七人の幼い頃からの絆。

 彼らが20年後に再び集まれたのは。

 誰か一人の力ではありません。

 長い年月の中で。

 互いを大切にしてきたからです。

 だから。

 この物語の「20年後」は。

 終わりではありません。

 むしろ。

 新しい始まりです。

 高校時代の物語が終わって。

 二十年の時間が流れ。

 大人になった彼らが再び集まった。

 そこで。

 昔の恋が。

 もう一度火を灯した。

 それが。

 この物語です。

 ――三度目の恋。

 一度目は。

 幼い日の淡い想い。

 二度目は。

 高校時代の青春。

 そして。

 三度目は。

 二十年後。

 大人になった彼女たちが。

 自分自身の意志で選ぶ恋。

 これから。

 悠飛たちがどんな未来へ進むのか。

 まだ分かりません。

 けれど。

 きっと。

 七人の幼い日の約束だけは。

 これからも消えることはないでしょう。

 ――ずっと仲良くする。

 その約束を胸に。

 彼らの物語は。

 まだ続いていきます。

 最後まで読んでくださった皆様。

 本当にありがとうございました。

 これからも。

 如月悠飛。

 上杉風太郎。

 中野姉妹

 一花。

 二乃。

 三玖。

 四葉。

 五月。

 空龍六華。

 そして。

 如月莉々華。

 彼らの物語を。

 どうぞよろしくお願いいたします。

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