おはよう世界
「いやあ、にしても昨日は酷い目にあったぜ。ま、今日は日曜、つまりは休みだ。普通であれば月曜が待っているわけだから憂鬱になるやつもいるかもしれんが、俺は社内ニート。よって、心置きなく日曜を満喫できる」
自分で言った言葉だが、俺のガラスのハートにヒビが入った。
いや、そんな無駄な事を考える必要はないんだ。よし、まずはなにをするか決まってないし、散歩でもするとしよう。
「わわわ、そこの人!どいてどいてぇ〜!!」
ふむ、なんだか文字起こししたら全部半角になりそうな声が聞こえてきたな…あっ!前からウマ娘が!!
と、そう普通の人間ならくたばっているのだろうが俺は違う。一見すればこの状況、衝突により頭蓋は粉砕され体が粉々に消し飛びR18G不可避のように見えるが、実はそうでもない。
俺は左足を軸に前へ動かしさながらマントのように身を翻した。完璧だ。
「――ほっ!!」
しゅたっ!!という音ともに目の前のウマ娘は俺を飛び越え着地した。
(あ…ありえない…)
なんて跳躍力!!いやそれ以上に!!
「ごめんごめん!ケガとかしてないよね?大丈夫?」
(俺をコケにしたな!いやまて、ガキのやったことだ。許してやるのが大人というもの)
しかし、ここで断罪してやらねばこのクソガキはいつまでたってもこのままではないか?ボブは訝しんだ。
「あぁ。それは大丈夫だ」
「そう?ならよかった。ボクもう行くね!」
去っていこうとするウマ娘の肩を掴み引き留めた。
「まだなにかあるの?」
「おい、デュエルしろよ」
「……え?」
目の前のウマ娘は随分間抜けな顔を晒した。まるでうちゅう猫だ。しかし、そんなこと俺には関係ない。
「デュエル開始の宣言をしろ!磯野!」
「デュエル開始ィィィ」
どこからともなく現れた謎のおっさん、磯野がデュエル開始の宣言をした。
「えいやなに!?ていうか誰!?」
「俺のターン!ドロー!」
「いや意味不明だよ!」
確かにこのガキの言う通り、俺の手札は意☆味☆不☆明のカード
「これでどうやって戦えばいいんだ…」
「勝手に始めて勝手に絶望しないでよ!」
「何が来ても!おんなじやおんなじや思ってぇ!」
「あなたにはわからんでしょうね!」
「わからないよ…」
「あっ、動けないのでサレンダーで」
「えぇ…?」
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
「いやどこが!!」
こんなやつに構ってる暇は俺にはない。
そういうことで、俺はすぐさま次の目的地に向かった。
____
「いやあ、用がなくてもとりあえず来ちまうもんだよなゲーセンって」
このガヤガヤ具合はなぜか少し落ち着く気がする。
「つっても来たところで何かしたいわけでもねぇんだよなぁ。アケコンは苦手だし、クレーンゲームなんてどうせ取れねぇし」
昔太鼓の達人をやっていたとき、俺より10数個くらい下の子供が後ろで見てて直後に意味わからんくらい上手いプレイングを見せつけられたことを思い出した。
あれで二度と太鼓の達人はやらないって決めたね。
まあそういうことで適当に散策する。
「あ?あいつなんか見覚えあるな…」
あのなんとも言えない服装は…さっきのウマ娘か。
あいつ、相当にダンスゲームが上手いらしい。素人目の俺にも分かるくらいには上手い。
「おっとつい見すぎたな。通報されたら職業病でやり過ごせるかね?」
まあ中々面白いものが見れたし、ゲーセンはもういいや。やることねぇし帰って寝よ。
______
こんにちは世界
俺が朝に起きるんじゃなく、俺が起きたら朝になるんだ。
「さ、今日も担当ウマ娘を探していきますかぁ!」
今日は選抜レースだ。レース場へ向かえば周りのトレーナーが俺を避ける。覇気が出ちまってるみたいだな。
(大丈夫大丈夫どうせあいつら俺以下だしハブられても全然気にしてないし別に本当だし。俺の担当はあのシリウスだし大丈夫大丈夫)
さて、精神統一も終えたところで選抜レースを見ていこう。
「おっ、あのウマ娘中々いいな…」
さっそくスカウトしに行こう!
よし、結局ダメだったぜ!!死ね!
まあ別に落ち込むことはない。まあまだ選抜レースは残ってるし、昼飯食って出直そう。
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やべぇぜ!優雅に昼飯食ってたら完全に遅れちまったぜ!レース終わってるわ!
猛ダッシュで駆けつければ声が聞こえてきた。
「最高だったぞ、テイオー!!」
「カッコよかったよ〜!!」
(んあ?随分盛り上がりってんな。テイオー?とかいうやつが人気らしい。帝王って、シンボリルドルフの親戚かなにかかよ笑)
まあスカウトのお手本ってやつをいっちょ見せてやりますか。
「素晴らしい走りだったね。流石はテイオーだ」
「へ?…キミ、あの時のヒト?しかもそのバッジトレーナー!?こんなのがトレーナーだったなんて…」
なんだぁ…?こいつ…いくら俺が有名人だからってこんな見ず知らずの人間にとやかく言われる筋合いはないぞ。
「俺と君は初対面だろう?」
「えぇ…?昨日のあれ覚えてないとか…」
俺の記憶メモリは1GBはある。フロッピーディスク約694枚分の大容量だぞ?忘れるはずがない。こいつは嘘をついている!!
「ボクに声をかけたのはやっぱりスカウトしたいから?」
「あぁ。もちろんだよ」
(トレーナーは紳士的であるべきだ。いくらクソガキが相手でも丁寧な言葉遣いをして然るべきなのだ。いや、なんて模範的なトレーナーなんだろうか俺は)
「えぇ、でも君みたいなのはちょっと…」
「ぶっ…ころりーって美味しいよね」
「ぶっころりー…?ブロッコリーのこと?美味しいとは思うけど、別に今関係なくない?」
(危ない危ない。よく耐えたな俺。ノーベル平和賞受賞してもおかしくないぞこれ)
他のトレーナーがこちらを見ているが一向にスカウトをしに来る気配はない。ふん、俺の覇気にビビったか。
「あっカイチョー!カイチョーだ〜〜!!」
テイオーが走って声の元へ向かった。
(バカな!?シンボリルドルフだと?中々の覇気だ。おそらく私があの域に達したのは10代の後半…)
「選抜レース見に来てくれたんだねっ!?ボクの走り、どうだった!?」
「やれやれ…」
シンボリルドルフとテイオーが会話をしているのを横目に俺はテイオーの分析をしていた。
(ふむ、落ち着きのないやつだ。衝動的な行動を抑えれないとはな。俺とは天と地の差だぜ)
「おや、君はシリウスのトレーナーじゃないか」
(やっべ気づかれたわ。よりによってシンボリルドルフとか気まず)
「え!?これが!?」
人のことをこれ呼ばわりとは。やはり再教育センターに送るべきだろう。
「久しぶりだね。確かシリウスの遠征前に会話したくらいだったかな?」
「その通りだよ。君もここにいるということは、テイオーのスカウトに?」
「そのつもりだったんだけど、中々厳しそうでね」
「ほう?テイオー、彼は人柄も良く、なにより確かな実績があるがどうしてかな?」
(そうだぞ!俺はあのシリウスのトレーナーなんだぞ!)
「このトレーナーすっごく変だもん!どこが人柄がいいのさ?」
「カイチョーは騙されてるんだよ!」
勘のいいガキは嫌いだよ。
「こらこら、テイオー。人に対してそんな言い方は…」
なんだこいつら?親子の会話を見せられてるみてぇだ。ここに挟まるのはちょっと気まずいって。
「今回は縁がなさそうだし、ひとまず切り上げるよ」
「あぁ。君に良い出会いがあることを祈っているよ」
またダメだったぜ!!手持ちのポケモンがレベル100の禁止伝説でも1体は流石にきついぜ!!
ふぁっきゅー!
その後俺はうおーんと
「何してんだ
よくよく考えたらこいつのせいで俺のスカウトが上手くいかねぇんじゃねぇか!
「俺のスカウトが上手くいかないのはお前のせいだろ!なんとかしろよ!」
「私以外の担当ウマ娘なんていらねぇだろ。ご主人様に仔犬が意見するんじゃねぇ」
シリウスは いうことをきかない!