ウマ娘とイチャイチャしてぇなぁ…え?ダメ?   作:仔犬

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クライマックス

 

 

 

 

「普通も常識も、どうだっていい。分子運動に名をつけ、それらを価値あるものと定める。それが、俺にとっては心底どうでもいい」

 

 

 

価値や意味はあるものでなく付与するものだ。

 

 

 

まっさらなキャンバスに色を落とすように、神は命を与えた。空白とは不完全でなく余地である。

 

 

 

完全とは余白を与えず描き込むことだと勘違いしているような人間は塗りつぶされたアートでも観ていればいい。

 

 

「与えられた空白に色を落とすことができるのは自身だけだ」

 

 

神が干渉しないのは人間そのものが自立するアート作品だからだ。完成したアートに手を加える画家はいない。

 

 

「過去現在未来全てを描くのは俺達だ。外野は黙って完成を待っていればいい」

 

 

 

普通や常識を否定するわけではない。ただ俺の目にはそれらすべてが灰色に見えるだけ。

 

 

 

「この手で奇跡すらも掌握してみせよう」

 

 

 

越えるべき壁がないのはつまらない。いつか、100億光年先のその首に手をかけてやる。

 

 

 

「…長くない?担当契約の話からなんでそんな話に派生したのかアタシには理解できないんだけど」

 

「こういうのって普通カッコつけるものだろ。冷笑系なんて今どき流行らないぞ」

 

「キミが冷笑されるのは流行りとかじゃなくてどう考えても必然だと思うんだけどな」

 

「お前にも分かるよう噛み砕いて説明するなら、周りなんて気にしてないでねじ伏せろってことだ」

 

「ちょっと乱暴な結論だね。まあさっきのよりかは全然いいけど…」

 

「この世に絶対はない。それを踏まえたうえで考えるが、俺とお前が組んだら勝率は100%だ」

 

「絶対はないんじゃなかったの?」

 

「何事にも例外はある。絶対なんて絶対にない」

 

「キミ、普通なんてどうでもいいとか言う割には随分勝ち負けについて語るよね。アタシにはちょっとわからないなぁ」

 

「勝ちたいんじゃなくて負けたくねぇんだよ。悔しいだろ?最重要じゃないだけでないよりはあるほうがいい。そのほうがお得だ。勝った日の酒は美味い。その勝利が難しいものであればあるほどな」

 

「皆クラシック三冠だとか、そういう遠いものを見てるのにキミは勝った日のお酒のことしか考えてないんだ?」

 

「天辺から上なんて向いたところで上にはなにもねぇからな。遠くを見通して近くの障害物に躓いたら意味ねぇさ」

 

「でも、キミが最終的に見据えてるものは遠すぎるくらいだけど。近くだけ見てても残りの距離はわからないでしょ?嫌にはならないの?」

 

「だから退屈しないようにお前を見るんだ。楽しませてくれよ」

 

「あははっ!なら、ちゃんと見ててね。トレーナー」

 

________

 

 

 

 

 

他者と自己を比較することに意味はない。それで自分や誰かの価値を貶めるような言動は唾棄すべき行為だ。

 

 

 

だが、どんな花にも一際綺麗な花はある。

 

 

レースってのは自分と他者の実力を比較し競い合う。だからこそ

面白く、夢がある。

 

 

「どんなドラマにも演者は必要だ。演者がいなきゃドラマは成り立たない。主役はその中でも一際目立つだけだ」

 

 

 

 

だから、そうだな…

 

 

 

 

「最高のドラマを期待してるぜ。シービー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『坂の登りでミスターシービー上がっていった!登りで行った!登りで行ったぞミスターシービー!果たして下りをどう下るミスターシービー!』

 

 

自由な走りだ。常識に囚われない。だからこそ美しい

 

 

『さあ2周目の下り!さあミスターシービーは2番手か!おっと、ここでミスターシービー先頭に立った!』

 

 

『ミスターシービー先頭だ!第四コーナーをカーブする!』

 

 

『ミスターシービー先頭!三冠に手をかけた!ミスターシービー先頭!』

 

 

『大地が、大地が弾んでミスターシービーだ!ミスターシービーだ! 内からリードホーユーが来る!』

 

 

『内からリードホーユーだ! さあミスターシービー!ミスターシービー!』

 

 

シービーの頭が少し下がり、ギアがもう一段階あがる。

 

 

『ミスターシービーが先頭だ! ミスターシービー逃げる逃げる逃げる!』

 

『拍手が沸く!ミスターシービーだ!』

 

『3冠!3冠達成!ミスターシービー! 』

 

『驚いた!物凄いレースをしました! ダービーに次いで物凄いレースをしました!』

 

『坂の下りで先頭に立った9番のミスターシービー!』

 

『素晴らしいレースを見せてくれました!まさに芸術!ターフの演出家とはこのウマ娘!ミスターシービー!』

 

 

 

今日の酒は一段、いや、3段は美味くなる。

 

 

_______

 

 

 

 

 

 

「三冠おめでとうパーティー。いえーい」

 

「字面の割にあんまりテンション高くなくない?」

 

「そりゃレースは面白かったぜ、どんなドラマより。でもやっぱどんなに面白い小説でも読んでる最中の興奮に読後が勝ることってないと思うんだよな」

 

「ドラマだったり小説だったり支離滅裂だね…普通は三冠達成ってもっと泣いて喜ぶとかするらしいよ?」

 

 

(冗談だろ?俺が泣くのは天和九蓮上がった時か死ぬ時だけだ)

 

 

「なんだよそれ、俺の柄じゃねぇわ。ま、お前なら取れると思ってたよ。流石ミスターシービーだな。はいおめでとう」

 

 

「雑だなぁ…それで、これからどうするの?」

 

「さて、どうするかね。なんかあるか?」

 

「う〜ん…アタシは今まで通り自由に走れたらそれでいいかな。キミこそ、何かないの?」

 

「いやぁ特にないんだな、それが」

 

「「………」」

 

 

なんやねんこれ。

 

 

 

「ま、まぁ先のことなんて後で考えればいい。今日は今までのことをゆっくり振り返ればいいんだよ」

 

「ま、それもそうだね。アタシがデビューするってなったとき、新人トレーナーのキミは結構色んなメディアに言われたよね」

 

「あぁ。ありゃ大変だったぜ。どいつもこいつも鬱陶しいったらありゃしない」

 

「プライベートでも追っかけられてたりしたよね?あれ、結局どうやって解決したの?」

 

「知り合いに頼んで全部揉み消した」

 

「えぇ…闇深くない?というか、そんな力あったの?」

 

「俺は偉大なトレーナーだからな。コネには困らないのよ」

 

 

 

あの時みたいに不届き者の記者1人を刺し身のうえにたんぽぽのせる仕事送りにするなんてお茶の子サイサイだ。

 

 

 

「そんなことできるならダービーの後の炎上も揉み消しちゃえばよかったんじゃないの?」

 

「中々恐ろしい発想するなお前。あれは普通にミスったから仕方がない。力の使い方を間違えてはいけないんだ」

 

 

 

 

ダービー勝利後の会見で『今回のダービー勝利についてどう思われましたか?』って聞かれたから正直に『ええと、う〜ん…おめでとうって感じですね。酒が美味くなるなと』って答えたらめちゃくちゃ炎上した。そんなダービーを軽んじた発言すんなみたいな。いや、確かに俺が悪かったけどさ。別にそんな炎上することかな?

 

 

「は〜やっぱメディアはクソや。一応弁明したのにそこは書いててくれてなかったぞ。書いててくれたのは月刊トゥインクルくらいだった」

 

 

メディアはクソだがあそこはマシだ。というか、嫌う理由自体はメディアという存在に該当するという以外にはない。だからこそあそこからの質問には優先的に答えてる。

 

 

「流石のアタシもあの発言はまずいってわかるし、仕方がないでしょ。今回はそうならずに済んだんだし」

 

「正直に答えてほしいのかオブラートに包んで事実とは異なる回答をしてほしいのかハッキリしてほしいよね!」

 

「ちょっと両極端だと思うなぁ」

 

「嫌な思い出ばかり話すのはよそう。もっといい思い出を考えようぜ?」

 

「いい思い出かぁ…レース、楽しかったね」

 

「あぁ。いいもん見せてもらったよ」

 

 

 

「「………」」

 

 

 

「ねぇ、キミのキャンバスにはどのくらい色がついた?」

 

「さぁ?半分ってとこかね。全部埋まりゃ新しいのを用意していくだけだからな」

 

「それ、一生埋まらないんじゃないの?」

 

「前に言ったろ?空白こそが人間だって。空白のない人間はアートでしかない。そこに色が加えられることはなくなり、やがて灰色になる」

 

「完成って聞けば聞こえはいいけど、なんか嫌だね」

 

「だろ?だから埋まらないくらいがいいんだよ」

 

「あ、そういえば一番大切なこと聞いてなかったかも」

 

「そんなのあったか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一番近くでアタシを見た感想はどうだった?」

 

「わざわざ言わなきゃいけないことなのか?」

 

「言葉にして伝えるのが大事なんだよ?」

 

「……最高に綺麗だったよ。どんなアートよりも」

 

「あははっ!やっぱり言葉で伝えるのは大事だね。感じ方が全然違うもん」

 

 

こいつ、変わってねぇな。ずっと冷笑系だわ。ちくしょう。

 

 

 

「シービー、夢の先にあるのは夢だ。足を止めるなよ」

 

「もちろん。キミこそ、ちゃんとついてきてね?」












ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。



ちょっと早いですがシービー編はこれで完結にします。シービーとの話が終わりってわけではないです。



感想や評価をいただけると執筆の励みになります。





ありがとうございました。











ここから余談になります。興味のある人だけ見ていただければ











マジで関係ないですけど、シリウスのSTRETING FORCEの歌い方とか声とか表情めっちゃ好きなんですよね。



ルドルフも書きたいし、オグリやタマモ、テイオーとかマックちゃんも黄金一族もシュヴァルもルーラーも、ここに書いてないウマ娘たちも全員書きたいですね。

シービーもシリウスもステゴも本当は番外編とか日常シーンをたくさん書きたいですが、時系列とかがややこしくなるのとクオリティ的に難しい。


オペラオーはエミュが上手くいかない。ネオユニはそもそも語彙の意味が難しくて書けない…


好きなウマ娘とかぜひ教えてください。



あと、感想・評価は反応があると嬉しいので、ぜひお願いします。マジで。

ゲーム内でシリウスとシービーどっちが好きですか?

  • シリウス
  • シービー
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