最弱モンスター――スライム。

柔らかい。
関節がない。
潰れても戻る。
重い。
身体のどこでも相手に巻きつける。

……あれ?

こいつ、プロレスに向いてないか?

酒場で飼われていた大型スライム「ぷるちゃん」は、ひょんなことからリングへ上がることになった。

人間の拳闘家。
怪力のオーガ。
俊敏な獣人。
超重量級ゴーレム。
百戦錬磨のゴブリン。

強敵たちの技を受け、真似し、覚え、そして――なぜかヒールレスラーとして成長していくぷるちゃん。

その手……ではなく体内には、どこかで拾った一本の白い先割れスプーン。

ただのゴミ。
魔力もない。
神器でもない。

――そのはずだった。

「ぷるるるるる!!」

「ブーーーーーー!!」

マットの上では、種族も、肩書きも、伝説も関係ない。

強い奴ほど、最高に強く魅せてから倒せ。

最弱スライムによる、異世界プロレス成り上がりコメディ。

……なお最近、レフェリーが知らないはずのルールを口にしたり、
観客がスライム語のマイクパフォーマンスを理解したりしている。

たぶん気のせいである。