スライム。
柔らかい。
弱い。
ぷるぷるしている。
冒険者なら誰でも知っている、最弱の魔物。
――だが。
誰が決めた?
マットの上でも弱い、と。
酒場の娘に飼われていた一匹の大型スライムは、ある日、異世界から流れ着いた奇妙な「プラスチック製先割れスプーン」を拾う。
魔力なし。
価値なし。
見た目も安っぽい。
ところがリング上でそれを対戦相手へ掲げると、謎の現象《同一土俵化》が発動した。
勇者。
魔王。
古竜。
神獣。
世界管理者。
どれほど偉大な存在であろうとも、その瞬間だけは肩書きも神格も意味を失う。
ただの、
「マットの上に立った一人の対戦相手」
になる。
そして誰も知らなかった。
関節がない。
骨がない。
掴みにくい。
潰れても戻る。
全身で相手を包める。
質量を乗せて殴れる。
細く伸びれば関節技まで使える。
スライムという生物が――
異様なほどレスリングに向いていることを。
「ぷるるるるるる!!」
観客が立ち上がる。
「王者ァァァァァ!!」
対戦相手だけが叫ぶ。
「なんでお前ら意味が分かるんだ!?」
最弱魔物による、世界最大の興行が始まる。
マットの上では、格は不要。
必要なのは――
魅せて、受けて、立ち上がることだけだ。
柔らかい。
弱い。
ぷるぷるしている。
冒険者なら誰でも知っている、最弱の魔物。
――だが。
誰が決めた?
マットの上でも弱い、と。
酒場の娘に飼われていた一匹の大型スライムは、ある日、異世界から流れ着いた奇妙な「プラスチック製先割れスプーン」を拾う。
魔力なし。
価値なし。
見た目も安っぽい。
ところがリング上でそれを対戦相手へ掲げると、謎の現象《同一土俵化》が発動した。
勇者。
魔王。
古竜。
神獣。
世界管理者。
どれほど偉大な存在であろうとも、その瞬間だけは肩書きも神格も意味を失う。
ただの、
「マットの上に立った一人の対戦相手」
になる。
そして誰も知らなかった。
関節がない。
骨がない。
掴みにくい。
潰れても戻る。
全身で相手を包める。
質量を乗せて殴れる。
細く伸びれば関節技まで使える。
スライムという生物が――
異様なほどレスリングに向いていることを。
「ぷるるるるるる!!」
観客が立ち上がる。
「王者ァァァァァ!!」
対戦相手だけが叫ぶ。
「なんでお前ら意味が分かるんだ!?」
最弱魔物による、世界最大の興行が始まる。
マットの上では、格は不要。
必要なのは――
魅せて、受けて、立ち上がることだけだ。