TS転生者「不死鳥は 再び墓地より 舞い戻る」 作:ししゃしょしぇい
そしてまさかTAG FORCE新作が出るとは読めなかった。このリハクの目をもってしても。私は秒で予約しました。
これともう1話分だけ書けているので、そちらは明後日あたりに投稿します。
私は、岐阜県某所のネットカフェにいた。
ハートランドシティから逃げ出して、すでに数日。
それまでの辛抱だと言い聞かせて、こうして息を潜めていたのだ。
ところが、その日の夜。
ふと、嫌な予感がした。
理由なんてない。
虫の知らせというやつだろうか、「とにかく、この店に居続けてはいけない。今すぐ別の場所へ移らなければならない」──そんな確信が湧いた。
私は荷物をまとめ、個室を出た。
薄暗い通路を抜け、受付へ向かう。
そして、息を呑んだ。
青白い光を纏った青年が、受付カウンターの前に立っている。
受付に、天城カイトがいた。
フォトン・チェンジした状態で。
岐阜県のネカフェで。
「見つけたぞ、有明燦……さあ、デュエルだッ!」
「ひっ──」
「──ひゃあっ!?」
跳ね起きた。
この二年間ですっかり馴染んでしまった天井が見える。自室だ。
カイトは、どこにもいなかった。
「ゆ、夢か……」
そりゃそうだ。
私は岐阜県になどいない。ネカフェにも泊まっていない。
カイトとデュエルしたあの日の夜、逃避行を考えはした。
しかし考えた末に、私はこのハートランドシティへ残ると決めたのだ。
原作からして、遊馬の身元をカイトは特定している。
私はカイトに名乗らなかったけど、彼相手に身バレせずに済むのは不可能だろうと早々に結論づけた。
だから、少し休学してこの街を出るべきだ……と最初は思ったのだが。
さっきみたいな夢を見るようになり、やる気が萎んでしまった。彼がその気になれば、私を捕まえるなどたぶん造作もない。一般人が浅知恵を絞ったところで、という話だ。
それに、この街を出て中長期的な生活をできる自信もなかった。
14歳の美少女がうろついていたら、海外なら犯罪に巻き込まれ、国内なら警察に補導されるのが関の山だろう。
というか、そもそも、私は何も悪いことをしていない。
なのに生活も日常も捨てて逃げろだなんて、到底納得できなかった……というのが一番の理由だったりする。
あれもこれも全部カイトが悪い。
まあ、しかし、現実は直視すべきだろう。
私もさすがにわかっているのだ。「ぶっちゃけ、原作と無縁でいるの、もう無理じゃね?」って。
結果的に私はシャークさんを原作開始前にボコったし。
ナンバーズも手に入れちゃったし。
挙句、No.XX、アーゼウスさん、ラーと、意味深に見えそうなカードを三連打して、あの天城カイトまでボコり、再戦を誓われてしまった。
……あそこで負けてたら文字通り「死」だったので、使ったこと自体に後悔はしてないけど。
そしてそのカイトとの遭遇で、ナンバーズを手放しても私はカイトの時間停止を受け付けないことが判明した。
状況は変わったのだ。
私と接触し異常性に気づいた存在は、ナンバーズ関係なくマークしてくる。
今後も似たようなことが起こる可能性を考慮すべきだ。
だから、目標をググっと下げることにした。
当初の夢──原作には勝手に進んでもらって、私は悠々自適に暮らす──はもう諦める。
といっても、原作知識を利用して世界救済RTAをしてやるぜ、みたいな話ではない。
もっと柔軟にいこう、という話だ。
何も、原作との関わりを断つことだけが「平穏な暮らし」を守る唯一の道、なんてことはないはずだ。
だって、明里姉ちゃんとか、遊馬先生の実姉なのに劇中で一度も死にかけたことないんだし。
差し当たっては、「死なないこと」が最優先で、そのためのルールを見直すことにした。
原作周りの戦いは死亡リスクが伴う。だから、基本的に原作キャラと関わらないようにするのは以前と変わらない。
ただ、高確率で何かイベントに巻き込まれそうと見えたら話は別だ。完全受け身に構えて敵だけ準備万端のクソ盤面が完成してしまった、なんて事態にみすみす陥るわけにはいかない。だから、今後はどうしても必要な場面では優位を確保しに動いていく。
そしてそのうえで、遊馬陣営の常在戦力にはならないようにする。
仲良くなったはずみで「有明燦を呼んでアイツぶっ倒してもらおうぜ!」などと頼られるのは避けたい。
特に終盤のバリアンとの戦いにだけは絶対に不参加だ。
あれだけはマジでダメ。敵も味方もポンポン死んでいく。あのカイトすら(デュエルには負けてないのに)死んだ。
……とまあ、そういう感じだ。
目下に迫るWDC編はその中では明らかに対応しやすい部類だ。
シンプルに大会に出場しない。
もうこれだけでナンバーズの絡む闇のデュエルに関わらずに済む。
「……」
うぅ……にしても、寝間着が汗でぐっしょりだ。肌に吸い付いてきて気持ちが悪い。下着も……。
起床には少し早いけど、さっとシャワーでも浴びて、ハートランド学園に登校するか。
……せっかく連絡先もらったんだし、光焔先輩に癒してもらおうかな。
*
その日の放課後。校舎裏のベンチにて。
「あぅ、あぅ……」
私は招集に馳せ参じてくれた光焔先輩のほっぺをムニムニして、その柔らかさを堪能していた。
「……にゃ、何の時間なんですか、これ」
「リラクゼーションタイムだよ」
「えぇ……?」
困惑しつつも、されるがままでいてくれる先輩。
左右から指で突くと、ぷにぷにとした弾力が押し返してきて気持ちがいい。
何より、ドタイプの女の子がこれを受け入れてくれているという事実が、得も言われぬ多幸感を……。
いや、良くないな、これは。
何も言ってこないことをいいことに好き勝手していたら、彼女をいびっていた男子と何も変わらない。
「……嫌だったよね。やめる」
「えっ、もうやめちゃうんですか……?」
「……」
なんか、頼めば本当になんでもやってくれそうだな。
無防備で危うい。そして何よりもあざとい。あまりカードゲーマーおじさんの心をくすぐるんじゃないよ、ずるいぞ。
「そういうのはやめたほうがいいと思う」
「有明さんから始めておいて!?」
正論やめてね。「ぐう」しか言えなくなっちゃうから。
「……有明さんって、こうして話してみると印象が全然変わりますね」
「そう?」
「そうですよ。周りに興味がなさそうで孤高って感じだと思ってたのに、冗談を言ったり、わ……私の頬をつっついたり……」
……言われてみれば確かに、自認が陰キャの割には、雑なコミュニケーションが多いかも。
私は顎に手を当てて考え込んだ。
けれどまあ、答えは自然と出た。
「光焔先輩が相手だからじゃないかな?」
「っ……え、えへへ」
「?」
なんか照れてる。よくわからんけど可愛いからいいか。
「……ん、だいぶ話が逸れちゃった。そろそろ本題に移ろうかな」
「相談したいことがある、ってメッセージを送ってくれてましたよね」
「うん」
私はデッキケースに手をかけ、中から一枚のカードを抜き出した。
思い出すのは、先日のカイトとの一戦が終わった後の「声」。
聞いたのはあれっきりだ。「ごほうび」……もとい、カードがなければ、私はあれを「幻聴」と切って捨てていただろう。
アニメシリーズはZEXALに入ってから、デュエルモンスターズの精霊に関して明示的に言及することがなくなったと記憶している。
だから、そっち系統のオカルトがこの世界でどう扱われているのか、現地人である光焔先輩から聞いてみよう、というわけだ。
精霊は一般的なのか? アニメによくある「そんなの持ってなかっただろ」というカードが生えてくる現象は、この世界では広く確認されているのか?
知ったところで何ができるでもないが、気になるものは気になる。ちなみにSNSにはチラホラあったけど眉唾扱いされていた。多くても20いいねくらい。
さておき、カードをもらったんだから、相手が何者であれ、ちゃんとお礼を言いたいんだよね。
「せ、精霊……?」
聞いてみた後の第一声がこれだよ。
うっそ〜、マジ〜? と言わんばかりの顔だ。完全に電波女扱いである。
「そんな目で見ないで」
「み、見てないです!」
一般人の反応としては価値あるサンプルだったな……先輩が相手でよかった。いや、やっぱふつうに恥ずかしい。
あ、ちなみにだけど、カイトとのデュエルの経緯とか、一方的に魂を賭けさせられた件については喋っていない。話がややこしくなるし、余計な心配をさせてしまうからね。
「んんっ……とにかくデッキケースが光って、中を開けたらこのカードが入ってた。でも私はこんなカード知らないし、入れた覚えもない」
神のカードは資格のない人間が取り扱うと神罰が下ることがある。
でも、光焔先輩にはちゃんとカードを見てほしい。
「ごほうび」にも神性が宿っているのかはわからないが、心の中で「少しだけお願い」と呟きながら、リメイク版ラー(推定)を彼女に手渡した。
「《暗黒の太陽神-ラーの翼神竜》、神属性、幻神獣族…………有明さんが合体(?)するあのモンスターとそっくりですが、こちらは融合モンスターなんですね」
「うん」
融合召喚に必要な「太陽神」モンスターこそ謎だが、完全耐性と相手ターンでも発動できる耐性無視の除去能力は非常に魅力的だ。
どういう動きをするデッキなのかはこの融合体単品だとわからない。
しかし、シリーズカードとラーサポートで固めた【太陽神】のデッキ単位で見るとかなり強いのではないかと私は妄想している。なぜ最初にラーをOCG化するときにこういう方向性にできなかったのか……。
「有明さんって、自分のデッキのカードのこと好きですよね?」
「もちろん」
今世におけるデュエルモンスターズ──「遊戯王」とは、前世からの付き合いだ。
ラーを出して勝つ、出せそうにない時でも別の勝ち筋を必死に拾って勝つ、何もできずにふつうに負ける……そうやって私は戦ってきた。ラーは文句なしに魂のカードだが、このデッキのカード全部もまた、私の遊戯王愛の象徴と言える。
「……そ、その。笑わないで聞いてもらえますか?」
「わはは」
「まだ何も言ってないですっ!」
ごめんて。
「……こほん。すっごく強い人とデュエルした後にこの『ご褒美』をもらったってことは、その精霊さんというのも、有明さんのことをすっごく好きなんじゃないかなって思うんです」
「それは……」
言葉に詰まった。
私はカードを好きだけど、カードに好かれるという発想は、実感としてはあまり持ってなかった。
愛情込めて大事にするのは前世からの延長だ。カードに意思が宿っているかなんて関係なかった。
「だから有明さんの感謝の気持ちも、きっと伝わってると、私は思います。えへへ……」
「そっ……か。うん」
はにかんで笑う光焔先輩から目を逸らす。
メルヘンな回答だったけど、先輩の言葉はストンと胸に落ちた。
そりゃ、精霊が実在するのなら、神罰が下らないどころか古代神官文字までなぜか読めてしまう私が嫌われてるなんてことはないだろうけども。
でも、それを他人から「逆にあなたも好かれている」と肯定してもらえたことが、どうにもすごく嬉しかった。
今この瞬間に精霊のほうに話すつもりがないのなら、こっちから無理に正体を暴こうとしなくてもいいのかもしれない。
「ありがとう」を伝えるのは、また次の機会に取っておくか。向こうにも事情があるのだろう。
「あ、その……有明さん。私からも一個、相談事があるんですが」
話が一段落ついたところで、光焔先輩がおもむろにD・パッドを叩いた。
ベンチの上に投影されたホログラムの広告を目が捉えた瞬間、私は押し黙った。
来たか──ワールド・デュエル・カーニバル。
このハートランドシティを舞台に、世界各地からデュエリストが集い、頂点を決める大会。
優勝者には、この街が誇る巨大遊園地「ハートランド」の生涯無料パスポートと、Mr.ハートランドからどんな願いも一つだけ叶えてもらえる権利が与えられる……という触れ込みだ。
「開催は一か月後で──」
一か月後!?
世界大会なのに!?
もっと準備とか段取りとかあるもんじゃないの!?
「あの、どうかしましたか?」
「……ううん。何でもない」
……ホビアニ世界、改めて恐ろしいな。
現実の尺度なら狂気と言うしかないこんな電撃開催でも、参加者と観客が十分に集まると本気で見込めるだけの土壌がこの世界にはあるのだ。
「……有明さん、一緒に出ませんか?」
「私はパス」
「即答!?」
悪いけど参加しないよ。
私はWDCの裏の目的を知っている。参加イコール自殺志願と同義だ。君子危うきに近寄らず、である。
「でも、有明さんなら優勝だって狙えると思いますし……どんな願い事でも叶えてもらえるんですよ?」
そういう問題じゃないんだけど、「参加しません」と言われただけじゃ飲み込めないのもわかる。
顎に手を当てて、少し考えてみる。
どんな願い事も叶える、ねぇ。
「うん。やっぱりいいかな。特に願い事とかないや」
「……謙虚ですね」
この世界での生活には結構満足している。
前世のラー(紙)がラー(神)になった、ラー(神)を使用できる、便利な生活がある。ふつうに好待遇だ。
この身体だって嫌いじゃない。
だって美少女だ。可愛くて、肌はすべすべで、いい匂いがする。
中身が私なせいで表情筋が死んでいるのが少し残念だけど、むしろクール系って感じでグッドだ。
おかげで嫌なことがあっても、「でも私にはラー(神)があるし、私ってば美少女だし」で溜飲はわりと下がる。
そしてこの身体に似合う服を探すのがこれまた楽しい。随分前に買った猫耳パーカーは特にお気に入りで……話が脱線したな。
「そういう先輩こそ、何か願い事があるの?」
「あっ、えっ、えと……」
どうしたんだ、口をそんなモニョモニョさせて。
何か恥ずかしいのか、彼女は両手の人差し指を突き合わせだした。
「その……
……?
ああ、少し前まで彼女が受けてたっていう仕打ちの件ね。
間接的に私が解決しちゃったもんね。
「じゃあ、どうして出場するの? ハートランドの生涯無料パスポート狙い?」
「……」
「どうしたの?」
「……パスポート狙い、ではないですね」
あれ、ちょっとムスッとしてる? なんで?
先輩はこほんと咳払いした。
「挑戦できる自分になりたいな……って思って」
「挑戦……」
まだ長い付き合いではないけど、あまり彼女らしくない言葉だと思った。
──無理に急いで変わろうとすることもないんじゃない?
咄嗟に言いかけて、けれど、やめた。
今をきらめく少年少女の勇気を否定するほど私は野暮じゃない。
「うん。いいと思う」
先輩の表情がぱあっと華やいだ。
「ただ、一個だけ約束してほしい」
「約束、ですか……?」
大人として、彼女の友人として、背中を押すくらいはするとも。
けれど、危険に突っ込んでいくのを見て見ぬふりするつもりもない。
「
「……なんだか、具体的ですね」
「WDCには、世界中からナンバーズ所有者を集めて一網打尽にするという裏の目的がある」
「!?」
……そりゃ、いきなりこんなこと言われたらそうなるか。
「ごめん、必要なところだけ話す。疑わないで聞いてほしい」
目を白黒させつつ、先輩はこくこくと頷いた。
「WDCには世界中からデュエリストが集まる。その中にはナンバーズ所有者も多く含まれる」
「それは……ナンバーズは強力なカードですし、
本当のところは
優勝者の権利・栄誉という餌を見せびらかし、ナンバーズ所有者にハートランドシティまでお越しいただこう……ってね。
ちょっとガバい気がするのは否めないけど、よく人間心理を突いている。
「『ナンバーズどうしのデュエルでは、勝者は敗者のナンバーズを吸収する』……という原則がある。しかも、ナンバーズはナンバーズにしか戦闘破壊できず、固有の効果まで持つ強力なカード群。
予選を潜り抜けて決勝大会まで勝ち残った参加者の中に、ナンバーズ所有者がいないなんてことあると思う?」
先輩は数秒黙り込んでから、顔色を悪くして目を伏せた。
「……いない、とは思えないです」
「そうだよね」
Dr.フェイカーの陰謀とトロンの復讐はこの際どうでもいい。
勝ち進むと危険、というのを実感してもらえれば十分だ。
「予選の最初の内はいい。確率的に考えてほぼふつうのデュエルになる。でも、進めばいつかナンバーズと戦うことになる。だから、適当なところで手を引いて」
「は、い……」
それきり、先輩は黙り込んでしまった。
う、うーん。
すっかり意気消沈してしまったようだ。
伝え方ミスったかな……? いや、でも、危険性は知っておいてもらわないとだし……。
やがて、先輩は私から目を逸らしてぽつりと呟いた。
「……危険なら、そもそも参加しないほうがいい……ってことですよね」
「違う」
「へ?」
違う。そうじゃない。
私はそんな気落ちした顔をしてほしくて忠告したんじゃない。
「やめる必要なんてどこにもない」
「で、でも」
「危険な相手には近づかないで済むように、一緒にいてあげる。これなら何の問題もない。でしょ?」
トロン一家、速見秀太……あとはまあ、ギャグっぽく済まされてたけどアンナとか。WDC編に登場するヤベーヤツは見ればわかる。私なら、先輩の挑戦が邪魔されないように立ち回れるはずだ。
「でも。迷惑、なんじゃ……」
「不参加の私はどうせ暇になる。別にいい」
「ひ、暇って……」
仕方ないじゃないか、参加しないんだから。
少しの間、何とも言えない沈黙が下りる。
深呼吸の後、先輩は上目遣いで私を見上げてきた。
少し視線を下げたほうには、遠慮がちに差し出された右手が見える。
「ふ、不束者ですが……その、よろしくお願いします」
「やけに畏まった言い方するね」
「や、その……有明さんにそこまでしてもらうわけなので……!」
ま、こういう感じなのが先輩のいいところだ。
私はその手を両手で包み込んだ。
「ひゃ、わっ……」
「うん。任せて」
目と目を合わせて一言告げる。
途端に光焔先輩はあたふたするのを止め、やがて小さく頷いた。
情緒の乱高下が面白くて、くすりと笑ってしまった。
そこでなんとなく区切りがついて。
私たちはそれぞれ帰路についた。
問題は山積みで、別に何も解決してはいない。
でも、今日は先輩と話せてよかった。
「WDC、か……」
物語は序章を終え、次第に加速していくわけだ。
WDC編は話数にすると長いけど、劇中時間では二週間以内に収まってしまう程度の出来事だ。
たったそれだけの間に、ナンバーズ100枚の内の半分近くがアストラルの手中に収まることになる。
そして、その最初の山場が始まってしまうまで、あと一か月の地点に私は立っているのだ。
……なんか、ちょっと不安になってきたな。
「……」
《THE SUN OF GOD DRAGON》のカードを取り出す。
うん。ウジウジするのは止めだ。
最強のフェイバリットカードがいるというのにこんなザマでは格好がつかない。
どうにかするんだ。
絶対に、この世界で平穏に生きのびてみせるぞ。
ラーで好き勝手しながら、それでも私は、
「そのためにも、まずは……」
覚えている限りのアニメオリカと原作効果を洗い直して、対面したら事故りそうなカードとケアの仕方をリストアップしておくか。
……《次元障壁》があれば楽なんだけどなぁ。