王位を継ぎそうにない好みのショタ第3王子を成長するまで愛でて放流する気だったのに気付いたら王妃にされて囲われてしまったんだけれども(白目) 作:ステラ
「殿下、わたくしはこれよりこの命を掛けて争いを鎮めて参ります。わたくしの無事をどうか祈っていて下さいませ」
このままだと未来の王妃に近づいちゃうので(わたくしの目的にとっては)命が掛かっているというのは、ある意味本当なのです。嘘中本の法則です。
お陰でわたくしらしからぬシリアスな顔をしていますわよ。わたくしってば笑顔が似合うレディなのに。
「でも体調が悪いのでは……!?」
まあそうね、ぶっちゃけマジで体調は悪い。
正直王子ちゃまの声が何時悪魔に魅入られてしまうのか分からないので話してるだけでガチで体が震えてる。
ああ王子ちゃま、なんであなたは成長してしまうの?
一生ショタで居てくれるなら婚約したあの日に全ての敵を始末してあなたを王にして永遠に尽くしてあげられたのに。
どうしてわたくしを裏切って成長するの?
「殿下が心配してくれるなら大丈夫です。わたくしを信じてくださいませ、ね?」
結構ガチで青白い顔をしている自覚があるので王子ちゃまも息をのみ、力なく頷いてくれました。
ありがとう感謝しますわ。
本当に。
「それでは……行ってきます」
きっと王子ちゃまから見たわたくしの顔はとても儚い感じだと思います……なんて言うかこう、死を覚悟して戦地に赴く系の顔でしょう。
まあ茶番同然なんですけどねこれぇ。
不足の事態をも利用してわたくしの都合が良いように立ち回る、これが政治ってものですわ王子ちゃま。
オホホホホ。
ガキにはまだ早い大人の事情ってやつですわよ。
浮遊魔法でテラスから飛び出したわたくしを見送る王子ちゃま達に手を振り、燃え盛る王宮へと飛翔しました。
ところで…………(一転後悔)
何を隠そうわたくしの得意魔法は風なのです。
この浮遊魔法も、本来なら結構な消費魔力でノロノロ〜フワフワ〜と地上スレスレを歩くよりマシな程度の速さで移動する程度の残念な物。
それをわたくしの規格外の魔力量と風魔法の合わせ技で
その特徴は視覚化出来る程に高められた
せっかく使うなら見た目も拘ろうと結構美しく仕上げました自信作ですの。
そしてこれはわたくしが完全に誤算だったことなのですが……この魔法を使ってる時のわたくしって結構超自然的な美しさをしているらしいのです。
ええ、そんなわたくしの姿を見て王子ちゃまが思わず漏らした「風の女神様みたい……」という言葉が勝手に独り歩きして国中に広まってしまう程度には。
……王子ちゃま?
もしかしてわたくしのこと嫌いでした?(泣)
「あ〜でもノープランなんですのよねぇ、とりあえずアホに会って命令を上書きして……いやいや第2王子を先にブッコロしておきましょうか……いやぁ、悩みますわ。我ながらショタ以外のことには頭が働かねぇんですわよ」
しかも自分の後始末をするとか、オ〇ニーした後の処理をしてるみたいでテンション上がらないんですわよねぇ。
ああ居た居た第1王子。
傍目からはふんぞり返って命令してる様に見えるけど洗脳がバレないように目元を隠す為の仕草だとはだーれも思ってもいませんわねぇ。
けれども師匠に頼んで洗脳して貰ったわたくしが言うのもなんですけど、周囲にバレてないのって人望が無さすぎるのではなくって?
洗脳魔法に掛かっているかどうなかんて忠臣の1人や2人も居たら普通は気付かれるものなのですけど……つくづく哀れですわねぇ。
「ムッ! そなたは第3王子の婚約者の……そこで止まられよ! 今我々は第2王子派閥と戦の真っ最中である!
己が所属と立場を名乗られよ!!」
参謀的な立場の……えーっと、誰でしたっけ……たしかワキヤーク? とかそんな感じの名前の方。
そのワキヤークさんが空から降りてきたわたくしへ静止をかける。
面倒くさいですわねぇ、殺っちゃいましょうか?
いやいやちょっと衆人環視の真っ只中でそれは悪手ですわねぇ、全員ぶっ殺すのは流石に手間なのでやりたくないですし。
「ご機嫌ようアレク殿下、わたくし此度の争いに関して
「!! ……よいワシラーク卿、私と彼女は親密な仲である。通せ」
ああワシワシ……そんな名前でしたわね。
さて、とっとと追加命令して事態を収集しますか。
「第2王子が見付からず慎重になられているのだと愚考致しますわ。ここはわたくしが責任をもって捕まえてみせましょう、アレク殿下は
「うむ、そなたが
あい〜こんなもんで良いでしょ!
殺っちゃっちゃ!
サクッとやりますわよ〜!!
「
王宮中に焔が広がっていて邪魔ですのでね、吹き飛ばしておきましょうか。
サービスですのよ?
はいヨイショ!
びゅびゅーん
どーーーーんっ!
あ〜暑苦しかったですわねぇ、やっと涼しくなりましたわ。
「こ、これが天候をも自在に変えるという魔帝シンシアの御業……!」
「なんという規模の魔法と規格外の魔力なのだ、我々とは次元が違う」
「信じられん、人間業ではない……!」
おいゴルァ!
なんでわたくしディスられてるんですの!?
魔帝って呼ぶなし(激怒)
・王国歴783年 王宮の大火 当時の資料より抜粋
未明に乱あり。
ケイデン・マサウォー第2王子一派が長、ガウラネン公爵ら兵を率い王宮へと進行をす。
王位簒奪を狙う。
同日。
反乱の兆しを捉えクルシュタン・マサウォー国王自ら一軍を率いて王宮より離脱、戦乱を平定せんが為に出陣(※諸説あり、現在は逃亡したという説が有力)
アレクサンド・マサウォー第1王子一派、国難に辺りその威を示さんと逆賊の討伐へと出征。
しかし第2王子への情を捨てきれず徹底防衛に臨み説得を繰り返す。これにより夭折する直前まで彼は賢人として民から評価される事となる。
停戦の勧告を受け入れることなく第2王子一派、徹底抗戦の構えを取り膠着。
同日正午。
クレス・マサウォー第3王子の要請により【風の女神】シンシア・マサウォー(当時シンシア・ダイショスターキ)戦線へと参戦。
第1王子との共闘を行い、災禍に見舞われた王宮の大火をその神風を以てこれを鎮火させん。
※【風の女神】の逸話は別紙参照
第2王子一派、この神風により勢いを削がれ減ずる。
もはや退路なしと悟り、玉砕を覚悟で遂に戦端を開く。
【風の女神】の助力により万の援軍を得たに等しい第1王子一派は戦を優勢に進め、遂には事態を治める。
※この大規模な内乱以後【風の女神】は戦場へと滅多に現れることが無くなる。
彼女の活躍がこの内乱を鎮める要因になったのは証明に事欠かないが、城全体を包む程の大規模な風魔法を行使したとなれば後遺症が出たであろうことは想像にかたくない。
この時の負荷が原因で後年、彼女はその生涯の多くを床中で過ごしたのではないだろうかと推測されている。
・【風の女神】
現在は専ら信仰の対象として扱われており、火避けの加護や晴天の加護等を与えてくれる存在。また愛の女神としての側面も持ち夫婦円満や子宝を授ける存在としても敬われている。
そもそもの成り立ちはシンシア・マサウォー王妃殿下の魔法行使時の御姿をクレス・マサウォー国王が「彼女はまるで風の女神の様であった」と周囲に話した事から始まる。
現在においても魔法学園で彼女の残した記録を超える者が現れて居ない事からも分かるように、彼女は非常に卓越した天才魔法士であった。
その御業は天候すら支配したとされ(※驚く事に多数の裏付となる証拠が存在する)魔法最盛期の当時であっても規格外な存在であった事が伺える。
彼女が残した魔法理論は現在でも多数の者が流用する程に洗練されているが、一つだけ欠点として挙げられているのが
現在の魔法士の平均的な魔力量を仮に100とするなら、この理論通りに魔力運用する為には実に67000以上の魔力量を要求される計算となる。
その様な存在が現実に存在して居たのである。
であるならば、彼女が人間ではなく【風の女神】であると噂した当時の者たちの判断は何も間違ってはいないのかも知れない。
後世の人間「あ、【風の女神】さんチィーッスwww」
シンシア「は?」(ブチ切れ)