ウマ娘とイチャイチャしてぇなぁ…え?ダメ? 作:mashiyu
テイオーって大人になったらどうなるんだろう…
「それで、医者はなんて言ってた?」
「…菊花賞には、間に合わないかもって」
「ま、そうだろうな」
「なに、その言い方。知ってたの!?知ってたならどうして言ってくれなかったのさ!そしたらこんなことには…」
「お前の脚が折れるのは宿命とも言える」
「どうにかしてよ!トレーナーでしょ!?」
「お前の脚は天性のバネだ。それがお前の走りの強さの理由。それと同時に、諸刃の刃でもある。強靭なバネによる卓越した推進力に、お前の脚は耐えられない。ま、そこについては諦めることだな」
「そんな…」
随分、悲しい顔をするものだ。とても同一人物とは思えん。
「じゃあ、君には何ができるのさ!?今までのレースだって、全部ボクの実力じゃん!何のために君はいるのさ!」
「今更喚いた所で事実は変わらないが、お前の実力っていうのもそのとおりだ。だから、お前を菊花賞に出させてやる」
「…どういうこと?今無理って言ったじゃん」
「お前の脚が折れることを防ぐのが無理ってだけだ。折れた脚を直すのは俺が何とかしてやる」
「本当に、そんなことできるの?」
「さあな。ま、やれるだけのことはやる」
________
「やっぱり治らないじゃんか!もういい!」
「2週間ちょっとで喚くな。自棄になるのはわかるが、諦めてしまっては拾える可能性なんてない」
「そもそも、なにを根拠に治せるなんて君は言ってるのさ」
「積み重ねてきたものだ。ずっと、準備してたからな」
「…人の脚が折れるのを待ってたってこと?」
「言い方が悪いな。まあその通りなんだが」
それから1週間が経った。
「少しは走れるようになったか?」
「日常的な運動はできるけど、レースで走れるようにはなってないって、お医者さんに言われた」
「そうか。なら、あと少しだ」
「…君に無理を言ってごめんね。でも、もういいよ。君が頑張ったのはわかったしさ。ボクがあんなこと言っちゃったから無理してるんでしょ?」
「変に気を遣うくらいならリハビリに努めろ。平凡の積み重ねが非凡を生む。お前みたいな天才にはわからん感覚だろうが」
「…………」
テイオーは黙ってこちらの話を聞いていた。
「一度崩れたものを元に戻すのは簡単なことじゃない。天才とて崩れてしまえば同じことだ。だが、どん底にいる状態で下を見たところで状況は好転しない」
「だって、もう時間がないじゃんか!あと2週間だよ!?君がいくら積み重ねたとしてももう間に合わないんだって!」
「そのくらいガキなほうがお前はいい。平凡な感覚を持つ意味はない。非凡が平凡を理解する必要はない。平凡もまた非凡のことはわからん。突き抜けろ」
________
「あのヤブはなんつってた?」
「信じられない、驚異的な回復力だって!これなら来週の菊花賞に出られるって言ってたよ!」
「そうか。それは、よかったな」
流石の俺も、少し疲れてしまった。
「練習時間はあと一週間しかないが、どうだ?」
「へっへーん、一週間もあれば十分だよ。だって、ボクは無敵のテイオー様だから!そうでしょ?」
「ま、後は頑張れよ。俺の頑張りを無駄にしないでくれ」
そして一週間が経った。
「いよいよだね。ボクの3冠達成、ちゃんと見ててね?」
「はいはい、頑張れ無敵のテイオー様」
「なんかちょっと雑じゃない?」
「文句が多いやつだな。期待してるよ」
「ふっふーん、任せときなって!」
『トウカイテイオー!奇跡的な回復力を見せ、見事菊の舞台に輝きました!トウカイテイオー、3冠達成!』
「どうどう、見たでしょボクの3冠達成!カイチョー見てくれたかなぁ?きっと見てくれたよね!」
「シンボリルドルフとお揃いでよかったな」
「それと、君にも感謝しなくちゃね。ありがとうトレーナー!何度も諦めかけたけど、君のおかげだよ」
「当然の仕事をしただけだ」
「もー!素直に感謝くらい受け取りなよー!」
なんだ、このクソガキは。まったく、元気なヤツだ。
__________
人は世界が終わる時に何をするのだろう。家族、もしくは恋人に愛でも囁くのだろうか。それとも、確立された個として生命の終わりを受け入れるのか。
「凍りついた世界に希望はない」
ただ一つわかるのは、それだけだ。
劇場世界のプロローグ…いや、エピローグは悲哀に満ちて、希望に溢れていることだろう。
「よくわかんないこと言ってるところ悪いんだけどさ、今トレーニング中だよね?」
「あーせっかくいいところだったのに…空気読めよテイオー。お前はそういうところあるよな」
「いやいや、絶対おかしいのはトレーナーでしょ!なんでボクがおかしいみたいになるのさ?わけがわかんないよ!」
この半角声のウマ娘の名はトウカイテイオー。たぶん、というか絶対クソガキである。
「まだガキのお前にはわからないかもな」
「別にわかりたくないよそんなこと…」
理解することを放棄する辺りやはりクソガキだ。トレセン学園はガキの溜まり場だな。
「だいたいもう現役は終えただろうが。何がトレーニングだ?俺が付き合う必要ないだろ」
「そんな突き放すこと言わなくてもいいじゃん!ちょっと付き合うだけでしょ!」
「俺はトレーナーだぞ!お前と違ってウマ娘の指導で忙しいんだよ!」
「担当ウマ娘の一人もつかないくせに何言ってんのさ!ボク以外にいたことないじゃん!」
「あきれたガキだ。生かしておけぬ」
最も触れてはいけないところに触れたぞ。
「だいたいボクに諦めるなって言ったのは君でしょ。別にいいじゃん!最後まで責任取って面倒見てよ!」
「お前はペットかなんかかよ。あれは走ることを諦めるなって話なんだが?」
「脚が折れて傷心中のボクにあんなことをしておいてよくもそんなこと…」
「何ヤバいことしたみたいに言ってんだ?回復のためにトレーナーとして努めただけだ」
テイオーの脚はいずれ折れる。だからこそ、折れることも織り込み済みで対策をしてきた。3冠に間に合うかは怪しかったが、準備が功を奏してなんとか間に合った。にも関わらずこのクソガキめ…まだ俺に要求するとは。
「そこまで尽くしてきた相手に対してもうちょっと情とかあるでしょ普通!」
「仕事に私情は持ち込まない主義だ。わかったらとっとと帰るんだな」
「ふんっ!ボクが帰った所でどうせやることなんてないくせに、強がっちゃって〜」
「それをお前の最期の言葉にしてやる!」
飛びかかった俺は3秒で地を這った。
「ウマ娘に勝てると思わないでよね!」
「だぁぁぁ!ふぁっきゅー!」
殴りたい、この笑顔。脚が折れたときのあのギリ淑女な悲哀に満ちた顔はどこへ行ったのか。クソガキのするドヤ顔ではないか。
「もうトレーニングとかいいからさ、どっかで遊ぼうよ〜。はちみーでも飲みに行く?」
「クソ大学生みたいなことするんじゃねぇ。仕事抜け出したら俺が解雇されるわ」
「えー、いいじゃん。解雇されてもさぁ」
「お前マジかよ。はー、これだからテイガキは…マヤノのほうがまだ大人だ」
シンボリルドルフはテイオーに対して甘すぎる。皇帝も案外人間らしい所があるものだな。
「とにかく、俺は忙しいからルドルフにでも構ってもらうんだな。ほら、散った散った」
「カイチョーは生徒会の仕事で忙しそうだし、迷惑かけるのも良くないじゃん」
「なんでそこだけは弁えてんだよ。それが分かる程度に成長してなんでこれがわからない?」
「だって、トレーナーはトレーナーじゃん」
どういう理論なのか。クソガキの話す理屈はいつの時代もわからんものだ。
「まーじで邪魔だ。あとで遊んでやるからちょっとどいてくれって」
「やだよ。君いつもそう言っていつの間にかどっか行くじゃん。騙されないよ」
「騙されろよクソガキ。ていうか仮にも3冠ウマ娘のトレーナーなの担当つかないのおかしいだろ。お前のネームバリューが雑魚いんじゃねぇの?」
「そんなことないでしょ。トレーナーの人格が見抜かれてるだけじゃん。あーあ、騙されたボク可哀想だな〜」
「あん?喧嘩する?」
「ボクの百戦百勝だけどね」
ウマ娘ってズルイだろ。勝てないやんけ。
「そもそもボク成績トップだよ?」
「そこで学力の話ししちゃうところがガキだよな。精神的な話をしてんのよ」
「じゃあ君はどのくらいなのさ?」
「聞いて驚くなよ、俺がトレーナーになった時は筆記420位だった」
「全体として見たら上だけどなんか地味だね。あ、でもボクの誕生日と同じところはいいね」
「どこまでも頭の悪い害獣め…」
「害獣に負けてる君は兎か何か?」
「兎と亀って知らねぇのか?お前は俺より下だ」
「それ、最終的に君が負けるじゃん」
「…亀に勝つ兎だって居ていいだろうが」
クソッ、ガキのくせに頭が回るやつだ。
話の整合性とか全部無視して番外編とかif書きたくなったのでアンケート取ります。お任せの場合だけめちゃくちゃ自由にやります
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