レスリングスライムが現れた!【マットの上では格は不要!】   作:ヒツジ(ラム肉

45 / 57
――前回までの『レスリングスライムが現れた!』!!

魔王戦!!

決着!!

魔法!!

打撃!!

投げ!!

空中殺法!!

丸め込み!!

全部!!

全部!!

全部!!

使った!!

王!!

その最後!!

最大奥義!!

《王座墜とし》!!

決まった!!

ワン!!

ツー!!

ス――

返したァァァァァ!!

そして!!

最後!!

魔王!!

転移できた!!

重力も!!

空間も!!

まだ使えた!!

それでも!!

ぷるちゃんの!!

最後の投げを!!

受けた!!

ワン!!

ツー!!

スリー!!

魔王!!

敗北!!

魔王
「今日、このリングで」

「貴様が余より一つ上だった」

王!!

敗れてなお!!

格!!

落ちず!!

むしろ!!

上がったァァァァァ!!

そして!!

試合後!!

握手!!

健闘!!

感動!!

……で!!

終わる!!

わけ!!

なかった!!

ぷるちゃん!!

魔王の!!

腰ベルト!!

強奪!!

魔王
「待て!!」

そのまま!!

貴賓席!!

駆け上がる!!

魔王の!!

玉座へ!!

べちゃ!!

そして!!

世界同時生中継の中!!

魔王の腰ベルト!!

高々!!

掲げたァァァァァ!!

実況
「王座を奪ったァァァァァ!!」

興行主
「王座は奪ってない!!」

文官
「ただし魔王位継承資格は発生しております」

興行主
「ややこしくするなァァァ!!」

その時!!

観客席!!

一人!!

立った!!

ずっと!!

見ていた!!

魔王の戦いを!!

ぷるちゃんの戦いを!!

最初から!!

最後まで!!

ただの!!

観客として!!

見ていた男!!

実況
「勇者ァァァァァァァァ!!」

世界!!

再び!!

爆発!!

さぁ!!

魔王が!!

全部を持つ王なら!!

次なる男は!!

何者だ!!


第九章「勇者よ、すべてを置いてこい」
第45話 『観客席から来た男』


――前回までの『レスリングスライムが現れた!』!!

 

魔王戦!!

 

決着!!

 

魔法!!

 

打撃!!

 

投げ!!

 

空中殺法!!

 

丸め込み!!

 

全部!!

 

全部!!

 

全部!!

 

使った!!

 

王!!

 

その最後!!

 

最大奥義!!

 

《王座墜とし》!!

 

決まった!!

 

ワン!!

 

ツー!!

 

ス――

 

返したァァァァァ!!

 

そして!!

 

最後!!

 

魔王!!

 

転移できた!!

 

重力も!!

 

空間も!!

 

まだ使えた!!

 

それでも!!

 

ぷるちゃんの!!

 

最後の投げを!!

 

受けた!!

 

ワン!!

 

ツー!!

 

スリー!!

 

魔王!!

 

敗北!!

 

魔王

「今日、このリングで」

 

「貴様が余より一つ上だった」

 

王!!

 

敗れてなお!!

 

格!!

 

落ちず!!

 

むしろ!!

 

上がったァァァァァ!!

 

そして!!

 

試合後!!

 

握手!!

 

健闘!!

 

感動!!

 

……で!!

 

終わる!!

 

わけ!!

 

なかった!!

 

ぷるちゃん!!

 

魔王の!!

 

腰ベルト!!

 

強奪!!

 

魔王

「待て!!」

 

そのまま!!

 

貴賓席!!

 

駆け上がる!!

 

魔王の!!

 

玉座へ!!

 

べちゃ!!

 

そして!!

 

世界同時生中継の中!!

 

魔王の腰ベルト!!

 

高々!!

 

掲げたァァァァァ!!

 

実況

「王座を奪ったァァァァァ!!」

 

興行主

「王座は奪ってない!!」

 

文官

「ただし魔王位継承資格は発生しております」

 

興行主

「ややこしくするなァァァ!!」

 

その時!!

 

観客席!!

 

一人!!

 

立った!!

 

ずっと!!

 

見ていた!!

 

魔王の戦いを!!

 

ぷるちゃんの戦いを!!

 

最初から!!

 

最後まで!!

 

ただの!!

 

観客として!!

 

見ていた男!!

 

実況

「勇者ァァァァァァァァ!!」

 

世界!!

 

再び!!

 

爆発!!

 

さぁ!!

 

魔王が!!

 

全部を持つ王なら!!

 

次なる男は!!

 

何者だ!!

 

第九章

 

勇者は、ただ立ち上がる

 

第45話

 

『観客席から来た男』

 

――本文――

 

勇者。

 

立つ。

 

白い。

 

鎧。

 

聖剣。

 

腰。

 

外套。

 

肩。

 

首元。

 

聖印。

 

腕。

 

護符。

 

指。

 

祝福の指輪。

 

完全装備。

 

旅。

 

終えた。

 

英雄。

 

そのまま。

 

仲間。

 

隣。

 

見る。

 

「……行くの?」

 

勇者。

 

リング。

 

見る。

 

ぷるちゃん。

 

見る。

 

魔王。

 

見る。

 

そして。

 

玉座。

 

見る。

 

ぷるちゃん。

 

まだ。

 

そこ。

 

「ぷるるるる!!」

 

魔王。

 

下。

 

「返せェェェ!!」

 

勇者。

 

「…………」

 

仲間。

 

「…………」

 

勇者。

 

「行った方が」

 

「いい気がする」

 

仲間。

 

「どの部分を見て?」

 

勇者。

 

少し。

 

考える。

 

「全部」

 

階段。

 

一段。

 

降りる。

 

観客。

 

気づく。

 

一人。

 

「あれ?」

 

二人。

 

「おい」

 

三人。

 

「勇者じゃないか?」

 

ざわ。

 

ざわ。

 

ざわ。

 

世界同時中継。

 

巨大投影。

 

映像。

 

切り替わる。

 

勇者。

 

映る。

 

人間王都。

 

「勇者だ!!」

 

獣人都市。

 

「本物!?」

 

魔王領。

 

「何しに来た!!」

 

鉱山。

 

グラン。

 

《次戦可能性:高》

 

興行主。

 

リング脇。

 

顔。

 

青い。

 

「いや」

 

「待って」

 

実況。

 

木製漏斗。

 

震える。

 

「来た!!」

 

興行主。

 

「言うな」

 

実況。

 

「勇者ァァァァ!!」

 

「観客席より!!」

 

「リングへ向かうゥゥゥゥ!!」

 

興行主。

 

「言ったァァァァ!!」

 

魔王。

 

腰ベルト。

 

締め直す。

 

勇者。

 

見る。

 

「遅かったな」

 

勇者。

 

階段。

 

降りながら。

 

「いや」

 

「今日は」

 

「戦うつもりじゃ」

 

「なかったんだけど」

 

魔王。

 

「何?」

 

勇者。

 

笑う。

 

「見に来ただけだよ」

 

観客。

 

ざわ。

 

興行主。

 

「観客だったんです?」

 

勇者。

 

「うん」

 

「古竜を倒したスライムと」

 

「魔王が戦うって聞いたから」

 

一段。

 

「面白そうだなって」

 

魔王。

 

「余の戦いを」

 

「見世物扱いか」

 

勇者。

 

「自分で」

 

「全世界に中継したよね?」

 

観客。

 

笑う。

 

魔王。

 

黙る。

 

古竜。

 

顔。

 

逸らす。

 

賢者。

 

咳。

 

勇者。

 

さらに。

 

降りる。

 

途中。

 

ガルド。

 

見る。

 

軽く。

 

会釈。

 

バルガ。

 

「勇者ァ!!」

 

「魔王のドロップキック」

 

「見たかァ!!」

 

勇者。

 

「見た!」

 

「綺麗だったね!」

 

魔王。

 

「…………」

 

興行主。

 

「感想そこなんだ」

 

勇者。

 

「ムーンサルトも」

 

「すごかった」

 

魔王。

 

ほんの少し。

 

胸。

 

張る。

 

賢者。

 

「嬉しそうですね」

 

魔王。

 

「黙れ」

 

勇者。

 

最前列。

 

着く。

 

柵。

 

越える。

 

普通に。

 

足。

 

かける。

 

よいしょ。

 

降りる。

 

実況。

 

「普通だァァァァ!!」

 

勇者。

 

「何が!?」

 

実況。

 

「魔王は!!」

 

「空を夜にした!!」

 

「分身した!!」

 

「空中を歩いた!!」

 

「勇者!!」

 

「柵を!!」

 

「普通に!!」

 

「越えたァァァァ!!」

 

勇者。

 

「観客席から来たんだから」

 

「それでいいでしょ!?」

 

観客。

 

大笑い。

 

勇者。

 

リング。

 

前。

 

立つ。

 

ぷるちゃん。

 

玉座。

 

まだ。

 

いる。

 

レフェリー。

 

上。

 

指す。

 

「返せ!」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷるぅ」

 

ようやく。

 

降りる。

 

ずる。

 

ずる。

 

ずる。

 

魔王。

 

手。

 

出す。

 

ぷるちゃん。

 

腰ベルト。

 

渡す。

 

「ぷる」

 

魔王。

 

「二度と取るな」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷる♪」

 

魔王。

 

「返事に」

 

「信用がない」

 

勇者。

 

その様子。

 

見て。

 

笑う。

 

ぷるちゃん。

 

勇者。

 

見る。

 

「ぷる?」

 

勇者。

 

「初めまして」

 

「……で」

 

「いいのかな?」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷる」

 

勇者。

 

「僕は」

 

一瞬。

 

止まる。

 

観客。

 

息。

 

待つ。

 

勇者。

 

「勇者」

 

実況。

 

「知ってるゥゥゥゥ!!」

 

勇者。

 

「そうだよね!?」

 

世界中。

 

笑う。

 

魔王。

 

鼻。

 

鳴らす。

 

「余の真似をするからだ」

 

勇者。

 

「僕は」

 

「自己紹介くらい」

 

「必要かと思って」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷる」

 

勇者。

 

リング。

 

見る。

 

「……それで」

 

興行主。

 

嫌な顔。

 

「それで?」

 

勇者。

 

「さっき」

 

「魔王位の」

 

「継承資格が」

 

「発生したんだよね?」

 

文官。

 

「はい」

 

勇者。

 

「この子に」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷる?」

 

「本人」

 

「全然分かってなさそうだけど」

 

娘。

 

「ぷるちゃん」

 

「政治とか分からないよ」

 

魔王。

 

「知っている」

 

興行主。

 

「なんで魔王が」

 

「飼い主みたいな理解してるんです?」

 

魔王。

 

「見れば分かる」

 

勇者。

 

少し。

 

考える。

 

「でも」

 

「資格は資格」

 

「そうでしょう?」

 

文官。

 

「古式規定上は」

 

「その通りです」

 

勇者。

 

聖剣。

 

腰。

 

軽く。

 

触れる。

 

観客。

 

少し。

 

静まる。

 

勇者。

 

ぷるちゃん。

 

見る。

 

「なら」

 

「僕が」

 

「確かめたい」

 

興行主。

 

「何を?」

 

勇者。

 

「魔王を」

 

「倒した相手が」

 

一拍。

 

「どれくらい」

 

「強いのか」

 

魔王。

 

笑う。

 

「余が」

 

「負けたのでは」

 

「足りぬか」

 

勇者。

 

「君が」

 

「弱いとは」

 

「思ってないよ」

 

「むしろ」

 

魔王。

 

見る。

 

「すごかった」

 

魔王。

 

「当然だ」

 

勇者。

 

「だからこそ」

 

ぷるちゃん。

 

見る。

 

「戦ってみたい」

 

観客。

 

ざわ。

 

人間王都。

 

「勇者が」

 

「挑戦する?」

 

魔王領。

 

「陛下を下した奴と」

 

「勇者が?」

 

獣人都市。

 

「連戦かよ!!」

 

興行主。

 

「連戦です!!」

 

「連戦ですよ!?」

 

勇者。

 

「あ」

 

ぷるちゃん。

 

見る。

 

身体。

 

薄い。

 

ところどころ。

 

戻り。

 

まだ。

 

遅い。

 

勇者。

 

表情。

 

変わる。

 

「……そうだ」

 

「まず」

 

「それだね」

 

リング。

 

上がらない。

 

一歩。

 

止まる。

 

「君」

 

「今」

 

「疲れてるよね?」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷる?」

 

興行主。

 

全力。

 

頷く。

 

「そう!!」

 

「そうです!!」

 

「疲れてます!!」

 

「今日は終わり!!」

 

「解散!!」

 

「皆さんありがとうございました!!」

 

実況。

 

「果たしてェェェ!!」

 

興行主。

 

「煽るな!!」

 

勇者。

 

ぷるちゃん。

 

目線。

 

合わせるように。

 

少し。

 

しゃがむ。

 

「今日は」

 

「もう」

 

「終わりにする?」

 

会場。

 

静か。

 

勇者。

 

穏やか。

 

「僕は」

 

「別の日でも」

 

「構わないよ」

 

「今の君と戦って」

 

「勝っても」

 

一拍。

 

「たぶん」

 

「嬉しくない」

 

魔王。

 

少し。

 

目。

 

細く。

 

賢者。

 

勇者。

 

見る。

 

ぷるちゃん。

 

勇者。

 

見る。

 

「ぷる」

 

娘。

 

「ぷるちゃん」

 

ぷるちゃん。

 

少し。

 

沈む。

 

考える。

 

のか。

 

考えてない。

 

のか。

 

分からない。

 

魔王戦。

 

全部。

 

出した。

 

潰れた。

 

投げられた。

 

燃えた。

 

落ちた。

 

でも。

 

目の前。

 

勇者。

 

いる。

 

観客。

 

待っている。

 

ぷるちゃん。

 

一度。

 

娘。

 

見る。

 

娘。

 

困ったように。

 

笑う。

 

「無理しないでね」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷる」

 

次。

 

勇者。

 

見る。

 

そして。

 

一歩。

 

リング側。

 

ずる。

 

「ぷる!」

 

実況。

 

「やる気だァァァァァ!!」

 

興行主。

 

「やめてェェェェ!!」

 

勇者。

 

少し。

 

驚く。

 

次。

 

笑う。

 

「そっか」

 

聖剣。

 

腰。

 

確かめる。

 

「じゃあ」

 

リング。

 

足。

 

かける。

 

その時。

 

魔王。

 

「待て」

 

勇者。

 

止まる。

 

興行主。

 

「……今度は何です」

 

魔王。

 

ぷるちゃん。

 

見る。

 

「その状態で」

 

「次をやらせる気か」

 

興行主。

 

「私は」

 

「やらせたくないんですよ!!」

 

魔王。

 

「なら」

 

手。

 

上げる。

 

巨大。

 

魔法陣。

 

一枚。

 

展開。

 

賢者。

 

「治癒?」

 

魔王。

 

「当然だ」

 

勇者。

 

「え?」

 

魔王。

 

「余を」

 

「下した者が」

 

「疲労を理由に」

 

「次の試合で」

 

「無様を晒すことを」

 

一拍。

 

「余が」

 

「許さぬ」

 

興行主。

 

「敵を」

 

「回復するんです!?」

 

魔王。

 

「次の試合が」

 

「あるのだろう?」

 

「ならば」

 

「万全で」

 

「戦わせろ」

 

勇者。

 

「……親切だね」

 

魔王。

 

「勘違いするな」

 

即。

 

「余は」

 

「こやつを」

 

「気遣っているのではない」

 

勇者。

 

「うん」

 

「分かった」

 

魔王。

 

「本当に」

 

「分かっているか?」

 

勇者。

 

「照れてるんだね」

 

魔王。

 

「違う!!」

 

観客。

 

笑う。

 

魔王。

 

苛立ち。

 

指。

 

振る。

 

光。

 

降る。

 

ぷるちゃん。

 

包む。

 

身体。

 

ぐに。

 

ぐに。

 

欠け。

 

戻る。

 

潰れ。

 

戻る。

 

魔力。

 

満ちる。

 

ぷるちゃん。

 

ぷるん。

 

「ぷる♪」

 

興行主。

 

「全快した……」

 

賢者。

 

「魔王級の」

 

「最高位治癒術だ」

 

魔王。

 

「当然だ」

 

勇者。

 

「じゃあ」

 

リング。

 

上がろうと。

 

する。

 

魔王。

 

「お前もだ」

 

勇者。

 

「僕?」

 

「条件を」

 

「違えるな」

 

勇者。

 

「僕は」

 

「見てただけだけど」

 

魔王。

 

「精神疲労が」

 

「あるかもしれぬ」

 

勇者。

 

「試合見てただけで?」

 

魔王。

 

「余の試合だぞ」

 

勇者。

 

「……なるほど?」

 

興行主。

 

「納得するな」

 

魔王。

 

勇者にも。

 

光。

 

降る。

 

勇者。

 

瞬く。

 

「……あ」

 

肩。

 

回す。

 

「すごい」

 

「旅の疲れまで」

 

「取れた」

 

仲間。

 

客席。

 

「それ」

 

「昨日から言ってた肩こりまで?」

 

勇者。

 

「消えた」

 

魔王。

 

「余の治癒術を」

 

「肩こりに使うな」

 

勇者。

 

「君が勝手にやったんだけど!?」

 

観客。

 

笑う。

 

そして。

 

勇者。

 

今度こそ。

 

リング。

 

上がる。

 

カン。

 

靴。

 

マット。

 

踏む。

 

ぷるちゃん。

 

正面。

 

勇者。

 

立つ。

 

白い鎧。

 

聖剣。

 

祝福。

 

全部。

 

そのまま。

 

観客。

 

一人。

 

叫ぶ。

 

「鎧ずるいぞォォォォ!!」

 

勇者。

 

「え?」

 

別。

 

「聖剣まであるのかよー!!」

 

「祝福も乗ってるぞー!!」

 

「装備差ァァァァ!!」

 

「イケメーン!!」

 

勇者。

 

「最後のは」

 

「何なんだよ!!」

 

会場。

 

大笑い。

 

魔王。

 

客席。

 

座る。

 

自分の。

 

玉座。

 

……ではない。

 

リング脇。

 

特設席。

 

玉座。

 

上。

 

一度。

 

ぷるちゃん。

 

座ったから。

 

少し。

 

嫌。

 

だった。

 

興行主。

 

気づく。

 

「陛下」

 

「自分の席」

 

「戻らないんです?」

 

魔王。

 

「ここでよい」

 

「なんで?」

 

「近い」

 

興行主。

 

「観客になってる……」

 

勇者。

 

鎧。

 

胸。

 

叩く。

 

こん。

 

「ずるい?」

 

観客。

 

「ずるーい!!」

 

勇者。

 

聖剣。

 

見る。

 

少し。

 

笑う。

 

「でも」

 

「これは」

 

「僕が」

 

「今まで」

 

「歩いてきた」

 

「道程の証なんだ」

 

観客。

 

少し。

 

静か。

 

勇者。

 

聖剣。

 

柄。

 

撫でる。

 

「これは」

 

「託されたもの」

 

鎧。

 

「これは」

 

「守るために」

 

「贈られたもの」

 

指輪。

 

「これは」

 

「仲間から」

 

護符。

 

「これは」

 

「助けてもらったもの」

 

聖印。

 

「これは」

 

「僕を」

 

「信じてくれた人たちの」

 

「祈り」

 

一拍。

 

勇者。

 

観客。

 

見る。

 

「だから」

 

笑う。

 

「ずるいと」

 

「言われても」

 

「僕は」

 

「これを」

 

「恥じないよ」

 

静寂。

 

次。

 

拍手。

 

一人。

 

二人。

 

広がる。

 

勇者。

 

照れる。

 

「……でも」

 

「ブーイングしても」

 

「いいからね?」

 

観客。

 

一瞬。

 

待つ。

 

「鎧ずるいぞォォォォ!!」

 

勇者。

 

「戻るの早いな!!」

 

「イケメーン!!」

 

「だからそれは何!?」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷるる」

 

勇者。

 

見る。

 

「君も?」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷる♪」

 

レフェリー。

 

中央。

 

入る。

 

「双方」

 

「説明する」

 

勇者。

 

「はい」

 

魔王。

 

客席。

 

腕。

 

組む。

 

「素直だな」

 

賢者。

 

「普通は」

 

「そうです」

 

レフェリー。

 

勇者。

 

見る。

 

「聖剣」

 

「刃物だな」

 

勇者。

 

「はい」

 

観客。

 

「あ」

 

興行主。

 

「あ」

 

勇者。

 

「…………」

 

レフェリー。

 

「斬るな」

 

勇者。

 

「ですよね」

 

「刺すな」

 

「はい」

 

「殺すな」

 

「もちろん」

 

「魔法は?」

 

勇者。

 

「使います」

 

「危険すぎるものは?」

 

「使いません」

 

レフェリー。

 

頷く。

 

「よし」

 

興行主。

 

「聖剣」

 

「持ち込み通った……」

 

賢者。

 

「使用法を」

 

「制限されたからな」

 

勇者。

 

構える。

 

聖剣。

 

抜く。

 

シャァァァン。

 

その瞬間。

 

ピカァァァァァァァァ!!

 

後光!!

 

羽根!!

 

光粒!!

 

鐘!!

 

ジャァァァァァン!!

 

観客。

 

「うおおおおお!!」

 

勇者。

 

「…………」

 

興行主。

 

「何今の」

 

賢者。

 

「祝福」

 

勇者。

 

「いつも」

 

「ここまでは」

 

「光らないんだけど」

 

観客。

 

「祝福ずるいぞォォォォ!!」

 

「また光ったー!!」

 

「イケメーン!!」

 

勇者。

 

「もういい!!」

 

ぷるちゃん。

 

「ぷるるるる!!」

 

レフェリー。

 

両者。

 

見る。

 

手。

 

上げる。

 

魔王。

 

前。

 

身。

 

乗り出す。

 

古竜。

 

目。

 

細く。

 

ガルド。

 

バルガ。

 

レグ。

 

グラン。

 

ゴブリン。

 

賢者。

 

全員。

 

見る。

 

世界中。

 

見る。

 

勇者。

 

一度。

 

深く。

 

息。

 

吐く。

 

聖剣。

 

構える。

 

だが。

 

その構え。

 

剣士。

 

だけではない。

 

重心。

 

低い。

 

足。

 

柔らかい。

 

踏み込み。

 

無駄。

 

ない。

 

賢者。

 

表情。

 

変わる。

 

「……ほう」

 

興行主。

 

「何です?」

 

「強い」

 

「そりゃ」

 

「勇者ですから」

 

賢者。

 

首。

 

横。

 

「違う」

 

リング。

 

勇者。

 

ぷるちゃん。

 

見る。

 

「肩書きではなく」

 

一拍。

 

「基礎が」

 

「恐ろしく」

 

「強い」

 

カァァァァァァァァン!!

 

鐘。

 

鳴る。

 

ぷるちゃん。

 

走る!!

 

勇者。

 

動かない。

 

待つ。

 

ぷるちゃん。

 

質量。

 

前。

 

硬化。

 

真正面!!

 

勇者。

 

最後。

 

一歩。

 

横。

 

避ける。

 

それだけ。

 

ぷるちゃん。

 

通過。

 

勇者。

 

聖剣。

 

使わない。

 

腕。

 

伸ばす。

 

ぷるちゃん。

 

硬化した。

 

一瞬。

 

そこ。

 

掴む。

 

「そこだ」

 

腰。

 

入る。

 

ぐるん。

 

ドン!!

 

ただの。

 

ボディスラム!!

 

ぷるちゃん。

 

マット。

 

落ちる!!

 

観客。

 

一瞬。

 

静か。

 

実況。

 

木製漏斗。

 

震える。

 

「投げたァァァァ!!」

 

「魔法なし!!」

 

「形を固定する術式もなし!!」

 

「ただ!!」

 

「投げられる瞬間を!!」

 

「待って!!」

 

「投げたァァァァァ!!」

 

賢者。

 

立つ。

 

「……作らなかった」

 

興行主。

 

「え?」

 

賢者。

 

リング。

 

勇者。

 

見る。

 

「投げられる形に」

 

「なる瞬間を」

 

「待った」

 

勇者。

 

ぷるちゃん。

 

手。

 

招く。

 

「立てる?」

 

ぷるちゃん。

 

ぐに。

 

戻る。

 

「ぷる」

 

勇者。

 

笑う。

 

「よし」

 

聖剣。

 

構える。

 

また。

 

ピカァァァァァァ!!

 

祝福!!

 

勇者。

 

「また!?」

 

観客。

 

「光ったァァァァ!!」

 

「勇者補正ずるいぞォォォ!!」

 

勇者。

 

「僕に言わないでよ!!」

 

魔王。

 

客席。

 

腕。

 

組む。

 

笑う。

 

「面白い」

 

そして。

 

勇者は。

 

まだ。

 

何一つ。

 

捨てていない。

 

聖剣も。

 

鎧も。

 

祝福も。

 

仲間から。

 

託された。

 

全てを。

 

背負ったまま。

 

リングへ。

 

立っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。