黒龍物語   作:一芽

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どうも一芽です。
いろんな作品が放置気味な中、この作品を書きました。 
まさか、プロローグでこんなに長くなるとは思いませんでした…。

バーダックなどの設定は、いろいろと捏造なものを含みますのでご注意ください。



サイヤ人の運命

『龍』

 その名を聞いた多くの日本人は、神話などで語り継がれる龍を思い浮かべるだろう。

緑や黄金色、様々な色などの諸説があるが、ほぼ共通してるのは枝分かれした角を持ち、とても長い身体を持っているということだ。

 

 そんな美しい龍のイメージが強い日本人であったが、ある大きな出来事を期に龍に全く別のイメージが生まれてしまった。

 

 その出来事とは…。

 

 

 

 

 怪獣王にして黒き龍と呼ばれた『ゴジラ』の出現である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴジラとは、大戸島に目撃された黒く巨大な生物である。

 

 古生物学者の山根博士は、ゴジラはジュラ紀に生息し、現代は海底の洞窟で生きていたが度重なる水爆実験によって住む場所を失って地上へと出現したと言った。

 山根博士の言うゴジラについての話とは別に、大戸島に伝わる伝説の怪物『呉爾羅(ごじら)』でもないかという声もあった。

 フリゲート艦隊による攻撃が決行されたが、ゴジラと呼称された巨大な黒き龍は、ネオンが輝く夜の東京、渋谷へと出現したのだった。

 巨大な生物の出現には多くの人々が恐怖し逃げ惑った。

そして、再び海中へとゴジラは姿を消した。

 

 多くの人々がゴジラの姿を観て、多くのことを考えた。

 ゴジラを殺すことを望まない山根博士であったが、山根博士の娘である恵美子は、ゴジラへの対策プランを持つとされる科学者である『芹沢大助』と接触し恐ろしい研究について知ったと噂されている。

 

 その夜、突如として東京湾にゴジラが出現した。

 自衛隊の攻撃をものともしないゴジラは 東京の町を蹂躙し、多くの建物を破壊し多くの命を奪い、その時のゴジラの姿を観たある者は、東京を火の海と化して破壊の限りを尽くすゴジラの姿がまるで核兵器などの恐ろしい兵器を生み出した人類への報復、復讐をしてるようにも見えたらしい。

 ゴジラが水爆により住処を奪った人類へ復讐しにこんな恐ろしい事をしたのかは定かではないが、ゴジラによる破壊の光景は多くの人々の目に焼き付いたのは間違いなかった。

 かなりの時間が経ち、やっと自衛隊の戦闘機が駆けつけたが、ゴジラは再び海中へと姿を消したのであった。

 

 ゴジラに破壊し尽くされた東京の街は、賑やかだった東京の面影が残っていなかった。

 

 

 代わりに残されたのはゴジラの放射能と多くの悲しみであった…。

 

 

 そして、母親を失った子どもなどの多くの人々の悲しみを目にした恵美子は、南海サルベージの尾形に芹沢の研究の秘密を明かし、共に芹沢の元へと訪れた。

 芹沢は、自らの研究の恐ろしさを一番知ってるが故に世に出すのを恐れていた。

 そのため、恵美子達の説得も効かなかったが、テレビに映し出された被災者の姿『平和への祈り』を観た芹沢は、一度限りの使用に応じる。

 

 そして、芹沢は尾形と共にゴジラのいる東京湾へと潜った。

自らの研究から生み出された水中酸素破壊剤『オキシジェン・デストロイヤー』を手にして…。

 

 この時、芹沢はオキシジェン・デストロイヤーを自分もろとも葬ることを決意していた。

そのため、尾形と共に海上には戻らず、ゴジラと共に海へと消える道を選んだのであった。

 

 

 

 

 そして、芹沢はオキシジェン・デストロイヤーを使用し、ゴジラを葬った。

自らの命と共に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴジラは葬られたが、人類が水爆実験を繰り返してる限りはゴジラの同類がまた現れると山根博士は発言しており、その発言通りに別のゴジラが日本へと襲来することとなるが、オキシジェン・デストロイヤーと生み出した芹沢大助本人が生きてはいないため、人類は様々な策を練ってゴジラへと対抗した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それらのゴジラへの記憶が、日本人への美しく長き身体の龍のイメージを、巨大な身体を持ち破壊の限りを尽くす黒き龍へとイメージを塗り替えてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして舞台は大きく移り変わる。

 

 日本どころか地球ですらないとある惑星

 

 この惑星にて一人の赤ん坊が産まれた。

 

「リアーベ様!本当によく頑張られました!観てください!元気な男の子ですよ!」

 

 とある寝室の中、四つ目の異星人がリアーベと呼ばれた女性に自らが抱く小さな赤子を見せた。

 異星人の顔は、涙と笑顔が浮かんでいた。

 

「ああ…愛しき我が子…!本当に産まれてくれてありがとう…!」

 

 リアーベも涙と笑顔を浮かべながら、我が子の顔を観る。

 

「リアーベ様…!御子息のご誕生にはお亡くなりになったアカーブ様も喜ばれることでしょう!サイヤ人の王家の血を引く偉大な御方の誕生に!」

 

 近くにいた兵士らしき者が涙でグシャグシャになった顔で言う。

 

「ベジータ様が王位を継ぐので、この子は王にはなれないでしょうが、ベジータ様と共にサイヤ人の未来を開く子に育つと私は信じてます…アカーブのように強くなってほしいものです………え?…この子の尻尾…?」

 

 リアーベは産まれたばかりの赤子の尾を観て、どこか困惑した表情を見せた。

 

「リアーベ様…?……御子息の尻尾がいったい………!?」

 

 赤子を抱いていた異星人と兵士は、赤子の尻尾を観て驚きの表情を見せた。

 

「……ぐぅ?…」

 

 小さな声を上げる黒髪の赤子であったが、その赤子に生えている尻尾は、サイヤ人の持つ猿の尻尾ではなく、爬虫類のようなゴツゴツした黒い尻尾であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒い尻尾を持つサイヤ人の赤子の誕生は、サイヤ人本星である惑星ベジータに激震を走らせたが、この事は一部のエリート戦士、サイヤ人の王家に知れ渡ったくらいでなんとか抑えられた。

 

 ベジータ王は、産まれた赤子が超サイヤ人と同じく伝説として語り継がれた破壊の力を持つ黒龍のサイヤ人と推測していた。

 赤子の戦闘力も、産まれたばかりながらも5400もあることから、本当に黒龍のサイヤ人となる赤子だとベジータ王は確信した。

 

 

 そして、ベジータ王自らが赤子に二つの名を与えた。

 

 サイヤ人としての名『クロマ』

 

 そして、いつか黒龍のサイヤ人になることを確信した時にベジータ王に名乗ることを許されたもう一つの名

 

         『ゴジラ』

 

 それは、古くから伝わる破壊神が黒龍のサイヤ人をそう呼んだことに由来する。

 

 

 

 ベジータ王は、クロマと名付けられた赤子が後にサイヤ人の王となる幼き息子『ベジータ』の役に立つ事を望む反面、強すぎる力を得てサイヤ人を破滅へと導かないか恐れた。

 

 

 

 ベジータ王は自らが育てようと進言したが、身近に置くと惑星ベジータに訪れることのある『フリーザ』に目を付けられるのは避けられないと気づき、あえて妹のリアーベとクロマを、下級戦士のサイヤ人達の元で過ごさせることにしたのであった。

 

 

 

 

 

 それから6年の年月が流れた。

 

 

 

 

 

「おーいクロマ!…ったく、どこ行きやがったんだよ…」

 

 どこか乱暴そうな口調のサイヤ人の子ども『ラディッツ』は、広い空き地にてクロマの名を呼んでいた。

 

「……ラディッツ…」

 

 近くに棄てられた宇宙ポッドの陰から、クロマがひょっこりと姿を現して小声でラディッツの名を呼ぶ。

 

「いたいた!まったく勝手にいなくなるなよクロマ!お前を迷子にさせるとまた親父に怒られるんだからな!」

 

「……」

 

 ラディッツは大声でクロマに言うが、クロマはどこかつまらなそうな顔でラディッツを見ていた。

 

「まあ、いろいろ動き回りたいのはわかるけどよぉ、お前も死んだリアーベ様に心配かけたきゃねえだろ…?」

 

 ラディッツがリアーベの名を出すと、クロマは黙って頷いた。

 

「まったく、オレよりもチビなのにオレよりも強いから手がつけられねえな…」

 

 ラディッツはクロマより年上なのだが、戦闘力ではクロマよりも遥かに劣っていた。

 

 戦闘力の差に溜め息を漏らすラディッツと黙ってるクロマの元に、一人のサイヤ人が現れた。

 

「ったく!そんなんじゃ男としてもそのうちクロマに追い抜かれるぞラディッツ!」

 

「親父!?いつのまにいたんだよ!」

 

 ラディッツは、自身の父親である『バーダック』が急に現れて驚いた。

 

「ギネが飯にするからてめえら連れて帰ってこいってうるさくてよ…まあ二人ともいるし帰るぞ」

 

 『ギネ』とはラディッツの母親にしてバーダックの妻であるサイヤ人の女性であり、サイヤ人にしては珍しい恋愛によって夫婦となった。

 

「腹減った…」

 

 クロマは家へと凄い速さで走っていった。

 

「…いや飛べよ…」

 

 ラディッツは小声でツッコミを入れた。

 

 

 

 

 

 そして、家に帰ってきたクロマは我慢ができなかったのか既に食事を始めており、後から帰ってきたバーダックとラディッツも、大食いのクロマに全部食べられまいと飯に食らいついた。

 

「…まったく、バーダックも父親なんだから子どもとご飯取り合わなくてもいいでしょ…まだまだたくさんあるんだし」

 

 クロマに全部食べられまいと一生懸命に料理にかぶりつくバーダックわ観て、ギネは呆れ顔で言う。

 

「なに言ってやがる!オレが一番働いてるんだからオレが一番飯を食えなきゃ意味がねえじゃねえか!」

 

「「お、大人気ない…」」

 

 ラディッツとギネはあながち間違ってないが、どこか大人気なく感じたバーダックに苦笑いを浮かべてしまう。

 

「そういやクロマ、お前はカカロットを観たのか…?ラディッツは観たらしいが」

 

 『カカロット』とは、つい先日産まれたばかりのバーダック夫妻の第2子であるのだが、実はと言うとバーダックはまだ産まれたカカロットの姿を直接観てないのだ。

 

「…うん、バーダックおじさんにそっくりだった…」

 

 クロマは小さな声でバーダックに言う。

 

「ほう、まあ下級戦士の顔なんて似たようなのばかりだからな、戦闘力はどうだったんだ?」

 

「「「…」」」

 

 バーダックが戦闘力という単語を口にすると、クロマ達三人は急に黙ってしまった。

 

「……そうか、やっぱり低いのか…」

 

 バーダックは三人の様子を観て、カカロットの戦闘力が低いのだと確信した。

 と言っても、バーダックは聞く前からカカロットの戦闘力が高い事についてはバーダック自身そこまで期待しておらず、母親のギネは、戦闘そのものに向いてないのもあってかありえるが仕方ないことだと思ってたからだ。

 

「…そんな暗い顔すんなよお前ら、どんなに低くてもオレが鍛えてやるからよ」

 

 バーダックは急に暗くなった空気をなんとかしようとした。

 

「ま、まあそうね、バーダックだった下級戦士でもかなりの腕なんだし、そんなバーダックに鍛えられたらカカロットもとても強くなるわよ」

 

 ギネの顔に明るさが戻っており、他の二人もいつもの表情に戻っていた。

 

「変におだてるんじゃねえよ…」

 

 バーダックは少し恥ずかしかったのか、頭をかく。

 

「まったく、面倒くさい両親だぜ」

 

 面倒くさいと言いながらどこか楽しそうな笑顔をラディッツは浮かべていた。

 

「とりあえず飯食ったら、任務で別の星に行かなきゃなんねえからギネを頼むぞ二人共」

 

「カナッサ星だったかしら?」

 

 ギネがバーダックに聞く。

 

「ああ、まあトーマ達も一緒だから早く終わるだろ」

 

 バーダックは自信の笑みを浮かべる。

 

「トーマ達となら安心するわね、そのうち皆で食事でもしたいわね」

 

 ギネは、バーダックの仲間であるトーマやセリパ達とかつては共に戦った仲であるため、今でも親交があるのだ。

 

「じゃあ、あいつらに誘っといてみるぜ」

 

 バーダックは微笑を浮かべて言った。

 

 

 

 

 

 その後、食事を終えたバーダックは任務のための準備をしてから急ぎ足で家を出ていった。

 

 

 

 

「母さん、あんまり無理するんじゃねえぞ…」

 

 ギネの家事の手伝いをしているラディッツは、丁寧には言えないものの

母であるギネを心配していた。

 サイヤ人のためか普通に動けいているが、つい先日にカカロットを産んだので疲れなどが残っているのはラディッツはわかっていたからだ。

 

「ありがとうラディッツ、アンタはカカロットの良い兄貴になれるよ」

 

「そ、そうかな…?へへ」

 

 ギネの良い兄貴という言葉に、ラディッツは嬉しい気分であった。

 

「ギネおばさん…カカロットがいるのにオレは邪魔にならないかな…」

 

 ラディッツの後ろにいたクロマが、モヤモヤした表情でギネに聞く。

 そんなクロマに対し、ギネは優しい笑顔を浮かべる。

 

「邪魔なんかじゃないよ、クロマもカカロットも大事な家族じゃないさ、アタシはリアーベにはなれないけど、ラディッツとカカロットと同じほどの愛情でアンタを育ててるつもりだよ、変に心配かけて悪かったね…」

 

「ううん、そんなに思ってくれるだけで嬉しいよ…」

 

 ギネの優しい言葉に、クロマは先ほどのバーダックのように恥ずかしそうな表情を浮かべた。

 

「とりあえず、あらかた終わったことだし、三人でカカロットに会いに行かない?」

 

「「おう!(うん…)」」

 

 ギネの誘いに二人は即答した。

 

 

 

 

 

 そして三人は、カカロットに会うためにメディカルセンターへと

向かった。

 

 

 

 メディカルセンターに着いた三人は中に入ると、知っている顔を見かけた。

 

「あら、パラガスじゃない」

 

「おや、バーダックのところの…」

 

 三人を見かけたのは、バーダックの知り合いである『パラガス』であった。

 

「お久しぶりね、そういえばアナタのところも子どもが産まれたのよね、おめでとう」

 

「ありがとうギネ、息子も喜ぶよ…」

 

 パラガスの子どもである『ブロリー』は、カカロットと同じ日に産まれた子どもだ。

赤子ながら、とても高い戦闘力を持っていると三人は聞いていた。

 

「パラガス、育児について初めてでしょ?」

 

「あ、ああそうだが…」

 

 パラガスも初めての子どもなので、育児なんてまるで知らなかったのだ。

 

 

「ならばいろいろ教えてあげるわ、ラディッツ、ちょっとパラガスと話するからクロマと一緒に先に行っててくれない」

 

「わかったよ母さん」

 

 ラディッツは、ギネの育児の話がすぐに終わるなんて思っていなかったので、返事をしてすぐにクロマを連れてカカロットの元へと向かった。

 

「とりあえずどこから教えようかしら?」

 

「ベ、別にオレは…」

 

 パラガスは別に育児についてはいいと言おうとしたが、聞こえなかったギネは一人で育児について語り出し、結局一時間近くギネの育児話について聞かされるはめになった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハ!!」

 

「いやあクロマ、カカロットを泣かせるどころか笑わせるなんて凄いな…」

 

 カカロットの元に訪れた二人であったが、カカロットは大声で泣いており、隣にいたブロリーを泣かせていたためどうにかして泣き止まさせようした。

 ラディッツがカカロットの身体をくすぐると泣きまくったが、クロマがくすぐるとなぜかカカロットは泣き止んで大きく笑い声を上げていた。

 

「フヒヒ…」

 

 同じくクロマにくすぐられてるブロリーも赤子らしからぬ笑い声を漏らしていた。

 

「ラディッツだとなんで泣いちゃうのかな…」

 

「おうっ!?」

 

 クロマの言葉は、ラディッツの心にグサッと刺さった。

 

「アハハハハハハ!」

 

「フヒヒ!」

 

 そんなラディッツを笑ってるのかはわからないが、カカロットとブロリーの笑い声は大きく聞き取れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 それからギネとパラガスがやってきて、笑い声を上げるブロリーに驚いたパラガスは、クロマに複雑な表情でお礼を言った。

 

 そして、それから数十分くらいカカロットと戯れたクロマ達は、パラガスよりも先にカカロット達の元を後にして家に帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日が経過したある日

 

 

「……」

 

 クロマはメディカルセンター近くを一人で歩いていた。

 

「うわぁ!トカゲ人だ!」

 

「逃げろ逃げろ!オレ達の尻尾もトカゲの尻尾にされちまうぞ!」

 

 クロマよりも年上のサイヤ人の子ども達が、クロマの黒い尻尾を観るやいなや珍獣を観るような目で見ながら罵声などを浴びせた。

 

「……(ギロッ!)」

 

 クロマは悪魔のような目つきで子ども達を睨みつけた。

 

「ぎゃあ~!トカゲ人に食われる~!」

 

 子ども達はケタケタと笑いながらどこかへ行ってしまい、クロマの周りには、子ども達がおもしろ半分でクロマに飛ばした小さなエネルギー弾の跡がいくつもあった。

 

「……」

 

「…クロマ!大丈夫かよ!」

 

 クロマの姿を見たラディッツが、走ってクロマの元へと来た。

 

「まったくよぉ…あいつらも自分よりもクロマが強いからってこんな陰湿な嫌がらせって…!」

 

 ラディッツはクロマが嫌がらせを受けているのに止めれない自分が情けなかった。

クロマは強いが、力加減が上手くないためサイヤ人でありながら他人と戦うのはベジータ王に禁じられているのだ。 

 

「ベジータ王もサイヤ人の王のくせに面倒くさいな…最近は評判悪くなる一方だしよ…親父もカナッサ星帰ってきてから何か様子がおかしいし…」

 

「バーダックおじさん…」

 

 バーダックは、カナッサ星から帰って以来どこか様子がおかしく、つい先ほどミート星の任務から帰ってきたバーダックは、さらに様子が悪い方向におかしくなっていた。

 

 バーダックが言うには、サイヤ人と手を結んでいるフリーザによって惑星フリーザが滅ぼされるということらしいのだが、さすがに手を結んでいる相手の星を滅ぼすなんて信じてもらえるわけがなかった。

 ラディッツ達にもミート星で何があったのか教えようとしないなど、親しい者達はそんなバーダックを心配していた。

 

「カカロットも地球とかいう惑星に送られるんだよな…親父は本当に何があったんだか…」

 

 実の息子であるラディッツは、不安な表情を見せていた。

 

「ギネおばさんも他の惑星で良い肉が手に入るからとか変な任務を命令されたとかでナッパを連れてどっかの惑星にいるんだよな、肉についていろいろ知ってるからってカカロットの離すなんてなぁ…」

 

 ギネは現在惑星ベジータにいないため、地球へと飛ばされるカカロットを見送ることはできそうにないのだ。

 

「…オレもその惑星に行かなきゃなんねえらしいんだがな…クロマ、せめてお前だけでもカカロットを見送ってやってくれ…」

 

「…わかった…」

 

 ラディッツの弱気なお願いをクロマはしっかりと聞く、カカロットを弟のように思っていたクロマだからなおさら見送りたいのだろう。

 

「後でカカロットの顔だけでも観とく…またいつか会えるなんてわからねえし… 親父に会ったらよろしくな…」

 

「…うん」

 

 クロマは小さな声で返事をする。

 

「じゃあクロマ、行ってくるぜ」

 

「行ってらっしゃい…」

 

 ラディッツとクロマはお互いの拳をぶつけてしばしの別れの挨拶をした。

 

 

 

 

 

 そしてクロマは、カカロットの元へと行く前に産みの親であるリアーベ、一度も姿を観たことのない実の父アカーブの墓へと訪れていた。

 

「…お母さん…お父さん…せっかく産まれたカカロットと離れ離れになるんだ……母さん達にもカカロットの顔見せたかった………………じゃあ行ってきます…」

 

 

 両親の墓に向かって言う言葉がなかなか浮かばなかったクロマは、墓に軽くお辞儀をしてその場をあとにした。

 

 そんなクロマの様子を陰から見ていたバーダックは、先ほどまでクロマがいたリアーベ達の墓の前に立つ。

 

「…クロマにもすまねえことをしたな…リアーベ、アカーブ、お前らみたいな優しさをオレは持ってたか…?」

 

 今は亡きリアーベ達に返ってくるはずのない問いをバーダックはした。

 

「……トーマ達もそっちに逝った…オレはそっちに逝くか逝かないにしろ先にやることがある…待たせることになってすまねえ…」

 

 バーダックは、ミート星で失ったトーマ達仲間のことを思い出し、バーダックは額に巻いた赤いバンダナに指を当て、何かを考えてるようであったが、特になにも言わずに墓の前から立ち去った。

 

「…フリーザ…!」

 

 立ち去ったバーダックの口から、これから戦うこととなる強大な敵の名が漏れた。

 

 

 

 

 

 

 クロマは、これから地球へと飛ばされるカカロットの元にいた。

 

「…カカロット、いつか大きくなったらオレと戦おう…立派になったカカロットが見たいから…だから今はお別れだ…」

 

 宇宙ポッドの中で眠っているカカロットに対し、クロマはどこか寂しい表情で言い、起きないように頭を一度撫でて、カカロットの前から離れる。

 

 そして、カカロットの乗る宇宙ポッドのハッチは閉じられた。

 

「…頑張れカカロット…」

 

 クロマはそう呟くと、宇宙ポッドの中にいるカカロットの顔を観て無言の別れを済ませ、その場を立ち去った。

 

 特にこれといってすることはないクロマは、ただ空を飛んでいたが、装着していたお古のスカウターがふと反応した。

 

「…このたくさんの反応はフリーザ軍…?…じゃあ、この一番強い反応はフリーザ…!」

 

 クロマは、自分より圧倒的な戦闘力を持つフリーザの反応に真剣な目つきになり、反応のある上空を観る。

 

 惑星フリーザの近くに巨大な宇宙船が見えた。

 まさしくフリーザ軍の、フリーザの宇宙船であった。

 

「……っ!」

 

 フリーザの近くに慣れ親しんだ者を感じた。

 

「…バーダックおじさん…!」

 

 そう、バーダックである。

 

 バーダックがなぜフリーザの近くにいるのかは、クロマはわからなかった。

 ただ、とても嫌な予感がしてならなかったのだ。

 

「…おじさん!」

 

 クロマは、凄い勢いでバーダック達の反応の元へと飛んでいく。

 

 

 

 

 

 クロマは宇宙船の近くまで飛んできた。

 

 しかし、フリーザ軍の戦士達に囲まれていた。

 

「どうした坊ちゃ~ん、お兄さん達が遊んでやろうか!」

 

 子どもであるクロマの登場に戦士達は笑いながら攻撃する。

 

「…邪魔ぁ!」

 

 クロマは自らエネルギーを纏って爆発させた。

 

「「「…な、なにぃ!?ぐあぁぁぁぁぁぁっ!?」」」

 

 戦士達は跡形もなく消し飛ぶ。

 

「…ハァ…ハァ…」

 

 ついエネルギーを使いすぎたクロマは、息が苦しかった。

 

 

 

 

「…!?…(なんだ今の戦闘力は…!まさか伝説の超サイヤ人…!?)」

 

 宇宙船の上にいたフリーザは、スカウターでクロマのエネルギーの爆発を感知し、クロマがいる方向を観た。

 

「…いや、ただ自身の持つエネルギーのほとんどを爆発させただけのようですね…それなら大した事でも「よそ見するんじゃねえ!フリーザ!」…まったく…うるさいですね…」

 

 フリーザの発言をかき消すように、バーダックの怒鳴り声が響いた。

 

「てめえの相手はオレだろ!」

 

「…うるさいサイヤ人ですね…」

 

 目の前に立つバーダックに、フリーザはどこが嫌気のさしたような顔を見せた。

 

 

 

 

 

 

「フリーザ様は忙しいのでな少年、私が代わりに相手になろう」

 

 クロマの目の前には、フリーザの側近であるザーボンが立っていた。

 

「…そこをどけ!オレはバーダックおじさんの所へ行くんだ!」

 

 クロマは右手にエネルギーを集中させてザーボンの懐に拳を決めようとする。

 

「…まったく、物わかり悪い子どもは疲れる!」

 

 

「うぐあっ!?」

 

 左手を離したザーボンは、右手に力を集中して手刀をクロマに決める。

 

「くそ…!」

 

 そして、そのまま右手でクロマを掴んで持ち上げた。

 

「は、離せ!」

 

「ハハハ!抵抗しても無駄だ」

 

 ザーボンは余裕の笑みを浮かべる。

 

「…おや?どうやらフリーザ様がやったようだ、少年、自分達の星の最後を見せてやろう」

 

 ザーボンはそう言うと、クロマの顔を惑星ベジータの方へと向けさせる。

 

「なぁ…!?」

 

 クロマは衝撃的な光景を観た。

 

 フリーザが放った超巨大デスボールがたくさんの戦士達の命を奪いながら、惑星ベジータへと衝突して崩壊させていく光景だったのだ。

 

「ハハハ!観てみろ!あれがフリーザ様の力だ!………む?どうやら、ショックは大きかったようだな、可哀想にすぐにお仲間の元へと送ってやろう」

 

 ザーボンはクロマを掴む右手に力を入れる。

 

「バーダックおじさん…カカロット…ラディッツ…ギネおばさん…オレは……オレは………」

 

 クロマは痛みよりも、どうしようもなさで胸がいっぱいになっていた。

 

「くそ…くそ…!せめて…バーダックおじさん…だけでも……力が……」

 

「む…?」

 

 ザーボンはスカウターに表示されているクロマの戦闘力の数値が上がっていることに気がつく。

 

「……力が欲しい…ああ…うわああああああああああ!!!」

 

「なぁっ!?」

 

 クロマはどこから沸いてくるのかとてつもない量のエネルギーを身に纏った。

 

 ザーボンもとっさに右手を離した。

 

「間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 クロマはもの凄いスピードでかすかに感じるバーダックの反応の元へと飛んでいく。

 

「あ、あれは…!」

 

 ザーボンはただただクロマの姿を観ることしかできなかった。

 

「も、もう少しぃ…!」

 

 バーダックの反応の元にだんだん近づいてきたクロマは、さらにスピードを上げる。

 

 だが、現実は非情であった。

 

「バーダックおじーー」

 

 クロマの言葉が巨大な音にかき消された。

 

 惑星ベジータ消滅の爆発音によって。

 

 

 

 

 

 

 こうして、惑星ベジータが大爆発したことで、ほとんどのサイヤ人は滅んだ。

 一人でフリーザに決戦を挑んだバーダックの努力も虚しく。

 

 

 

 

 

 

 

「おやおやザーボンさん、ご苦労さまです」

 

 先に宇宙船の中にいたフリーザが、ザーボンにワイングラスを渡して言う。

 

「ありがとうございますフリーザ様…あの様な子どもがいるとは思いませんでしたが、あの子どもが超サイヤ人だったのなら星の爆発と共に消えたことになりますね」

 

 ザーボンはどこか嬉しそうな顔であった。

 

「そうなりますね、あの戦闘力でしたらこの形態の私でも倒せたでしょうがね、ドドリアさんももう少しで戻ってくるでしょうが先に私達で乾杯しときましょう」

 

「ええ」

 

 フリーザとザーボンはお互いのワイングラスで乾杯をする。

 超サイヤ人と思われた子どもが惑星ベジータや多くのサイヤ人と共に消えたのだからお互いにどこか喜んでるような表情であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どこだ…ここ」

 

 クロマはとある寝室にて目覚めた。

 

「…オレはいったい……!…バーダックおじさんは!」

 

 クロマは自分が眠っていたベッドから起きて周りを観る。

 

「……ぐぅ…!」

 

 急に動き出したため、クロマの身体中に痛みが走った。

 

「大丈夫かい坊や!」

 

 クロマが痛みに苦しんでいると、寝室に入ってきた青いターバンの男が駆け寄ってきた。

 

「…だ…誰だ…」

  

「僕の名前はリュカ、グランバニアの王だよ、さあさあベッドに戻りなさい」

 

 『リュカ』という男は、クロマを抱きかかえるとベッドに寝かせた。

 

「……グランバニア…?」

 

 クロマは聞き覚えのない名前に戸惑った。

 

「いろいろ聞きたいだろうけど、今は休みなさい」

 

 リュカはそう言うと再び寝室から出ていった。

 

 

 

 

「……」

 

 一人寝室に残されたクロマは、いろいろな出来事の連鎖に頭がおかしくなりそうになったが、今はただリュカの言うとおり休むことにし、目蓋を閉じた。

 

「………」

 

 眠り始めたクロマは気づいていなかった。

 

 自身の背中に黒くて小さな背鰭が生えてることに…。

 

 

 

 

 

 

 

 後にゴジラの名を名乗ることになる少年クロマ

 

 そんな彼の物語はまだ始まったばかりであった…。




こんなに長いプロローグを読んでいただきありがとうございます。
次話はプロローグより短くなっておりますので。  

それと、これから怪獣の生まれ変わりである者達や生き残りのサイヤ人なども徐々に出していく予定です。
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