なんかもう全部三女神が悪いわ!
『先頭はエクラー!1バ身のリード!』
『インディジェナスが2番手、リディガドは三番手に下がりました』
『さぁ日本のステイゴールドはまだ中団先頭まではまだ10バ身といったところです』
『ステイゴールドが外から回って5番手から4番手まで上がってきた!』
『先頭はエクラー!3バ身のリード!』
『ステイゴールド外から上がってきた!ステイゴールドが差を詰める!3番手から2番手!その後ろにはダリアプーアにファンデーションスピリット!』
誰も見たことのない黄金の旅路。
共にその果てを見に行こう。
『ステイゴールドが一気に2番手まで上がってきた!』
『残り300m!しかし前までは5バ身ある!』
『先頭はエクラー!200を切った!さぁstay away!』
見せてくれあの豪脚!
「差し切れ!」
『ステイゴールド!走れ!ステイゴールド!ステイゴールド!エクラー!ステイゴールド!ステイゴールド!ステイゴールドー!!差し切った!!』
『陽に照らされた黄金の輝き!まさに絶景!ステイゴールド!』
あぁ。なんていい眺めなんだ。
_______
「なーんか忘れてる気がするんだよなぁ」
俺は一人でトレセン学園内を歩いていた。
なんか考える時に歩き回っちゃうのはきっと俺だけじゃない。全人類がそうだと思う。
「にしても思い出せねぇんだよなぁ。何か大事なことを忘れてる気がするんだが…俺ももう年かね?」
記憶力はそこまで悪くなかったはずなんだが。
こういう時忘れてることを放置しておくと後々面倒だからなんとか思い出したいんだが。
そんなことを考えているとふと三女神像に目がいった。
「まあ一応祈っとくか」
敬虚な信徒である俺は祈りを欠かさないのだ。姿勢を正して両手を組み、三女神像に祈った。
すると景色が変わった。
「???」
「あぁ落ち着いて聞いてください。焦ることはありません」
白衣を着たハゲが俺に話しかけてきた。
「あなたにお話があります。いいですか?」
(早く話せよこのハゲ)
なぜか話せないので首を動かして首肯する。
「どうか落ち着いて」
「あなたはずっと
(は?何言ってんだこいつは?)
「ええ ええ わかってますどれくらいの長さか?」
(んなこと聞いてねぇよ。ムカつくなこいつ)
「あなたが眠っていたのは…9年です」
(わけわかんねぇし暴れるか!)
「まずい!ノソクマ!ノソクマ!
(おいおいこの看護師なんか刺そうとしてるぞやべぇって!)
HA☆NA☆SE
「大丈夫 落ち着いて」
「落ち着いて そう」
なっ・・・貴様!?どういう教育を受けっ おあーっ!?
「大丈夫です 大丈夫です」
「そうです 休んで…」
視界が暗転した。
次に目が覚めれば俺は三女神像の前にいた。
すると、今まで忘れていたシリウスとの出来事が頭に流れてきた。
「は?じゃあ今のなんだったんだよ。いらなかったじゃねぇか」
(いやまて落ち着け。そんなどうでもいいことを考えてる場合じゃない。俺はなんで忘れてた?)
「いやそれもわからねぇが、なんで戻ってる?」
俺がステイゴールド共に歩んできた記憶は確かなもので、シリウスと歩んだ記憶もある。
(ますますわからねぇ。いやそんな簡単にわかっていいことじゃねぇんだろうが)
ひとまずわかることは…
「やっぱ三女神ってクソだわ」(他責)
三女神には…
うんざりすることが多すぎる。
お前も そうは思わないか?
(戻ったにしろなんにしろこれじゃイチャイチャできねぇじゃねぇかよ!俺の時間返せよ!)
「いや、でも単に巻き戻っただけなら担当が変わるのはおかしいよな…」
そこで思い出されるのはステゴの言っていた並行世界の存在。
(あいつの言ってるものとはちげぇんだろうが、巻き戻ったんじゃなく別の世界線ってことなら説明がつくよな)
「でもなんで記憶があそこで途切れてるんだ?」
(どうせ並行世界の記憶あるならもっとこう、イチャイチャしてるシーンとかさぁ!!)
「単に覚えてないのか、もしくはそこまで辿り着けてないのか…」
(いやどっちにしろ死活問題だろ。ウマ娘とイチャイチャしてぇなぁ…って思ってトレーナーになったってのに、それじゃあ意味ねーじゃん!ブックオフなのに本ねーじゃん!)
「あークソクソクソ。三女神像なんて破壊しとくべきだった」
(まだ三女神が原因とは決まってねぇけど、とりあえずあのハゲが出てきたのは多分これのせいだし、ほんとクソだな)
「あークソ。とりあえず戻って整理しねぇと…」
______
ふぁっきゅー!
「これをどうにかしないと俺がウマ娘とイチャイチャできる未来一生来ねぇじゃねぇかよクソが!」
あ〜もう終わりだよこの世界…オワオワリ。マジオワ〜^皿^
「いやまぁステゴを恋愛的に見るとか世間的にやばいし捕まるしどっちにしろ詰みなのか?俺はもう死ぬしかないのか…?」
「やだやだ絶対やだ!俺はウマ娘とのイチャイチャを諦めてねぇぞ!」
(もし単なる巻き戻しなら現在の俺はイチャイチャできるはず。だが最も恐ろしいのは、そうなる前に今みたいなことが起こること。そうなったら今の俺も未来の俺も終わりだ…)
「そもそも、こんな別世界線の記憶があるとして、俺は今までそれを知らなかった。だけど今知った俺は知らなかった俺とは違う俺になるわけだ。つまり俺は元いた俺じゃなくてシリウスの時の俺でもなくてくぁwせdrftgyふじこlp」
迫る現実に耐えられなくなった俺はトレーナー室の窓ガラスを割って外へ出た。
「全速前進DA!」
『動きを止めるなスピードが命だ』
「うおおおお!誰も俺を止められねぇ!最速はこの俺だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(ッッ!?とんでもない殺意を感じた…)
「あれは…!」
緑の服に帽子を被ったヒトミミがとんでもない速度でこちらを追いかけてきていた。
(やばいやばい!緑の悪魔がこっちへ来る!)
お願い三女神様!クソとか言ったの謝るから許して!なんとかしろやぁ!!
「クソ!やっぱり三女神はクソだ!毎日供えてたが、もう泥団子を供えてやらない!恩知らずめ!」
「やっぱりあれやってたのあなただったんですね!?止まりなさい!!」
エクドロモイに・・・ 付いてくる・・・ だと・・・
しかし!止まったらまず間違いなくミンチにされるので止まるわけには行かない。
最後の…プランを…
______
「なかなかの速さだ…ウマ娘にも匹敵する俺に並ぶとは…」
(うん?たづなさんが帽子を外しているのは見たことがないがもしや…いや、邪推はやめておこう。真実より大切なこともある)
(もしかすれば記憶を保持していないだけで今までも似たようなことが起こっていたのかもしれないが、まあそれを考えたらキリがないので今回が初めてだと仮定する。便宜上2ループ目として考えるわけだが、原因は三女神なんだろうか?)
もしかすれば、あの犯罪者は本物の魔法使いだったのか?
「いや、犯罪者が魔法使いとか世の少年少女が泣くぞ。犯罪者だから魔法使いなのか魔法使いだから犯罪者なのか…」
(30歳で特定の条件を満たすと魔法使いになれるらしいが、もしかしてあいつはそうだったんだろうか?そもそも、今の状況的に俺30歳まで同じ世界に留まれないし俺魔法使いにすらなれなくない?)
(…さっきから何を言ってるんだ俺は?)
どうにも混乱してるらしい。頭を冷やさなければ。
「ベースは並行世界説をもとに考えたほうがいいだろうか?」
(もしシリウスとの記憶を仮に一種の物語のようなものとして仮定した場合、俺の記憶があそこで止まっているのは単にそこまでしか保持できていなかったか、もしくは物語を紡ぐ前に今の世界に来たってことだよな)
それは困る。ひっじょーに困る。そもそも前の記憶を保持したとして俺が後少しでゴールインする所までの記憶しか保持できてないのが尚のこと嫌だ。そうなるなら元からない方がいい。
もし記憶の復活が三女神像に由来するなら、やはり三女神が関連してるのか?いや、前にも三女神像に触れることはあったが今日みたいなことは起こらなかった。
「いや、待てよ…?」
俺とシリウスの距離が迫ったのって割とあいつのトレセン学園卒業後だったよな?
ステゴも今は卒業してるし、そういうことなのか?
「まあでも記憶持ち越しできるんだったらここまで考えたし次の俺に任せりゃいいか」
まああの世界の俺と違って別に担当契約ができないってわけでもないし、割とイージーだな。
(シリウスのことは残念だが、並行世界の俺はある意味では今の俺とは別人だし、割り切るしかないかね。)
(感覚的に言えばスワンプマンとかそこら辺みたいな感じかね?)
「…シリウスとここでは関わりなかったからわかんねぇけど、ステゴは俺とは違うタイプとは言え別世界の記憶あったしワンチャンシリウスが記憶引き継いでる可能性ある?」
いや、きっとそんなことはない。さっさとトレーナー室に戻ってスカウトの準備をしよう。待ってろよ青春!
「絶対契約してやるぜ!もう契約できる気しかしねぇぇぜぇぇぇぇぇ!!!!」
_______
「ワァッ!ァァァァァ!」
スカウトは、
気合だけでは
のりきれない。
「は〜結局こうなるんかい」
所詮人間は決定論に弄ばれるだけの矮小な存在だというのか。
「久しぶりだなトレーナー。こんなところで何してるんだ?」
この世界で幾度となく聞いてきた、聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
(おん?この声はもしや…)
視線を向ければ、どこか飄々としながらも凛とした佇まいのウマ娘がそこにいた。
「おお!久しぶりだな。ステゴ」
間違って1回投稿しちゃったぜ…