王位を継ぎそうにない好みのショタ第3王子を成長するまで愛でて放流する気だったのに気付いたら王妃にされて囲われてしまったんだけれども(白目) 作:ステラ
「お誕生おめでとうございます殿下♡」
「「「おめでとうございます殿下!!」」」
「ありがとうございます、シンシア様! みんな!」
離宮のリフォームも終わって今日はめでたい王子ちゃまの12歳のお誕生日!
参加者はわたくしと王子ちゃまと何人かの使用人だけ、簡素なパーティーですけど何よりも心が籠っておりますわ。
権力マウント合戦の兄王子たちの無駄に盛大な誕生パーティーとはワケが違うんですのよ?
「お誕生日のケーキは特別製ですわよ〜、じゃじゃーん! こんな大っきいケーキ見たことございますか〜?」
「うわぁ……!」
王子ちゃまの倍近くの大きさ、わたくしよりも高く豪華なケーキをこれでもかと見せ付けちゃいます。
目が輝いちゃってるぞ少年♪
見る人が見ればどういう意図のケーキか分かりそうですけれど、人付き合い皆無な王子ちゃまには分かんないですわよね?
そういうあなたに育ってくれて感謝しますわ。
「今日は盛り上がりましょうね! はい、プレゼントの贈呈会ですわ〜!」
「私からは此方をどうぞ、欲しがっておられた小鳥です」
「うわぁ、ありがとうアリス! 名前はなんて言うの?」
「実はまだ無いのです、殿下がお決めになってくださいね」
「うんっ!」
手乗り文鳥をプレゼントされた王子ちゃまはおっかなびっくり触って、ほぼ笑みを浮かべた。
愛らしいね。
食べちゃいたいんじゃない?
分かるわ、おんなじだね。
「では自分からはこちらを。木剣です、兼ねてからのお約束通り来週から剣術の訓練をしましょう」
「ありがとうコンラッド! 絶対だからね!」
「危険な真似は禁止、ですからね?」ビシッ
わたくしから忠告を挟むのも忘れない。
やわ肌に傷が付いてしまったらわたくし悲しいもの。
……のど飴をプレゼントした甲斐がありましたわね、美少年ボイスはまだまだそのまま。
ヨシヨシ、やはり今日こそが最適ですわね……。
「さあ! わたくしからもプレゼントですわ、受け取って下さいませ」
王子ちゃまの右腕を取り薬指へと指輪を填める。
少し大きめだったサイズが指に沿って縮小し、ぴったりフィットする。
この指輪には
ごめんなさいね王子ちゃま?
わたくし……あは、もう壊れそうなの。
大丈夫よあなたに悪い様にはしないから。
「ありがとうございます、シンシア様!」
「……シア、と」
「はい?」
「これからはシア……と、そう言ってください。わたくしの愛称です、あなただけはそう呼んで下さって結構ですわ」
「……シ……ア」
「はい♡」
瞳をうるうるとさせた王子ちゃまは、小さくシア……と何度も呟いた。
その度にわたくしは同じように答えた。
とても嬉しそうにはにかんでくれました。
たまりませんわねぇこの表情……。
ああ、本当に最高の状態ですわ王子ちゃま。
楽しみですわね……今夜が♡
素敵な夜にしましょうね?
時刻は深夜。
楽しかった一日を振り返りながら眠りについたクレスは微睡みの中で意識がぼんやりと浮かび上がっていくのを感じた。
視界がぼやけている。
何か影の様なものが自分の体に覆い被さっているのを他人事のように認識する。
ふわふわとした意識は纏まりのある思考を許さない。
ただひたすらよく分からない温かさに体が包まれ快感だけが全身を駆け巡っている。
『……ん……♡…………ぁ……♡』
声が聞こえた気がした……遠いようで……近いような……とても安心する声が聞こえる。
水が滴り落ちてくる。
それが口へと入り込んで不意に頭の奥が雷に打たれたように痺れる。
下腹部がとんでもなく熱を帯びており、そこが影と一番深く強く重なっている。
『あら……少し……が♡……大丈…………』
右手が何だか熱くなって覚醒しかけた意識が遠のいた。
指輪に点った光が精神へと干渉している事に気づくことは無い。
そのままギュッと影から手を重ねられ、触れた箇所がまるで溶けていくように錯覚する。
『ウフフ……♡あなた様は何も気にしなくていいのです……だからほら……力を抜いて♡……』
ぬるぬるとして生暖かい感触が全身に広がってくる。
くすぐったいような、痛いような、でもとてもきもちいい謎の感覚。
声が聞こえる度に不安や恐怖が薄らいでいく……ずっとこうでいて欲しいと願う程に幸福感が溢れる。
感じたことの無い心地良さにずっと包まれていてまったくなにも頭がはたらかない。
『……♡♡♡あは……これは夢ですよ♡だから……なぁんにも気にしないで、身を委ねて』
「し……しぁ……」
大好きな人の名前を呟く。
『くふ……♡♡』
振り絞る様に出した声は、しかしそれ以上なにも言葉にできなかった。
意識が沈んでいく……。
ただただ生まれて初めて感じる心地よい温かさに包まれ……やがて意識を飛ばした。
その間も右手の指輪は妖しく光り続け……やがて役目を果たした時にその痕跡を残さず消えた。
既にスヤスヤと眠っているクレスに数時間も覆い被さっていた影は、汗で張り付いた髪を後ろに纏めるとベッドから這い出て最後に唇へもう一度だけ口付けをした。
『……ごちそうさま♡♡♡』
目を覚ました時、何故かシーツが汚れている事に気付いたクレスが大慌てだったのはまた別の話。
わたくしは考えに考え抜いてようやく満足のいく答えを出しました。
『─────!!』
あ〜やっぱ美味しかったぜショタはΨ( 'ч' ☆)
最高の収穫祭だった。
あれ以上に時間を置けば王子ちゃまの成長曲線は加速度的に危険域に近付いて最高値を下回っていたのです。
『────!』
『───────!!』
あの時食べなければわたくしは……最高のショタをみすみす逃してしまうところだった。
本来ならもっと距離感を保って。
付かず離れずの距離で互いに心を求め合ってから愛情を深めて、それから流れで致すつもりでした。
しかし日に日に脱ショタの魔道へと転がり落ちていく王子ちゃまをこれ以上見過ごす訳にはいかなかった……っ!
断腸の思いでしたわっ!
ああ、理解してくださいませね王子ちゃま。
『─────!』
ハぁ…………ふぅ。
3年間お預け食らっていたストレスから解放され、お陰さまで今のわたくしには幾分か冷静に思考できる良識が戻ってきていた。
なけなしの正気のうちに今後の方針を決めておかないと、きっとわたくしは本当に壊れてしまう。
『───────!!』
あ〜普段は自分が壊れてる自覚がないというのに。
欲望を解放し切った時だけこんなふうに正確に自己認識してしまうの勘弁ですわよ……わたくしのショタ好きは決して治らない病気だというのに。
まぁ罪悪感は今でも欠片もないんですけど。
「なんかさっきから騒がしいですわねぇ?」
何故か王子ちゃまが部屋に入れてくれなくなったから(もしかして気付かれた(滝汗))今日はしぶしぶ別室に泊まったのですけれど……。
なんだか起きる前から王宮の方角から悲鳴みたいな声が聞こえてきていて鬱陶しいんですわよね。
何があったのかしら?
ベルを鳴らして誰かを呼ぶと、血相を変えた表情でショコラが部屋に滑り込んできた。
あらまぁこの子がこんなに慌てるなんて珍しい。
「たたた、たたたた大変ですお嬢様!」
「なーにを朝っぱらから騒いでますの、はしたないわよ」
「そそそんな場合じゃないですよ!」
あちらをご覧下さい!
バサッと開けられたカーテンの向こう、その先に広がっていたかつての美しい王宮は今や───炎と煙に包まれていた。
「…………」
目をゴシゴシする
「…………」
変なものが見える
「…………」
眉間をほぐす
「…………」
やっぱり見える
「( *゚∀゚)・∵ブハッ」
なんか起きたら急に王宮が燃えてて笑ってしまうんだけれども? ウケますわねw
遂に100%パーフェクトショタMAXの王子ちゃまと(強制的に)結ばれたシンシア!
これから加速度的に興味を失っていく最低系主人公シンシアと、これから何度もあの日の記憶を夢に見ては秘めている思いを強くしていく王子さま。
果たして2人の物語の結末や如何に。