それからも俺達は色々な旅をした。
「なあ、これ一見中世風に見えるけどよ。よく見たら鉄筋コンクリート造だよな?めちゃくちゃ近代建築じゃね?」
「あんたもよく言ってるだろ?大事なのは真実より魅せ方だって。そういうことなんだろ」
「まあ確かにそれもそうなのかね。にしても、これを建てた本人はきっと取り壊してほしかったろうな。皮肉にも今じゃ何十何百万の観光客が訪れてるわけだが」
ノイシュヴァンシュタイン城に行ったり
「なあ、パンとソーセージ以外になんかないのか?日本の多様な食文化が恋しくなってきたぞ俺は…」
「まあ調理に手間をかけない国だからな。冬に備えたり、保存食が発達したが故の合理性なんだろ。このシュトーレンがまさにそうじゃないか?」
「本来はクリスマスの時期に食うやつだろそれ。保存のためとはいえ調理工程がバグすぎるだろ…糖尿病患者に食わせたら即死するぞ」
「でも味は美味いぞ?」
「美味いから怖えんだよ…調理工程を知ってると尚更だ」
ドイツの味気なかったり味気がありすぎる飯を食ったり。
「ここがコロッセオか。現代の価値観では測れないんだろうが、殺し合いを無料の娯楽として提供する発想には驚かされるな」
「午前は基本的に剣闘士と猛獣、もしくは猛獣同士で戦って、昼は死刑囚の公開処刑、午後のプロの剣闘士同士の戦いがメインイベントって感じだったらしいぞ。絶対死ぬってわけでもないわけだし、一攫千金を狙えるなら参加する人もいたんだろ」
「まあ確かに他になんの道もないんだったら俺でもやるかもしれねぇな。夢というよりかはどこまでも現実って感じだが」
「出てもあんたじゃ逃走で精一杯じゃないのか?」
「生きてさえいれば神だって殺せるらしいからな。逃走とはどんな奸計、策略より勝利に近づく手札なんだ」
「逃げるだけじゃどれだけ近づいた所で勝利には届かないけどな」
コロッセオを見に行ったり。
「流石永遠の都。建築に芸術、多様な食文化なんでもある。首都として完璧じゃねぇか」
「2200年の歴史は伊達じゃないってことだな。形を変えながらも成長し続けた歴史の重みを感じるよ」
「なんといっても飯が美味い。主食はピッツァにパスタ、デザートはティラミスやデザートまでなんだってある。すべてが完成されている。こういうのでいいんだよこういうので」
何か奇抜なことをする必要はない。
「まあ確かにこういうのもいいんだが、少し冒険してみたくないか?」
「じゃかあしい。だまらっしゃい!そう言って人に食べさせて、お前には人の心というものがないのか!?」
「ハハッ、私はきちんと食べ切ってるぞ?」
「だから余計に質が悪いんだよ」
(自分が食べれるからといって相手も同じと思われてはたまったものではない。というかあれは食べ物というよりかは食べ物と食べ物を合わせた結果食べ物に近い何かになっただけだろ)
平和にイタリアンを食べたり。
「お、見ろよトレーナー。凱旋門だぞ」
「おぉ。懐かしいな。昔見たときと何一つ変わらねぇ」
「へぇ。行ったことがあるのか?意外だな」
「昔だよ昔。友人と行ったことがあるんだ」
「一緒に行くなんて、随分仲がよかったんだな」
「まぁな。友人というよりかは…いや、なんでもない」
(今は届くことのない昔の話だ。これくらいにしておこう)
凱旋門を見に行ったり。
「ワインか…せっかくだし飲んでみるか」
「おいおい、未成年は飲酒禁止…って、お前ももう二十歳だっけか?なら自己責任の範疇かね」
「せっかくだし、あんたもどうだ?」
「まあ最大限楽しむなら欠かせないか。頂こう」
グラスを持ち上げ軽く乾杯する。
「ワインはあんまり飲まねぇが、料理にはよく合うな」
「あんた、酒はよく飲むほうか?」
「ビールや日本酒がメインだが、並程度には飲む。飲めるようになってからお前は飲んだことあるのか?」
「何回かあるよ。結果、私はそんなに酒が強くないことがわかった」
「そうか。それじゃ、あんま飲みすぎんなよ」
「冷たいな。介抱してくれないのか?」
「お前ももう大人になったんならセーブぐらいできるだろ。わざわざ酔っ払いの世話はしたくねぇよ」
「ハハッ、手厳しいな。トレーナー」
「…はぁ。多少はしてやるが、とにかく気をつけろよ」
_______
「流石世界三大料理。味はさることながら、見た目も完璧だった。テーブルマナーはちょっとめんどくせぇが」
「あんたにテーブルマナーの心得があったのは正直驚きだったよ。誰に教わったんだ?」
「トレーナーたるものこれくらいできて当然。って言いてぇところだが、友達からだよ友達」
「へぇ…ま、余計な詮索はやめておくよ」
「そうしてくれると助かる」
(相変わらずこいつ、勘がいいな)
フレンチを食べたり。
________
まあその後もアメリカだったりインドだったり、色々な所へ旅に出た。
「なあ、一度日本に帰ってみねぇか?少し故郷が恋しい」
「確かに、私もなんだか日本が恋しくなってきた頃だ。一度帰ってみようか」
「それじゃ、準備してくる」
部屋の鍵を探すが見当たらない。
「あ?鍵どこに置いたっけな…あ、あった」
「最近よく物の位置とか忘れるよな。あんた」
「なんでかねぇ。まだ認知症になるには早すぎる年齢なんだが」
_____
「いやあ、やっぱり日本がなんやかんやいって一番落ち着くな。治安もいいし、景色もいい。定住するなら間違いなく日本だな、俺は」
「あんた、置いてた荷物を取られて帽子を買い直す羽目になったもんな。海外でそれをやるのはさすがに注意力散漫じゃないか?」
「仕方ねぇだろ、忘れてたんだよ。その時は日本気分が抜けてなかったんだ。今はもう同じ失敗はしねぇよ」
「なあトレーナー。せっかく春なんだし、花見にでもいかないか?」
「もう桜の季節か。花見なんて久しぶりだな。でも、こんな時間に場所取れるのか?」
「いい場所を知ってるんだ。誰もいないさ」
「へぇ、そりゃいい。なら、行こうかね」
団子だったり、酒だったり。色々なものを買って準備をした。
「おぉ、本当に誰もいないな。桜もよく見えるってのに、よくこんな場所知ってたな、お前」
「一人で旅をしてるときに見つけたんだ。2人で桜を見るにはちょうどいいスペースだろ?」
「あぁ。正直桜なんて見たって大した意味なんかねぇと思ってたが、誰かと見る分には悪かねぇ」
それからしばらく、桜を眺めた。
それから酒を飲み進めていくと、急な眠気が襲ってきた。
(ちょっとペースが早かったのか?よく寝たはずなんだが…)
「どうしたトレーナー?眠そうだな」
「いや、そんなことはない。俺はまだ…」
「無理をせずに寝たほうが良い。今なら私の膝を貸してやろう」
「わざわざそんなことする必要ねぇだろ」
「あんた、わざわざ硬い所で寝る趣味があるのか?」
「んなわけねぇだろ」
「ならいいじゃないか。一緒に寝たのに、今更躊躇うことか?」
「あれは仕方なくだろ。そういう話じゃなくて…」
(ダメだ。どんどん眠くなってくる。思考力も鈍ってきた)
「うおっ…」
突然身を引き寄せられたが、睡魔によって抵抗する気力も起きなかった。
暖かい人肌に触れれば眠気はどんどん深まり、やがて意識は落ちてしまった。
「おやすみ、トレーナー」
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「にしても、眠りに落ちるのが早いな。相当疲れてたんだな」
ここ最近のトレーナーは少し変だ。疲労からだろうか?それとも何かほかの要因があるのか。いずれにせよ、注意しておかなければならない。
「意外とトレーナーは温かいんだな…」
(少し尻尾が忙しないが、気にしないでおこう)
桜は満開というわけではないものの、それでもなお美しい。
凛と咲いている桜の花弁も、いつかは散ってしまうのだろう。
「だから今は休んでいてくれ。トレーナー」
ステイゴールド編が終わった後のギャグやシリアスの配分について
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ギャグ多め
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シリアス多め
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半々くらい
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特になし