王位を継ぎそうにない好みのショタ第3王子を成長するまで愛でて放流する気だったのに気付いたら王妃にされて囲われてしまったんだけれども(白目) 作:ステラ
この女頭おかしい(今さら)
シンシア・ダイショスターキ。
この俺を超える世紀の天才にして世紀の天災、俺は早くもこいつに魔法を教えている事を後悔している。
しかし魔法士としての俺はその事に充足感を覚えてるから救いようがない。
俺の望みはこいつの成長した姿を見届ける事だけだ。
これは俺がそう考えるに至った、とある日の記録である。
「あはは! ほらほら〜もっと行きますわよ〜!!」
ただの初級魔法なのに使えば使うほど効率化し威力も構成速度も段違いに上達していく。
俺がほんの少し与えたヒントで答えに辿り着く、ほんの少し魔法に関わる切っ掛けがあればとっくに花開いていたレベルの才能だ。
だと言うのに12年もこの才能が埋もれていたと言うのだから驚きだ。
これだけの逸材に一切の魔法の勉強をさせて来なかったと言うのだからダイショスターキ家はとんでもない大物か大バカかのどちらかだろう。
こいつの性格を鑑みるに後者の方だろうか。
いやはや、まさか俺が教師という職に充実感を見出す日が来るなんてな。
「師匠! わたくし、そろそろ精神操作の魔法を覚えたいのですわ」
「おう? そりゃお前の腕なら間違いなく覚えられるだろうが、そんなもの覚えて何をするんだ?」
別にこの質問に深い意味があった訳じゃない。
何となく理由を聞いて、それじゃあその理由のためにも頑張って覚えるか!
そう言って励ましてやろうという算段だったのだが。
俺はこの日、こいつが秘めていた歪みの一端に気付いた。
「それは、まあ……恥ずかしいですけれど師匠にはお伝えしておきますわ」
「おう、なんだなんだ」
意外と年相応に可愛いところもあるもんだ。
そんなふうに呑気に構えていた当時の俺にこいつが伝えてきた
「そりゃあもう、ショタを洗脳してわたくしのハーレムを作る為に決まってますわよ〜☆♪♡」
「そうかそうか、ショタを───はぁ?」
「ぐへ♪聞きたいなら聞かせてあげますわよ、わたくしのロ〜マンティックな夢を♡♡♡先ずは───」
そこから述べられたおぞましい計画を俺の口からはあまり語りたくはない。
一つだけ理解した事がある。
俺がこいつに出会ったのは、こいつが間違った方向に暴走していくのを止めなければならない使命を世界から与えられたからなのだと言うことを。
まさか国家転覆を考えていた俺がこの国を、いや世界を守る為に奔走することになるとは思わなかった。
人生どう転ぶか分からないものだ。
こいつがこの思想のまま育ってしまえば、比喩でなくこの国はおろか世界中から人間が消え去ってしまう。
全てを矯正する事は無理だろう、だからまぁせめて
「───そうしてショタのち〇ぽをずらーっと並べるじゃないですか、端から順番に味見をしてその中から一際美味しい「喋るな! 頼むからこれ以上喋るな」えー? まだ途中ですわよ?」
キラキラと輝く澄んだ瞳をしておいてこんなに業の深い欲望を垂れ流せるとは、こいつの本性を何も知らない者が見れば天使のような屈託のない笑顔だと錯覚しただろう。
末恐ろしい……こいつは外面を良く見せる事に関して、魔法以上に先天的な才能がある。
それも無意識に。
俺の全てを教えてやるつもりだったが気が変わった。
こいつに教えてもいい魔法とそうじゃない魔法を見極めないとダメだ……っ!
その点で言えば精神操作はかなりダメな部類だ。
俺に出来ることと言えば完全な精神操作ではなく、数段落ちるレベルにこいつのゴールを設定してやる事。
幸いこいつは俺の魔法の能力に対して絶大なる信頼を置いている、なんとか上手く道を整えてやらねば。
「ようし、それじゃ精神操作の魔法の基礎から教えてやろう」
「待ってましたわ!」
「先ずは習うより慣れろだ、俺がお前に軽く洗脳を掛ける。安心しろ、お前ほどの魔力がある相手だと俺でも1分持つかどうかの代物だ」
「どんと来やがれですわ〜」
「よし」
まあ嘘では無いが、本当のことばかり言ってる訳でもない。こいつの倫理観はかなり歪んでる。
生まれつきか後天的にかは分からないがその辺をほんの少しだけ是正する。
この程度ならこいつの自己回復能力に邪魔をされず、こいつの自我にもさほど影響を与えることもなく考え方を少しだけ改める程度に抑え切れるはずだ。
精神操作魔法の極地、確かに味わわせてやるからな。
パチン!
「ふぁっ?!」
「どうだ、今のが洗脳魔法だ。少しの間フラフラするだろうが我慢しろ、感想は?」
「なんか……凄いですわね」
感心した眼差しで俺を見てくるこいつの視線にほんの少しの罪悪感と、それを遥かに上回る達成感を覚える。
ごっそり魔力を持っていかれたし、抵抗も激しかった。比喩でもなんでもなく俺以外が魔法を行使していたら逆に廃人になっていただろう。
これが魔法を覚えてひと月程度だと言うのだから本当に恐ろしい。
「ところでお前、ショタ以外の男に告白されたりしたらどうするんだ?」
「はいぃ? そんな気持ち悪い質問しないでくださいませんか??」
「まあ良いじゃねえか、例え話だよ例え話」
「どうって……そんなの」
未来視の魔法を発動する。
これは対象が選択する未来の中で最も高い確率で起こる事を任意に切り取りヴィジョンとして頭に浮かべる。
その結果によればこいつが最も選択する未来は『殺しますわよ。わたくしショタ以外に興味が無いんです』となる。
本来ならこいつはこう答える。
しかし俺の残した魔法の残滓がこいつに干渉するとこに成功していれば違う答えが来る……筈だ。
果たしてどうだ?
「ん〜……そんなのどうでもいいですわよ。無視するのではなくて?」
「ああ……そうか、そうだよな」
良かった、何とか最悪の未来は防げたかな。
こいつにとって他の人間の命の価値はあまりにも軽すぎたからな。このまま強力な魔法を覚えていけば、こいつは間違いなく躊躇いも何も無く自分の目的の為に殺害という手段に魔法を使っただろう。
その影響が及ぶ範囲は普通の魔法士の様な小さな枠に収まらない、この国ですら飲み込む災いとなる。
いったい幼少期にどんな育ち方したらこんな風に倫理観がおかしくなるって言うんだか。
貴族ってのはこんな奴ばっかりか?
「あの〜師匠〜♡わたくしぃ〜出来れば洗脳魔法はショタ相手に試したいんですけど〜?」
「却下だ。今のお前が洗脳魔法を使ったら相手の脳みそが吹き飛ぶ、先ずはその無駄に溢れてる魔力を抑える手段を学べ」
「ちぇ〜ですわ」
さっき精神操作魔法を掛けた時にサーチした結果こいつの根幹にあるショタへの偏執的な愛は不変のものだ、おそらくは生まれついてのモノ。
しかしそれ以外の事に関しては周囲からの影響が大きいだろう、複雑に絡み合った感情の奔流が強大な魔力に後押しされて俺の干渉を跳ね除けるから深くは探れなかったが。
こいつにとって
いやまぁショタの事に関してだけは働いてると信じているからノータッチだが……大丈夫だよな?
倫理観ゆるふわ系美少女好きかい?
うん、大好きSA☆